【連載】新体制始動特集『誓-ちかい-』 最終回 佐藤晋甫主将×吉見健太郎副将

野球

 連載の最後を飾るのは佐藤晋甫主将(教3=広島・瀬戸内)と吉見健太郎副将(教3=東京・早実)。新体制となった早大はこの二人を中心に鍛錬の時期を迎えている。2季連続で王座を明け渡してしまっている早大。来季こそは天皇杯を奪取しなければ『覇者』の名が廃る。2年時に経験したリーグ優勝、そして日本一をもう一度――。覇権奪回に燃える稲穂軍団のリーダー二人に焦点を当てる。

※この取材は12月3日に行われたものです。

「良い結果でシーズンを終えられた」(佐藤晋)

好調だった昨秋の打撃について話す佐藤晋

――本日はどのような練習をされましたか

佐藤晋 今の時期は基礎基本というか、チームづくりや体力づくりが主なので特にバッティングに力を入れてバットを振る量を多くするようにしています。

――最近寒いですか体調はいかがでしょうか

佐藤晋 何人か体調を崩す人もいるんですけど、監督さん(髙橋広、昭52教卒=愛媛・西条)は体調を崩したら練習に入らせないという方針なのでみんな気を付けてやっています。

――ことし一年を振り返っていかがでしたか

佐藤晋 春は全然結果を残せなかったのですが、秋はスタメンで出場することもできましたし、それなりの結果も出せたので自分としては良い結果でシーズンを終えられたなとは思います。ですが、まだまだ上を目指せる部分はあると思うので、来年以降もっと高い目標を持ってやっていけたらと思います。

――春まで期待になかなか応えきれずにいましたが、何が自分に足りなかったと思われますか

佐藤晋 大事なところで自分の力を出し切れないというか、オープン戦や、代打でもらったチャンスなど、そういうところの集中力が足りなかったと思います。

――レギュラーを獲得するまで打撃面で取り組んできたことは何でしょうか

佐藤晋 まず夏に高めのボールをたたくことに取り組みました。その後に4年生にアドバイスをもらって、バッティング練習で全部ライトに長打を狙うということを意識しました。それを意識することによって、ボールの内側をたたけていいかたちで自分のスイングができるようになり、だんだんと(結果に)残せるようになったのだと思います。

――高めをたたくというのはどういう狙いがありますか

佐藤晋 監督さんにずっと言われていたんですけどバットが一回寝て(ボールを捉えるまでに)ロスが出てしまうので、ボールまで最短距離でバットを運ぶというのを大げさにやるという意味で取り組んでいました。

――5番打者として勝負強さが光りましたが、その点についてはどのように思われますか

佐藤晋 あまりランナーがいるとかは打席の中で意識していなくて、とにかく後ろに中澤さん(彰太、スポ4=静岡)がいたので中澤さんにつなぐという意識でずっとやっていました。その結果が打点につながって、自分にできることをやったという感じです。

――変化球が来た後に直球が来ても、振り負けないでヒットが出ていましたが

佐藤晋 もともと真っすぐを狙っていて、そこで真っすぐを打ち損じてしまうとなかなか打ち崩せないという意識でいたので真っすぐは絶対に打ち負けずに仕留めれるように意識してやっていました。

――ことしの東京六大学リーグにはプロ入りを果たした投手が多かったですが、その投手から安打を放ったことは自信になったのではないでしょうか

佐藤晋 そうですね。クリーンヒットではないヒットも多かったのですが、そこで食らい付けていけたというのは自信になっていますね。

――スイングスピードに自信はありますか

佐藤晋 うーん、どうですかね・・・。

吉見 あるだろ(笑)。

佐藤晋 ある?

――吉見選手から見ていかがですか

吉見 いや、あると思います。

佐藤晋 じゃあ、あります(笑)。

――長打よりも得点圏での単打が多かったですが、それはご自身の目指す打撃でしょうか

佐藤晋 もっと長打を打ちたいんですけど、大きいのを狙うと(体が)開いたり振り遅れたりしてしまうので。そういう面ではまだまだ技術的に足りない部分が多いのでそれをこの冬で克服していきたいと思います。

――考えて打席に立っていることが毎回のコメントから伺えるのですが、打席内ではどのようなことを考えていらっしゃいますか

佐藤晋 ネクスト(バッターズサークル)でそれまでのピッチャーの投球を見て、配球とかを全部整理しています。打席の中では整理したことを絞って、何を狙うとかをちゃんと決めて打席に立っています。

――それでは吉見選手に伺います。ご自身にとって悔しいシーズンとなりましたが

吉見 春には試合に出ていたのですが秋に小藤(翼、スポ1=東京・日大三)に取られてしまい、それが刺激になるというか、ことしはやってやろうという一段と強い思いになったというのはあります。それしかないですね。

――法大1回戦以降マスクをかぶることはありませんでしたが、あの試合を振り返っていかがでしょうか

吉見 気は抜けていなかったのですが、あの試合でアウトセーフ関係なく自分のミスが出ていました。そうしてしまったことで代えられたというのもあると思うので本当に一球入魂ではないですけど一球の重みを感じるというか、一試合一試合全力でやろうと思いました。

――小藤選手の活躍をどのようにご覧になっていましたか

吉見 単純に1年生から初のリーグ戦で打率が3割というのはすごいなと思います。

――そのような中でも積極的にアドバイスや声掛けをしていらっしゃいましたね

吉見 チームが勝つことが一番なので自分の気付いたことは言うようにしていましたし、ミスしたときは声を掛けたりしました。また、ピッチャーとのコミュニケーションで難しいところもあると思うので、そういったところでアドバイスをするようにしました。

――自分の代わりに出た後輩が活躍してチームが勝利するというのは複雑な思いがあったのではないでしょうか

吉見 悔しいですけどそれが現状の自分の力だと思います。自分たちの代でスタメンを取り返すという気持ちでやっていきたいです。

――髙橋監督は以前「打撃では小藤より吉見が良い」とおっしゃっていましたが、それについてはいかがでしょうか

吉見 そう言っていただけるのは本当にうれしいです。ただ監督さんは試合に出る人は守備が第一と言っているので(試合に出られないことは)納得というか矛盾している点はないです。褒めてもらえるというのはうれしいですが、守備面では劣っているということだと思うのでそこを課題としてやっていきたいと思います。

――大学入学後にコンバートした捕手というポジションにこだわりはありますか

吉見 ここに来て分かってきていることもあるので簡単に変えたくはないと思いますね。

――ここに来てわかってきたこととはなんでしょうか

吉見 最近で言うとキャッチングはすごくしっくりくるものがあるのでそこは納得していて、送球も今になって型ができてきているというかそういうのはありますね。配球については最近実践がないので言えないですが、キャッチングと送球に関しては自分に合っているかたちというのが分かってきたかなと思います。

――捕手の魅力はどこにありますか

吉見 自分に懸かっているというか、自分の判断で勝ち負けが決まるので、勝敗のカギを握っているというのが魅力だと思います。

――道端俊輔さん(平28スポ卒=現明治安田生命)には今でも相談したりアドバイスをもらったりしていますか

吉見 していますね。(具体的には)送球やバッティングもありますけど配球であったりコミュニケーションであったり。全てのことに関して道端さんに聞かせていただいていますし、道端さんも気に掛けてくれていて連絡してくれます。キャッチャーに関しては全般的に教えてくださっています。

主将はインドア派、副将は・・・?

信頼を寄せ合う主将と副将。話も弾んだ

――先日、山岡泰輔選手(東京ガス)がプロ野球ドラフト会議でオリックスから1位指名を受けましたが、高校時代の戦友が夢を叶えたことについて佐藤晋選手はどのように思われていますか

佐藤晋 身近な選手が高い評価を得てプロの道へ進んだというのはうれしいですし、僕たちもやらなければいけないと刺激になります。

――指名後に連絡はされましたか

佐藤晋 はい。一回食事にも行っていろいろと話をしました。

――その山岡投手と共に高3夏の甲子園に出場されましたが、その後、早大にはどのように入学されたのでしょうか

佐藤晋 自己推薦で入学しました。自己推薦で受けられるところは全部受けたのですが、スポーツ科学部は書類の段階で落ちて、社会科学部と教育学部は通ったので教育の方を選びました。

――オフの日は何をして過ごしていますか

吉見 三倉(進、スポ3=愛知・東邦)と出掛けたりはしますけど、基本的には寮で寝ていますね。

佐藤晋 絶対うそでしょ(笑)。

――復興支援に行かれていると伺ったのですが

吉見 そうですね。来週復興支援で東北に行くのですが、それは土日で行くのでオフの日ではないですね。オフの日は三倉と買い物に行ったりします。

――三倉選手とは仲が良いのですか

吉見 仲良いです。(オフの日の過ごし方として)あとは飲みに行ったりしていますね。

佐藤晋 自分は午前中授業に行ったりドラマ観たりマンガ読んだり読書したり・・・。あまり外には出ないですね。

――具体的にドラマなどで良いと思ったものはありますか

佐藤晋 ドラマは“逃げ恥”(TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』)を観ています(笑)。

吉見 (恋ダンス)踊れるもんな。

佐藤晋 踊れないです。無茶ぶりやめて(笑)。マンガは・・・『ダイヤのA』(講談社)とかずっと好きで読んでいますね。『テラフォーマーズ』(集英社)とかも読んでいます。

――インドア派なのでしょうか

佐藤晋 基本インドア派ですね。

――次期主将、副将になるお二人ですが、お互いのことはどのように見られていますか

佐藤晋 自分が最初に主将に選ばれたとき、副将に誰がいいということで吉見を選びました。その理由として吉見は普段から練習とか指示を後輩や同級生にもしてくれて、そういう面でも引っ張ってくれるのではないかと思って副将に選びました。頼りがいがあると思います。

吉見 初めて聞いたのでうれしいですね。自分はそういう立場だと分かっているのでそれを全うします。晋甫は言ってくれたのと反対で、プレーでの姿勢や黙々とやる感じがあり、みんなが付いていこうと思えるようなキャプテンだと思います。

――歴代主将には河原右京さん(平28スポ卒=現トヨタ自動車)のような明るくチームを引っ張るタイプと石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)のように背中で語るタイプがいますが、佐藤晋選手は後者でしょうか

吉見 そうですね。

――お二人は同じ教育学部ですが授業や試験についてはいかがでしょうか

吉見 基本授業が一緒なので、自分が毎回教えてあげますね。

佐藤晋 絶対うそでしょ(笑)。テスト前には吉見がすごく聞いてきますね。

吉見 そこでも頼りになります。本当に真面目なので。そういうことに関しても私生活でも真面目なんです。

――ご自身では真面目だと思われますか

佐藤晋 真面目というか・・・はい(笑)。できることをやっている感じですかね。面白味がないのかなとも思っていて、そこが悩みです。

――いじられキャラだと伺ったのですが

佐藤晋 そういう話も知っているんですか(笑)。はい、吉見さんを始め、みんないじってきますね。

――具体的なエピソードはありますか

佐藤晋 何かある?

吉見 何かっていうとないんじゃないかな。(佐藤晋は)何か固定されたネタがあるわけではなく、そのときそのときに、すぐいじられてしまうという感じですね。

佐藤晋 何か僕が行動を起こしたらいじってくる感じですね。

――11月27日に行われた野球教室についてはいかがでしたか

佐藤晋 今までとは違い、僕たちがユニホームを着て中学生を引っ張っていく立場だったので戸惑いがあったのですが、僕たちが日々グラウンドでやっていることを中学生に伝えることができたのかなと思っています。

吉見 自分も教えることは嫌いではないので、自分が教えて中学生がそれをやってくれてうまくいったときは自分も教えたかいがあって嬉しかったです。大学生のデモンストレーションもあるのですが、そこで中学生が憧れの目で見てくれるのが良かったですね。

――昨秋の戦いについての質問です。早慶戦で勝ち点を落とすのは1年春以来でした

佐藤晋 早慶戦はリーグ戦の中でも他の試合とは違うというか、伝統もありますし、そういった面では絶対に落としてはいけない試合を落としてしまった後悔があります。

吉見 他の四大学に負けるより一番悔しいです。周りからも早慶戦は特別と言われますし、自分たちもそれは分かっていて、晋甫がいったように伝統もあるのでそういうことも含めて早慶戦に負けるというのは悔しいです。

――4年生を勝って送り出せなかったことについてはどのように感じていらっしゃいますか

佐藤晋 4年生が最後にいいかたちで終える手助けを僕たちができなかったと思うと悔しいですね。

吉見 勝って送り出したかったのですが、自分がその前に試合に出られていなかったので直接関わることが出来なかったのが悔しいですね。

――その悔しさがチームの力になっているのではないでしょうか

佐藤晋 そうですね、それをモチベーションにしています。今は実戦もないので悔しさをモチベーションに春を目指して頑張っていますね。

――4年生が自分たちに残してくれたものはなんだと思いますか

佐藤晋 春は5位という結果で悔しい思いをしたんですけど、夏からは悔しさをバネにしてやってきて、秋に結果は奮いませんでしたが、明治神宮大会で優勝した明大から勝ち点を取った、そういう粘り強さというか意地は見習うところであると思いました。

吉見 自分も同じで、春が終わってからの秋へ向けて取り組む姿勢ですね。何かしなくてはいけないという雰囲気がチームの中にありましたし、それを4年生が引っ張ってくれたのでそういう姿勢は見習えました。

――毎年、主将と副将は部員間投票で選出すると聞いていますが、ことしも同じく投票を行ったのでしょうか

佐藤晋 そうですね。早慶戦の週に僕たちの学年で集まって投票しました。

――新チームが始動した際に、お二人はどういった話をされましたか

佐藤晋 昨シーズンを戦って、打てなければ勝てないということを痛感したので、この冬でとにかく振る量を増やしていこうということは僕たち二人とスタッフ、学生コーチで話し合って。あとは練習内容のことじゃなく練習に取り組む姿勢というか、最上級生が下級生を引っ張っていくということですね。ボール拾いだったら早く、練習中はダラダラしない。そういうことを確認して、実践していこうと話をしました。

吉見 全員でミーティングしても同じような意見は出ていて、晋甫も言ったように練習中に新4年生が引っ張っていこうというのはみんなの意見が一番一致して出たことだと思います。

――就任された当時の心境はいかがでしたか

佐藤晋 正直、僕で務まるかなという不安はあったんですけど、みんなが僕を信頼してくれて投票してくれた結果だと思うので、そういう面で僕がしっかりしなくちゃいけないという思いでここまでやってきてます。

吉見 僕は最初に晋甫を支えようと思いましたね。

――歴代の主将には名だたる面々が並びますが、それについてプレッシャーは感じますか

佐藤晋 そこはすごく感じています。どの代を見てもすごい選手が名を連ねているので、そういった方々に見劣りしないようにやっていこうと思います。

――髙橋監督からは新チームが始まる時にどのような話がありましたか

佐藤晋 監督さんからも4年生が練習を引っ張って練習の雰囲気を締めていけということは声を大にして言われました。

――来年は背番号『10』を背負うことになりますが、『10』へのイメージは

佐藤晋 名だたる選手が付けてきた番号で、守備においても打撃においても、あらゆる面でチームを引っ張っていける精神的支柱だと思うので、そういう選手にならなければいけない、そうなるためにこの冬頑張っていこうと思います。

――これまでに主将や副将の経験はありましたか

佐藤晋、吉見 高校時代は副将でした。

――主将の経験は

佐藤晋、吉見 小中ですね。

――チームを引っ張る上で大切にしていきたいことはなんですか

佐藤晋 僕はコミュニケーションですかね。メンバーだけでなく、メンバーに入っていない人、メンバーと練習ができない人の間のコミュニケーションを大切にして、熱意の差を埋めていきたいなと。あとは信頼されること、頼られることは大事だと思います。

吉見 自分は嫌われてもいいからみんなが言いにくいこともチームのためになるならしっかり言うことです。そういうことは自分たちの立場でないと言えない思うので、好かれるか嫌われるかは気にせずに伝えることは伝えていきたいです。

――佐藤晋選手は2年時の新人戦でゲームキャプテンを務めた経験がありますが、その経験は生かせていますか

佐藤晋 うーん、どうなんだろう。その時から吉見が引っ張ってくれていたので(笑)、自分は頼りにならなかったなと。そういう反省は生かしていこうと思います。

吉見 プレーで引っ張ってたけどね。

――早大の主将にはプレーで引っ張るタイプが多いように感じますが、その『プレーで引っ張る』意識はやはり強いですか

佐藤晋 そうですね。自分がしっかりしないと周りも付いてこないですし、雰囲気も悪くなるので、僕が当たり前のプレーを当たり前にすることが大事です。そういう意味で、プレーで引っ張っていけたらと思います。

――吉見選手はどんな副将を目指していきたいと考えていますか

吉見 晋甫が大変なときは自分から気付いてしっかりと手を差し伸べることが一番ですね。主将から一歩引いた立場から見えてくることもあると思うので、チームのことを広く見ることも大事ですね。でもやっぱり晋甫一人に負担を掛けすぎることのないように自分がサポートしていきたいと思います。

――石井前主将からはどんな声を掛けられましたか

佐藤晋 石井さんからは「一年間つらいこともあると思うけど、やりがいはあるから頑張れ」と声を掛けていただきました。

吉見 自分は石井さんから「髙橋監督を胴上げしてやれよ」と言われました。

――石井前主将の言葉はやはり重みが違いますか

佐藤晋 そうですね。やらなきゃなとなります。

「冬に個々の力をどれだけ上げられるか」(吉見)

チームのためなら吉見は嫌われ役も進んで買って出るつもりだ

――少し早いかもしれませんが、来年の東京六大学リーグの話に移ります。プロ入りを果たした好投手たちが多く抜けますが、その中で早大がどう戦っていけるか具体的なイメージはありますか

佐藤晋 どう?

吉見 まだないなあ。でも(早大は)ピッチャーは残ってるよな。

佐藤晋 でも、この冬で出てくるピッチャーも多いでしょうし、そうなったら今言えることは何もないかなと思います。

――今おっしゃったように、来年も早大は投手が比較的残ります。また昨秋は3年生野手が経験を積めたシーズンになりました。前チームと新チームの戦力の比較という点では他大学より有利なのではないでしょうか

佐藤晋 宇都口(滉、人3=兵庫・滝川)、岡(大起、社3=東京・早実)、八木(健太郎、スポ3=東京・早実)、三倉など3年生が試合をずっと経験できたことは大きいと思うんですけど、戦力として見ると大学日本代表に選ばれるような選手がいないんで、そういった面では落ちてるし、世間からもそう見られているんじゃないかなと思います。

吉見 経験はあるんですけど、今までのチーム、特に去年の4年生と比べるとレベルは下がるので、全体的なレベルアップは必要です。経験はあるけど力は足りないという感じですね。

――今の3年生の代はどんな学年ですか

吉見 みんなでやることが多いよな。そんなことない?明るいのかな。

佐藤晋 投手、野手関係なく学年全体で仲が良いと思います。

――早慶戦前に書いていただくアンケートの内容を見ても今の3年生は面白い回答が多く、明るい人が多いように感じます

佐藤晋 いじられキャラは多いですね。僕を始め、八木とか。あと誰だろう。

吉見 俺も結構いじられるもん。いじるやつが多いんですよ。いじられキャラが多いんじゃなく。

佐藤晋 そうですね。いじるやつが多いです。

佐藤晋、吉見 ふざけたやつが多いんです(笑)。

――また野球の話に戻ります。お二人が2年生の時、春秋連覇を成し遂げた強い先輩たちがいましたが、あのチームの強さはどこにあったと思いますか

佐藤晋 技術力、基礎力の高さ。振る力もありましたし。あとは勝負強さや集中力ですね。

吉見 勝負強さはすごかったよな。

佐藤晋 終盤に逆転する試合が多くて、そこは強さだったと思います。粘り強さもありましたし。

吉見 点を取られてもそれ以上に点を取る打線だったので、負けないですよね。ここぞの一本が出るから何点取られても競ることができる強さがありました。

――その年に控え選手ながらベンチ入りして、春秋連覇メンバーの一員として戦ったお二人が主将、副将としてチームを引っ張る上で生かせるものもあるのではないでしょうか

佐藤晋 ベンチから真近で上級生のプレーを見られたことはいい経験になったと思います。

吉見 基準ができたというか、日本一になるチームの雰囲気と自分たちを比較することができますね。それは自分や晋甫などベンチに入っていた人しか分からないことだと思うので。日本一になるためにはこの雰囲気に持っていけばいいとか、そういうのは大きいと思います。

――他大学の話になりますが、ことしは明大が春秋連覇に加え明治神宮大会で優勝。昨年の早大と同じく『3冠』でしたが、ことしの明大の強さはどう感じましたか

佐藤晋 絶対的エース(柳裕也、4年)の存在じゃないですかね。1回戦で投げて3回戦でも投げ切る投手がいてというのは大きいです。

吉見 そこに星さん(知弥、4年)加わるからな。

佐藤晋 打線はつなぎの打線というか、率を残せる打線だったので、強いですね。

――それでは、来年早大が日本一の座に返り咲くために、どういうチームを目指していきますか

佐藤晋 まずこの冬で振る力、守る力を付けるだけ付けて。隙のなさというか、野球の技術もそうですし、私生活の面でも隙のないチームがつくれればチーム力が上がって二つ上のチームに近付いていけるんじゃないかと思いますね。

吉見 個々の力を上げることが一番です。そこが(二つ上のチームと)大きく違うので、冬に個々の力をどれだけ上げられるかが日本一のチームに近付けるかに関わってくると思います。

――今はどのような練習がメインとなっていますか

佐藤晋 今は振る。とにかく数を振ることに取り組んでいます。

吉見 野手なので基本的には一緒ですが、捕手は投手のピッチングでブルペンに行きます。でも基本的には振り込みですね。

――振る量はチームで決めていますか

佐藤晋 指標として監督さんから一日1000スイングは絶対だと言われています。全体練習で1000振ることはなかなか難しいので、できるだけ全体練習で多く振って、残りは自主練習ですね。

――まだ始動して間もないですが、新チームの雰囲気はいかがですか

佐藤晋 お互い遠慮しているかなという感じですね。指摘の声はまだまだ少ないですし。

――それでは、春までの期間の個人の意気込みを聞かせてください

吉見 守備力を上げて、必ずマスクをかぶるという目標を持っています。振ることは全体練習でも自主練習の中でもできるんで、守備には今まで以上の意識を置いてやっていきたいです。

佐藤晋 練習で人一倍声を出して、周りを見て指摘して率先して動いていって、チームを引っ張っていこうと思います。

――最後にチームを代表して来年の目標をお願いします

佐藤晋 2季連続で優勝を逃しているので、まずは春の優勝を目指してやっていきたいと思います。

吉見 自分も最終的には『四冠』したいですけど、まずは目の前の一戦を大切にして、春の優勝を目標に頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 郡司幸耀、茂呂紗英香)

主将、副将を中心に強いワセダをつくっていけるか

◆佐藤晋甫(さとう・しんすけ)(※写真右)

1995(平7)年6月9日生まれ。174センチ、81キロ。広島・瀬戸内高出身。教育学部3年。内野手。右投右打。「思い描くことができれば、それは現実にできる」。色紙にはそう書いてくださいました。もちろん、思い描くのは3季ぶりのリーグ優勝とその先にある日本一。寒い冬にしっかりと土台をつくり、来季は『理想の王座』に返り咲いてください!

◆吉見健太郎(よしみ・けんたろう)(※写真左)

1995(平7)年6月12日生まれ。175センチ、75キロ。東京・早実高出身。教育学部3年。捕手。右投右打。佐藤晋選手の指名を受けて副将に就任した吉見選手。佐藤晋選手が色紙に書く言葉を悩んでいた際に付き添って一緒に言葉を考えていらっしゃった姿からは主将を支える副将の姿が伺えました。『奪回』を掲げ、春季リーグ戦での活躍を誓います。