昨年の活躍により大学球界を代表する投手となった有原航平。その快進撃は新しいシーズンに入っても止まるところを知らない。ここまで５勝を挙げているリーグ戦での投球と、ことしから背番号『６』をつける正捕手の土屋遼太（教４＝東京・早実）とコンビを組むことについてお話を聞いた。
※この取材は５月２４日に行ったものです。
勝てば勢いがつくと思っていた
今季を振り返る有原
ーー今季ここまでを振り返っていかがでしょうか
結果としてはいいかたちで来ているのであまり内容は気にせず、この調子でいけたらいいなと思います。
ーーシーズン前にはアメリカ遠征がありました
ボールなども違うので、今につながるというよりは、いい経験になったという感じですね。
ーー観光などはしましたか
あまり行かなかったですね。野球をやるという感じでした。
ーー帰国後、オープン戦では調子がいったん落ちたかなという印象もありました
そうですね。疲れもありましたが、リーグ戦に合わせられたので良かったと思います。
ーー問題視はしなかったと
はい。
ーーリーグ戦の開幕戦、法大１回戦は完封でしたが、調子はいかがでしたか
調子はそんなに良くなかったのですが、土屋が上手くリードしてくれたので良かったです。
ーー秋より調子としては悪かったですか
結果はいいので気にしてはいないですね。
ーーご自分で先制二塁打を放ちましたが
それはたまたまです（笑）。
ーーエース対決で意識するということもおっしゃっていましたが
勝てば勢いがつくと思っていたので、勝てて良かったです。
ーー立ち上がりが悪く、後半は上がってきたと思いますが試合の中で何か変えたことはありましたが
特に変えてはいませんが、調子が出てきたという感じです。
ーー次カードの立大１回戦はいかがですか
最後に少し点を取られたのですが、野手がたくさん点を取ってくれたので勝てました。
ーーその中で要所を締める投球でしたが、意識したことは
特にないですが、勝つことができたのが良かったというところです。
ーー３回戦はいかがでしょうか
走者は出したのですが、打たれてから粘り強く投げられたのでそこは良かったです。
ーー東大戦は
東大戦でもあまり調子は上がりませんでしたが、普通に投げて抑えました。
負けられないと思っていた
――２度目の完封となった明大１回戦についてはいかがだったでしょうか
無四球だったので良く投げられたかなと思います。
――立ち上がりから良かったと思います。どのあたりがポイントでしたか
そうですね。直球が走っていました。
――明大戦以前に調子が上がってこなかった理由は
理由は分からないですね。理由が分かればすぐに直せるのですが（笑）。
――なぜここで上がってきたかということも分からないということでしょうか
そうですね。調子の波があると思うので、上がってきたということだと思います。
――明大戦が勝負だということで合わせてきたわけではないですか
いや、勝負ではありますが、そんな余裕はないので意識はしていないですね。
――明大戦は気合が入っていた
負けられないと思っていたので。
――相手の先発が山﨑福也投手ではなかったというのは
まあメイジはいつも変えてくるので、山﨑だろうなと思っていたわけではありませんでした。
――序盤は２回に眞榮平大輝選手に二塁打を打たれるピンチがありました
２死からだったので、ピンチだとは思わなかったです。
――その後の３回からは打たせて取る投球でした。ご自身としても納得のいく投球だったのではないでしょうか
打たせる投球ができれば楽なので、良かったです。
――６回の茂木栄五郎（文構３＝神奈川・桐蔭学園）選手の２点本塁打で先制しました
１点じゃなくて２点入れてくれたのでかなり楽になりました。
――ご自身もかなり喜んでいらっしゃいましたが
本塁打で点を取って、盛り上がったという感じですね。
――今季は本塁打が多く、盛り上がるのではないでしょうか
そうですね。盛り上がっていい展開になっているのでありがたいです。
――チームの雰囲気も良いですか
いい雰囲気だと思います。いけるぞという雰囲気がありますし、点を取られても逆転できるという空気があるというのは良いと思います。
――援護が多いというのは楽ですか
楽ですね。
――昨年と比べても
そうですね。昨年はあまり援護がなかったので、昨年と比べれば楽かと思います。
――７回は大きな打球が中堅へ飛んで、失策か安打かというところでした
あれは中澤（彰大、スポ２＝静岡）のエラーなので（笑）、気にしてないです。
――９回はそれまで抑えていた福田周平選手に打たれてのピンチでした
あいつは打撃がいいのですが、シングルヒットで、２点差だったので１点は取られてもいいという感じで投げていました。
――最後は直球で押す配球で４番の植田弘樹選手を打ち取りました
直球に合っていないと思ったので、直球でいきましたね。
――法大戦も明大戦も４安打７奪三振での完封でしたが、比較してみていかがですか
法大戦よりも明大戦の方が良かったかなというくらいです。
――どこが良かったというのはありますか
四球を出していないというところで、制球が良かったかなと思います。
――明大３回戦は立ち上がりあっさりと抑えました
立ち上がりがうまくいったので先制点を取れたかなと。
――４回は菅野選手に打たれましたが、苦手な選手ですか
結果的に打たれているのでそうかもしれません。
――５回は１死一、三塁のピンチで土屋選手が一塁走者の盗塁を刺し、有原選手が抑えるという場面でした
土屋が良いところで盗塁を刺してくれて、１死と２死ではだいぶ違うので、抑えることができて良かったです。
――その後の交代というのは
監督さんに言われたので交代したということです。
――苦手の３回戦については、秋よりいい投球をできるようになったと感じていらっしゃいますか
それほど変わらないですが、明大３回戦では野手がいっぱい点を取ってくれたので、２点は取られましたが、試合の流れとしては良かったと思います。
――３回戦で先発しての勝利は初ですね
はい。
――試合後に岡村猛監督（昭５３二文卒＝佐賀西）が「３回戦の呪縛は解けただろう」ということをおっしゃっていましたが
１回勝てたというのは大きいかなと思います。
――明大戦で２勝して、勝てる投手という目標を達成できているように思いました
まあでも（３回戦は）５回で変わってしまったので、もっと投げられれば良かったかなと思います。
リードはすべて任せています
――土屋選手はどういう存在ですか
２年間バッテリーを組んで、投げたいボールもある程度分かってくれていますし、リードはすべて任せています。
――土屋選手の特徴は
冷静になって考えている選手ですね。
――今季は土屋選手が『６』をつけて『１１』と『６』のバッテリーですが
番号はあまり関係ないですね（笑）。
――リーグ戦など問わずにバッテリーを組んだのはいつから
１年生の時から先輩などもいたので、本格的に組んだのは３年の秋からです。
――２人はどんな関係ですか
ご飯も食べに行きますし、普通に仲のいい関係ですね。
――捕手としてどんなところが良いですか
投手が熱くなっている時もタイムを取ってくれて、上手く間を取ってくれたり、盗塁も大事なところで刺してくれるので信頼しています。
――ピンチでマウンドに来るときはどういった言葉をかけられる
「冷静にいこう」ということですね。あまり多くは言わないのですが、その一言でだいぶ気持ちも変わるのでそれくらいでいいかなと思います。
――試合前は対策を話し合ったりもしますか
ピッチングを水曜と金曜にするのでその時に少し話したりするという程度ですね。
――あまりそういうことは考えないですか
ほとんど任しているので、リード通り投げるということです。
――あまり首を振るということも無い
そんなにないですね。
――もう全幅の信頼ということですね
はい。
「まずは初戦を大事にしたい」
主戦投手として相手打線に立ち向かう
――最終週は優勝を争う早慶戦です
そうですね。お客さんも多く入ると思いますし、これで優勝がどちらかというのも決まるので、しっかり投げて優勝決めたいと思います。
――この上ない舞台ですね。こういう状況は入学以来初めてではないでしょうか
初めてですね。楽しみです。
――早慶で優勝を争う展開は斎藤佑樹（平２３教卒＝現プロ野球・北海道日本ハム）投手の最終学年以来ですが、その時の試合はご覧になっていましたか。印象はどうでしょう
テレビで見ていました。お客さんが入っていて、応援がすごいなという感じですね。
――ご自身にとって、これまでの早慶戦のイメージは
ここ最近はずっと勝っているので悪いイメージはないです。普通に臨みたいですね。
――慶大の印象は
今季は打てている感じで、本塁打もよく出ていますし、逆転勝ちもしているので調子いいと思います。
――警戒する打者は誰でしょうか
やはり谷田（成吾）、横尾（俊建）ですかね。一発があるので気をつけたいですね。
――どういったところが
谷田は思い切り振っていますし、ことしは３本の本塁打を打っていて、横尾もいいところで打つので警戒しています。ただ、その前に走者を出さないようにしたいです。
――明大３回戦の後はスタンドで慶立３回戦を少しご覧になっていました
ずっとやってきているので選手のことはわかっていますが、谷田、横尾が調子いいということですね。
――投げ合うであろう加嶋宏毅投手、加藤拓也投手の印象は
加嶋はコントロールが良いですし、加藤は球に力があっていい投手だと思います。
――あまり接点はないですか
加嶋はオールスターで一緒だったので少ししゃべりましたが、加藤はないですね
――２連勝で優勝を決めるとなって、最後にリリーフで投げてみたいということはありますか
前に優勝した時は自分が２年生で最後を投げさせてもらって、その経験がいまに生きていると思います。内田（聖人、教３＝東京・早実）などは（抑えを）ずっとやってきていて、そういうところで投げて自信を持ってほしいので、自分が投げたいという気持ちは無いです。
――先発としてまずは６勝目をとるということですね
そうですね。まずは初戦を大事にしたいです。
――最後に意気込みをお願いします
連勝で優勝します。
――ありがとうございました！
（取材・編集 三尾和寛）
有原
◆有原航平（ありはら こうへい）
１９９２年（平４）８月１１日生まれのＡＢ型。１８９センチ、９３キロ。広島・広陵高出身。スポーツ科学部４年。投手。右投右打。最近、体調が悪かった際に中澤選手から「おごりです」とドリンクをプレゼントされたという有原選手。中澤選手をはじめとした後輩からも慕われるエースとなっているようです。