【連載】秋季リーグ戦開幕特集『アゲイン』 第7回 吉見健太郎

野球

 昨年は東京六大学リーグ戦春秋連覇を達成したものの、今春はまさかの5位に終わった早大。投手陣の思わぬ不調に苦しんだ。だが、吉見健太郎(教3=東京・早実)にとって、着実に経験を積むことのできた春でもあった。巻き返しの秋に向け、今の思いを語ってくれた。

※この取材は8月26日に行われたものです。

「ランナーは必ずかえすという意識」

――きょうのオープン戦(立正大戦)の調子はいかがだったでしょうか

 きょうは全然(試合に)出ていないので、何とも言えないですけれど、まだ守備の面で課題が多いなと感じます。

――試合終了後も練習されていましたが、主に守備面でしょうか

 そうですね。守備面です。

――夏季オープン戦全体を通して調子はいかがですか

 全体的に悪くないとは思いますけど、きょうの相手(立正大)はすごく動いてくる、機動力野球のチームだったので、そういうチームが相手になった時にボロが出たり、詰めの甘さなどが出たりして、自分の弱さを感じると思います。

――盗塁阻止も重要になると思います

 そうですね。普通の盗塁でなく、ちょっとスタートを遅らせてくる盗塁だったんですけど、そういうのも対応できるようにならなくてはいけないので、自分の甘さを感じています。

――夏季オープン戦での打撃面についてお聞きします。現在、高い得点圏打率を維持していますが、そのことについては

 春のリーグ戦でも打点だけは(チーム)2位で、そこは自分でも春のリーグ戦が終わってからなんですけど、得点圏には割と強いのかなという感じはしていて、得点圏にランナーがいると、かえさなければいけないという必死さが出るというか、良いのか悪いのかは分からないですけれど、自分のバッティングを意識するだけではなく、ランナーは必ずかえすという意識がいい面に出ているのかなと思います。 

――春のリーグ戦で打順が上がった際、「アウトになるにもチームのための犠牲のなり方を大事にした」とおっしゃっていました。現在、打順もいろいろと変わっていますが何か意識することはありますか

 また2番を打つこともあるのですが、バントのミスが春はあって、そこは意識してきたので、割と今は決まるかなという自信があります。打順に関わらず、自分がクリーンナップを打つことは絶対にないと思うので、それ以外だったら絶対バントがあると思うので秋は必ず決めなければいけないなと思っています。オープン戦でも決めなければいけないなと思っているので、今まで以上にバントの練習量は増やしていますし、意識を高く持って練習するようにはしています。

――春季リーグ戦前特集では「得点力は去年と比較すると落ちる」ということもおっしゃっていました。小技を確実に決め、点につなげることも必要になってくるということでしょうか

そうですね。大事だと思います。 

「完全に力不足」

昨季は調子が上がらない投手陣に真摯(しんし)に向き合い続けた

――春季リーグ戦5位という結果について、率直な感想を聞かせてください

 完全に力不足でした。情けなさというものがありました。自分はチームのために何もできていないです。

――他大学と比べてどのようなところに差を感じましたか

 チーム的には、分析とかもすごくしっかりしてきているということもありましたし、他の大学は全員が脅威になっていた部分があるんですけど、ワセダはストップをかけてしまう人が何人かいたので、そこで相手に気を抜かせてしまっていたのかなと思います。

――昨年、春秋連覇して研究されてしまう部分もあるのでしょうか

 そうですね。打倒ワセダというところもあったと思います。

――投手陣がほとんど変わらない中、捕手として春季リーグ戦を戦ってみていかがでしたか

 率直に道端さん(俊輔、平28スポ卒=現明治安田生命)すごいなと。キャッチャーが試合で重要になる部分がすごく多いなと感じました。

――道端選手も神宮球場にいらっしゃっていましたね。何かその後に声を掛けられたりはしましたか

 基本、気持ちを楽にさせてくれる声掛けをしてくださるのですが、試合の前とかは「こうした方がいいぞ」とか、去年も出ていた選手もいるので、「この選手はこうした方がいい」というアドバイスを試合前に頂きました。

――現在の投手陣の調子はいかがですか

 いいとは言えないと思いますね。けど悪いかと言ったらそうでもないと思います。大竹(耕太郎、スポ3=熊本・済々黌)、小島(和哉、スポ2=埼玉・浦和学院)の不調が若干気になりますけど、その分、吉野さん(和也、社4=新潟・日本文理)や竹内さん(諒、スポ4=三重・松坂)が引っ張っている感じはするのでその2人に付いていけばピッチャー陣は大丈夫なのかなと思います。 

――春季リーグ戦の締めとなる早慶戦で竹内投手の完投は大きかったですね

 そうですね。大きかったです。

――この夏に行われた東北楽天ゴールデンイーグルス戦では竹内投手が変化球を投げることが多かったように思います。先ほどの対談で竹内選手が「投球の幅を増やした」とおっしゃっていましたが、リード面について何かありますか

 その日の調子というのもやっぱりあると思うんですけど、楽天戦は竹内さんの真っすぐが甘く入りがちだったので、その分、変化球で押した部分があると思いますが、調子に関わらず、竹内さんの投げる球にバリエーションが出てきていることは確かで、自分も組んでいてパターンが増えてきていると感じています。

――オープン戦をこの夏こなしてきて見えた課題はありますか

打撃は一試合一試合課題を持って取り組んでいて、その課題をクリアしながらできている感じはするので、特にはないですかね。 

――夏季オープン戦など、実戦の場が多く組まれていると思いますが、夏はどのようなことを中心に練習されているのですか

 春はあれだけ打てなかったので、打撃の量は増えていたというか冬の量を維持してやっていたと思います。夏も量を落とさずに練習するという感じでした。守備はそこまで細かくやってないので自主練で補わなければならないですね。

――春を終えて石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)からチームを鼓舞する言葉などはありましたか

 全員が同じラインからスタートして、スタメンとかと、春出ていたメンバーがスタメンとは限らないと言われましたし、競争心をあおるような声掛けはありました。

――下級生の台頭というのも目覚ましいと思います

 そうですね。脅威です。焦っている部分もあります。監督さんは守備を重視しているので、そこで信頼を得ていかないと難しいなと思っています。セカンド送球だったり、配球だったり、試合の中で、捕手は監督さんの代わりという役割もあるので、監督さんが考えていることに近い動きができるようにしなければなと思います。 

――最後に秋季リーグ戦開幕に向けて意気込みをお願いします

 打撃ではまず、打率を上げること。打点は同じくらい維持できたらなと思っています。守備ではありすぎて難しいですけれど、時間を掛けてもいいので、失点を減らすということを大事にしていきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 八木美織)

成長した姿を見せ、正捕手の地位を盤石なものとしたい

◆吉見健太郎(よしみ・けんたろう)

1995(平7)年6月12日生まれ。175センチ、75キロ。東京・早実高出身。教育学部3年。捕手。右投右打。色紙の文字は投手コーチの鈴木大悟さん(文構4=東京・早実)も一緒になって考えてくださいました。秋は『気合い』のこもったプレーに注目です!