福井の地で藤田が決めた!接戦制し慶大を下す

野球
TEAM
全早大
全慶大
(早)吉永、黄本、吉野、○上野-道端
◇(本塁打)河原、丸子(二塁打)中澤、宇髙

 48年ぶりに福井で開催された全早慶戦。OBとして宇高幸治(平23スポ卒=現日本生命)、東條航(平26文構卒=現JR東日本)が早大ベンチに加わったこの戦いを一目見ようと、球場には多くの観客が詰めかけた。試合は3回に河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)、丸子達也(スポ4=広島・広陵)の連続弾で3点のリードを奪うも、直後に先発・吉永健太朗(スポ4=東京・日大三)が打ち込まれ同点に。その後は両校ともに2点ずつを加え、迎えた8回。代打の藤田恭輔(商4=埼玉・早大本庄)が中堅前に適時打を放ち、これが決勝点に。6-5で接戦を制し、福井の地に『紺碧の空』を響かせた。

 この日先発マウンドを任されたのは吉永。立ち上がりから低めに球を集め、2回終了時点で5奪三振と圧巻の投球を披露する。しかし、3回に入ると状況が一変。本塁打を含む4安打を浴び、3失点を許してしまう。続く4回、5回にも1点ずつ失い降板。「全体的に腕を振れて勝負できた」と好感触を示したが、その一方で「2巡目から捉えられてしまった」と反省点も残る登板だった。早大はその後黄本創星(スポ3=千葉・木更津総合)、吉野和也(社3=新潟・日本文理)、上野雄平(教4=東京・早実)の継投で慶大打線をわずか1安打に抑えることに成功。6回以降を無失点で切り抜け、投手陣の盤石さを見せつける。

先発を任された吉永。序盤は好投を披露していただけに、最終調整が待たれる

 稲穂打線が動いたのは3回だった。走者を一塁に置いた場面で、打席には河原主将。甘く入った直球を引っ張ると、これが右翼スタンドへと突き刺さる本塁打となり2点を手にした。これで流れに乗ったのか、続く4番の丸子も高めに浮いた直球を同じく右翼スタンドへ放り込む。「入ったなと思いました」と語った通り、打った瞬間にそれと分かる文句なしの一発で慶大を突き放した。その後は逆転されるも、5回と6回に1点ずつを加え、同点へと追いつく。そして8回。2死ながらも中澤彰太(スポ3=静岡)が二塁打で出塁し、好機を迎える。この場面で代打を命じられたのは藤田。「次の回からは上野が投げることを聞いていたので、助けられればと思って打席に立ちました」。その思いを胸に勢い良く振り抜くと、打球は中堅手の前へ転がる。これが決勝となる適時打となり、6-5で慶大を下した。

決勝打を放ち、笑顔でハイタッチを交わす藤田

 見事、福井での全早慶戦を白星で飾った早大。「非常にいいゲームができて、おまけに勝つことができました」という髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)の言葉通り、まさに激戦を制した。内容面でも収穫は多く、夏の遠征はこれで終わり、以降はオープン戦3試合を経て、いよいよ秋季リーグ戦へと臨むこととなる。「本当に仕上げだなと思います」(髙橋監督)。連覇へ向け、早大は着実に成長を続けている。

(記事 落合修平、写真 八木美織)

黄字は打点付き

全早大打者成績
打順 守備 名前
(右) 重信慎之介 .200 見振    左飛 右飛    二ゴ    左安   
(三) 東條航 .000 死球    四球    死球 左飛       見振
(二) 河原右京 .250 三飛    右本    四球    二ゴ    空振
(一) 丸子達也 .500 中2    右本    一ゴ    左飛    四球
(指) 宇髙幸治 .200 空振    左飛    遊ゴ    右飛    中2
(遊) 石井一成 .000    四球 一ゴ    四球       空振 四球
(捕) 道端俊輔 .000    捕ゴ    四球 右飛       右飛 二ゴ
(中) 中澤彰太 .500    捕邪    三ゴ    中安    右2   
(左) 川原孝太 .000    空振    空振    一ギ         
  藤田恭輔 1.000                      中安   
  武居直宏 .—                           
  寺本雅弘 .—                           
全早大投手成績
名前
吉永健太朗 4 1/3 8.31
黄本創星 2/3 0.00
吉野和也 0.00
上野雄平 0.00
コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――48年ぶりの福井での全早慶戦ということで観客も多く集まりました

天候が心配されたのですが、福井のみなさんの熱き思いでベストコンディションでできて、試合内容も見てて一番面白いスコアじゃないですかね。非常にいいゲームができておまけに勝つことができましたので、申し分ないです。

――名古屋での投手戦とは変わって、打撃戦となりました

ヒット数はあれですけれど、長打も出ましたし、タイムリーも出たし、非常にいい展開だったと思います。

――先発の吉永投手(健太朗、スポ4=東京・日大三)の投球はいかがでしたか

スリーランが少し甘かったかなと思うのですが、秋は彼がことし頑張ってくれると思いますので、ずっとオープン戦をやってきましたが最後の試し場所として、雰囲気も神宮と同じだったので非常にいい経験になったと思います。

――8回には代打の藤田選手(恭輔、商4=埼玉・早大本庄)が勝ち越し打を放ちました

よく打ってくれましたね。

――打席に入る前は何か声をかけられましたか

いえいえ、彼はバッティングがいいのできょうもスタメンで使おうかなと思ったのですが、勝敗を1点が分けると考えると守備重視でいったのですが、バッターとしては信頼できるバッターですので、ヒットを打ってほしいとは思っていました。打つかどうかは分かりませんでしたが、よく打ってくれたと思います。

――2試合の全早慶戦を終えて、OBの選手とも試合をしていかがでしたか

OBはOBで非常にいいプレーをして、最後も宇高くん(幸治、平23スポ卒=現日本生命)がヒットを打ってくれて現役に対して参考になる打撃をしてくれたと思います。

――残りのオープン戦はどのように戦っていきたいでしょうか

あと来週だけで残り3試合でそれで開幕しますので、本番を想定してやっていきます。本当に仕上げだなと思います。

河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)

――きょうの試合を全体として振り返っていかがですか

1点取られたらすぐ取り返しましたし、相手も同じくすぐに追いついてくる、緊迫した試合でしたね。

――本塁打を放った打席を振り返っていかがでしたか

あの時は走者を一塁に置いた場面だったのですが、走者を進める意識を持って引っ張ったので、それがうまくいったかたちですね。

――きょうはスタンドも満員でしたが、球場の雰囲気はいかがでしたか

観客の方々が本当にたくさん入られていたので、いつもの早慶戦に近いような雰囲気のなかプレーすることができました。そういった意味でも、普段の神宮球場で行っている早慶戦を福井の皆さんにお見せすることができたのではないかと思います。

――ここまでの夏の遠征を振り返っていかがですか

夏の辛い時期に遠征続きということで、体がかなりきつかったのですが、そのなかでチームとしても個人としてもどこまで成長できるかということを課題としてやっていました。結果的には試合もフル出場することができましたし、秋につながるいい遠征だったと思います。

藤田恭輔(商4=埼玉・早大本庄)

――重要な場面での起用となりましたが、その際のお気持ちは

前の川原孝太(文構4=静岡・掛川西)の3打席目から場面になったら行けと言われていたので、時間の面でしっかり準備できていたのと、同点で出してもらって、次の回からは上野(雄平、教4=東京・早実)が投げると聞いていたので助けられればと思って打席に立ちました。

――決勝打をにつながったことに関してはいかがですか

打球は全然見ていなくて、とりあえずヒットだなとは思っていましたが、嬉しかったです。

――リーグ戦開幕に向けて

オープン戦はあと3試合しかなく、相手は社会人ですが、それにまずはしっかり勝てるようにすることです。ケガをしている人もいてベストなメンバーがそろっていないのですが、全員でいい形で迎えられるようにしたいと思います。

丸子達也(スポ4=広島・広陵)

――きょうのご自身の打撃を振り返って

初回の二塁打は逆方向かつカウントが3-2の中で打てたので、かたちは良かったかなと思います。逆方向に打てたのが一番良かったですね。

――本塁打を打った球は

真っ直ぐの高めですね。加藤(拓也、慶大)が真っ直ぐが多いというのはわかっていたので。たまたまいい当たりでしたね。

――打った感触は

入ったなと思いました(笑)。

――OBの方と話されましたか

バッティングに関しては、今まで通り相手投手の情報の共有をしました。守備の面に関しては、東條さん(航、平26文構卒=現JR東日本)にいろいろアドバイスをいただきました。特に東條さんはJR所属で声を出すチームなので、内野で声を出して引っ張ってもらったのが良かったですね。