竹内諒（スポ４＝三重・松阪）が復活した。開幕カードの東大２回戦で約１年ぶりの勝利を挙げると、立大２回戦ではほぼ完璧な投球を披露。１球に泣き、負けてはしまったが、この試合で『復活』を印象づけた。明大戦では第一先発として十分に試合をつくり、今や投手陣の柱となっている。しかし、勝利は東大戦以来ない。迎える伝統の一戦では今季２勝目を挙げるべく、クールな豪腕は静かに闘志を燃やしている。
※この取材は５月１９日に行われたものです。
「投球の幅が広がった」
復活を果たし、今季は全カードで先発を任されている
――今季ここまでを振り返っていかがですか
全体的には悪くないと思います。長いイニングを投げられていることが良くて、その点で今季は悪くないです。ただ、短いイニングでマウンドを降りてしまうこともあったので、まだまだ全て良いとは言い切れませんね。
――本来の投球ができている印象ですが、体調の方はいかがでしょうか
どこも痛いところはありませんし、大丈夫です。
――満足して投げられていると
そうですね。
――先発投手へと本格的に復帰されましたが、スタミナ面はいかがでしたか
シーズンが始まる前から気にしてはいましたが、やはり終盤になると球威が落ちてしまうのかなと。まだまだそこが課題ですね。
――今季は直球だけでなく、変化球や投球術を駆使して打者と対戦している印象ですが
オフシーズンに、ストレート以外でストライクが取れるボールを何かつくろうと思っていて、キャンプから様々な変化球を試しながらやってきました。リーグ戦でマウンドに上がった際にカットボールであったりカーブであったりと、ストレート以外のボールでストライクが取れたことで、より投球の幅が広がったと思います。
――投球の幅が広がったことにより持ち前の直球がさらに生きてきたと思いますが、そのあたりの投球術について吉見健太郎捕手（教３＝東京・早実）と話していることはありますか
吉見や、また捕手出身の髙橋監督（広、昭５２教卒＝愛媛・西条）には、「インコースを狙っていけ」と言われていますね。（打者の）右左は関係なく、とにかく打者の近くに投げることを意識してやっています。
「先発投手として、長いイニングを」
――ここまで６試合に登板されていますが、印象に残っている試合は
――東大戦に続き、内容的には非常に良いものだったと思います
長いイニングを投げられましたし、東大戦だけで終わらずこの試合でも先発として試合をつくることはできたので良い印象ですね。
――法大３回戦では中継ぎでの登板もありました
３回戦ということで、総力戦でいくということはミーティングで言われていたので、準備はしっかりとできていました。
――続く明大戦では１回戦での先発となりました
１戦目に指名していただけるということは、周りから見て自分が一番調子が良いと判断されたのだと思うので、１戦目に恥じないようなピッチングをしようと心掛けていました。
――その試合では、柳裕也主将（４年）との投げ合いとなりました
やはり同世代だと頭一つ抜けている投手だと思うので、そんな投手と投げ合えることができたことは良い経験になったと思います。
――この試合も投手戦で終盤まで続きましたね
１戦目ということで、長いイニングを最少失点で切り抜けることを意識していました。結果、投球内容自体は良かったですし、明大に対してこの投球ができたのはすごく自信になりました。
「９回まで投げ切りたい」
――慶大以外との対戦を終えました。多くの打者と対戦されたと思いますが
今季は３本も本塁打を浴びているのですが、その中でも金子凌也（法大４年）が印象に残っています。
――金子選手ですか
そうですね。今まで左打者からレフト方向に本塁打を浴びたことがなかなかなかったので、打たれた瞬間に危ないかなとも思いましたがスタンドに入った時は本当にびっくりしました。
――明大１回戦までは最優秀防御率のタイトルも狙えるほどに好投が続いており、先発投手としては申し分のない結果を残していたと思います
走者を背負っても点を取られないように、取られたとしても少ない点数でとどめるようにとずっと考えています。誰だって打たれることはあると思いますが、先発投手としてその打たれることができるだけ少なくなるようにと心掛けていました。
――早慶戦では第一先発も予想されます
自分のやるべきことは長いイニングを投げて試合をつくることだと思うので、そこだけに集中していけたらいいなと思います。
――早慶共に優勝の可能性はなくなってしまいましたが、その中でどのようなことにモチベーションを持って臨まれますか
優勝はなくなってしまいましたが、早慶戦は中学生の頃から憧れていた舞台ですし、早慶戦で投げるとなると２年の秋以来となるので、伝統のある一戦で投げられる喜びを感じています。
――特に気を付けている選手はいますか
沓掛（祥和、４年）ですね。安部球場（安部磯雄記念野球場）で行われた全早慶戦でも打たれていますし、苦手としている打者なので、意識はしています。
――慶大は柳町達選手（１年）をはじめ、今季から試合に出ている選手も多く、初対戦の打者も多いと思いますが
まあ相手も自分と対戦するのは初めてですし、何かに恐れているということは全くないです。他大との対戦のデータを見て、どんな打者なのかということは研究して対戦に備えようと思います。
――最後に、早慶戦ではどんな投球を見せたいですか
まだ完投、完封をしたことがないので、なんとか最後の９回まで投げ切りたいと思います。完投するにしてもチームが勝って、頼れる投手陣が控えてはいますが、なんとか最後までマウンドを守りたいなと思っています。
――ありがとうございました！
（取材・編集 菖蒲貴司）
『意地』の投球で完封・完投を目指す
◆竹内諒（たけうち・りょう）
１９９４（平６）年７月２日生まれ。１８０センチ、８４キロ。三重・松阪高出身。スポーツ科学部４年。投手。左投左打。立大２回戦では、８回１失点被安打２の好投も負け投手に。実はこれが大学生活で初めての敗北となりました。しかし、裏を返せば他大のエースと当たっているから負けてしまったということ。今季は明大の柳投手を始め、多くのエースたちとたくさん投げ合いました。来季は他大のエースたちを倒し、チームを優勝に導いてください！