打線復活!大量2桁得点で東大を下す/東大1回戦

野球

東大1回戦
早大 11
東大
(早)○大竹、竹内、髙梨、黄本―土屋、梶矢

◇(本塁打)小野田1号ソロ、中村1号2ラン(三塁打)小野田、石井、中村(二塁打)石井

 もう負けは許されない。屈辱の2連敗を喫した明大戦から1週間。優勝へ向け、再び走り出した早大はこの日、東大との1回戦に臨んだ。打っては中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)小野田俊介(社4=東京・早実)重信慎之介(教3=東京・早実)が3安打の活躍で東大を圧倒。一方の守りでは序盤は大竹耕太郎(スポ1=熊本・済々黌)も打線の奮起に応え好投を見せる。しかし終盤、髙梨雄平(スポ4=埼玉・川越東)らが相手打線に捕まるなど、救援陣に不安の残る結果となった。

 稲穂打線が息を吹き返した。明大戦では沈黙し、実力を発揮できなかった打撃陣が奮起する。2回、小野田が三塁打で出塁すると、今季初のスタメン起用となった石井一成(スポ2=栃木・作新学院)の犠飛で1点を先制。4回には死球と失策で無死二、三塁とすると、打席には再び石井。この好機を逃さず、中堅左への適時二塁打で追加点を挙げる。さらに不調にあえいでいた重信の適時打などでこの回4得点。その後も小野田や、自ら志願してこの日3番に座った中村に本塁打が飛び出すなど、前節は機能しなかった上位打線の活躍により、大量11得点で東大投手陣を打ち崩した。

今季初スタメンで2安打3打点の石井

 先発のマウンドには大竹。前回の先発登板では制球を乱し、役割を果たせなかったが、この日の大竹は違った。カーブを積極的に使い、相手打線を翻弄(ほんろう)。5回を投げ1失点と、この短期間で課題の修正に成功した。大竹の後を受けた竹内諒(スポ2=三重・松阪)も丁寧にコースを突く投球で2回無失点と流れを渡さない。対照的に弱点が目立ったのは8回以降。この回からマウンドに立った髙梨は四球と安打で1死一、二塁とする。この危機をしのぐことができず、連打で2点を失い髙梨は降板。救援した黄本創星(スポ2=千葉・木更津総合)も東大の勢いを止められず、最終回に死球に加え3本の安打を集められ2点を奪われる苦しい投球となる。勝利こそ収めた早大だが、守備でも細かいミスが生じるなど、投手、野手共に詰めの甘さが目立つ結果となった。

今季2勝目を挙げた大竹

 深刻であった打線に関しては、完全復活へ弾みをつけたと言えるだろう。しかし、投手陣、守備面でもろさが露呈されてしまった。「走攻守にわたって隙のないプレーをしていきたい」(岡村猛監督、昭53二文卒=佐賀西)。今後も厳しい戦いが続く早大には、小さなほころびもあってはならない。まずはあすの東大2回戦、連勝で勝ち点をつかみに行く。そして、ただ勝つだけではなくいかに勝つか――。緻密な野球を展開することが、優勝戦線に残るカギとなる。

(記事 藤川友実子、写真 目良夕貴、松田萌花)

★ワセダのON砲がそろい踏み

 5回に小野田が左中間スタンドへ通算12本目の本塁打を放つと、負けじと中村も6回に左翼スタンド中段まで届く通算10本目の2点本塁打をたたき込んだ。現役選手の本塁打ランキング1、2位を独占する『ON』コンビのアベック弾は昨秋の早慶2回戦以来2季ぶり3度目の出来事。この二人、リーグ屈指の名コンビと言っても過言でない。

小野田               中村

黄字は打点付き

早大打者成績
打順 守備 名前
(中) 中澤彰太 .167 二飛    中飛 右安

   左飛         
  寺本雅弘 .000                      三ゴ   
(左) 重信慎之介 .300 見振    中安 右安

   中安         
  打左 八木健太郎

.000                      見振   
  遠藤崇史 .—                           
(二) 中村奨吾 .250 中安    空振 右飛    左本    右3   
(一) 武藤風行 .222 中飛       死球 三ゴ 右安    二失   
  走一 川原孝太 .000                           
(右) 小野田俊介 .364    中3    三失 左本

見振    左安   
  走右 三倉健 .—                           
(三) 石井一成 .500    左犠    中2

左3 中飛         
  道端俊輔 .000                      遊ゴ   
  三遊 木田大貴 .—                           
(遊) 河原右京 .294    二ゴ    中飛 二ゴ            
  打遊 松永圭介 .000                   空振      
  打三 山口寿明 .000                         遊失
(捕) 土屋遼太 .316    左飛    遊ゴ 右安    見振    遊ゴ
  梶矢真弘 .—                           
(投) 大竹耕太郎 .375    見振 中安 一ゴ               
  竹内諒 .000                   遊ゴ      
  髙梨雄平 1.000                           
  黄本創星 .000                         三ゴ
早大投手成績
名前
大竹耕太郎 2.50
竹内諒 4.50
髙梨雄平 1/3 20.25
黄本創星 1 2/3 7.36
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コメント

岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)

――今季初の2桁得点となりましたが、きょうの攻撃を振り返ってみていかがですか

中盤はいい攻撃をしてくれましたけど、1点しか取れなかったので3回までにもっと点を取りたかったです。そんな簡単にはいかないものですが、東大も打撃陣が調子がいいので失点を防げなかったというところが反省点ですかね。

――中盤では切れ目のない攻撃ができていたと思うのですが、中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)、小野田俊介選手(社4=東京・早実)共に本塁打を放ち、監督としてもやっと打ってくれたなという感じでしょうか

そうですね、やはり打撃というものはそんな簡単にはいかないので。特に中村が上向き始めましたので、これから調子を上げてくれると思います。中村に打線全体が引っ張られるようになれば、もっと強力になると思います。

――茂木栄五郎選手(文構3=神奈川・ 桐蔭学園)がベンチ入りしていないということは、まだ体調が優れないということでしょうか

まだコンディションが悪いので。

――きょうの救援陣の投球を見るに、やはり投手の出来が試合の流れを大きく左右するように思うのですがいかがですか

そうですね。しっかりとした守り、投手力といったディフェンスがもう少し整備されてこないといけないでしょうね。

――ベンチ入りした野手の皆さんは全員出場されましたが、きょうの試合を通して見えたチームの状態はいかがですか

控え選手のレベルが低さが露呈しましたので、もっと練習してレベルアップしてほしいと思います。

――交代した外野手の皆さんのプレーの中には、アグレッシブさに欠けるようなものも見られました

まだまだ練習が足りないということでしょう。

――チームとしてはきょうのような攻撃の感覚を忘れることなく、あす以降も続けていきたいといったところでしょうか

攻撃というよりも走攻守にわたって隙のないプレーをしていきたいと思います。

中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)

――本塁打含む3安打の好成績でした

まあたまたまです。調子はずっと悪くないので。

――本塁打の球は高めのボール球かというコースでした

その前のファールがあまり良くなかったので、しっかり修正できて、うまくバットを出せました。

――きょうは8月27日のオープン戦(福岡ソフトバンク戦)以来の3番でしたが、経緯は

自分から木曜日に「3番を打たせてほしい」と(岡村監督に)志願して、「東大戦はそのかたちでやってみよう」というふうに言われました。

――3番に座ることにどのような狙いがあったのですか

監督さんも「何か変えないといけない」というふうに言っていて、自分も思うところあって3番を希望していました。空気を変えようということで互いに考えが一致して、志願に応じて3番で使ってくれました。

――意見を受け入れてくれて、ご自身も結果で応えることができたのですね

そういう意味では良かったです。

――前に座る重信慎之介選手(教3=東京・早実)も3安打と明大戦で課題となった上位が機能しました

そうですね。重信がつくってくれた2、3打席目のチャンスで打てなかったので、走者のいる場面でもう一本打てていたら良かったかなと思います。

――チームとして、連敗後の雰囲気はいかがでしたか

2連敗というのは予想していなかったことなので、気持ちとしても沈んでしまった部分はありました。ですが、ここから下を向いていても仕方ないですし、攻めていかないといけないのでいつもより全体として練習量も増やしました。調整している場合ではないですし、「早慶戦でベストの状態に持っていけるように」というふうに監督さんからも言われて、全員で追い込んで練習できました。

――東大戦での打線としての目標や狙いはありますか

低くて強い打球を意識したり、自分たちがやってきたことを思い出してやっていこうという話をしました。

――実際に戦ってみての達成度はいかがですか

まだ半分くらいじゃないですかね。東大の投手陣も低めにボールが集まっているので、甘い球を一発で仕留めることや、厳しい球をカットして打つべき球を打っていくということをもっと徹底できればと思います。

――今後も優勝へ向け一敗もできない状況が続きますが、意気込みを

あしたもしっかり自分たちのペースで戦うということと、守備に関してはきょうもあまり良くなかったので、守備も攻撃も全てにおいていい雰囲気でやっていければなと思います。

小野田俊介(社4=東京・早実)

――きょうの試合への意気込みはいかがでしたか

2連敗していて自分の内容も良くなかったので、残りの6試合を勢いづけるという意味で大事な試合だと思いました。

――3安打、1本塁打の活躍でしたが振り返ってみていかがですか

いままでは体の開きという部分で良くなかったので、短い期間でしたが調整できたというのが良かったと思います。

――明大戦から体の開きという部分で改善できたということですか

そうですね。体の開きが速いと上からたたいていけないので、それを直せたことが一番良かったと思います

――その取り組みの成果が1打席目で出たということで気持ち的に楽になりましたか

1打席目はあまり内容的にいい感じはしなかったのですが、そのあとホームランが出て、あすや次のカードに向けて少し上向きになってきているのかなというのを実感できました。

――第3打席のホームランは、打った球種は何でしたか

多分スライダーだったと思います。

――手応えはいかがでしたか

いままでみたいにバックスピンがかかった感じではなくドライブしていたので、どうかなと思ったのですが、入ってくれてよかったです。

――これで通算12本目の本塁打となりましたが、本数についてはどう考えていますか

下級生の頃からスタメンを張るにふさわしくないプレーをしたり、力の及ばないところもあったのですが、そこを我慢して使ってもらった結果がこういうふうに出ていると思うので監督さんに感謝したいと思います。

――これから何本まで伸ばしたいなどはありますか

そうですね…。きりがいいので15本くらいまで(笑)。あと3本は、と思っています。

――チームとしては5失点ということであすへ向けて課題の残る結果でしたが、どのようにきょうの試合を生かしていきたいですか

守備でもう少し、ヒットにさせずにアウトを取れた打球があったと思います。内野、外野がもっと足を動かして少しでもピッチャーを楽にできるようにやっていきたいと思います。

――最後に残りのシーズンへの意気込みをお願いします

負けられない試合が続いていくと思うので、勝負のかかった場面でいかに力を出せるかという部分で集中力を高めてやっていきたいと思います。

重信慎之介(教3=東京・早実)

――きょうは3安打猛打賞でした。振り返られていかがですか

満足はいかないですね。明大戦では打てなかったですけど、調子自体は悪くありませんでした。ただ、明大戦のあとくらいから思うようにバットが(振り)抜けなかったので、それで少し考えるところがありました。きょうも自分の思うように打ったという感じではなかったです。センター中心に打球がいってくれたので結果は良かったですけど、内容は良くないですね。

――以前からボールを引きつけて打つことを意識されていますが、きょうはそれがうまくいかなかったということでしょうか

そうですね。

――3回は積極的な走塁で単打の当たりで二塁を陥れました。あの場面は始めから二塁を狙っていたのですか

普段から全力で走るというのはもちろんですし、少しでも隙あればいくというのを意識しているので、行けると思っていきました。

――ゴロ性の安打が多かったというのは、足の速い重信選手にとってはいい指標になるのではないですか

相手が球速のある投手ではなく、他の選手がフライを打ち上げてしまっていたので、自分は特に打ち上げてはいけない選手なので絶対上げないようにと意識して打席に入りました。それがうまく結果につながりました。

――きょうで打率は3割に戻りましたが、いかがですか

それは良かったです。やはり少しは気になるので。

――明大戦ではチームとしても個人としても悔しい結果となりました。どのように切り替えてきょうに臨まれましたか

明大戦は負けてしまったのですが、チームとして沈んでいくということはありませんでした。負けた瞬間から次に向かって切り替ようといういい雰囲気をつくれました。負けたのはもうしょうがないので、個人としても切り替えて前向きにきょうに臨みました。

――途中で交代したあとは、寺本雅弘(スポ3=東京・早稲田)選手や八木健太郎(スポ1=東京・早実)選手が出場されました

代わって出た以上はチームに貢献してほしいですし、頑張ってほしいと思います。

石井一成(スポ2=栃木・作新学院)

――きょうの試合を振り返って

最後は試合の締まりが悪かったですが、とりあえず勝ったので良かったです。あしたは、立大戦につながるような試合にしていけたらと思います。

――久しぶりのスタメンでしたがいかがでしたか

チームに貢献することだけ考えてやったので、結果はまずまずだったと思います。

――スタメンに決定したときの気持ちはいかがでしたか

スタメンに決まったというふうに伝えられたのが今週の半ばあたりでした。やってやるぞという気持ちしかなかったです。

――明大戦でも安打がありましたが、調子や状態はどうでしたか

良好です。いいかたちで試合に入れていると思います。

――これまでは同じポジションの茂木選手がリーグ戦で打率2位と好調でしたが、それを近くで見ていてどのように感じていましたか

悔しいというのが一番感じたことです。どうにかしてやり返してやろうという気持ちで代打などの役割をやっていました。

――きょうの試合に関して、相手ピッチャーは緩いボールが多かったですが、特に気をつけたことはありましたか

どんなボールでも、(長打を)欲しがっていてはいい結果が出ないと思っていたので、センター方向を中心に打ち返していこうということだけを考えて打席に入りました。

――試合で放った二塁打と三塁打、共に左中間の長打でしたが、これは狙い通りに打てたということですか

そうですね。あまり無理に引っ張りにいかずに、力まずに素直に返していこうと思って打った結果が左中間にいきました。

――2打席連続での長打でしたが、何か意識していたことはありましたか

センター返しの意識で、その延長線上には長打というのもありました。とにかくセンター前に打とうということがありました。

――あす以降の試合に向けて一言お願いします

あしたはこういう試合にならないように、きっちりと締めるところは締めて、点を取るところは取って、立大戦にいいかたちでつなげられるように頑張りたいと思います。

大竹耕太郎(スポ1=熊本・済々黌)

――きょうの投球はいかがでしたか

明大戦を振り返って、思ったところに投げられていなかったので、きょうは思ったところに投げることを意識して臨みました。

――カーブが多かったように思いました

ブルペンで投げていてカーブが良かったので、きょうは積極的に使っていこうと土屋さん(遼太副将、教4=東京・早実)と話していました。相手もカーブ主体の投球は想像していなかったと思うので、うまくかわすことができたと思います。

――ピンチは3回と5回のみでしたが

点を奪われてしまっているので、ヒットを打たれる分にはいいのですが…。走者を出してからの投球が課題です。

――その5回に1点を失ってしまいましたが

走者が二塁にいたので、ボール球で良かったのですが、ツーシームが高めにいってしましました。今日の反省点です。次回はツーシームを低めに決めていきたいです。試合ごとに課題が見えてきているということで、改善すべき点が出てきているのは良かったです。

――明大戦から変えたことや意識してきたことはありますか

フォームを気にしていました。体重移動の段階で横に流れてしまっていたので、そのベクトルを戻したら、この前のブルペンで状態が良くなっていました。その意識をうまく試合にも持っていくことができました。

――今後に向けて一言お願いします

有原さん(航平、スポ4=広島・広陵)もまだ本調子ではないので、自分が柱となれるように、責任と自覚を持って取り組みたいと思います。