【連載】『真の王者への道』 第5回 小野田俊介

野球

 クリーンアップを担った4年生が抜けた今シーズンの稲穂打線。新たな軸として期待されるのが小野田俊介(社3=東京・早実)だ。全試合にスタメン出場を果たした小野田が昨シーズン得たもの、打撃の中心として戦う決意などを語ってもらった。

※この取材は2月13日に取材したものです。

「その日の調子で結果が大きく浮き沈みしてしまった」

打撃への熱意を語る小野田

――新チーム始動から3か月がたちましたが、チームの雰囲気は

打撃面において4年生が抜けた穴というのをみんなで補おうということで、積極的にバットを振り込んでいます。そういった面で穴埋めしようという意欲がチームであります。

――前チームとの違いは

新チームでは「人間性を重視しよう」というテーマがあって、細かいところから意識を高くしようとしています。靴をそろえるとか、私生活を含めて細かい部分を徹底していくということが昨年とは違う点です。

――昨季はどのようなシーズンでしたか

その日の調子で結果が大きく浮き沈みしてしまいました。その点は反省すべき点ですが、春にいきなり試合に出てそれなりの結果を残せたことはいい経験になりましたし、ずっと試合に使ってもらえたので今季に生かしたいと思います。

――全試合にスタメン出場を果たしましたが、そこから得たものは

まずは試合勘ですね。最初はやはり緊張して流れとか分からないまま試合に入っていたので、ずっと試合に出続けたことで流れややらなければいけないことを学べたということが大きかったです。

――シーズン中に疲れを感じることはありましたか

結構自分は守備固めを出してもらって早めにベンチに下がることが多かったので、そこまで疲れは感じなかったです。

――リラックスするためにやることは

先輩とスーパー銭湯に行ったりします。花小金井にお店があって、そこに連れて行ってもらっています。小澤秀志さん(平24商卒)という早実の先輩で家も近くて。遊びに行くときは早実関係者が多いですね。

――秋にはクリーンアップも経験されました。いかがでしたか

やはり相手投手も中軸は意識してくるので、なかなか甘いボールが来なかったという印象を受けました。

――春より打撃成績は落としてしまいましたが、うまくいかなかった点は

自分の中ではトレーニング不足だったのかなという反省があります。冬は筋力トレーニングだったり柔軟だったりを積んできたので、昨秋のようにはしないという気持ちはあります。

――引退された4年生へどういった思いがありますか

4年生には試合に出ている方は少なかったんですけど、練習のサポートなど本当に一生懸命やっていただいたというのが自分の中であります。ことしのチームもそれを見て1年間やっていたのでいまもそういう雰囲気があって。試合で活躍することが大切だと思うので恩返ししたいです。

――以前杉山翔大選手(平25スポ卒=現プロ野球・中日)をお手本にしているというお話を伺いました

お手本というよりは勝負強さという部分で、「杉山さんにチャンスで回したら何とかしてくれる」というチーム全体の信頼感があったので、そういう打者になれたらいいなとずっと思っています。

――何かアドバイスはいただきましたか

直接アドバイスをいただくということはなかったんですが、「いつか中軸を打つんだから堂々と思い切りやればいいんだよ」みたいなことを言っていただいたことはあります。

「向上心を持った人が多い代」

――オフはどのように過ごされましたか

実家が北海道なので、向こうで昔の友人や家族とゆっくり過ごしました。あとつい最近早実時代からの友達と車で木更津のアウトレットに行きました。基本的にオフはのんびり過ごしますね。

――ご出身の早実高が選抜出場を決めましたが

後輩が選抜に出てくれるのは本当にうれしいですし、リーグ戦の前に選抜があるので後輩の活躍を見て自分の刺激になったらなと思います。

――何か後輩と交流はありますか

なかなか練習に顔を出す機会がなくて行けていないんですけど、和泉実監督に「おめでとうございます」と電話したり野球部で何かあったら連絡したり、監督さんとはたまに連絡を取っています。

――上級生となりましたが心境に変化は

3年生は上級生でもあり、また4年生に支えてもらって思い切りプレーできる学年でもあるので、3年生で成績を残したいと強く思っています。

――新3年生はどのような代ですか

みんな自主練習を熱心に取り組んでいて向上心を持った人が多い代だと思います。あと、面白いことやってやろうみたいなやつがいっぱいいますね(笑)。野手では山口(寿昭、スポ3=大阪・早稲田摂陵)、武藤(風行、スポ3=石川・金沢泉丘)とかです。

――東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)はどのような主将ですか

土生さん(翔平元主将、平24スポ卒=現プロ野球・広島東洋)や佐々木さん(孝樹前主将、平25スポ卒=現JR東日本)はプレーで引っ張るという感じの主将だったんですけど、東條さんは自らいろんな選手とコミュニケーションをとってチームが円滑に進むように努力されているので、すごくありがたいです。

――現在は何を重点的に取り組んでいますか

まずシーズン通してプレーできる体作りをやっているんですけど、自分はやっぱりバッティングを買ってもらっていると思うのでバッティングですね。スイングの精度を上げるために振り込んでいます。

――打撃練習で意識していることは

とにかく柔らかく打つことを重点的にやっています。

――フォーム改造など昨年と変えたことは

大きくは変えていないんですが、腰主体でもっと対応力のあるスイングを目指しています。いままでは甘いボールが来たら打っていたんですけど、厳しいコースにポン、ポン、ポンと来られたらあっさりやられていたので、率を残せるような粘りのあるスイングを目指してフォームを作っています。

――バットは変えられましたか

いえ、バットは変えていません。いままで通り細くて重心が先の方にあるバットを使っています。

――それはどういった狙いがあるのですか

もともと力で打つようなタイプではないので、バットの重みを生かしてしなるようなバットを使っています。

――外野守備にはどのような意識を

足がそんなに速くないので守備範囲を広げるというのはなかなか難しいんですけど、確実性は意識しています。あと肩自体はそれなりにあるので精度を上げるためにスローイングの練習を結構やっています。

――外野をまとめている大野大樹副将(社4=東京・早実)はどのような存在ですか

4年生になって責任を感じているのかわからないんですけど、一生懸命まとめようとされています。でも必死になってたまに空回りして、みんなに笑われるみたいなこともあります(笑)。

――大野大副将とは冗談などを言い合える仲なのですか

もう何でも言い合えます(笑)。

――チーム内でライバル意識を持っている選手はいらっしゃいますか

打撃に関しては中村(奨吾、スポ3=奈良・天理)が一番うまいと思っているので、早く追いつきたいですし中村よりもマークされる選手になりたいです。

――お互いにアドバイスし合うことはありますか

中村も自分の(打撃)を見ていたり、自分もあいつのを見ていたり、何も言わないんですけどお互いに結構見ていると思います。自分は「ここどうしてるの」とか素直に聞くんですけど、あいつははぐらかしたりして素直じゃないところがあります(笑)。でもたまに「何やってんの」ってつっこんできますね。

「打撃の中心になって今シーズンを戦っていきたい」

チームの打の中心を目指す

――昨年中軸を打っていた選手が抜けてしまいました。この点をどのように捉えていますか

自分が中軸を打てればいいと思っています。

――やはりクリーンアップを打ちたいという思いは強いですか

自分がクリーンアップを打たなければいけないと思っています。4番を、というこだわりはないんですけど、中軸を打たせてもらうということでモチベーションにもなります。プレッシャーはかかると思いますがその中でも成績を残せたら自信になるので、ぜひ打ってみたいです。

――1年間試合に出ていい投手だと感じた投手は

山崎福也(明大)がいい投手だなと思いました。

――昨春は山崎投手から本塁打を放っていますが、春と秋では違いましたか

はい。春と秋で全然違ったというのが自分の中で衝撃でした。春よりも球の威力だったりキレだったりがあったように感じたので気を付けていきたいです。

――今季特に意識する大学は

やっぱり明大です。ずっとしぶといイメージで、昨年も4戦目までもつれたこともあったので、粘り負けないようにしたいという意味で明大です。

――小野田選手から見た早大投手陣は

他のチームからすれば本当に怖い投手陣だと思います。昨季は有原(航平、スポ3=広島・広陵)、吉永(健太朗、スポ2=東京・日大三)が投げていましたが、その2枚がしっかり試合を作ってくれたことが勝利につながったと思うので、安心して後ろで守っています。

――どのような打線を目指したいですか

昨季よりは長打を期待できる打線ではないので、つなぐ意識が必要だと思います。

――打撃成績で一番こだわりたいのは何ですか

打点ですね。やっぱり昨季は杉山さんが一人で打点を稼いでくれていたので。その分少しでも自分が補いたいなという思いが強いです。

――今季達成したい数字は

打率は最低でも3割は打ちたいというのと、打点は10というのを目標にやっていきたいです。本塁打は打てたらいいな、くらいですね。

――以前「本塁打はしっかり叩くことができた結果」という風におっしゃっていましたが、いまも変わっていませんか

そうですね。感覚でなんですけど、本塁打にできそうなタイミングで振り出したときには打球上がってくれ、みたいな感じで振っていますが基本はしっかりボールを捉えることを考えています。ゾーンに来たときだけ、本塁打になったらいいなという感じです。

――最後にリーグ戦へ向けて意気込みをお願いします

新チームになってこれからオープン戦を通じて戦い方が確立していくと思うんですけど、その中で打撃の中心になって今シーズンを戦っていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 塩澤毅志)

小野田

◆小野田俊介(おのだ・しゅんすけ)

1992年(平4)10月15日生まれ。182センチ、80キロ。社会科学部3年。外野手。右投右打。「昨秋はチャンスで全然打てなかった」と話した小野田選手。そのことを仲の良い大野大副将にいじられていたようで、「散々言われたので見返したいです!」と汚名返上を宣言。色紙に迷わず書いた言葉も『勝負強さ』でした。