いざ四冠へ!2016年初練習!

野球

 冬のオフを経て、グラウンドに活気が戻ってきた。新年初練習のこの日、午前中に、選手たちが新年のあいさつと必勝祈願の参拝をしに西東京市内の神社へ。そして午後の練習では、ランニングメニューがこなされた。勝利を積み重ね、ことしこそ目標の四冠を達成するために、早大野球部が早くも始動した。

 空気が冷たい寒空の下、石井一成主将(スポ3=栃木・作新学院)率いる早大野球部の選手たちは大きな声をグラウンド中に響かせる。全員で大きな輪を成し、腹筋運動や体幹トレーニングが行われる中心で選手たちを指導するのは学生トレーナーの筒井俊春(スポ3=神奈川・藤嶺藤沢)。一人一人の選手をチェックし、足りない部分をアドバイスしていく、選手たちにとっては欠かせない存在だ。アップが終わると、4チームに分かれてグラウンド30周のランニング。ここでオフ明けとは思えないスタミナを見せたのが、投手陣。チームの先頭を常にキープし走り続けた吉野和也(社3=新潟・日本文理)と森井龍太朗(教3=東京・早実)、さらに黄本創星(スポ3=千葉・木更津総合)が最高学年として選手たちを引っ張る走りを見せた。キャッチボールや打撃練習など、実践的な内容はなかったものの、選手たちは入念なストレッチをし、グランドスラムを目標に戦う日々に備え、練習初日を終えた。

トレーニングの指導をする筒井学生トレーナー

 「勝ち続けることは難しいと思った」(石井)ときょねんはあと一歩のところで四冠に手が届かなかった。ことしは髙橋広監督(昭52年教卒=愛媛・西条)が「二人の経験者以外はまったく未知数」と述べるように、手探りの状態でのスタートである。未知数の可能性をどこまで伸ばせるか。早大野球部、チャレンジの一年が始まった。

年明けから厳しい練習に励む選手たち

(記事 中村朋子、写真 難波亮誠)

コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条) ※囲み取材から一部抜粋

――年末年始は地元でも祝福されましたか

あまり帰ってなかったので。

――監督になられて2度目の冬ですが、昨年とは違ったお気持ちでしょうか

昨年は初めてでしたので全てが不安でしたね。ことしはそれ(不安)がないですから。チームとしてはほとんど(スタメンが)入れ代わりますので、きょねんは柱のある人が残っていましたから。その点、ことしは野手でいうと残っているのが2人ですからね。投手を抜いたら6ポジション入れ代わりますし、ことしの方が大変かなと実感して正月を迎えました。

――きょうの選手の動きを見ていていかがでしょうか

休みは授業が終わって2週間近くありまして、リフレッシュはできているかと思います。その間もしっかり体を動かしておけとは言ってありましたので。状態も安定していて、膨らんでいる選手もいませんでした。歩いてひとりひとり見ていましたけど、休み前と雰囲気、状態は変わらないなという感じです。

――30周のランニングはあらかじめ選手たちに伝えていたのですか

年末の解散前に。でないともっと膨らんでいますよ(笑)。その点、きょねんグラウンドに立った時には脂肪巻いているのが多いなと感じましたけどね。1回膨らむと落とすのに時間かかりますし。今回は少し意識づけがあったと思います。300メートル×30周で45分を切るだろう目安に考えていました。ただ実際300メートル以上あったので、50分にしようかと言いましたが、ほとんどは45分切れていましたね。

――監督が30周というメニューを決めたのですか

きょねん、トレーナーとそういう話をしました。練習の間に入れるのか、その日はそれ(30周のランニング)だけで終わるのか。いきなりではなく2週間あったので選手たちも食事などは気を付けて、動いたりしていましたね。

――来季の捕手はどのように考えていらっしゃいますか

きょうも故障して外野で歩いていましたが吉見(健太郎、教2=東京・早実)ですね。12月に股関節の強化と柔軟を兼ねて相撲部に(指導を)お願いしまして、練習を見てもらっていたんですね。一生懸命やった結果での故障ということで。中澤(彰太副将、スポ3=静岡)は明治神宮大会でケガしていましたが、きょうはジョグもしっかりできていてベストに近い状態でした。それでも、(ケガをしてから)1カ月半ですからね。

――力のある新人も入ってくると思いますが

もちろんいい感じの子が入ってくるとは思います。ただ、これだけは入ってみないと分からないですね。捕手ですからね。投手や野手なら問題はないのですが。全軍指揮しなければいけないですし、マスクを被って4年生に指示出すことはなかなかできないですよね。高校とは違って大学は4年と1年の関係ですからね、いきなりは難しいですね。秋になれば慣れもありますけど、春は技術があっても心理的に厳しいですね。どのポジションもあくまで上級生に頑張ってもらいたいです。

――石井一成主将(スポ3=栃木・作新学院)も主将の自覚を持ってやっているようですが

もちろんやってもらわないと困りますしね。石井、中澤あたりも経験者ですし故障せずに、全てにおいて引っ張ってもらいたいです。

――投手陣の状態は

大竹(耕太郎、スポ2=熊本・済々黌)も故障気味でしたが、きょう見た感じそんなに悪くはないですね。休ませながらやらないといけないですね。昨秋はつじつまを合わせてくれましたけど。1年間戦える体力はつけて欲しいですね。

――小島和哉選手(スポ1=埼玉・浦和学院)や竹内諒選手(スポ3=三重・松阪)の力もことしのリーグ戦でカギを握ると思いますが

やっぱり竹内でしょうね。大竹、小島はきょねん通りであればある程度計算できるんですけどね。本人も自覚はしているとは思います。ボールなどは問題ありませんし、あとは気持ちの問題です。

――上級生はグランドスラムを狙っていきたいと言っていましたが

なかなかできることではないですから。きょねんはたまたま良いところまでいきましたが、毎年というわけにはいかないですね。簡単なことではないですが、そういう目標を持ってやってくれているのはありがたいですね。私が言ったのはことし日本一を目指すということです。きょねんは、下から言いました。早慶戦に勝って、リーグ戦も勝って日本一になるということ。ただことしは、日本一を目指す。必然的に早慶戦に勝って、リーグ優勝も必要になってきます。ニュアンスが違うということは伝えてあるのですが。ディフェンディングチャンピョンとかは意識する必要もないですし。ただし、きょねんの成績に近いものは残したいとは言いました。

――髙橋監督から日本一を目指すと言えるのは、チームの中で意識が変わってきているということでしょうか

私もきょねん経験していますし、経験値から言えることです。きょねん日本一と言っても自分が分からないことですから。目標は一緒なのですが、少しニュアンスが違うので。私もきょねん勝ったという印象よりも、負けたという印象の方が強いんですね。自分自身は最後負けて悔しいという気持ちが大きいです。ミーティングでも話しましたが、亜大になぜ負けたか。いつも言っているのですが、ステージが1つ上がるといかに1点を守るか、いかに1点を取るかが大事になってくるかという話をします。普段から言っていましたが、1点取るところで取れなくて、1点守るところで守れなかった。結局1点でその試合を落として、1回の優勝を落としたということ。選手も分かっているとは思うのですが、個人に何か言うつもりもないです。亜大との差は1年間の積み重ねの差です。紙一重は積み重ねの差だと思うんですね。100本ノックをやっていても、100本のうちの1本ではない。たえず1分の1で考えろと言っています。この1本が試合の1本だと、その積み重ねが大事な試合の粘りに出てくるとは言いました。きょうの長距離走も一番人間性が分かりますからね。粘り強いなとかは分かります。

――改めてどのような一年にしたいですか

きょねんのようにうまくいくとは思っていないです。チームを整えてリーグ戦で優勝できるようにしたいです。二人の経験者以外は全く未知数ですからね。オープン戦をやってみても、神宮でやってみないとこれだけは分からないですからね。きょねんように春は打っても、秋は別チームという場合もありますから。ことしの状態を見ながら、新入生が入ってからの力の具合も見ながら、あくまで未知数ですので、手探りの状況でやっていくと思います。

石井一成主将(スポ3=栃木・作新学院) ※囲み取材から一部抜粋

――新年を迎えましたが、ことし一年間をどのような年にしていきたいですか

神社へ必勝祈願の後に、監督(髙橋広監督)から一日一日自分のできるベストを積み重ねていこうと言われ、自分もどう1日を過ごすかをテーマにやっていこうと思っていたので、その質を高めていけたらと思っています。

――年末年始は実家でトレーニングをしていましたか

そうですね、ずっとやっていました。(12月)31日は新幹線で東京に来て、トレーニングをして、(1月)1日も実家に戻ってランニングから始めました。

――年末年始は無休でトレーニングをしていたのでしょうか

何かしらはやっていました。

――その点に関しては主将としての意気込みや意識があると思います

やはり(トレーニングを)やっていないと不安なので、バットを握ったり、時間があれば走ったりしていました。

――これからどのような主将になっていきたいですか

理想としてはプレーで引っ張る主将になりたいです。プレーであったり、練習であったり、野球だけではなく私生活も「さすが主将」と言われるような主将になっていきたいです。

――言葉というよりも姿勢で引っ張るということでしょうか

口数は少ない方だと思うので、行動で見せた方が(チームが)付いて来るかなと思います。口ばかりでは付いて来る人もいなくなると思うので、まずは行動で示したいと思います。

――きょうの練習前、髙橋監督からはどのような話がありましたか

チャレンジャーとして、きょねん(明治神宮大会の)決勝戦で負けたということは何か足らなかったということなので、それを見直してやっていこうと言われました。

――石井選手は昨年からレギュラーとして試合に出場した数少ないメンバーですが、昨年一年間の戦いに対してどのような印象を持っていますか

勝ち続けることは難しいと思いましたし、あそこ(明治神宮大会決勝戦)で勝ち切れなかったというのは、目に見えない何かが足らなかったと思うので、それは1日だけで分かるものではなく、やっていくうちに見つかってくるものなので、答えは分かりませんが、やっていく中で見つけていきたいです。

――プロを目指す上でどのような一年間にしていきたいですか

プロというのは目標でもあり、チームの状況を見ながら個人のレベルアップもしたいので、きょねんより2倍、3倍やっていかなければいけないと思いますし、きょねんとは全く違う一年間になると思います。

――来季は4番打者と髙橋監督からも言われていますが、どのようなことを意識していきたいですか

勝負強いことが前提ですが、気負わず自分のバッティングができればいいなと思っています。