【連載】平成27年度卒業記念特集『覇者たちの球譜』 番外編 7選手に聞きました「早大野球部強さの秘密とは?」

野球

 昨年、歴史に残る強さを発揮した早大野球部。本特集では、取材を行った全選手にそれぞれが考える『早大野球部の強さの要因』をお伺いした。大学四年間の経緯、ポジションなどそれぞれ全く異なる選手たち。その目線から見える『強さの秘密』をとは―――。

重信慎之介(教=東京・早実)

 4年生は下級生の時からよく練習をする学年で、(誰かが)言わなくても練習しましたし、個々が勝手に自分に必要なことを考えて補える学年だったので、放っておけば自分たちでやるくらいの方針でやっていました。何か変な方向に行っている時は、右京(河原主将、スポ=大阪桐蔭)が真面目に一発言って。あとは、みんながみんなを一人の選手として認めていました。同じチームでありながら、負けたくないという気持ちがありました。春はみんな調子が良かったので、チーム内で争っていましたね。認め合いながらもライバルとして争っていた。切磋琢磨(せっさたくま)できたのは大きかったです。

河原右京(スポ=大阪桐蔭)

 それはもう、4年生のメンバー外の選手たちの力だとすごく思っていて。メンバー外の4年生が本当に頑張ってくれました。そこですかね。毎年4年生を見ていたら、やっぱりメンバーとメンバー外の差がついて、メンバー外の人たちは全然頑張っていないような印象が見えていました。そのことを自分はメンバー外の4年生に話して。そうしたらみんなすごく分かってくれて、練習の中でも声を出して盛り上げてくれたり、ボールボーイをしてくれたり、ピッチャーだったらバッティングピッチャーを4年生がやってくれたり。すごく練習手伝ってくれて盛り上げてくれて。すごく感謝しています。

茂木栄五郎(文構=神奈川・桐蔭学園)

 前年にあと一歩のところで(東京六大学リーグ戦を)優勝できなかった経験をした中で、右京(河原主将、スポ=大阪桐蔭)も言っていたのですが、「ことしのワセダは弱い、下馬評では4位、5位が妥当」と言われて始まった代でした。ずっと弱いと言われてきていたので、それを見返したいという気持ちと、昨年の春秋早慶戦で優勝を逃した経験をしたことで、あと一歩で優勝できないのは嫌だと思っていたので、一戦一戦しっかり戦うぞという気持ちで取り組んでいました。その気持ちを持ち続けて戦えたことがこの優勝につながったのではと思いますし、秋に関しては明大戦で連敗をして優勝がほぼなくなった状態でも諦めずに前を見据えて目の前に集中できたことがこのチームの強さかと。真面目な人が多いので、優勝がたとえなくなったとしても目の前の試合に集中することを考えられていたということは偉大だなと思います。

丸子達也(スポ=広島・広陵)

 口うるさく言っていたところですかね。1年生の頃から「俺たちの代は絶対にグランドスラムするぞ」って言っていました。やはり口に出していかないと夢はかなわないと思うので。ずっと言ってきたから、あと一歩でしたが惜しいところまでいけたのだと思います。みんなが同じ方向を向いていこうと話していました。やはり1人だけが向いていても周りがついてこなければ意味がないので、みんなで言っていたことが良かったのだと思います。

道端俊輔(スポ=智弁和歌山)

 自分自身の意見を持っている選手が多くて、放っておいても自分で練習していました。それに加えて負けず嫌いな選手が多いので、同期内で競争ができたことも大きいですね。例えば、茂木(栄五郎、文構=神奈川・桐蔭学園)が打った試合は丸子(達也、スポ=広島・広陵)が絶対打ったり、同期同士で首位打者争いをしたりしていました。自分たちの代が良かった点として、4年間競争ができたことだと思います。あいつには負けたくないみたいな感じですね。だから、ポール間7往復走でも負けたくない選手には絶対負けないとか。そういう雰囲気が練習の中で出ていたのは良かったです。そういうことが強かった要因かなと思います。もう一点言うなら、髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)が来て、(良い意味で)非科学的な練習をするようになりました。監督さんは、野球はメンタル(に左右されるスポーツ)だから、追い込まれた時に本当の力が出るという考え方だったので。なので、走り込みも本数は変わっていませんが、本当にしんどいメニューが増えたりして。あと、練習量は自分たちの代の時が一番少なかったです。全日練習することはなくて、全部午前練習でした。時間を短くして内容を濃くするというか。監督さんが基本的に意見を聞いてくださる人だったので、選手発信で練習メニューを組んでいました。そして、何かあったら監督さんが意見してくださって。それが良かったのかなと思います。やらされているというより自ら行動していったことが一番良かったですね。

川原孝太(文構=静岡・掛川西)

 基本的に自分で考えてやるということがこの学年の色でした。全体練習以外に自分の足りないところをそれぞれが取り組んでいましたし、チームに必要とされている部分をそれぞれが理解できていたということが3冠につながったのだと思います。

吉永健太朗(スポ=東京・日大三)

 打撃に関しては、終盤で粘り強く点を取るというのと、投手では自分たちの分まで下級生が本当に頑張ってくれたので。小島(和哉、スポ1=埼玉・浦和学院)、大竹(耕太郎、スポ2=熊本・済々黌)、吉野(和也、社3=新潟・日本文理)、他にもいますが、みんながしっかり投げてくれて勝っていたと思います。自分たちの学年は平凡な感じですね(笑)。全体的に仲がいい雰囲気があって、それも良かったと思います。