【連載】春季リーグ戦開幕特集『新章開幕』 第4回 吉見健太郎

野球

 昨年、『守り勝つ』野球を体言してきた早大。ことしこそ投手力を武器に狙うのは悲願の四冠達成だ。その守備の要として活躍が期待される吉見健太郎(教3=東京・早実)。捕手に転向して日が浅いながらも、着実に成長を遂げている注目株にいまの思いをうかがった。

※この取材は3月30日に行われたものです。

「頼られる捕手になりたい」

――寒暖差の激しい時期ですが、体調はいかがですか

 今週に入ってから暖かいのですごくやりやすいです。それまでは少し寒かったので、少し打撃の方も振れてないことがあったのですが、だんだんとやりやすい環境になってきたなという感じです。

――早大入学後から振り返ってみて

 自分はもともと捕手ではなかったので、いまこうしてやっていることが想像できなかったかなという感じです。ここまで順調にいき過ぎているというか、コンバートして捕手の経験も短い中で、ここまで来られたというのは運が良かったのかなと思います。自分の代にも捕手はいるのですが、一つ上も捕手が少ないので。そういう巡り合わせで、声を掛けてくださった学生コーチ、先輩に感謝しなくてはいけないなと思います。

――捕手に転向したきっかけを教えてください

 1年の時に先輩に呼ばれて「捕手をやってみれば」と言われたのがきっかけです。自分もそれまでに考えていたことで、新人戦でも捕手がいなくて、とりあえず試合に自分は出たかったので、捕手もありかなと。そのタイミングで先輩が当時学生コーチだった直原さん(大典、平27人卒)に言ってくださって、次の日の新人練習から捕手としてという感じです。

――リードの仕方も初めから学ばなければいけないという感じですか

 初めは直感で考えていました。自分が打者だったらどうするかとか。自分か打者だったら嫌だなとかそれしかなかったです。

――配球などは経験で積むものですか

 経験だと思います。経験を積んでレパートリーを増やしていく感覚です。だいたいパターンができてきて、それを応用していくみたいな。あとは(相手を)見ていまのリードいいなと思ったら自分もやってみる。試合に出てつかむものだと思います。

――目標としている選手、選手像はありますか

 頼りになる捕手にとは常に思っています。近くで見ていたのが道端さん(俊輔、平28スポ卒=現明治安田生命)、土屋さん(遼太、平27教卒=現JFE東日本)だったので、この二人はすごく堂々としていて、投手もついていきたくなる、背中で語るような人なので目標にしています。自分はまだ捕手としての経験が浅いので、常に不安と言うか、自信を持ってプレーできていない部分があります。そういうところはやはり投手にも分かってしまうし、態度も伝わってしまうので自信を持ってプレーできる、頼られる捕手になりたいです。

――道端選手から何か言葉を掛けられることなどは

 道端さんはすごく優しくてこまめに連絡をくれて、「どうなんや」とか「ええらしいやん」みたいな感じでとても気に掛けていただいています。自分も分からないことや、「この投手にはどうしたらいいですかね」みたいなことを聞くと教えてくれるので、いまでも頼りにしています。

――『道端ノート』のようなものを作るなどは

 自分も書くようにはしていて、言われたこと、試合であったことを書いたり、投手の特徴を書いたりしています。

――髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)も捕手出身ですが、何かアドバイスはされましたか

 常に、毎回指摘されています。何か一つのプレーだったり、ノックだったり、試合中だったりに呼び出されて、指導していただくというかたちです。

『ベストナインを狙いたい』

捕手として試合中も常に投手との対話を忘れない

――新体制を迎える中で意識の変化はありましたか

 投手は全然代わっていないのですが、バッテリーとして見た時に変わっているのがやはり捕手で、昨シーズン道端さんで結果を残しているといことで、代わった分、ここで負けたら捕手の責任という部分は大きいと思うので、やりづらいと言うか、しっかりやらなきゃというふうに思いますね。

――ことしのチームがきょねんと異なる部分はどこだとお考えですか

 打力ですかね。さっきも言ったように投手は代わらないので、ここは捕手次第だと思っています。きょねんと違ってやはり得点力は落ちるのかなと思っています。

――吉見選手自身、オープン戦では2番打者を務めたりもしました

 2番というと、結構小技などもあると思うのですが、そこはあまり得意ではないので、2番というのはあまり気にしていないです。別に打ちやすい打ちにくいとこは特にないです。

――投手陣を客観的に見ていかがですか

 みんなそれぞれ個人でやって考えているので、個性豊かですし、そこは相手を理解しながら、主軸としてやっている投手にはあまりこちらから言う必要はないと考えています。常にブルペンでも、配球のことだったり、フォームのことだったりを全員しっかり考えながら調整しているので、すごいなと思いますし、その分しっかり結果を出しているなと思います。

――上級生投手をリードする際に考えることはありますか

 特にないです。とてもやりやすい環境つくっていただいていると言いますか、常にブルペンとかでも「ここはこうした方がいい」とか自分の意見をすごく聴いてくれるので言いやすい環境ですし、上級生からも「ここはこうしたい」と言ってもらえるので、上級生だからと意識したことはあまりないですね。

――チームの雰囲気はいかがですか

 いいですね。はい。

――新1年生も入り、加藤雅樹選手(社1=東京・早実)とは高校が一緒ですが、何かお話はされましたか

 あまりまだしてないですね。ないですけど脅威というか。やはり打撃も良くて、肩も強くていい選手なので、後輩ということもありますが負けたくないという気持ちがあります。なので、いい存在だなと感じます。

――加藤選手に負けていないと感じる部分はどこですか

 本当にいい選手なので。捕手として全体的にまだ勝っているのかなと。加藤も高校入って2年か3年くらいから(捕手を)やっていると思うんですけど、自分も経験が浅いながらも、大学でやっていることはレベルも高いですし、社会人選手を見て吸収できることも多いので、その分、自分の方がまだ安定性があるのかなとは思います。

――ご自身の見てもらいたいところは

 監督さんは守れる選手を最初に使うということで、打撃は後からついてくるくらいの感じで、とにかく守備を安定させたいです。簡単に走られているようでは駄目ですし、投手が思い切ってワンバウンドを投げられるような捕手として頼りになりたいです。

――課題としている部分は

 まだ、たまにミスが出てしまい、むらがあるのでそこをなくしていきたいと考えています。

――他大で意識する選手はいらっしゃいますか

 立大の髙田(涼太、3年)です。新人戦でもよくやっていたので、負けたくないです。この間会った時は、セカンドスローも速くて、明らかに自分の方が負けていたので、そういう面で負けたくないなと思います。

――今季の意気込みをお願いします

 とりあえず投手を引っ張って、「点を取られなければ負けはない」と、道端さんからも言われていますが、捕手が大事になってくると思います。日本一になるためには、リーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)で優勝することは必須なので一戦必勝を目標にやって、法大以外どこも捕手は代わっているのですが、結果的にベストナインを狙えたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 八木美織)

吉見選手の『鉄壁』が早大勝利のカギを握る

◆吉見健太郎(よしみ・けんたろう)

1995年(平7)6月12日生まれ。身長175センチ、体重75キロ。東京・早実高出身。教育学部3年。捕手。右投右打。悩んだ末に書いた『鉄壁』の二文字。投手陣との連携にも注目です!