【連載】春季リーグ戦開幕特集『新章開幕』 第2回 北濱竣介

野球

 昨季3戦3勝という好成績を残し、一躍時の人となった北濱竣介(人3=石川・金沢桜丘)。ことしは、昨年達成できなかった四冠を手にするためにも、この男のさらなる躍進が期待される。今回は、昨季の好投の裏側、勝負の3年目に向けた意気込みを聞いた。

※この取材は4月2日に行われたものです。

自分らしい野球を

――本日の練習はいかがでしたか

 きょうは試合(のメンバー)には入っていなかったので、試合前は、普通にみんなと同じメニューをこなして、午後はウエイト(トレーニング)と遠投をして時間をつぶしていたという感じです。

――昨季を振り返って、まずは3戦3勝という結果についてはいかがですか

 本当に運が良かったなというのが第一印象です。自分が代打で出された後に逆転してくれたりしていたので、本当に運が良かったとしか言いようがないです。

――緊張などもありましたか

 初めて投げた東大の時には同点だったので緊張していたんですけど、吉野さん(和也、社4=新潟・日本文理)から「同点でも負けていても勝っていても、やることは一緒だから」ということを言われたので、それで少し楽になったかなと思います。

――中継ぎとしての評価は

 普通だと思います。良くもなく悪くもなく。

――これからも中継ぎでの登板がメインなのでしょうか

 できれば先発なり抑えなりもっと勝ちに関わるようなところをしたいなとは思いますけど、いまは投手がけっこう豊富なので、自分の与えられた仕事を全うしてやりたいなと思います。

――昨季を通して、ご自身の投球に何か変化はありましたか

 道端さん(俊輔、平28スポ卒=現明治安田生命)からは「アバウトでいいから」と言われて、特にコースを厳しく狙うわけではなく打たせて取るという感じでうまくいったかなと。ほとんどリードは道端さんに任せていたので、自分は何も考えることなく道端さんのやった通りに従っていただけですね。

――成長した点・見つかった課題などはありましたか

 初めて投げた1年生の秋は、かなり先頭打者で四球を出しがちだったのですが、きょねんの秋はしっかり抑えられて、四球では(打者を)出さなかったと思うので、そこが成長したかなと思います。

――それも道端選手のリードのおかげですか

 そうですね、はい。

――ひと段落して、冬休み中は帰省などしたのでしょうか

 冬休みは帰省しました。

――どのように過ごされたのですか

 普段会っていない友達とかと遊んだり。それくらいですかね(笑)。

――帰省中も練習はしていたのですか

 そうですね。オフ明けからは30周(のランニング)があるということは聞いていたので、それに向けてといいますか、走ることはやっていました。

――オフシーズンで重点的に取り組んだ練習などは

 真っすぐにあまり自信がなくてスライダーが多くなってしまっていたのですが、真っすぐの自信をつけるためにも、それを少し磨こうかなと思ってやってみました。

――具体的にはどのような練習を

 ブルペンで強い球を投げるということを意識したり球数を多くしたりして、強い球を数多く投げられるように練習していました。

――沖縄キャンプはいかがでしたか

 ほとんど雨だったので試合もけっこう流れてしまいましたが、ケガもなくやってこられたので充実したキャンプだったかなと思います。

――何か得られたものなどは

 日立(製作所)だったりトヨタ(自動車)だったりの強豪と言われるような社会人チームとやらせていただいて、それで抑えることができたのでそれは自信になったかなと思います。

――沖縄ならではの練習などはあったのでしょうか

 いまはグラウンドのポール間を走るなどの練習が多いですが、沖縄では隣に陸上競技場があったので、そこで走ることが多かったですね。あと長い階段もあったので、普段こっち(東京)ではできないような走り込みができたかなと思います。

――何か楽しい時間も過ごされたりしましたか

 オフが1日あったので、2年生の投手と八木(健太郎、スポ3=東京・早実)、長谷川寛(社3=宮城・仙台育英)と一緒に美ら海水族館であったりとかいろいろな観光名所を回ったりして遊びました。

――ここまでオープン戦を戦ってきて、調子はいかがでしょうか

 春先というのもあるとは思うのですが、最初の方は相手打者も(バットを)振れていませんでしたが、後半になるにつれ相手打者も振れてくるのでそこでけっこう打たれてしまうということが出てきたかなと思います。

――投球の際に意識していたことなどは

 やはり高めに浮いてしまうと打たれてしまうので、低め意識で投げていました。

――実際どうですか

 低めにいっていて打たれる時もあれば、高めに浮いていても打たれないときというのもあるので。やはり難しいなと思います。

――バッテリーを組んでいる吉見健太郎選手(教3=東京・早実)との相性はいかがでしょうか

 きょねんの新人戦でも夏のオープン戦でもけっこう吉見と組むことが多かったので、何となくというか、考えていることがだんだん分かるようになってきたかなと思います。

――コミュニケーションも取られているのでしょうか

 そうですね。

――プライベートでも仲良くされたりなどは

 いや、特には(笑)。

――冬の練習を経て成長したなと思うことは

 スピードは変わってないと思うんですけど、真っすぐの威力は前より増したかなと思います。

――オープン戦で、新たに試していることなどはありますか

 きょねんは道端さんに頼りきりで、何も考えずに道端さんの言った通りに従ってやっていたんですけど、捕手が代わったこともあって、自分でも少しは考えないといけないかなと思って頭の中でちゃんと考えています。どういうボールを吉見は要求しているのか、このボールにはどういう意図があるのかということをきちんと理解するのと、自分が考えていることが一致するようにやっています。

――考えて投げることで変わってくる部分もありますか

 そうですね。けっこう疲れるというか、そういうのはありますね(笑)。でも、また違った野球の楽しみ方ができているのかなと思います。

――投手陣は昨年の3冠メンバーがほぼそのまま残っていますが

 他大学に比べたらそこは強みだと思います。でも(選手が)残っているからと言って結果が出るとも限らないので、しっかり気を引き締めてやらないと。(選手が)残っている大学もあれば抜けてしまっている大学もありますが、他大学も強いので(自分たちが)やるべきことは変わらないと思います。

――し烈な競争もあるかと思いますが

 そうだと思います。本当に良い投手ばかりで、自分はきょねんの秋にたまたま3勝できたというだけなので、本当に大変だと思います。

――その中で、ご自身の投球をアピールできていますか

 できている時もあれば、四球などを出してテンポを悪くしてしまっている時もあるのですが、テンポ良く投げるというのが自分の持ち味だと思うので、それに関してはリーグ戦(東京六大学春季リーグ戦)までにしっかり調整してやっていきたいと思います。

――早大投手陣の中で、ご自身がアピールできる投球の魅力は

 小島(和哉、スポ2=埼玉・浦和学院)のような真っすぐを投げられるわけでもないですし、大竹(耕太郎、スポ3=熊本・済々黌)みたいにコントロールがいいわけでもないので、テンポ良くどんどん打たせて取るというのが自分の持ち味かなと思います。

「勝ちに貢献する」

ことしは年間を通しての活躍を誓う

――石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)がけん引する新体制となりましたが雰囲気はいかがですか

 別に悪くはないと思います。

――昨年と違う点などは

 昨年の河原右京さん(平28スポ卒=現トヨタ自動車)は、けっこう楽しい人というか面白い人だったのですが、石井さんはその前の中村奨吾さん(平27スポ卒=現千葉ロッテマリーンズ)にタイプが似ていてクールな感じですね。

――髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)や石井主将とはコミュニケーションを取られていますか

 そうですね。話す機会はあまりないですけど、試合中にけっこう声を掛けてもらったりするので、試合中はコミュニケーションを取れているかなと思います。

――やはり声掛けしていただけると自身のプレーも変わりますか

 気持ちが楽になるというか、一人でやっているのではないという感じが出るので、主将が言ってくれると楽にはなると思います。

――新1年生も練習に参加してきていますが雰囲気は

 1年生が入ってきたのが1、2週間前なので、まだそんなに(笑)。

――1年生とお話されたりは

 自分はまだそんなに話してないです。

――春季リーグ戦に向けて、ことしはどのような役割を担っていきたいとお考えですか

 一応1年生の時からベンチ入りしているので、そういう経験を生かしてチームを引っ張っていけるような選手になれればいいのですが、きょねんみたいに負けている試合でリズム良く投げて逆転を呼ぶということも大事だと思いますね。それから、やはり勝っている試合で投げて勝ちに貢献するということもやりたいかなと思います。

――3年生という上級生の立場からはいかがですか

 来年になれば自分たちの代になるので、その準備期間というか、そういう面でもしっかり引っ張っていけるような感じにしたいと思います。

――今後注目してほしいところなどあれば教えてください

 もちろん投球もですけど、きょねん1本打ったので打撃も見てもらえればいいかなと思います(笑)。

――バッティングの練習もしているのですか

 たまに(笑)。

――ことし1年間の目標を教えてください

 きょねんできなかった四冠というものですね。(昨年の)春はリーグ戦優勝、全日本(大学選手権)優勝をしたというのに一つも試合に出ていないので貢献できていないと思うので、春はもちろんですが、四冠すべてに貢献できるようにやっていけたらなと思います。

――最後に、リーグ戦に向けての意気込みをお願いします。

 四冠に向けてまずはリーグ戦で優勝しないといけないので、しっかり優勝して、小さな目標を積み上げて四冠という大きな目標につなげていけたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 深瀬真由)

『謙虚かつ大胆に』北濱選手勝負の3年目に注目だ

◆北濱竣介(きたはま・しゅんすけ)

1995年(平7)4月20日生まれ。身長175センチ、体重74キロ。石川・金沢桜丘高出身。人間科学部3年。投手。右投右打。色紙を書く際に何を書こうか悩んでいた北濱選手でしたが、しばらくして書いた言葉は『謙虚かつ大胆に』。1年時と同じであることを伝えると、験担ぎの意味もあるのだと力強く答えてくれました。昨年を超える四冠に向けて、意気込みは十分ですね!