【連載】『~挑戦~ 逆襲への第一歩』 第8回 小野田俊介

野球

現在、復帰に向け精力的にリハビリに励んでいる小野田俊介(社4=東京・早実)。昨季は4番に座りチームをけん引しながらも、春秋共に優勝を逃す結果となった。そして迎えるラストイヤー。けがと向き合いながらさらなる飛躍を目指す現状、そして優勝への熱い思いを語った。

※この取材は2月12日に行われたものです。

早く復帰したい

――まず現在のけがの状態を教えていただけますか

手術を昨年の早慶戦後にやって、現在3ヵ月くらいたったところですね。全治は半年くらいということで開幕にはギリギリなんですが、いまのところ順調にリハビリは進んでいます。

――リハビリはどのようなことをされていますか

ひざの柔軟性と、筋力を戻すというのをメインにやっています。

――野球に関わるトレーニングというのはリハビリと並行してやっていますか

練習時間やその他の時間を使って筋力トレーニングは行っています。

――今けがをしている心境というのは

チームに迷惑を掛けているので早く復帰したいという気持ちはありますが、ただまたそこで焦ってしまったら長引いてしまう。やはりそれが一番春に影響すると思うので、急ぎはするけど焦らずに、というのを心掛けてやっています。

――開幕には間に合いそうですか

開幕には間に合わせる予定で何とか今やっています。もしかしたら調整不足のようなものが出てきてしまうかもしれませんがなんとか試合には出られるようにということで取り組んでいます。

――オープン戦やキャンプはどうなりそうですか

キャンプはいまのところ微妙なところですが、オープン戦は最初からというわけにはいきませんが後半はしっかりやれるようにと思っています。

――けがをして学んだことは何かありますか

けがをしてしまうと自分の技術の進歩がマイナスになることは間違いないです。やはり練習前のアップなどで、今回はぶつかってのけがなのでしょうがない面もあるのですが、注意するに越したことはないので、その辺はトレーニング含めて意識はすごく高くなったと思います。

――体がなまっているように感じる部分はありますか

最近少しだけスイング始めたのですが、やはりまだまだ体(の状態)が戻ってこないので、秋に比べたら体は全然良くない状態にあると思います。

マイナスな思考に入ってしまっていた

昨季の課題について話す小野田

――昨年を振り返っていきたいと思います。春は打率が.452ということで、自身でもバットが振れているという感覚はありましたか

そうですね。どのボールに対しても怖さというものはなかったですし、どんな球が来ても対応できる感覚で特に後半はいられたのでそこは特に良かった部分だと思います。

――それは調子が良かったというのに加え、技術的な成長もあったのですか

リーグ戦中に成長したという部分が自分の中で一番大きかったと思います。リーグ戦の対ピッチャーの中で、どう攻略していくか、どうボールを待っていくかといった部分が経験を重ねるうちに成長できたと思います。

――一方で秋は.292と打率が落ち、マークが厳しくなったということもおっしゃっていましたが、どのような変化があったのでしょうか

簡単にストライクを取ってこないというか、割と今まではカウントを取りにくる球を狙っていたのですが、少し相手バッテリーが工夫してくるようになってきて。そしてそのボール球を振ってしまっていたことが、ヒットが出なかった原因だと思うので、そのあたりの難しさを感じました。

――けがの影響はありましたか

けがしてなかったらどれくらい打てたかというのは正直分からないです。走塁に関しては少し恐る恐るやっていた部分はありましたが、バッティングに関してはけがが原因というわけではなかったと思います。

――三塁打が3本ということで、これを見る限りでは走塁への影響はあまり感じられませんが、やはり怖さはあったのですか

走り始めればいいのですが、細かい切り返しなどで不安がありました。ベースランニングをする面では問題はなかったので、そういったところが三塁打が多かった要因だと思います。

――左投手に対しては3打数3安打ということでしたが、何か意識していたことはありましたか

もともと左ピッチャーには苦手意識はなかったですし、特に変えたところはなかったです。結果だけ見れば、明大にも法大にもいい左ピッチャーが多いので良かったのではないかなと思います。

――フォームや練習、考え方などで春から秋にかけて変えたことはありますか

いろいろなボールに対応するための工夫をして、より対応できるようになったのが春だったんですが、秋は下半身の力が使えず、上体で振りにいっていた部分がありました。その辺が打率が落ちてしまった原因かなと思います。特に何か変えたというつもりはないです。

――チームは春、明大3回戦から6連敗を喫し優勝争いから脱落してしまいました。その時のチーム状況はどのようでしたか

雰囲気は良くなかったですね。「勝たなきゃ、勝たなきゃ」と思いすぎて少し固くなっていた印象はあります。

――秋は小野田選手が打った試合はチームが勝ち、打てなかった試合では敗れるという傾向がデータから見られました。自身がチームのカギを握っているという実感はありましたか

もちろん周りの選手の力もあるのですが、やっぱり自分自身が軸となって点を重ねていかなければ勝てないというふうには自覚しています。勝っている試合で打てたのはいいことだと思いますが、接戦の部分で打てるのが4番だと思うのでそのあたりはもっともっと集中力を持って打席に入れればなと思います。

――結果的に春秋共に優勝を逃すことになりました。チームとして原因はどこにあったと思いますか

少しマイナスな思考に入ってしまっていたような気がします。「チャンスだったら打たなきゃいけない」とか。そういう部分で得点圏打率というのもなかなか上がってこなかったというのがあったので。やはり個々が「自分が決めてやる」くらいの集中力を持ってプレーできていれば、と終わってみて思いました。

――一方で早慶戦では春秋共にチームとしてよく打てていました。特に小野田選手は4試合で8安打3本塁打という成績でした。何か特別な意識というのはありましたか

早慶戦はやはりお客さんもたくさん入りますし、伝統ある早慶戦ということでモチベーション高く(試合に)臨めます。要因と言われると詳しくは分かりませんが、自分の中で得意なイメージは持っています。それが優勝がなくなってプレッシャーが掛からなくなったというのでは良くないと思いますが、そうではなくて、ただ早慶戦で良く打てているということなので、自信にはつながっています。

――チームとしても、それまでと打って変わって得点圏で多くの適時打を放っていました。それについて要因などは分かりますか

早慶戦ではいつも早い段階でワセダが得点していたと思うのですが、大体自分か中村(奨吾主将、スポ4=奈良・天理)が打って点が入ってその後も続いていったという感じだったと思います。そういう突破口のようなものを他の試合でも開けたらいいなとは思いました。

――秋季リーグでは4番を任されましたが、どのようなことを感じましたか

やはりどっしりしていなきゃいけないなと。自分の調子や精神状態がぐらぐらしていてはチームも思い切って攻められないと思います。一昨年(2012年)は杉山さん(翔大、平25スポ卒=現プロ野球・中日)が勝負どころで打ってくれて、チームが回っていた部分があったので、「そういうバッターにならないといけないな」というのは秋を通して感じました。

――成長した部分というのはありましたか

秋、最後の最後で少しつかんだというか、悪かった原因がわかってすぐ、早慶戦の最後の試合で変えられたということがありました。そういう部分で調子や状態が悪いときの改善方法のようなものを見つけられたという点では自分の中でプラスだと思います。

4番を打ちたいという気持ちはある

現役最多の8本塁打を記録している

――来シーズンについて質問したいと思います。上級生がいなくなり、チームは今どのような雰囲気ですか

中村を中心に下級生から新しいメンバーも入ってきて競争の中でやれているので、雰囲気的にはすごくいいと思います。

――中村選手が主将になってチームはどう変わりましたか

以前は東條さんがすごくコミュニケーションをとってやってくれていたのですが、中村はどちらかというと背中で引っ張るというか、自分がプレーで引っ張るというタイプです。それなので中村に代わることで、中村自身がすごく練習するので、その背中を見てチーム全体もすごく努力を積み重ねることができていると思います。

――下級生を含めてし烈な競争があるということですが、小野田選手から見て期待の後輩はいますか

昨シーズンも出ていたんですけど、重信(慎之介、教3=東京・早実)は、シーズンを通してではないですが何シーズンか出てすごく経験を積んだと思います。上位を打ってほしいという気持ちもありますし、早実からの後輩ということもありますし、期待しています。あとは茂木(栄五郎、文構3=神奈川・桐蔭学園)が状態が悪かったのですが、やっと練習にも全力で参加できるようになりましたし、いいものを持っていると思うのでその部分で期待しています。

――キャンプの後も、オープン戦をはじめ時間があります。その期間はどのように過ごしたいですか

徐々にけがの状態も良くなっていくと思うので、体がなまっているのでしっかりキレをだして、ただその中で急がないようにということを意識してやっていきたいと思います。

――バッティングについて、現在東京六大学リーグの現役最多本塁打記録を持っています。本塁打へのこだわりや意識はありますか

試合でホームランを打とうという感じはないですけれど、練習でボールを運ぶ練習というか、遠くへ飛ばす、ホームラン性の打球を打つ練習というのは意識してやっています。そして、それが無意識で打てるようにといまのところ試合には臨んでいます。

――本塁打を狙って打つというより安打の延長線上という感覚だということですか

ホームランにできそうな球を無意識にホームランにできるようにと練習しているので、そのコースに来たら狙っているうちに入るのではないですかね。

――いまの8本塁打という記録をどこまで伸ばしたいですか

1シーズン3本というのが今のところ最高なので、まずは春秋で3本、3本と打って14本というのを目標にしたいと思います。

――来季はさらにマークも厳しくなると思われます。昨秋の取材の際にあまり得意ではないとおっしゃっていた制球のいい投手にはどう対応していきたいですか

逆にコントロールがいい分、バッテリーの配球が読めればそこを狙えるという考えもあります。そこで無理に長打を狙うよりはコースに素直に対応していくということが一番なんじゃないかと思います。

――まだ打順や先発出場する選手は確定していませんが、どのような役割をチーム内で担っていきたいですか

やはり点を取るということだと思います。ランナー一塁でも積極的に長打を狙っていったり、そういった部分でホームランを含め、打点を挙げることが一番の役割なのではないかと思います。

――クリーンアップを昨年同様に任されたら、どのような意識を持って打席に立ちたいですか

怖がられる存在ではありたいですね。振りが小さくなったりだとか、調子でどっちつかずみたいな打席にはしたくないので。どっしりと構えているのが一番だと思います。

――1点を争う勝負で、守備や走塁も大事になってくると思われます。まず守備についてはどのように改善していきたいなどありますか

けがもあって守備範囲がどうこうというのもありますが、その範囲の中で正確に処理すること。あとは捕殺の面で精度を高めることでランナーの進塁を防ぐというという点ですね。そういうプレーを行えればピッチャーも楽に投げられて、失点も減ると思うので、意識してやっていきたいです。

――けがの状況次第で一塁手を守ったりということもあり得ますか

いや、それはないと思います。

――走塁については、けがとの付き合い方もありますが、どのようにしていきたいなどありますか

いままで盗塁をしていなかったのでなめられている部分があると思うので、常に隙を見て走る、ということをできたらいいなと思います。

――シーズン後にはドラフトもあります。プロへの意識というのはありますか

目標にはしています。ですが、いまプロに仮には入れたとしても、その中で通用するのかというとちょっと分からない部分や不安な部分というのも多いので、そんな簡単なものではないと思っています。

――そのためにはどのようなところをアピールしてやっていきたいですか

長打力を見せられたらな、とは思っています。

――プロについては過度に意識しないということですか

そうですね。いまのところプロに入るということよりも優勝するということの方が自分にはより大きな目標です。アピールのために、ということもないですし、泥臭くやっていきたいと思います。

――チームの目標はやはり優勝ですか

そうですね。春秋連覇です。

――そのうえでライバルになるであろうチームは

明大が今のところ力伸ばしているなと。上級生が抜けても力が劣るという感じもしないので、明大との試合は大事になるだろうなと思います。

――明大の強いところとは

粘り強さや集中力、勝負所での強さというのが明大にはあると思うので、接戦をものにする戦い方というのをもっともっと練習していければと思います。

――チームの優勝のためにどのように貢献していきたいですか

打線の中で中心になって得点を多く上げるという部分しかないと思っています。

――個人的に何番を打ちたいですか

きょねん4番を打たせてもらって、プレッシャーとか大変さというのはすごくわかりました。それなのでそんなに簡単に、「じゃあ交代」というのは嫌ですし、もちろん4番を打ちたいという気持ちはあります。

――理想の4番像というのはありますか

やはり勝負強さじゃないですかね。もちろんホームランだとかもあると思うのですが、いかに得点圏で打てるかというのに懸かっていると思います。

――具体的に目指したい数字はありますか

打点15ですね。

――来季への意気込みをお願いします

何よりもチームが勝つという目標のために、泥臭く全力で試合をやっていきたいと思います!

(取材・編集 伊藤広真)

小野田

◆小野田俊介(おのだ・しゅんすけ)

1992(平4)年10月15日生まれのA型。182センチ82キロ。東京・早実高出身。社会科学部4年。外野手。右投右打。春季オープン戦終盤にようやく復帰を果たした小野田選手。今季初打席で初安打とはなりませんでしたが、久しぶりに元気な姿が東伏見グラウンドで見られました!