【連載】秋季リーグ戦開幕前特集『pride』第3回 長谷川寛×三倉進×加藤雅樹

野球

 ことしの東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)でワセダに足りなかったもの。それは『粘り強さ』だろう。ビハインドの場面からひっくり返す力。追いすがる相手を突き放す力。個人がどれだけ打っても勝利に結び付かなければ意味がない――。優勝をつかむため、今何をすべきなのか。春の首位打者・加藤雅樹(社2=東京・早実)、初本塁打を記録するなど飛躍を遂げた長谷川寛(社4=宮城・仙台育英)の春に結果を残した二人、そしてケガからの完全復活を果たした三倉進(スポ4=愛知・東邦)。接戦を勝ち切り、賜杯を手にするためのキーマンとなるであろう三人が語る。

※この取材は8月31日に行われたものです。

「何かが足りなかった」(加藤)

二人の先輩の間にはさまれながら春を振り返る加藤

――東京六大学春季リーグ戦(リーグ戦)を改めて振り返って、チームの戦いぶりはいかがでしたか

三倉 個人的にスタンドで見る機会が前半は多い中、なんとなく勝ちきれない感じがすごくありました。それで自分がベンチに戻ったときにどういうふうに力になれるかなと考えてたんですけど、その時チームに結構勢いが出てきていました。序盤からそうやって勢いのあるチームになれていれば、リーグ戦終盤に勝ち切れなくても勢いのある他のチームに対抗できたのかなと思いました。

加藤 1点差で負けてしまう試合がすごく多くて。あとは逆転負けとかもあって、点差としては惜しい試合なのに、でもそこで何かが足りなかったという・・・。自分も含めて負けた試合ではあまり打てなかったというのもありますし、そういう『勝ち切れなかった』というのが春の試合の印象です。

長谷川 1点差で負けた試合はかなりあったと思うんですけど、やはりそこで粘り強さであったり勝ち切れなかったというのが優勝につながらなかったのかなというのはあります。

――第7週までどこの大学が優勝するのか分からないという混戦となりましたが、優勝した立大を始めとした各校の印象はいかがでしょうか

三倉 やっぱり序盤はどこも探り探りという感じはしていたので、自分たちの方が「勢いに乗ってしまえばいけるな」というのはあったんですけど、試合を重ねて向こうも慣れてくると、本当のチーム力というか一体感のあるチームが強いなという印象を受けました。そこの部分で自分たちはちょっと一丸となるべきところが欠けていたのかなと。結局立大が日本一になったので、そうやって見てみると一つになる力が一番あるチームなんじゃないかなと思いました。

加藤 立大は勝ち切っていて、ワセダはそういうのがなかったのかなと。立大は逆転勝ちだったり粘ってサヨナラとか、そういうのが多くて。そういう積み重ねが勝ち点につながる微妙な差になって優勝になったと思うので、粘り強さというのは立大にはすごくあったと思います。

長谷川 (立大の)印象的には個々の能力が高いなというのがありました。それに加えてチームの仲の良さというのが伝わってきたので、自分の持っている能力以上に、粘り強さだったりとかそういういい結果が出たのかなというふうに思います。

――春季リーグ戦、印象に残った試合はありますか

三倉 法大(2回戦)の雨で中断した試合ですかね。入学してからああいうゲームは初めてだったというのもありますが、中断したから勝てたと思うのもあります。

加藤 立大の2回戦。1-4から4-4まで追いついて、でも最後はサヨナラ負けしちゃったんですけど。あれは粘り強くできた試合だったと思うので感動したゲームというか、でもあれで勝ち切れたらもっと強くなれたかな、あそこが優勝を分ける試合だったかなと思います。

長谷川 慶大の2回戦ですかね。相手が勝ったら優勝というところで優勝を阻止できたことがすごく印象に残っています。

――去年に続いて連続で慶大に勝ち点を譲ってしまったことに関しては

三倉 優勝を阻止できたのは良かったんですけど、やはり去年から引き続いて早慶戦に勝てていないので。どうしても勝たなきゃいけない試合だと思いますし。向こうの方が優勝を落としてがっくりきているところを自分たちが落としてしまったら意味ないので、そこがやっぱり勝ち切れないというところだと思います。早慶戦は勝って終わりたいです。

加藤 早慶戦の時にはもう優勝はなかったのですが、「ケイオーにだけは負けない」というそこでは面目は保ちたいというところでああいう結果になってしまったし、自分も全然結果が出せなかったので悔しい思い出しかないです。

長谷川 もう二人が言った通りなんですけど、本当に負けられない試合に負けてしまったので非常に悔しい早慶戦でした。

――次はそれぞれどういうシーズンだったのかについてお伺いします。まず三倉選手はケガで出遅れてしまい悔しい思いもあったと思いますが、チームの戦いぶりをどう見ていましたか

三倉 寛もそうなんですけど、突然出番がめぐってきた選手がしっかり準備して活躍できていたので、そこまでチームとして不安にはならなかったです。代打で出る選手も自信を持って打席に向かっていたので、みんなが自分の仕事に対して準備ができていたというところが素晴らしいなと思いました。

――今お話があった通り、長谷川選手がケガの三倉選手に代わって中堅手を務めました。プレッシャーなど感じましたか

長谷川 もちろん本職というか、ポジションがセンターというのはあまりやったことがなかったので、あまり練習ができないままリーグ戦に入ってしまって少し緊張はしました。でも常に練習の中でも「いつ自分が試合に出てもいいように」っていうモチベーションを持ってやっていたので、そういうところが生きたシーズンだったのかなとは思います。

――三倉選手は復帰に向けてどういう調整を続けていましたか

三倉 早期復活が一番の目標だったんですけど、順番を間違えてしまうと治ってもまたすぐ痛めてしまったりして結局1年を無駄にしてしまう感じはあったので、順番だけは間違えないように。本当は開幕に間に合わせたかったんですけど、それは無理だったのでなんとか次の試合、次の試合というかたちで焦りすぎず着実にという気持ちでやっていました。

――その中で後半から復帰し代打で活躍されましたが、ひさしぶりの打席の感覚はいかがでしたか

三倉 ほとんどイメージだけでしたね。感覚的なものはなかったので、いいイメージで打席に立って、来た球を打つ。初球からフルスイングする準備はできていました。

――次は長谷川選手にお聞きします。リーグ戦の打順は主に2番か6番でしたが、やりやすかったのはどちらでしょうか

長谷川 6番の方が打ちやすかったのかなと。2番だとやっぱりバントとかの小技があったりするので、6番よりプレッシャー掛かる打順でした。なんとか気持ちの面でネガティブにならず、ポジティブな気持ちでバントするようにはしています

――打率は2割9分3厘をマーク、本塁打もありました。春先から取り組んでいた打撃面では飛躍のシーズンといえるのではないでしょうか

長谷川 そうですね。ああしてたくさん試合に出られるシーズンは初めてだったので、今まで三年間長い時間を掛けてしっかり練習してきた成果は出たかなと思います。

――加藤選手は首位打者とベストナインを獲得。大きな成長を感じるシーズンだったと思いますが、あらためて振り返ってみていかがでしょうか

加藤 個人の成績、数字だけ見れば自分でもすごく満足できる成績だとは思うんですけど、チームの勝ちに結びつく打点が少なかったと思うので。立大戦や慶大戦で勝ちにつながるチャンスの時に回ってきたんですけど、そこであまりいい働きはできなかったのでそういうチームへの貢献度は足りなかったかなと思っています。

――ご自身としては「いい数字を残した」という満足感よりも「勝利に貢献できなかった」という思いが強いのですか

加藤 そうですね。満足感ももちろんあるんですけど、チームの勝ちにつなげられなかったというのはすごく悔やまれます。

――開幕戦から最終戦までずっと4番での出場となりましたが、この打順に対するこだわりなどは出てきましたか

加藤 4番を任せてもらっている自分が右往左往していたら駄目だと思うのでしっかり居座る、というぐらいの気持ちではいたいなと思います。

――プレッシャーを感じることはありませんでしたか

加藤 あんまり・・・。いい打者がそろっていて、その中の一人だという感覚でいるので、そんなに自分が自分がと思わずにつなげることだけ考えて打っています。

――春季リーグ戦を振り返ってみて、技術的に足りないと感じた点はありますか

加藤 やっぱり攻め方が厳しくなっていく中でどんどん打てなくなっていくし、少し考えすぎるところもあるのでもう少し気楽に、動物的にというか感覚的に打てるようにはなりたいと思っています。

――三人とも外野手ですが、外野手の魅力というものはありますか

長谷川 自分が見ていて、加藤とか進は肩が強いのでそれは魅力的かなとめちゃめちゃ思います。そういうので観客が沸いたりする大きなプレーができるのでうらやましいなあと。

加藤 そうですね、刺せたらうれしいですけど。刺せなかったらちょっと・・・(笑)。でも外野手の一番いいところはあんまり(打球が)飛んでこないところです(笑)。

三倉 (笑)。

――三倉選手と加藤選手は高校時代、投手と捕手でしたがそういう意味では外野はどういうポジションだと感じますか

加藤 自分は本当、最初は良かったです(笑)。

三倉 いや本当飛んでこないですね。だからこそ難しいのが来たときに捕れればいいんですけど、捕れなくてもスリーベースをツーベースにとどめるなど、一つでも塁を手前にとどめたりとかあんまり気付かれないようなところをいろいろやってるのは楽しいです。

――走者が本塁に突入するとき「見せ場だな」と思ったりはしないのですか

三倉 いやそんなこと思ってる余裕ないっす(笑)。一瞬ですね。

――やはり飛んでこない方がいいのですね

三倉 そうですね(笑)。

――早慶戦のときの神宮球場は外野スタンドまで観客が入りますが気になったりしますか。加藤選手が嫌そうな顔をしていますが(笑)

加藤 レフトで、周りは全員ケイオーなので・・・。結構言われますね。ポテンヒットとかで前に勝負しにいかなかったりすると「サンキュー」みたいな声が飛んでくるので嫌ですね。

――他の方はいかがでしょう

長谷川 レフトスタンド近くでケイオーの応援が聞けるというのはいいことだと思います。なんかこう、いつもだったら内野の三塁側から応援を聞くんですけど、それより近くになって迫力とか、そういう良さを感じることができます。

三倉 ライトとセンターを両方やっていたので、ライトのときは好調だといいんですけど不調だと後ろ見たくないですね(笑)。センターだと両方から聞こえるので、常に応援されるようにちゃんとしないといけないとは思います。

「野球ができることに感謝して準備している」(長谷川)

二人のライバルの話に耳を傾ける長谷川

――では、夏季オープン戦についてもお伺いします。三倉選手はケガから完全復活という印象ですが、調子はいかがですか

三倉 あっという間に終わったなというのが一つとしてはあるのですが、自分的には打っていることよりいろいろ課題が見つかったという思いの方が多いのでそこを開幕までに埋めていかなきゃなというふうに思いました。

――課題とはどのような点ですか

三倉 狙い球もそうなんですけど、一球で仕留める力というか技術性、そういうところですね。

――3番や5番など、4番の加藤選手の前後を打つことがよくありますが

三倉 5番は楽ですね。(加藤が)前にいるので。3番は塁に出ないといけないので結構大変です。あんまり打順を気にしないようにはしています。

――低めの変化球が課題と以前お話されていましたが、今もそこに重点を置いているのですか

三倉 はい。ちょっとその時期とは考え方を変えているのでずれている部分もあるんですけど、低めの変化球に対してアプローチの仕方を変えて取り組んでいます。

――どういったふうに変えられたのでしょうか

三倉 以前は見極めることをメインにやっていたんですけど、すくって外野の前に落とせたりするものもあるなと思ったので見極めつつすくえるものはすくうという、そういうイメージです。

――次は長谷川選手にお聞きしますが、夏季オープン戦での手応えはいかがですか

長谷川 スタメンで出る機会はあまりないのでなんとも言えないんですけど、オープン戦が始まってから今までの状態はだいぶいい状態に向かってきています。リーグ戦のスタメンはもう加藤、進、八木(健太郎、スポ4=東京・早実)だと思うんですけど、いつケガ人が出るかも分からないし守備固めとしても出させてもらっているので、野球ができることに感謝して常に準備はしています。

――春先にお話を伺った時「調子は全然良くないです」というようなことも言いつつあまり気にされていないようでしたが、不調のときもあまり気にしないようにされているのですか

長谷川 あまり気にするタイプではないですね。「まあいずれ良くなるだろう」っていう感覚でやっているので焦りもないですし。あと1週間ちょっとあるのでしっかり焦らず準備していきたいです。

――春先での不調がありながらもしっかりと結果をのこした春季リーグ戦はやはり自信につながったのではないでしょうか

長谷川 そうですね。リーグ戦が始まる前は不安だったんですけど、その不安は今回はあまりないので平常心でプレーすることができると思います。

――今は特にどこを意識して練習に取り組んでいますか

長谷川 代打も守備機会もあるので、ノックでもバッティングでも常に準備はしています。

――全早慶戦では多くのOBが参加されましたが、何か話をされたりは

長谷川 話・・・。

――熊本で参加された中澤彰太前副将(平29スポ卒=現JFE東日本)のグローブを使われていますよね

長谷川 使ってます。おかげ様でノーエラーでリーグ戦を終えることができましたとは伝えました(笑)。

――では加藤選手に聞いていきたいのですが、春季オープン戦では調子が悪かったものの春季リーグ戦では好調で結果を残しました。この夏の調整はいかがでしょうか

加藤 結果としては全然打てていないのでちょっとヤバいなと。良くなりそうな感じはあるのでもう少し頑張らないとなと思います。

――秋に向けての危機感があるのでしょうか

加藤 そうですね。危機感というかチームのためにというか。あまり個人成績を気にしていると早慶戦のようになってしまうので、気にせずにチームのために頑張ってやりたいなと思います。

――熊本の全早慶戦の際は勝負強さが課題で、打点を稼げる打者になりたいと話していましたが、どんな意識を持って夏を過ごしていますか

加藤 甘い球もどんどん少なくなってきているなと感じるので、警戒されていく中で打っていくにはやはりファウルを打っていてはダメだと思うのでワンスイングで仕留められるようにという思いでいます。バッティング練習とかでゲージに入るときの初球とかを大事にしてスイングするようにしています。

――全早慶戦や東京六大学オールスター戦に出場されましたが、そこで得たものや良い経験になったことはありましたか

加藤 他大学の選手と話ができたりだとか、活躍されたOBの方々とも野球の話ができたので、自分にとっては春のリーグ戦が終わってから今までは濃い時間だったなと思います。

――特に刺激を受けた選手などは

加藤 法政の中山選手。ロングティーなんかをやっていたのですがすごかったですね(笑)。場外いきそうで。神宮だと中段から上段くらいのところまでロングティーで飛ばしていたのですごいなって。自分も始めようかと思いました(笑)。

――同世代の選手との交流などはいかがでしたか

加藤 立教と同じチームだったので、捕手の藤野(隼大、2ねん)や投手陣の田中誠也(2年)、手塚(周、2年)、中川(颯、1年)とかとはよく話しました。あとケイオーの郡司とか法政の船曵とかその辺ですかね。

 

――教えていただける範囲でどんな話をしたのか聞かせてもらってもよろしいですか

加藤 どんな話?(笑)野球の話はほとんどしてないですよ。他愛もない話す必要のないような話です(笑)。

――熊本では丸子達也選手(平28スポ卒=現JR東日本)からウエイトトレーニングや体づくりのことを聞いたとおっしゃっていましたがその後いかがですか

加藤 まぁちょっと重りを持ち上げてみたりはしています。

――先輩お二人はウエイトなどはいかがでしょうか

長谷川 そんなにガツガツはやっていないですけど、筋肉量が落ちないようにはやっています。ちょっとずつ維持できるようなそういうトレーニングをやっています。

三倉 一応ちゃんと決めてはやっています。

――どのように決めていますか

三倉 (加藤と)一緒です。

加藤 そうですね。

三倉 (加藤は)出し惜しみなので。

一同 (笑)。

加藤 やろうとしていることは一緒です。

三倉 週2くらいですね。

――それほどやりすぎないようにと

三倉 はい。週2回は必ず時間をとり、やりすぎないようにやっています。

野球以外の話でも話は弾んだ

――加藤選手は安部寮に入ったとお聞きしましたが

加藤 自由な時間が多いので色々と趣味とか見つけたいなと思っています。

――何か今気になっていることなどありますか

加藤 そうですね・・・何か・・・。いや〜ないですね。いつもYouTube見たりしています。本格的な趣味を見つけたいですね。

――先輩方と何か一緒にやることなんかはありませんか

加藤 パイレーツオブカリビアンを三倉さんと見ました。それぐらいです(笑)。

一同 (笑)。

――話は変わりますが先日まで高校野球が行われていました。母校の試合はやはり気になりますか

三倉 全く見てないです。

一同 (笑)。

――あまり興味はありませんか

三倉 自分からは調べていなかったです。周りから言われることはありましたが。

――加藤選手は早実高の試合は

加藤 めっちゃ見ていました。球場まで見にも行きましたし。

――新聞にも載っていましたね

加藤 そうなんですよ。結構気にしていて、絶対甲子園に行ってほしいと思いましたし、ちょっと残念でしたね。まぁ仕方ないですけど。

――テレビでも早実高の試合を見ている様子を見ました

加藤 あれはちょっとひどいですよ(笑)。自分が試合見ながら感想を言ってて「エグッ」みたいな感じでたよね(笑)。「今、撮っていないから」と言われていたのに撮られていたのでちょっと・・・セコいですよね(笑)。

一同 (笑)。

――周りからは何か言われましたか

加藤 「出てたね」という感じです。でも自分のことで出ていたわけではないので、言われてもあまり何とも思わないというか。

――長谷川選手の母校・仙台育英高は甲子園に出場しました

長谷川 甲子園は見ていました。ただちょっと年が離れすぎていて全く被っていない代なので、なかなか知っている選手がいないというか。たまたま中学の同じチームの後輩が出ていたのでその子だけ知っていたのですが、他の子は全然知らなかったですね。

――高校時代のチームメイトの上林誠知選手(福岡ソフトバンクホークス)がプロで活躍していますが

長谷川 もともと高校時代からエグかったのでプロであれくらいやってくれる、もっとできるとは思っていましたね。

――やはり活躍はうれしいですか

長谷川 いやうれしいです本当に。自分のことのようにうれしいです。もう活躍しすぎていて、「きょうホームラン打ったね」なんていう軽いLINEも送りづらくなってきました(笑)。もっともっと活躍してもらいたいと思います。

――ちょくちょく連絡などは取っているのですか

長谷川 そうですね。関東付近で試合をやるときなんかはたまにご飯とか誘ってもらって、そういうときに会っていますね。連絡はちょいちょい取っています。

――母校以外で甲子園の試合などは見られていましたか

加藤 自分は見ていました。

長谷川 見ていました。

――ことしは本塁打の記録などが塗り替えられる大会となりましたが、今の高校球児のバッティングをどう見ましたか

長谷川 なんか色々な説がありますよね(笑)。筋トレの種類や量は増えたと思いますし、ボールの話なんかもあったので、ちょっとよく分からないですけど・・・。でも打つことはすごいと思います。

加藤 すごいです。

――皆さんから見られるとそんなにレベルが上がっているようには見えませんでしたか

長谷川 いやそんなことはないです。レベルはどんどん上がってきていると思いますね。

加藤 ことしはバッティングが良かったですよね。去年は投手が良かったですけど。

――本塁打でいうと、長谷川選手と加藤選手は昨季リーグ戦初本塁打を放ちましたが、やはり本塁打はうれしいものですか

長谷川 うれしいですね〜。やっぱり神宮で本塁打を打つことを目標にやってきたのでその目標が達成できてうれしかったですけど、もっと加藤みたいに完璧なホームランを打ってみたいなと。

加藤 いやいや(笑)。

一同 (笑)。

長谷川 打った瞬間に入るみたいなそういうホームランを打ってもっとゆっくりベースランニングをしたいなと思います。

一同 (笑)。

――加藤選手は初本塁打はいかがでしたか

加藤 神宮で打つこと自体初めてだったので楽しかったです。すごく。結構打てたので気持ち良かったです。

――秋も打ちたいですか

加藤 そうですね。しっかり打ちたいです。

――三倉選手は意外にもまだリーグ戦で本塁打を打てていませんが、今季はやはり打ちたいですか

三倉 打てればいいですね。

――それほど意識はありませんか

三倉 意識してないです。

――愛媛の全早慶戦では地元で本塁打を放ちましたが

三倉 連絡取っている友達はほとんどいないんですよ。小学2年までしかいなかったので。連絡手段があまりない時代だったので。でもこの年になっても連絡を取っている友達数人が来てくれていたり、親族含め懐かしい人たちが連絡はなくても来てくれたりしていたので、そういった人たちが見ているところで成長した姿を見せることができてよかったかなと思います。

――打撃について聞いていきたいのですが、打撃フォームにこだわりなどはありますか。長谷川選手は足を高く上げるフォームが印象的ですが

長谷川 いや、こだわりは特にないですね。いくら変な打ち方でも打てればいいと思っているので。特にこだわりはないです。ただ、打席に入る前のルーティンはちゃんとやっていこうと思っています。

――足を上げることにはあまり意味はないのでしょうか

長谷川 足を上げるのはタイミング取るためだけの手段だと思うので、タイミングさえ取れれば足を上げなくてもいいですし。自分の中でのタイミングの取り方は足を上げることで、足を上げる方がタイミングを取りやすいのでただそれだけです。

――三倉選手と加藤選手はフォームへのこだわりはいかがですか

三倉 ほとんどないですけど、トップをちょっと高く置くというのは心がけています。

加藤 僕は軸ですね。軸がぶれないように、軸で待って軸で回るということだけは守ろうというか。そこだけは気をつけています。

――以前は足を高く上げていたのを、少し低くしているように見えたのですが

加藤 低くしています。もう少し低くした方がいいかなと思っているのですが、それは足の強さというか下の強さが必要なので、そこはちょっと先になるかなと思っています。

――低くすることによってどのような効果があるのでしょう

加藤 足を上げていると時間がかかり、その分差されてしまうので動きが小さければ小さい方が。メジャーでホームランを打っている外国人もみんな動きが小さいので、最終的にはそういう風になれたらと思っています。

――関係のない話になりますが、三倉選手、長谷川選手は学生最後の夏休みになります。何か夏らしいことはされましたか

三倉 豪雨の中、学年全員で海に行きました。

一同 (笑)。

――雨が降っていたのですか

三倉 ハンパじゃなかったです。

長谷川 めちゃくちゃ降っていました。

――8月は雨が多かったですね

長谷川 8月14日で、めちゃくちゃ雨が降っている日で。

――4年生全員ですか

三倉 38人中34人とかです。

長谷川 バスを貸し切ってみんなで海に行って。豪雨の中で、色々遊んでって感じですかね。

――寒くなかったですか

長谷川 寒かったです(笑)

――どこの海ですか

長谷川 江ノ島?

三倉 江ノ島です。

――加藤選手はいかがですか

加藤 自分も14日に雨の中、地元の中学の時のチームメイトとサマーランドに行きました(笑)。

――そういったところに行くと周囲の人に気づかれて・・・なんてことにはなりませんか

加藤 もうないですね。さすがに。

――30人以上で海は目立ちませんか

三倉 だいぶ目立ちます(笑)。でも人が少なかったので貸切みたいになっていました。

――そういうのは幹事は誰がするのですか

三倉 熊田(睦、教4=東京・早実)です。

――4年生は集まりがいいんですね

三倉 いやもう最後というかそんなに機会もないので。どうせ雨降るんだろうなと思っていました。

一同 (笑)。

三倉 天気を気にしてたらスケジュール組めないって言われました。

「天皇杯を主将に」(三倉)

秋に向けた意気込みを語る三倉

――秋の話に移っていきます。秋の開幕は明大戦で春連敗した相手ですが、こうした組み合わせについてはいかがですか

長谷川 明治、立教の順ですよね。でもそこで勝ち点を取れれば間違いなく流れに乗れると思うので、流れに乗れるように初戦からしっかり全力で戦っていきたいと思います。

――嫌ではないですか

長谷川 いや、全然大丈夫です。

加藤 明治には春に連敗しているので絶対負けられないというか。向こうはたぶんジャパン(侍ジャパン大学日本代表)帰りが多いのでそういう疲れだとかがあってくれたらいいなと思います(笑)。

三倉 どうせいずれ当たるなら最初のうちに当たっておいた方がいいんじゃないかと。組み合わせは逆に良かったかなという感じです。

――明大の次に当たるのが春優勝した立大ということでここがヤマ場になるのではないかと思いますが、立大に対してはいかがでしょうか

三倉 日本一になったチームなので春とは違うだろうなというのはあります。確実に投手力があるチームなので、自分たちがどれだけ点を取れるかですね。圧倒していきたいですね。

加藤 立教はピッチャーがいいので抑え込まれちゃうと押されると思います。打線にかかっていると思うのでしっかり作戦を練って研究して攻略したいなと思います。

長谷川 立教は日本一になっているので立教の選手より上はいないじゃないですか。なので自分たちが挑戦者の気持ちを持っていくことで、間違いなくいい試合になるのではないかと思います。

――立大にはアンダースローの中川投手がいます。きのう(8月30日)の専大戦でもアンダースローの投手と対戦がありました。アンダースローの投手の攻略のためには左打者がカギになるのではないでしょうか

三倉 タイプが違ったので。あんまり意識をせずにタイミングだけという感じで、狙い球を絞っていきたいなと思います。

加藤 アンダースローだと球持ちがいいというか近く感じるので、差し込まれないように狙い球をしっかり絞ってどんどん振っていくということを意識したいと思います。

長谷川 右バッターは恐怖心とかもあると思うので、なんとかして左バッターがチャンスを広げて一本出せれば大丈夫じゃないですかね。

――この秋の個人的な目標などはありますか

三倉 全試合フル出場してマルチくらい打てれば。打てなくても出塁率が出れば加藤がどうにかしてくれるので。

加藤 いや・・・。試合数と同じくらいの打点は挙げたいというか。だから12、13個、10連勝なら10個ですけど。試合数と同じくらいの打点はしっかり挙げたいと思います。

長谷川 自分は大学野球最後のシーズンなのでしっかり悔いのないようにプレーすること。今まで野球をやらせてくれた両親とか、そういう人たちに感謝の気持ちを持って臨んでいきたいなと思っています。

――この秋自分の注目してほしいプレーはどんなプレーですか

三倉 「こういうプレー」ですか・・・。

加藤 試合を決める一打。

三倉 うぃ〜(笑)。序盤で決めてな。

加藤 序盤じゃ決まんないですよ。

一同 (笑)。

長谷川 難しいなぁ〜。うーん・・・。野球を楽しんでいる姿を見てもらえればいいなと思います。

三倉 ない(笑)。いや、コミュニケーションを内外野だったり外野同士だったり取ることに重点を置いて練習からやってきて、そこをしっかりやらないといけないのでそこを見てほしいです。

――長谷川選手、三倉選手は学生野球最後のシーズンとなりますが、やはり思いは強いですか

長谷川 正直あっという間でしたね。ただ、1、2、3年生で諦めずに頑張ってきたのでその結果を見せられたらいいかなと思います。

三倉 全早慶戦で思ったのですが、WASEDA のユニフォームを着られるのは大学4年間と、監督になったら監督とその全早慶戦くらいで4年間しかないんだなという。ワセダと言えるのは4年間しかないなと。全早慶戦でOBの人たちが久しぶりにユニフォームを着て喜んでいる姿とか話している姿を見てすごく感じたので。早稲田大学野球部というのは終わってしまうので、それに悔いがないというか、4年生の秋にああいう勝ち方ができてよかったなと思えるシーズンにしたいです。

――加藤選手も4年生の先輩方とプレーするのは最後になります。特に今の早実高出身の4年生は高校1年時の3年生にあたります。そこに思い入れはありますか

加藤 そうですね。今の4年生はすごくよくしてくれている人が多いですし、自分がチームに貢献することで恩返しができると思っているので、最後笑って送り出せるようにしっかり活躍したいなと思います。

――最後に秋のシーズンに向けて意気込みを一言お願いします。

長谷川 意気込みは優勝ですね。間違いなく。そして日本一になることです。

加藤 春すごく悔しい思いをしているのでその悔しさをしっかり晴らして必ず優勝したいなと思います。

三倉 一緒です。どんなかたちでも優勝して日本一というものにしたいので。天皇杯を佐藤主将(晋甫、教4=広島・瀬戸内)にしっかり受け取ってもらいたいので、天皇杯を取るという目標でいきます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 新津利征、三浦遥)

高いレベルで競争を続ける外野手トリオ。誰が出ても問題ありません!

◆三倉進(みくら・しん)(※写真右)

1995(平7)年7月26日生まれ。178センチ、86キロ。愛知・東邦高出身。スポーツ科学部4年。外野手。右投左打。春はケガにより不完全燃焼に終わった三倉選手。秋は完全復活を目指します。色紙には『想』と記してくれました。地元・愛媛で改めて感じた応援してくれる人への感謝の『想』いや、4年間を過ごした早大への『想』いを込めてプレーし、天皇杯をもたらしてくれることに期待です。

◆加藤雅樹(かとう・まさき)(※写真中央)

1997(平9)年5月19日生まれ。185センチ、85キロ。東京・早実高出身。社会科学部2年。外野手。右投左打。昨季は首位打者を獲得したものの、チームを勝たせることができず悔しさを味わった加藤選手。個人成績はあまり考えずチームの勝利を重視する姿勢は変わらず、秋は要所で打点を稼ぐことができる4番打者を目指します。引退する4年生のためにも、「試合を決める一打」を放ち、チームを優勝へと導いてくれることでしょう。

◆長谷川寛(はせがわ・ひろ)(※写真左)

1995(平7)年11月20日生まれ。170センチ、73キロ。宮城・仙台育英高出身。社会科学部4年。外野手。右投左打。春季リーグ戦では攻守ともに躍動しチームに大きく貢献。夢だったという神宮球場での本塁打の感想をお聞きした時の「うれしいですね」という笑顔は満足感にあふれていました。コツコツと続けてきた努力が花開く瞬間は誰でもうれしいものです。秋は「打った瞬間に入った」と分かる完璧な本塁打を打って、ダイヤモンドをゆっくりと回る長谷川選手の姿が見たいですね!