チーム作りの最終盤―沖縄キャンプ― 

野球

※この取材は3月4日に行われたものです。

 早大は3月1日から沖縄キャンプを行っている。帯同したメンバーはスタッフ陣を含めて40名超。かなりの大所帯だ。スタメンの野手6人が入れ替わるチーム状況の中、まずは選手たちを様々なポジションで試すことに重点を置いている。実戦と練習を繰り返す中で、最も守りの固い理想の布陣を築き上げることがこのキャンプ最大の狙いだ。ことしのチームの目標は、「負けない野球」(髙橋広監督、昭52教卒=愛媛・西条)。昨年成し遂げた三冠を超えるため、選手たちは日々激しい競争を繰り広げている。

 守備に重点を置く髙橋野球の根幹を担うのは投手陣。昨年からの経験者が多くチームに残っており、髙橋監督も「何ら心配はしていない」とその安定感に自信をのぞかせる。沖縄ではことしの投手陣を率いる吉野和也(社4=新潟・日本文理)を中心に、ランニングや投げ込みと精力的に練習を実施。この日は2キロの距離を7分台で走るメニューをこなすなど、体力づくりにも余念がない。また、ブルペンでは今季復活を目指す竹内諒(スポ4=三重・松阪)が重心移動を意識しながら投球練習を行い、長所である力強い直球を披露した。

ブルペンで投げ込む竹内

 一方、野手陣は班に分かれてフリー打撃やノックなど、実戦を意識した練習が中心。特にノックは数を多くこなし、接戦をものにするチーム作りを目指している。また、ことしの沖縄キャンプには加藤雅樹(社1=東京・早実)が新1年生唯一のメンバー入り。昨年夏の甲子園を沸かせた長距離砲は木製バットでも健在だ。フリー打撃では両翼98メートルの球場で柵越えを披露し、大学野球の第一線で活躍する先輩たちに劣らない打球は将来の活躍を期待させる。「打撃に関しては(出場の)可能性は高い」と、髙橋監督も目を細めた。他にも、石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)が重さの違うバットを交互に使ってインパクト時の力を伝える練習を一人繰り返すなど、各選手打撃にも力を入れている。

チーム内でも人一倍バットを振り続けた石井

 今後3月18日まで行われる予定の沖縄キャンプ。昨年よりも1週間長い日程を組み、チームの体制を作り上げる。東京六大学春季リーグ戦開幕まで残り約1カ月。メンバーが大きく入れ替わる中で、その力はいまだ未知数な部分が大きい。目標とする『負けない野球』を実現するため、いまが早大の正念場だ。

(記事 杉田陵也、写真 田原遼・加藤佑紀乃)

※リーグ戦開幕前の記事は都合により試合当日に公開することができないことがございます。読者の皆様には大変申し訳ございませんが、何卒ご了承頂きたく存じます。リーグ戦は従来通り、即日公開致します。

※記事中の学年は新年度のものです。

コメント ※インタビューはいずれも3月5日に行われたものです

石井一成主将(スポ4=栃木・作新学院)

――沖縄キャンプではこれまでどのような練習をされていますか

メニューとしてはノックをして、シート打撃をする流れです。東伏見よりは数を多くやっていて、特にノックは本数を増やしてやっています。

――打撃と守備、どちらを重点的にこなしていますか

特にどちらかということはありませんが、自分やチームの状態を見ながら、悪いところは指摘し合いながらやっています。

――ご自身が気付いたこと、または指摘されたことで見つかった課題はありますか

やはり勝負強さが一番のカギになってくると思うので、基礎基本をしっかりと取れるアウトを取っていきたいと思っています。打撃の方では、甘い球を一球で仕留められるような確実性を上げていければ思います。

――ことしは打線のメンバーが大幅に変わるため1点を確実に取ることの重要性が増すと思いますが、4番打者として勝負強さに関してどのようにお考えですか

好機は少ないと思うので、打たなければいけない場面が多々出てくると思っています。そこで打って当たり前のような4番になっていければいいなと思います。

――個人として数字の目標はありますか

数字よりも、チームに貢献できればそれでいいですね。

――ことしのチームはどのような戦い方を考えていますか

接戦をものにしていかなければいけないと思うので、守りからリズムを作って攻撃につなげられればいいなと思います。

――昨日の練習では重いバットと軽いバットを交互に使って打撃練習をされていましたが、その練習方法はいつから始めましたか

それは前から気分でやっていました。きのうは少し(バットを)振れていないなと思ったので、重いバットも使ってみました。

――その練習で意識する点はありますか

インパクトで力を伝える瞬発力が必要になってくると思うので、(バットの)重さを変えながら力をつけられたらいいなと思ってやっていました。

――主将として冬を越えてきましたが、主将という立場には慣れてきましたか

慣れてはないですが、難しいなと思っていますね。

――チーム作りの上で気を付けていることはありますか

やはり目標を見失わないといけないので、みんなが同じ方向を向いてもらわないとチームはうまくいかないと思います。まずは自分と中澤(彰太副将、スポ4=静岡)と(投手陣を率いている)吉野(和也、社4=新潟・日本文理)から厳しくしていこうということで、チームがだらけていたら締めて、上げるところは上げていきたいです。

――チームのムード作りという面では、昨日の練習においては江間拳人選手(教4=東京・早実)がかなりその役割を買っているように見受けられました

そうですね、結構いじられ役というか盛り上げ役なので。江間だけではなく、4年生はそういう人が多いですね。多すぎるくらいいます(笑)。なので、練習はふざけ過ぎないようにやっています。

――冬はかなりウエイトトレーニングをやられていたと思いますが、いまはどの程度続けていますか

いまも少しやっています。

――体重は増えましたか

2、3キロは増えました。いまはだいたい80キロくらいです。

――打球の飛距離は伸びましたか

そうですね、少しずつ伸びてきたなと感じています。

――最後に沖縄キャンプでの目標を教えてください

お金を掛けて、メンバーを絞って来ているので、充実したキャンプにしていきたいです。実戦も多いので、チームの戦い方や試合の流れをつかんでやっていけるように頑張りたいです。

中澤彰太副将(スポ4=静岡)

――シーズンが終わってからどのような練習をしていますか

リーグ戦を経験しているのが僕と一成(石井主将、スポ4=栃木・作新学院)だけなので、個人個人がレベルアップできるように練習しています。

――中澤選手はこのキャンプでどのようなことを中心に練習されていますか

自分は打撃を重視してやっています。

――ご自身の仕上がりはいかがですか

良いと思います。

――昨年の明治神宮大会でケガはいかがですか

ケガは治ったので大丈夫です。

――副将の立場から見て、このキャンプのチームの雰囲気はいかがですか

個人が意識を高く持ってやっているので、とても良いキャンプになっていると思います。

――きょうは試合が中止になってしまいました

試合は中止になってしまいましたが、またあしたの試合に向けて、晴れるか分かりませんが、みんな準備していきたいと思います。

――打順は3番になりましたが、打撃面で意識していることは

塁に出ることで得点につながると思うので、塁に出ることを意識してやっていきたいです。

――守備では両翼の選手が変わりました

両翼が変わって連携をとるのが初めての選手なので、コミュニケーションをたくさんとっていきたいです。

――背番号も『1』に変わりましたが

歴代を見てもすごい選手がつけている番号なので、その選手たちに負けないように自分も頑張っていきたいと思います。

――今季の目標は

昨年は目前で四冠を達成できなかった悔しさがあります。その悔しさを糧にチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。