豪華球宴、早大陣の活躍キラリ

野球
TEAM
チーム あななん
チーム ハモーン

 東京六大学野球連盟創立90周年、そして阿南市屋内多目的施設オープン記念を冠した今回のオールスターゲーム。ことしはチーム『ハモーン』として早大は明大、立大と共に、法大、慶大、東大からなるチーム『あななん』を相手に戦いを繰り広げた。球宴の会場は『ハモーン』の監督を務めた髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)、そして合同チーム主将を務めた河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)にゆかりのある徳島。会場には2500人が訪れ、その中には地元の高校球児たちの数も数多くあった。「地元のみなさんが応援してくださったので、とてもうれしかった」(河原主将)。1-2で敗れはしたものの、選手たちは華麗なプレーで多くの観客の目を釘付けにした。

 東京六大学リーグ戦(リーグ戦)では敵として戦ってきた相手と、仲間として共闘するこのゲーム。初回に先制点を挙げ、主導権を引き寄せようとする『あななん』の快進撃をこの男の好守が阻んだ。「打球が飛んできた瞬間、いけると思った」(河原)。2回には鋭い打球に素早く反応。身体をひるがえしながら難しい当たりをさばき、流れるように1塁に送球してアウトとする。6回には強烈なライナーを俊敏な動きでしっかりととらえ、会場を大きく沸かせた。早大陣の好守備はこれだけにとどまらない。5回、代打で出場した谷田成吾(慶大)の放った伸びる打球。安打になるかと思われた瞬間、右翼手を守っていた重信慎之介副将(教4=東京・早実)がすかさず飛びついた。「当たり前のプレーが当たり前にできて良かったです」(重信)。投げては7回から登板した吉野和也(社3=新潟・日本文理)が、2回を無失点に抑えた。

好守でも観客を沸かせた河原

 序盤に2点のリードを許し、追う展開となった『ハモーン』。好機を何度か演出するものの、得点になかなかつながらない。唯一の得点は8回。4番・丸子達也(スポ4=広島・広陵)が右前に適時打を放つと、二塁走者の重信がすかさず本塁へ走り込む。電光掲示板に、二人の連係でもぎ取った得点『1』が光った。その後追加点が奪えずに1-2で悔しい敗戦となったが、チームの安打数のうち3分の2が早大陣の打ったもの。春季リーグ王者としての貫録を示した。

この日3出塁2盗塁の活躍を見せた重信

 オールスター戦に出場するのは、リーグ戦の第一線で活躍している選手ばかり。普段は敵である他大の選手たちとチームを組み、対話し連携しながらプレーする。「今後の良い勉強になったのでは」と髙橋監督の語る通り、得るものは大きいだろう。そして例年は1試合しか行われないこの球宴、ことしはあともう1試合控えている。得たもの、そしてまたこれから得るものとともに、次なる開催地・高知でも観客を沸かせてみせる。

(記事 伊能由佳、写真 谷田部友香)

コメント

髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――地元での六大学オールスター戦の指揮を執りましたが、いかがでしたか

なかなか六大学の選手たちが徳島に来ることもなくて、今回が初めてだったんですよね。そのようなときに私がワセダのユニフォームを着て、監督として采配をふるえるのは非常にラッキーであり、幸せだと思いましたね。

――明大、立大と同じチームで戦い、監督の目には早大の選手たちはどう映りましたか

普段通りだと思いますね。力みもないですし、またオールワセダで来ると展開は違ったかも知れませんが、混合チームですから。それからしたら投手はレベルが高いですから、1−2というスコアは普段の六大学の投手のレベルの高さじゃないですかね。

――六大学オールスター戦で刺激になった部分は何かありますか

打者も打ち取られた選手もいて、投手はある程度抑えていますけど、今後の良い勉強になったのではないですかね。

――きょうは試合前にノックされていませんでしたが

他のコーチ陣がいるじゃないですか(笑)。私が一番の年上だから、若い順にね。

――オープニングセレモニーでは監督が呼ばれた際に、客席から鳴門渦潮高の球児が歓声を上げていましたが

サクラかなと思いました(笑)。ありがたいですね、地元ですから。

――徳島県のおすすめのものはありますか

竹ちくわとかね。ちくわとかすだち、梨もおいしいですよ。あと、食べるなら魚介類ね。徳島県の魚の食べられるところなら、どこでもおいしいですよ。あとは徳島ラーメンかな。

河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)

――地元・徳島での球宴開催となりましたが、どのような心構えで試合を迎えましたか

徳島で試合をするのは小学生以来だったので、ものすごく楽しみにしていました。結果も出たので本当に良かったです。

――地元に帰ってくるのも久々でしたか

正月、そして夏のオフ以来ですかね。

――きょうは打っても3打数2安打、守っても2回と6回に好プレーがありました。地元だからこそやってやろうという気持ちはありましたか

そうですね。打球が飛んできた瞬間、いけると思いました。

――河原選手が打席に立つ際には、地元の方からも大きな声援も送られていました。力になりましたか

そうですね、地元の皆さんが応援してくださっていたので、とてもうれしかったです。頑張ろうという気持ちになりました。

――早大・明大・立大の連合チーム『ハモーン』として戦いましたが、普段ライバルとして戦う選手との共闘は刺激になりましたか

普段敵チームとして戦ってはいますが、他の六大学のチームにもすごく良い選手はたくさんいます。いろいろ話して教えてもらったり、勉強になりましたね。

――明後日は高知での一戦となります。意気込みは

きょう勝てなかったので、高知では勝ちたいと思いますね。

重信慎之介副将(教4=東京・早実)

――初めてのオールスターでしたが、雰囲気はいかがでしたか

オール早慶ともまた違った独特の雰囲気があって楽しかったです。

――髙山俊選手(明大)と1、2番コンビを組まれていましたがいかがでしたか

サインプレーとかも勝手にやろうかという感じで気軽にやれました。

――他大の選手で刺激を受けた選手はいますか

特に誰というよりは、みんな特徴があっていい選手なので、誰がというよりは全体的に刺激を受けました。

――きょうは2盗塁を決められていましたが、ご自身の持ち味は出せましたか

そうですね。最初からいくぞという気持ちでやっていたので、成功できて良かったです。

――守備でもいいプレーがありましたね

相当飛んできましたね。当たり前のプレーを当たり前にできて良かったです。

――オープン戦も戦っていますが、いまの調子はいかがですか

いい状態にあると思います。このままリーグ戦(秋季リーグ戦)に向けて上げていけたらいいなと思います。

――リーグ戦に向けて今後どのように仕上げていきたいですか

チーム的にオープン戦は勝てていないですが、内容自体は悪くないですし、ピッチャーも打者も仕上がりは悪くないと思いますし、個人的にも春前よりはいい状態にあるのでこのまま気を引き締めてやっていきたいです。

吉野和也(社3=新潟・日本文理)

――きょうのご自分の投球内容を振り返っていかがですか

良い打者が多い中で、0点に抑えられて良かったです。

――きょうは初めてのオールスターでしたが、どのような気持ちで挑まれましたか

こっちもそうですけど、相手もリーグ戦で活躍している選手ばかりだったので、そういう選手たちが相手にいるということを大事にして楽しみにしながら、しっかり抑えていこうと思って挑みました。

――他の大学と合同チームでしたが、どのようなお話をされたのですか

普段の練習であったり、自分は投げ方が(アンダースローで)ちょっと特殊なので、そういうところで話したりしていました。

――今回の合同チームの中での自分の役割をどのように考えていますか

ピッチャーなので、きょう投げてあさっての登板は多分ないと思うのですが、そんな中でいろんな選手としゃべって、対話しながら、楽しみながらチームを応援したいと思います。