明大の勢い止められず延長12回の末に惜敗/明大1回戦

野球
明大1回戦 10 11 12
明 大
早 大
(早)竹内、●柳澤-小藤
◇(三塁打)木田

 明大先発・柳裕也主将(4年)がこの日投じた149球目。木田大貴(商4=愛知・成章)のバットが空を切り、3時間を超える熱戦に終止符が打たれた。優勝の行方を大きく左右する明大との1回戦。先発の竹内諒(スポ4=三重・松阪)が8回1失点の好投を披露したが、攻撃陣が竹内を援護することができない。投手を中心に粘り強く戦ったが、延長12回の末に惜敗。連勝街道を突き進む首位・明大に待ったをかけることはできなかった。

 今季2度目の第一先発に抜てきされた竹内。初回に先制を許すも、2回以降はスコアボードに『0』を並べた。威力のある直球に加えて、精度を上げた変化球で打者を打ち取っていく。6回には無死二、三塁、8回には2死満塁のピンチを背負うも、その都度ギアを上げた。押し通したのは自信を持つ内角への直球。「変化球を投げてそれを打たれて後悔するよりも、自信のある真っすぐで押していこう」(竹内)。気迫を前面に出し、走者を背負いながらも、踏ん張り続けた。8回を投げ終えて球数が160球を越えた竹内に代わり、9回からは柳澤一輝(スポ3=広島・広陵)がマウンドへ。気迫のこもった投球で明大打線を封じ込め、味方の反撃を待つ。しかし、1-1のまま迎えた12回、先頭打者への四球をきっかけに1死二塁のピンチを招いてしまう。ここで3番・佐野恵太(4年)に高めに浮いた直球を中堅後方へはじき返される。名手・中澤彰太副将(スポ4=静岡)が懸命に背走するも、打球は頭上を越えてフェンスに直撃。ついに勝ち越しを許した。なおも1死三塁から犠飛でさらに1点を追加される。最後の守りをなんとかしのいで裏の攻撃に懸けたいところだったが、欲しかった次の1点は明大に入ってしまった。

竹内は強力・明大打線を相手に8回1失点。十分期待に応えた

 打線は1点を追う5回、4番・木田が右越え三塁打で出塁。すると5番・佐藤晋甫(教3=広島・瀬戸内)が追い込まれながらも、低めのカーブに食らいつく。これが前進守備の三塁手の横を抜け、1-1の同点に追い付いた。しかし、その後は柳の前に打線が沈黙。走者を出すことすらままならない。柳の直球は両コーナーに制球良く決まり、打者の手元で伸びる。そして、直球と同じ腕の振りから投げ込まれる110キロ台のカーブは高めのボールゾーンから一度浮き上がるようにしてから地面すれすれまで沈む。このコンビネーションの前にバットはクルクルと回り、放った安打はわずかに3。三振は20を数えた。打者を見下ろすかのような貫禄さえ感じさせる柳の投球。難攻不落の大エースを前に稲穂打線はなすすべがなかった。

柳を前に3安打20三振と完全に抑え込まれた

 先発の竹内を中心に最少失点で守り抜き、攻撃では少ない好機をものにして延長12回にまでもつれ込む接戦を演じた早大。春の王者を相手に非常に粘り強い戦いを見せてくれた。しかし、「『惜しかった』は言い訳」と髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)。首位・明大の勢いを止められなかったことに変わりはない。明大は開幕から負けなしの7連勝で首位を独走。慶大と立大の勝敗次第だが、早大は2回戦でも敗れれば目の前で明大に歓喜の瞬間を見せつけられる可能性がある。現時点で優勝の可能性は低いのが現実。しかし、今できることは目の前の一戦に全力で勝ちにいくことだけだ。わずかな望みがある限り、決して諦めない。2回戦こそは明大に土を付け、『覇者ワセダ』の意地を見せつける。

(記事 郡司幸耀、写真 大森葵、網代祐希)

早大打者成績
打順 守備 名前 10 11 12
(左) 八木健太郎 .342 一ゴ     空振   見振 三ゴ      
吉見健太郎 .000                       四球
富田直希 .000                        
(二) 真鍋健太 .211 見振     三ゴ   空振     空振      
宇都口滉 .250                       遊ゴ
(遊) 石井一成 .324 一ゴ     空振     左飛   二直     左飛
(三) 木田大貴 .270 一ゴ     右3   三ゴ     見振   空振
(一) 佐藤晋甫 .375   空振     左安   空振     二飛    
(中) 中澤彰太 .290   空振     補邪     中安   空振    
(捕) 小藤翼 .259     空振   空振     投ギ     見振  
(右) 三倉進 .133     空振   遊ゴ     空振        
立花玲央 .067                     空振  
長谷川寛 .333                        
(投) 竹内諒 .300     空振     二ゴ            
  岸本朋也 .200               遊ゴ        
  柳澤一輝 .000                     空振  

早大投手成績
名前
竹内諒 2.63
柳澤一輝 1.64
東京六大学秋季リーグ戦星取表
順位 明 大 立 大 慶 大 早 大 法 大 東 大 勝ち点 勝率
明 大 10/22
10/23
○3-0
○5-0
○3-1
10/16
○10-2
○8-4
○9-2
○7-4
1.000
立 大 10/22
10/23
●4-6
10/16
○5-3
●2-3
○10-7
○9-3
○7-5
●3-4
○7-4
○6-0
.667
慶 大 ●0-3
●0-5
○6-4
10/16
10/29
10/30
●4-5
○7-1
○3-1
○8-0
○9-6
.625
早 大 ●1-3
10/16
●3-5
○3-2
●7-10
10/29
10/30
●5-6
○8-7
○5-2
○4-2
○4-0
.556
法 大 ●2-10
●4-8
●3-9
●5-7
○5-4
●1-7
●1-3
○6-5
●7-8
●2-5
10/22
10/23
.200
東 大 ●2-9
●4-7
○4-3
●4-7
●0-6
●0-8
●6-9
●2-4
●0-4
10/22
10/23
.111
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コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――接戦を落としましたが、きょうの試合について

そうですね。防戦一方で柳(裕也主将、明大4年)も調子が良かったけど、1点を先攻されても竹内(諒、スポ4=三重・松阪)が投球数が多いながらも粘り切って、1点に抑えて。数少ないチャンスで同点に追い付いて、延長戦にまでもつれ込んで。再試合というところまで来ていたんですけどね。そこで最後まで粘り切れなかったけど。選手も柳の前に三振を量産してしまって。でも、柳も良かったですよね。そんな中でも粘り切った試合ではあったと思います。でも、負けたら意味がないのでね。気持ちを切り替えてあしたに向かっていきたいと思いますね。

――竹内投手の第1先発はいつごろから決めていらっしゃいましたか

東大戦での完封から決めていました。小島(和哉、スポ2=埼玉・浦和学院)も悪くはないんですけど、竹内は完封して小島は失点していたので。もう4年生でもあるしね。

――160球を超える熱投でしたが、信頼しての続投ということでしょうか

そうですね、きょうは本当にいけるところまでいこうと思って。8回で160球を超えていたので、さすがに代打を出しましたけどね。

――右打者の内角を強気に攻められていましたね

そうですね、良かったですよね。普通あれくらいの投球数なら四死球も多いんですけど、あれはファールで粘られてのことなのでね。竹内の制球が悪くて投球数が多くなったわけではなかったので、全然問題ないと思いますね。きょうも気持ちが乗っていたし、打者に対して攻め切っていたので私も代える気はなかったし。ただ、あそこは勝負どころと思って代打を出していったんですけどね。

――後を受けた柳澤一輝投手(スポ3=広島・広陵)も好投が光りました

やっぱり12回の先頭打者の時に、捕手のファールフライを落としたのが大きかったですよね。投手の心理的な問題にもなりますしね。記録上エラーにはならないですけど。

――明大の柳投手は監督からご覧になってどのあたりが良かったですか

ワセダの打者が、低めのワンバウンドすれすれのカットボールかスライダーを全部振るんですよね。ベンチから見ると高さ的には全部ボールなんですよ。「振るな」とは言うんですけど、全部手が出てしまうんでしょうね、角度的に。

――それを振らせてしまうのが柳投手の良いところということでしょうか

そうですね。特に左打者は振ってしまいましたよね。

――そんな中でも5回に1点を取れたのは大きかったのではないでしょうか

もちろんそうですね。数少ないワンチャンスを非常によくものにしてくれたのでね。粘り切って延長にまで持っていってくれたんですけど、やっぱり勝負は負けては駄目ですから。「惜しかった」は言い訳になりますからね。

――もう落とせない状況となりましたが、あす以降に向けては

もう全力で頑張るだけですね。

竹内諒(スポ4=三重・松阪)

――開幕カード以来の第一先発となりました

今週の水曜に第一先発でいくということが決まりました。長いイニングを投げて試合をつくれるようにというふうに考えて、しっかり調整をしてきました。

――全体を通して7奪三振という数字に関してはどのように受け止めていますか

そんなに三振は狙っていないのですが、三振が取れているということは追い込んでからのボールが良かったのかなと思います。

――初回に失点してしまった際には小藤翼捕手(スポ1=東京・日大三)に対して謝るようなポーズをされていましたが

狙ったコースよりも少し高めに浮いてしまったので、それで。コントロールミスですね。

――その後は無失点で抑えられましたが、まず6回のピンチの場面ではインコースへの投球が多かったように思いますが

そうですね。残りの試合数も限られているので自分の中で自信のあるインコースへの真っすぐを投げて、思い切って腕を振ろうと思っていました。

――8回のピンチを切り抜けられた際には大きなガッツポーズが出ていましたね

そうですね。かなり気持ちが入っていました。

――最後に三振を取った吉田大成選手(4年)への配球も真っすぐが多かったと思いますが

ほぼ真っすぐだったと思います。変化球を投げてそれを打たれて後悔するよりも、真っすぐで押していこうと思っていたので。結果的に見逃しの三振が取れて良かったです。

――きょうの直球の調子はいかがでしたか

そんなに良くなかったですね。調子自体は悪くなかったのですが、ボールとストライクがはっきりしてしまった部分があったので、その点ですかね。

――球数が前回登板の時よりもかなり多くなってしまいましたが、きょうは粘りの投球だったということでしょうか

そうですね。やはり柳投手(裕也主将、4年)に投げ勝ちたかったですね。球数をもう少し少なくできたらもう少しだけでも長く柳投手と投げ合えたのかなと思っているので、その点はすごく悔しいです。

――きょうは負けてしまいましたが、3回戦までもつれると先発の可能性もあります。最後に次戦に向けてのコメントをお願いします

勝てませんでしたが、きょうの投球内容は良かったと思います。もしこのカードで投げることがあれば、きょうのような最少失点で切り抜けて試合をつくっていくような投球ができるように、しっかり調整をしていきたいと思います。