【連載】春季リーグ戦開幕特集『進』 第2回 中澤彰太

野球

 昨年は春に打率3割をマークした一方で、秋に2割を切るなど酸いも甘いも味わった中澤彰太(スポ3=静岡)。確実性を身に付けるべく、どのようなオフシーズンを過ごしてきたのか。さらに、レギュラー3年目の今季に懸ける思いなどを伺った。

※この取材は4月4日に行われたものです。

開幕に向けて

昨年は2年生で唯一レギュラーの座をつかんだ中澤

――最近は暖かい日も続きますが、調子はいかがですか

順調にきていると思います。

――新年を迎えてから、走攻守それぞれどのような練習をされているのでしょうか

走攻守全ての面でレベルアップするためにこれまでやってきました。走るメンだと盗塁の技術、ベースランニングの技術などを。守備だったら、守備範囲の広くしたり、送球の安定感を。バッティングでは確実性を突き詰めてやってきました。

――沖縄キャンプの際に走り込みがつらいとおっしゃっていましたが

体のキレを出すことを目的にやっています。

――練習の締めにやられていましたが、初めにも走り込みはされているのでしょうか

もちろんします。時間的には30分くらいですかね。

――練習メニューはどうやって決めているのでしょうか

トレーナーの押川さん(智貴、スポ4=長野・諏訪青陵)が決めてくれます。

――個人的なメニューもトレーナーの方たちが決めるのでしょうか

いえ、ランニングメニューや体幹のトレーニングだけです。あとは学生スタッフや監督さんが決めています。

――自分でやりたい練習というのはどうされているのですか

練習が終わった後にやっています。

――沖縄では茂木選手(栄五郎、文構4=神奈川・桐蔭学園)と一緒に練習に取り組まれていましたね

茂木さんはいまケガされているので(一緒に)していませんが、していない時は一緒にやっていました。

――沖縄キャンプや京都遠征を振り返っていかがでしたか

実戦的な練習が多かったです。実戦感覚で試合の雰囲気を味わえたので、それは良かったです。

――これまで沖縄や京都に行った経験はあるのですか

沖縄は、早大に入学する前のキャンプで行きました。高校時代とかはないです。

――2回目の沖縄はいかがでしたか

何やればいいかわからなかった2年前と違って、いまは気持ちに余裕があるので、そういう部分ではやりやすかったかなと思います。

――観光などはされましたか

自分は特にしていないです(笑)。

――では沖縄のオフの時間は何をされていたんですか

バットを振ったり、練習していました。

――練習熱心ですね

いえ、全然そんなことないです(笑)。

――沖縄は天候に恵まれませんでしたが、終えてみていかがでしたか

沖縄で取り組んできて学んだことが、いま東伏見に帰ってきても継続できているので、無駄ではなかったと思います。

――その取り組んだこととは

バッティングのイメージなどを膨らませられました

――遠征期間中のオープン戦ではなかなか結果を残せませんでしたが、疲れなどはあったのでしょうか

冬疲れは別に感じませんでしたが、いろいろ試したいことがあったので、(結果が出なかったことは)あまり気にしていませんでした。

――どのようなことを試そうとしていたのですか

どういうイメージで打席に立つ、投手の見方やタイミングの取り方などをいろいろ試していました。

――最近は徐々に結果も出てきていますが、イメージもつかめてきているということなのでしょうか

そうですね。(リーグ戦の)開幕も近くなってきているので、一つに絞ってやっている感じです。

――調子はリーグ戦の開幕に合わせて上げていっているのでしょうか

自分はそうです。

――レギュラーとしてある程度の余裕もあるのですか

自分でレギュラーとは思っていませんが、リーグ戦でピークを迎えたいという気持ちが自分の中にあります。

――オープン戦ではさまざまな打順を経験されました

その打順によって役割があると思いますけれど、その役割をチームが勝つためにやるだけなので。だから打順でどうこうということはあまりないです。

――最近は2番に落ち着きましたが、いかがですか

1番や3番が主だったので、2番で出場する経験はあまりありませんでした。でも2番は2番で楽しいです。

――昨秋の初めは1番・中澤選手、2番・重信選手(重信慎之介副将、教4=東京・早実)でスタートして、その順序が逆になったということですが

1・2番で共通することとしては、クリーンアップの前に出塁しなくてはならないので、塁に出ることだけを考えています。

――犠打や進塁打など、小技も求められてくる打順だと思います

別にそんなに苦手な意識はないので、サインが出たらやるつもりです。

――いままでリーグ戦でも犠打の経験は2つと少ないですが

確かに少ないですね(笑)。

――最近は練習でも取り組んでいるのでしょうか

2番にされる前からも(バントの練習は)していました。昨春3番を打っていた時も練習でやっていました。個人的にセーフティーバントに取り組んでいました。特別、という練習はしていないですね。

――打撃練習ではバスターの練習が印象的でした

そうですね。試合に入るまでのルーティンが、バスターから入ることなので。

――バスターから始めると効果があったりするのでしょうか

体の開きを抑えたり、引っ張りではなく中堅方向を意識することを心掛けてやっています。

――オープン戦では四死球の数が少ないですが、積極的に打っていくよにしているのですか

はい。

――昨秋は四死球での出塁が目立ちましたが、選球眼に自信はあるのですか

自分の感覚的には、(打てる球が)来たら打つというイメージなので、元々どの球も打つつもりで打席に入っています。

――1番や2番という打順では、相手投手の球筋を見極めたりするためにあえて見送ったりするといったこともあるのではないでしょうか

タイプがあって、自分はそうやって見ていくタイプではないので。あえて見送るといったことはあまりないです。

――重信選手も早打ちするタイプなのでしょうか

でも重信さんが早いカウントから打った時は、リズムもあるので、2ストライクまで待ったりします。

――最近の試合では盗塁も増えてきましたが、走塁面に関してはいかがですか

元々足には自信はあるので、リーグ戦でもどんどん走っていきたいです。

――オープン戦の初めは盗塁機会がありませんでしたが、打順の兼ね合いなどもあるのですか

そうですね。アウトカウントやスコアの状況などで走ったり走らなかったりします。

――自分の盗塁へのマークが厳しくなっているなと感じることはありますか

一応ありますけれど、チームが勝つためにはどんどんトライしていきたいです。

――守備面では、昨年から両翼の選手が変わりましたが、何か変わったことはありますか

右翼手が重信さんになりましたが、元々コンビのような感じでよくコミュニケーションはとるので問題はないです。左翼の川原孝太さん(文構4=静岡・掛川西)にしても寺本雅弘さん(スポ4=東京・早稲田)にしても、プライベートや私生活でもよく話すので、普通にやりやすいです。

――あまり変わった感じがしないということですか

しないですね。

――チームとしてもオープン戦では社会人相手に苦しみました

力はあると思います。

――どのようなところが学生と違うと感じていますか

職業として(野球を)やっているので、個人にしても根本的な力が社会人さんの方があるのかなと思います。投手にしても精度が高いです。投げミスをしないところなど、大学生と比べて少ないと感じます。

――昨年の8月にはプロ野球の福岡ソフトバンクとも試合をされていましたが

自分の中ではいつもとそんなに変わりはなかったです。

――守備面でご自身が成長を感じている部分はありますか

球際と送球の精度はだんだん良くなっていると思います。

――送球面では内野手との連携も出てくると思います。二塁手も昨年から変わりましたがいかがですか

コミュニケーションは取っているので、問題ないです。

「勝利に貢献できるように」

今季への思いを語る中澤

――現在のチームの雰囲気はいかがですか

いいと思います。沖縄の時から変わらず、いいです。

――主将も河原右京選手(スポ4=大阪桐蔭)が就任されてずいぶん経ちますが、中村奨悟前主将(平27スポ卒=現プロ野球・千葉ロッテ)と違う面はありますか

違うんですかね(笑)?

――東條航元主将(平26文構卒=現JR東日本)はコミュニケーションをよく取ってくれる主将、中村前主将は背中で引っ張る主将だと以前おっしゃっていましたが

右京さんは両方って感じだと思います。コミュニケーションも取りますし、でも試合だとあまり語らず、プレーで引っ張ってくれます。

――話が変わりますが、中村前主将のプロ野球での活躍は励みになっていますか

はい。LINEが来たり電話もしたりするので、いろいろ話したりしています。

――どのようなことを話されるんですか

野球のことはもちろん、それ以外も話します。食事行こうよ、みたいなこともあります。

――母校もセンバツで活躍されていましたね

観ていました。いい励みになります。

――高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)とは何か話されたりしましたか

少しずつですね(笑)。長く話したことはないです。

――新監督に求められている、ご自身の役割はどう考えていますか

1年生の時から試合に出ているので、守備でも攻撃でも勝利に貢献できるように引っ張っていくことだと思います。

――1年時から試合に出ていると、もうレギュラー3年目ということで期待やプレッシャーを感じることはあるのでしょうか

そういうのを感じることはあったりしますが、やるのは自分なので、やるしかないという気持ちです。

――リーグ戦開幕まで残りわずかですが、どのようなところを強化していきたいですか

まだまだ走攻守全てにおいてレベルアップできると思っているので、最後の最後まで突き詰めていきたいです。

――首位打者や盗塁王になるために、どれぐらいの数字が必要とお考えですか

まずは3割、4割打っていきたいです。盗塁は10個ぐらいはしたいです。

――首位打者になった茂木選手の昨秋の打率は5割を超えていましたが

茂木さんはすごいです(笑)。

――そういったタイトル争いをする中で、ライバルになってきそうな選手はいますか

ライバルというのはあまり意識したことがないです。

――改めてことし一年間の抱負を教えてください

まだ自分が入学してから(リーグ戦)優勝、日本一になったことがないので、この年で絶対経験して、自分の代でも生かしていけるように頑張っていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 谷口武)

◆中澤彰太(なかざわ・しょうた)

1994(平6)年12月2日生まれ。177センチ、78キロ。静岡高出身。スポーツ科学部3年。外野手。右投左打。大学入学前以来、2年ぶりの沖縄だったという中澤選手。2度目ということで随分と余裕もあったみたいです。そんな中澤選手は沖縄でオフの間も素振りをしていたとか。練習熱心ですね!