今季４番として全試合フルイニング出場を果たした中村奨吾（スポ３＝奈良・天理）。チーム最多の打点、盗塁を挙げるも勝つことができない現在の状況を振り返り、４番としていかに得点に結びつく攻撃をしかけるのか。いまの気持ちと早慶戦への意気込みを語ってもらった。
※この取材は５月２４日に行ったものです。
「４番としての自覚」
俊足を生かしたプレーで魅了する
――今季のチーム全体を振り返ってみて
最初、明大１回戦まではチームとしてそこそこやっていけるかなという手ごたえはあったのですが、２回戦が引き分けで勝ち切れなかったというのが、チームとして調子がよくなっていかなかったのかと思います。
――開幕前、今季は得点力がないとおっしゃっていましたが、その言葉通りの結果になりました
予想していたことなのですが、多くの走者を得点圏までは運び好機はつくるものの、そこから点が取れない状況が多いので、気持ちの面であったり、士気が下がったりすると思います。
――優勝がなくなったいま今思っていることは
早慶戦が残っているので、早慶戦を良いかたちで終われたらいいと思っています。
――悔しかった場面などはありますか
得点圏で打てなかった打席が本当に悔しかったです。
――東大戦後のインタビューでは得点圏にいる走者は全て帰したいと仰っていましたが
４番を打たせてもらっているので、４番である自分が得点圏の走者は絶対帰さないと負けにつながると思いますし、立教２回戦で走者一、二塁の場面で、三ゴロ併殺打を打ったと思うのですが、そのような打席は決してしてはいけないことだと思います。
――１番から４番に代わって変わったことなどありますか
１番のときに比べて好機の打席で回ってくることが多いのかと、相手の攻め方も変わってきているのかなと思います。
――杉山選手（翔大、平２５年スポ卒＝現プロ野球・中日）の後を継いだことには何か意識していることはありますか
そういうことはあまり意識していないです。
――昨年は１球目からの積極打法を目指すとおっしゃっていましたが、４番ではどうでしょうか
そうですね。１球目は振れていないと思います。４番としての重圧とかでもなく、意識はしていないのですが、状況によって手が出なかったり、自分の打てる球を絞っていくと、ファーストストライクを見逃していることが多いと思います。１番の時は何でも打ちにいくスタンスだったのが、打てるボールを打ちに行くスタンスに変わったのかなと思います。
――開幕４番を伝えられた時の思いは
（春季）オープン戦の始まった時は３番で、終盤で４番に変わったと思うのですが、自分は４番というタイプではないです。しかしチーム状況もあって４番を打つことになって、そこは割り切って、別に特には意識していないのですが、４番としての自覚、チームの打線としての４番というのは、チームを背負っているということなのかと。打てなければ自分の責任ですし、自分が得点を挙げて勝てれば、自分自身の今後につながると思ってシーズンに入りました。
――過去に４番に座ったことは
ないですね。
――つなぐ４番という意識は大きいですか
どっちかというそうですね。
――４番セカンドは野球界ではかなり珍しいケースだと思うのですがいかがですか
そう思いますが、たまたま４番という打順に入っただけだと考えています。
「自分が打点を上げないとチームも勢いづかない」
――ご自身のプレーの変化は
チームがこういう状況なので、明大戦でエラーを二つしてしまって、自分がこういうことをしていればチームが崩れるので、引っ張っていく立場なのに悪い波に乗っかってしまったことを反省しています。
――打撃では３割３分３厘ですが、この成績を振り返っていかがですか
打てる球が多くあるのに、手を出さなかったり、打ち損じたりするシーンが多くなってきたので、打率も終盤に行くにつれて落ちてきたなという印象です。
――明大２回戦からタイムリーヒットが出ていませんが
好機で回ってくることが少ないですが、少ない打席を物にできていないので、自分が打点を挙げないとチームも勢いづかないですし、勝ち切れないと思います。
――開幕前に少ない得点力を補うためにも積極的に走塁を行うとおっしゃっていましたが、現在チーム内最多の４盗塁を挙げられていますが、走塁についてはいかがですか
点数が入らないので、まず塁に出たら二塁を目指さないと長打が出ないと１本では帰られないので、得点が奪えるよう盗塁を狙っています。
――相手に警戒されることでやりにくさとかは感じますか
ピッチャーとキャッチャーとの駆け引きの中で勝っていかなければいけないですし、アウトになるリスクよりも、先の塁を狙う意識が高いです。
――５番に小野田選手（俊介、社３＝東京・早実）が座っていることについてはいかがですか
小野田は打率が高いので得点圏にいるときはしっかり帰してくれると思いますが、長打となると出にくいと思うので、得点になるように走塁で先の塁を狙いたいです。
――今季を通して見つかった課題は
いろいろありますが、自分が言葉をもって、チームを引っ張っていければ、いい方向に向いていくのではないかなと思います。
――新たな１年生がワセダに入ってきていますがいかがですか
まだまだチャンスのあるポジションも多数あると思うので、しっかり練習を積んで、そこに入りこんで、チーム力を底上げできるように頑張って欲しいと思います。
――他チームでも多くの１年生が出ていますがどのように感じていらっしゃいますか
思い切りが良くて、いい感じでやっているなと思います。
――他チームで意識する人はいらっしゃいますか
法大の河合完治選手とか天理高の先輩でもある西浦直亨選手は試合で力を見せつけられてしまいました。２人とも１本が欲しい中でしっかり結果を出してくるのですごいなと思いました。
――守備を守っていて、投手陣にかけようと思っている言葉などはありますか
ピンチになれば一言二言、声をかけようと思うのですが、東條主将が声をかけているので、投手もあまり声をかけられると嫌かなと思うので、あまり声はかけないです。
「大胆にしていければ」
――早慶戦はどのような気持ちで臨まれますか
今季はあまり調子が良くなく連敗も続いているので、早慶戦でしっかりと連敗を止めて、今季を締めたいなと思います。
――早慶戦は特別なものですか
観客の入り方も違うので、少しは意識しますね。
――昨春には満塁本塁打も打たれていますが
いいイメージが大きいですね。
――連敗を抜け出すためには
思い切ったことをしないとこの悪い流れは変わらないと思うので、大胆にしていければいいのかなと思います。
――慶大の注目選手は
投手なら白村選手（明弘、４年）、野手なら佐藤旭選手（３年）はいやなバッティングをすると思います。
――白村選手をこう打ちたいとかはありますか
昨年の秋にセンター前に打っているので、そのようなイメージで打ち返したいと思います。
――早大の早慶戦のキーマンは
誰かわからないですけど、先頭バッターだと思います。
――最後に意気込みをお願いいたします。
今季はふがいない結果ですけど、最後慶大に勝って終わりたいと思います。
――ありがとうございました！
（取材・編集 浦井拓也）
◆中村奨吾（なかむら・しょうご）
１９９２年（平４）５月２８日生まれ。１８０センチ、８０キロ。奈良・天理高出身。スポーツ科学部３年。内野手。右投右打。髙梨投手の完全試合はどうでしたかと聞くと「守りづらかったです。３ボールになった時には四球を出せと思いましたね（笑）」と内野手には相当の重圧がかかっていたようです。