【連載】早慶戦直前特集『Strikin’ Back』 第6回 竹内諒

野球

 リーグ戦で自身初の開幕投手に抜てきされた竹内諒(スポ3=三重・松阪)。指揮官から大きな期待を寄せられている一方で、苦しい投球内容でまだ思うような結果を残せずにいる。今回はここまでの振り返りと現在の状態、そして早慶戦への意気込みについて伺った。

※この取材は5月20日に行われたものです。

「すごく悔しい思いをした」

今季は自身初となる開幕投手を任された竹内

――オープン戦の初戦で先発を任されました。ご自身の調子としては順調な滑り出しでしたか

 そうですね。オープン戦の最初はすごく調子が良くて、思い通りの投球ができていたので、初戦に抜てきされたかなと思います。

――その初戦の試合後に、課題として先頭打者への入りの甘さを挙げられていました。その課題を克服するために、春季リーグ戦までに取り組んできたことはありますか

 ブルペンでの投球練習の際に、打者を想定して低めを意識してストライク先攻ということを意識して、投げました。

――また、配球のパターンを増やしたいとおっしゃっていましたが、その点についてはリーグ戦までに何か調整されましたか

 そうですね。自分の投球パターンをしっかりと何種類も作ってやっていました。

――リーグ戦では開幕投手に抜てきされました。髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)から報告があったのはいつですか

 土曜日が開幕だったのですけれども、水曜日あたりに言われました。

――開幕投手に抜てきされた要因は何だと思いますか

 やはりオープン戦で結果を出すことができたということと、オープン戦が始まる前から「柱として頑張ってほしい」と言われていたので、その点かなと思いました。

――それでは監督からの期待を感じている部分はありますか

 はい、あります。

――立大3回戦で初勝利を挙げられました。東大戦初戦から調整したことはありますか

 東大戦ではもう一つ球が走らなかったので、しっかりと直して投げ込みをもう一度やって立大3回戦に臨みました。

――立大3回戦でのご自身の出来はいかがでしたか

 バックの野手の方にすごく助けられたので大量点もいただいて、楽に投げさせてもらいました。

――法大2回戦では3回途中という早い段階での降板となりました。あの試合を振り返っていただいていかがですか

 この試合はすごく悔しい思いをしました。どのボールも全て高くなってしまったので、思い通りのピッチングができなくてすごく悔いの残る試合でした。

――立大戦の時と比べて投球に対する感覚の違いはありましたか

 そうですね。球速で見るとそこまで変わっていないのですけれども、やはり立大3回戦の時よりも低めへの意識が少し薄れていたかなと思います。

――続く明大戦では先発落ちということになりましたが、どのような心境で明大戦を迎えられましたか

 このチームの方針としては、調子の良い投手が先発をするというかたちなので、やはり前の週の法大2回戦であのような投球をしてしまったら、監督や学生コーチの人も先発では使いづらいだろうなと思っていたので…。そのような心の準備はしていました。次の早慶戦ではしっかりと先発できるように準備していきたいと思います。

――明大戦では試合中にブルペンで一生懸命投げ込まれていました。どのような心境で投げられていましたか

 いつ行っても抑えてやるという気持ちでずっと投げていました。

「もう一回見つめ直してやっていきたい」

いまだ納得のいく投球はできていない。大舞台での復活を誓う

――ここまでのリーグ戦全体を振り返っていただいて、具体的な課題や早慶戦までに調整したいことは何ですか

 低めへのコントロールが一番重視したいところです。あとは試合に向けて心の準備であったり体の準備であったりと準備というものをしっかりとしていきたいと思います。

――また、無駄な四死球を減らすということを以前修正点として挙げられていました。制球力を上げるために特に取り組んでいることはありますか

 ブルペンの投球練習の際に実際にバッターを立たせて低めへのコントロールをキャッチャーと相談しながらやって、制球力を上げる練習をしています。

――現在の投球内容はいかがですか

 段々この前の明大戦のブルペンの時からだいぶ調子が上がってきているというのを自分の中で思っているので、(早慶戦まで)1週間空くので、もう少し投げ込んでフォームを固めてこの調子のままいきたいと思います。

――ご自身の投球の強みは何だと思いますか

 やはりストレートだと思います。ストレートで三振を取れるというところが自分の持ち味だと思うので、そこをもう一回見つめ直してやっていきたいと思います。

――思い通りのピッチングができない際は、メンタル面ではどのように調整されていますか

 自分の思い通りにいかない時はやはり変化球に頼ってしまう部分があるので、そこはチームが勝つために自分ができることをしっかりとやろうと思っています。

――リーグ戦で同じ左腕としてルーキーの小島和哉選手(スポ1=埼玉・浦和学院)が活躍されています。竹内選手にとって小島選手はどのような存在ですか

 すごく良いピッチャーだと思いますし、すごく肝が座っている、落ち着いているなと思います。1年生とは思えないようなマウンドさばきもしていますし、すごく刺激になる後輩です。

――一緒に練習したり、竹内選手からアドバイスすることはありますか

 アドバイスはしないのですが、練習も一緒に走ったりトレーニングを一緒にやっているので、かわいい後輩だと思います

――ことしから新しく就任した髙橋監督が理想と掲げる野球は『1−0』の野球ですが、この方針についてはどのように考えていますか

 すごく良い考えだと思います。常に試合前に1戦必勝、目の前の相手に勝つということを言われているので、その通り選手自身も意識して最終的に1点勝っていればいいという考え方になっているので、すごく良いと思います。

――ここまで勝ち点4と現在単独首位に立っています。ことしの早大の強みは何だと思いますか

 やはり打撃陣だと思います。そして打撃陣と投手陣の安定だと思います。チャンスでしっかりと打てているので、点も入っていますし、2桁安打もすごく多いと思いますので、野手の方に打ってもらっているのでピッチャーも楽に投げさせてもらっていると思います。

――やはり現在のチーム状況や雰囲気は良いですか

 そうですね。良いと思います。

早慶戦でリベンジしたい

――今季も早慶戦で優勝が決まることになりました。やはり優勝に懸ける思いはありますか

 そうですね。きょねんの春、秋ともに早慶戦で投げさせてもらったのですけれども、あと1勝の重さをすごく投げていて感じたので、やはり優勝したいという気持ちは強くあります。

――昨季の早慶戦では3回戦で先発を任され、慶大打線を7回無失点で抑えました。あの試合は印象に残っていますか

 そうですね。あの試合は4年生とできる最後の試合でしたし、やはり最後に自分の投球を通して感謝の気持ちを伝えられればいいなと思っていたので、あの試合はすごく特別なものだと思います。

――ご自身の先発投手としての自信につながった試合でもありますか

 そうですね。春の2回戦であったり秋の1、2回戦も完璧に抑えたというところまでいかなかったので、3回戦でしっかりと来季につなげられるように抑えようと思っていたので、だいぶ自信にはなりました。

――その中で得た収穫は

 打たれている球は全て高くて、低い球だったらファールだったり空振りだったり凡打になっているので、課題というのは制球力だと思います。

――早慶戦はリーグ戦の中でやはり特別な存在ですか

 そうですね。観客の数が全然違うということと、雰囲気が普段のリーグ戦とは全然違うような1戦の重みというのを感じます。

――先発で投げたいという思いはありますか

 そうですね。きょねんの春の2回戦でノックアウトされてしまい、本当に悔しい思いをしたので、そのリベンジとして、先発をして今度は抑えたいという気持ちはあります。

――特に警戒したい打者はいますか

 谷田さん(成吾)や横尾さん(俊建主将)はすごく長打があるので、実際に打たれていますし、意識して投げていかなくてはいけない相手だと思います。

――自信のある球は直球ですか

 そうですね。キャッチャーの道端さん(俊輔、スポ4=智弁和歌山)ともまっすぐは打たれたらもう仕方がないという考えになっているので、変化球に頼って変化球を打たれるよりまっすぐに頼ってまっすぐを万一打たれる方が、バッテリーとしては納得がいきますし、悔いが残らないようにやっていきたいと思います。

――最後に、早慶戦に向けての意気込みをお願いします

 ここまで思うような結果が出ていないので、最後の早慶戦で良いかたちで終われるように、先発をさせてもらえるように頑張っていい結果で終われるように準備していきたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 河野美樹)

◆竹内諒(たけうち・りょう)

1994年(平6)7月2日生まれ。180センチ、84キロ。三重・松阪高出身。スポーツ科学部3年。投手。左投左打。今回、竹内選手が取材の時に着ていた早稲田Tシャツは中村奨吾前主将(平27スポ卒=現プロ野球・千葉ロッテ)から引退する際にもらったものだそう。先輩からの期待を胸に、優勝へ向けて早慶戦で頑張ってほしいですね!