一挙4点の猛攻で逆転、敵地での定期戦を制す

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 6季ぶりの優勝に向け、厳しくも充実した沖縄キャンプを終えた早大。この日は京都で同大とのオープン戦に臨んだ。ワセダの先発・吉永健太朗(スポ4=東京・日大三)は立ち上がりから制球が定まらず、先制を許す苦しい投球に。一方打線は6回、一挙4点の猛攻で逆転。続く7回にも追加点を挙げ5-1で勝利昨年に続いて同大との定期戦を制した。

 ついに大学最終学年を迎えた吉永は、春季オープン戦2度目の先発。昨年度も好投を見せた同大との一戦、終始制球に苦しんだ。2回には2四球で塁を埋めると適時打を浴び、先制を許してしまった。しかし、ボール自体の力は復調の兆しを見せている。球威、キレともに十分で、打たれた安打はわずかに2本。勝負の春に向け、どこまで投球の精度を上げられるかが活躍のカギになる。

 相手投手をなかなか攻略できなかった打線が、反撃ののろしを上げたのは6回。連打で一、二塁とすると、代わった投手から4番・丸子達也(スポ4=広島・広陵)がファーストストライクを叩いて右前に。主砲の同点打で試合を振り出しに戻すと、相手の制球難にも助けられ、この回一気に4得点。瞬く間に試合の流れを引き寄せた。さらに、7回には好調の茂木栄五郎(文構4=神奈川・桐蔭学園)が、甘く入った直球を迷うことなく強振。右翼への本塁打は、試合を決めるダメ押しの一打となった。

この日3安打と打線をけん引した丸子

 2週間にわたる遠征を終え、いよいよ東伏見に戻る早大。この日試合の中心となった4年生はもちろん、台頭を狙う下級生にも、残された時間は決して多くはない。沖縄、京都で積み重ねてきた努力を実らせ、春に満開の輝きを見せるのは誰か。それぞれの思いを胸に、新生ワセダはリーグ戦への準備を進める。

(記事 三井田雄一、写真 上田密華)

★伝統の定期戦!

交流会でスピーチをする高橋広監督(昭52卒=愛媛・西条)

 昨年度、37年ぶりに行われた同大との定期戦。創始者である大隈重信氏、新島襄氏が厚意にしていたこと、早稲田大学野球部初代部長の安部磯雄氏が同大出身であることなど、両校は深い関係を持っている。この試合は復活後初めての京都での開催となり、OBや関係者も押し寄せる記念すべき一戦となった。試合後には交流会が設けられ、選手たちが談笑する姿も。また、定期戦は来年度からも毎年行われることが正式に決定した。伝統を胸に、これからも新たな歴史を刻んでいく。

※リーグ戦開幕前の記事は都合により試合当日に公開することができないことがございます。読者の皆様には大変申し訳ございませんが、何卒ご了承頂きたく存じます。リーグ戦は従来通り、即日公開致します。

※記事中の学年は新年度のものです。

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コメント

高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)

――沖縄キャンプが終わってから初の実戦となりましたが、どのような意識を持って臨んだ試合でしたか

オープン戦という意味合いとは別に、同志社との定期戦であり由緒ある試合なので、そのような点では真剣勝負でもあります。リーグ戦を想定したようなもので、普通のオープン戦とは違った意味合いの試合として臨んだつもりです。実際に内容も非常に良くて、リーグ戦を前にしてもいいスタートをきれたなという感じはします。

――選手の動きはいかがでしたか

良かったですね。気温が下がっていて、沖縄から移動したきのう、おとといあたりは少し動きが悪かったのですが、きょうは集中力もありましたし良い内容のゲームができたと思います。

――疲れなどは感じられなかったですか

やはり疲れよりは気温差でしょうね。きのうは調子が悪かったのですが、きょうは普段通りにやってくれました。ゲームの内容としては沖縄でやったよりもはるかに良かったです。

――6回に4得点と打って勝った試合でした

そうですね。しかし、ピッチャーも1点に抑えてくれていますし内容は良かったです。先発もですし、投げた選手みんな良かったですね。

――打線の調子についてはどのようにお考えですか

やはり集中力がありました。特に茂木くん(栄五郎、文構4=神奈川・桐蔭学園)のすごいホームランは、相手のピッチャーも素晴らしいレベルですから、それから打ったものは価値があったように思いました。

――ご自身が野球部の時のお話も先ほど出ていましたが、やはりこの定期戦に思い入れはありますか

田尾選手(安志氏、同大OB)はその後活躍しますから、すごいホームランを打たれて印象に残っています。いまOBの方に聞かれたら同大がワセダに勝ったのはあの試合が最後で、それ以来勝っていないとのことのお話で。やはり田尾選手はすごい選手で、そのイメージが同大にはありますね。

――らいねんからは毎年の開催になることについては

途切れていたとは思わなかったのですが、うれしいです。

――きょうの試合の収穫は

リーグ戦を想定しての緊張感のある、いい試合ができたと思います。

――一方で課題はありましたか

守備も良かったですし、ピッチャーも1失点ですから、100%にかなり近い試合だったと思います。

――リーグ戦に向けて今後の狙いは

きょうぐらいの状態で推移してほしいのですが、実戦をやりだしますとけがや故障が出てきてしまいますので、それだけが心配です。きょうの状態でずっとやってくれたら申し分ないです。

河原右京主将(スポ4=大阪桐蔭)、川端晃希主将(同大4年)


――昨年度から復活した定期戦ですが、どのような気持ちで臨みましたか


川端

 高校時代の同期となかなか会えることはないので、それは楽しみにしていました。


河原

 そうですね。同じです。


ーー河原さんから見ると、同大は同期から後輩まで、大阪桐蔭高時代のチームメイトがたくさんいらっしゃいますが


河原

 そうですね、自分はワセダの野球部には高校時代の後輩が入っていないので、すごく懐かしい感じがしましたね。


ーー川端さんから見て、久々の再会となった河原選手はどのような選手になっていましたか


川端

 良いバッターやなと思います。ワセダで敵チームとして見るより、同じ高校でやっていた仲間として、抑えたいという気持ちはより強く持っていました(笑)。


ーーお二方からきょうの試合を振り返って、いかがでしたでしょうか


河原

 序盤は押されていましたが、相手の投手が崩れたところにつけ込めて。結果的に勝つことができたので、良かったと思っています。


川端

 ワンチャンスをものにする、そういう細かい野球がしっかりとできるので、さすがレベルが高いなと思いました。


ーーワセダは沖縄キャンプを終えてから初の実戦となりましたが、手応えはいかがでしょうか


河原

 沖縄キャンプ中の試合でも順調に仕上がっていて。いまは、結果的に勝てば良い、という考え方をしています。試合の内容ももちろんですが、それよりとにかく勝つ、ということを重視しているので、きょうも勝てたということ自体がすごく意味を持っていると思うし、良かったと思います。


ーー同大も先日まで関東遠征で、関東六大学の明大などと試合をする機会があったそうですが、手応えはいかがでしょうか


川端

 (関東六大学と)すごく大きな差が開いている訳ではなく、普段通りにうまくやれれば勝てるということはわかっているので。そこを確実にこなして、実際の試合でも結果を残していけたらと思っています。勝ち切ることが大事ですね。


ーー今後両校ともシーズン開幕を迎えますが、その目標は


河原

 6季ぶりの優勝。ずっと新チームになってから、必ず優勝するということを言っているので、なんとしても優勝したいと思います。


川端

 優勝から遠ざかっているので、そういう面ではことしから、監督も代わって心機一転、やると言ったことをしっかりとやっていきたいと思います。

丸子達也(スポ4=広島・広陵)

――沖縄キャンプ後、初の試合でしたがどのように臨まれましたか

きょねんクリーンナップと絶対的エースがいた中で、それが一気に抜けてしまってどのようにやっていこうかとチームで考えていました。ひとりがずば抜けてという人はいないと思うので、みんなで力を合わせて1点を取っていくというチーム力を大切にしてやっていこうと思っていました。

――試合を振り返って

個人的な結果では良い感じでできたかなと思っています。チーム全体でも、最初は点を取られてしまったのですがチャンスをものにできて、最終的に5点取れたので良かったと思います。

――ご自身の成績を点数で表すと

1本タイムリーを打てたので、60点くらいですね。

――チャンスで打席が回ってきたとき、どのような意気込みで向かわれましたか

1アウトだったのですが、監督さんからも楽に行け、タイムリーなどではなく軽く打てと言われていました。気持ちを楽にして打ったらたまたま落ちたという感じで、結果的に良かったです。

――初対戦のピッチャーに対して難しさなどはありましたか

特にありませんでした。来た球を打つというようにシンプルに考えていました。

――調子はいかがですか

だいぶ上がってきていると思います。

――上がってきた理由などはありますか

特に練習などは変えてはいません。きょねんは代打での出場が多かったのですが、ことしはスタメンで結構使っていただいているので、そのあたりで慣れというか。回数を重ねるので、ちゃんと見えてくるようになりました。

――4番としてスタメンで出場するにあたって

四番はチームの顔というか、一番信頼を持ってもらっているのかなと自分の中で思っています。その気持ちに応えられるようなバッティングが出来ればいいなと思います。

吉永健太朗(スポ4=東京・日大三)

――きょうの試合を振り返って

きょうは制球があまり良くなく、走者を背負うことが多かったです。失点をしてしまったので良くはなかったですが、まずは勝つことができてよかったです。

――ことしに入って2試合目の先発登板でしたが、きょうの試合で試したいことなどはありましたか

ずっと安定した投球をするという同じテーマでやってきているので、きょう特別何かをやるということはなかったです。

――沖縄では「シンカーを投げる時のフォームを軸にしてフォームを固めていきたい」と仰っていましたが、きょうの投球フォームはいかがでしたか

感覚は悪くないですが、ちょっとしたところのズレがありました。しかし、手応えをすごく感じているので、悪くはなかったと思います。

――きょうは沖縄で意識されていたシンカーはいかがでしたか

あまり良くなかったです。リリースポイントが合っておらず、ボール球が多かったです。ストライクになればいいのですが、ボール球だと(打者が)振ってくれないので、きょうはそこが悪かったです。

――昨年までは土屋選手(遼太、平27教卒=JFE東日本)とバッテリーを組むことが多かったと思いますが、道端選手(俊輔、スポ4=智辯和歌山)と組むことになって変わったところはありますか

高校時代にも日本代表でバッテリーを組んだこともあるので、そこまで違和感はありません。

――ことしは投手と捕手の連携を重視していますが、投手から見て変わったところはありますか

サインの交換などは特に変わったことはありません。しかし、昨年より盗塁をされやすいということで、投手がけん制をしっかりしたりと、少し変わったところがあります。

――試合中、右足に打球が直撃しましたが大丈夫ですか

大丈夫です。(打者走者を)アウトにすることができたのでよかったです(笑)

――これから実戦を重ねて調子を上げていくことが重要になりますが、そこでの目標を教えてください

ここまで自分の中では順調にきていると思うので、リーグ戦にしっかりと調子を合わせられるように頑張っていきたいと思います。

大竹耕太郎(スポ2=熊本・済々黌)

――きょうの試合を振り返って

2週間ほど(遠征が)続いて、最後の最後でいい形で終えることができてよかったです。

――沖縄で行われたHonda鈴鹿戦の登板から変えたところはありましたか

あの段階(Honda鈴鹿戦)ではコースや高さというよりは、気持ちよく投げられることを考えてやっていました。その時は4回を投げて5安打打たれましたが、きょうに関してはさらに完成度を上げていくために、コースや高さに気を付けて投げました。

――きょうの登板前後には道端選手(俊輔、スポ4=智辯和歌山)と話している場面がありましたが、具体的にどのようなことを話していましたか

だいたい攻めるパターンというのがあるので、それを確認していました。 きょうは緩急をうまく使って前後にずらしていこうという話をしました。

――今回は直球と変化球を上手に絡めて投げることがテーマであった、ということですか

そうですね、ピンチになってからギアを上げるような形でいこうと思っていました。今回はピンチにはなりませんでしたし、チームもリードしていたのでリラックスして投げることができました。

――これから実戦を重ねて調子を上げていくことが大事になってくると思いますが、そこに向けての目標を教えてください

オープン戦もまだまだ続きますし、コンスタントに活躍をしないと先発は任せていただけないと思うので、ケガに注意しながら常に波のない投球を心掛けて、その勢いで4月から5月の終わりまで継続して活躍できるように頑張っていきたいです。