5度目の東北復興支援、盛況を見せる

野球

 東日本大震災後から、野球部は東北での野球交流を通じて復興支援を続けてきた。5回目となる今回は、3日間をかけて岩手、宮城、福島の三県を訪問。各日とも日中は中高生を対象とした野球教室を開催し、夕方からは地元の大学との交流戦を行った。連日、大勢の人が押し寄せ、プロジェクトは大盛況のうちに幕を閉じた。

 地元の中高生でにぎわいを見せた野球教室。3日間合計で約40校の学校が参加し、野球部から技術指導を受けた。捕球姿勢、スイングに関するアドバイスやケガを防ぐストレッチの方法など、その内容は多岐に渡り、高校生のマネジャーが熱心にメモをとる光景も。ブルペンで投球フォームをチェックしていた髙梨雄平(スポ4=埼玉・川越東)は、「何を悩んでいるかを高校生とできるだけ会話しながらやっています」と双方向の交流を心がけたという。また、打撃練習では、手本を示した小野田俊介(社4=東京・早実)が大きな打球を連発。子どもたちから大きな歓声が上がった。大学球界でも屈指の強豪であるワセダの選手たちを間近にし、中高生たちも大きな刺激を受けたに違いない。

動作を交えながらフォームを指導する髙梨

 野球教室の後にナイターで行われた交流試合には、今回は応援部も帯同した。ブラスバンドが演奏する迫力ある音楽と華やかなチアリーダーズ、そしてリーダーの熱心な応援指導により、東北各地の球場に神宮球場スタンドの雰囲気を再現。さらに2日目の東北学院大戦では応援合戦が行われ、白熱した試合に彩りを添えた。また、初日の富士大戦と3日目の東日本国際大戦では、仁熊佑太応援部代表委員主将(創理4=埼玉・早大本庄)の「ワセダの応援だけではなく東北の各大学の方々も一緒に応援したい」という意向により、相手校の応援もワセダの応援部が担当。敵味方関係なく球場を盛り上げ、観客を一つにまとめあげた。

小野田が大きな打球を放ち、歓声が上がった

 半年以上前から多くの部員たちが準備に尽力してきた今プロジェクト。東北出身者として思い入れも強かったという阿部佳弥主務(スポ4=山形・新庄北)は、今回の遠征を「100点だと思います」と振り返った。各球場で集められた募金は部を通じて、東北各地へと寄付される。「復興が終わるまでは支援活動は続いていくと思うので、ワセダの野球部もその協力を続けていければ」(阿部)。ワセダはこれからも東北の復興を願い、共に走り続ける。

(記事 芦沢仁美、写真 小川朝煕、井上雄太)

コメント

阿部佳弥主務(スポ4=山形・新庄北)

――今回の野球交流での狙いを教えてください

監督さん(岡村猛監督、昭53二文卒=佐賀西))がいつも言っている、ワセダの一球入魂の野球を東北の方々に見せて楽しんでいただくこと。そして神宮と同じような雰囲気で楽しんでいただくということを狙いといてやっていました。

――活動全体の様子を見ていていかがでしたか

みんな中高生と交流していて元気をもらったような感じで、いつもより笑顔が多かったような気がしました。宿舎に戻ってからも朗らかな様子で笑顔が増えたなと感じました。

――振り返ってみての達成度はいかがですか

試合も全試合できて、野球教室も学生コーチやプロジェクトメンバーが中心となってしっかりやってくれたので、100点だと思います。

――試合では戦況をベンチから見ていていかがでしたか

1、2戦目と引き分けて、最終日やっと勝てて何とか東北の人たちに粘りのあるワセダの野球を見せられたなと思います。いいかたちで終われて良かったなという思いです。

――東北出身ということで思い入れもあったのではないでしょうか

利府での試合では家族や恩師の先生も来てくれて、たくさん応援してもらいました。僕も山形出身ということで今回のプロジェクトにすごく思い入れがあり、成功させたかったので良かったです。

――ハードな日程ということもあり苦労もあったのではないですか

半年以上前からずっと準備をしてきたので、やはり来るまでのいろいろな予定などの調整があって、そっちの方が大変だったと思います。

――プロジェクトを終えてのいまの感想は

最後も勝てたので、最高!

――5度目の復興支援活動を終えて、今後の予定などは

現段階では未定なのですが、復興が終わるまでは支援活動は続いていくと思うので、ワセダの野球部もその協力を続けていければと思います。

仁熊佑太応援部代表委員主将(創理4=埼玉・早大本庄)

――3日間の復興支援活動を終えて

東北の皆さんは暖かく迎えてくださって、本当にここで活動や応援ができて良かったです。

――この遠征に帯同された経緯は

昨年度までは野球部だけが行っていたのですが、ことしは岡村監督が「神宮球場の雰囲気をそのまま東北に持っていきたい」と、応援部もぜひ一緒に来てほしいという言葉をいただきました。

――試合前に行った応援交流の開催の意図というのは

東北は応援団の活動が結構盛んなので、こちらの応援団の方々と交流したいという意図もございますし、また、その我々が伝統を持って行っている応援というのも東北の方々に知っていただきたいと思って開催しました。

――高校生にも応援の指導をしていらっしゃいました

高校生も我々の応援に大変興味を持ってくださいましたし、我々も東北の応援団の応援は初めて見させていただき大変興味深かったです。

――19日の富士大戦ときょうの東日本国際大戦では相手の応援もされていましたが、ワセダを応援しながら相手チームも応援する機会というのはなかなかないのでは

我々も前例のないことを企画しまして、また、我々の来た目的も東北の復興支援ということなので、ワセダの応援だけではなく東北の各大学の方々も一緒に応援したいと思いました。特にきょうは試合が終わってから東日本国際大野球部の方々がスタンドの前まで来てお礼をしてくださって、応援してとても良かったなと思いました。

――このあと六大学オールスターゲーム、全早慶戦と地方球場での応援が続きますが、応援にも地方ならではという点はありますか

やっている側としましては神宮の方が指揮台があって目立ちやすくてやりやすいのですが地方だとそのような設備がなく、そこでいかに観客に見ていただくか、なるべく目立たないようなところでもいかに自分を見せて観客をまとめるかという応援を行っているのでそういうところを見ていただきたいと思います。

――1週間ほど前まで合宿をされていましたが、ひと夏を越えて応援部としてどのような点に注目してほしいですか

新人も全員夏季合宿を乗り越えて成長して、3パートまとまった応援をつくっていくのでそこを見ていただきたいと思います。