【連載】『真の王者への道』 第7回 土屋遼太

野球

 昨季は初のスタメンマスクをかぶるなど、大きな経験を積んだシーズンとなった土屋遼太(教3=東京・早実)。正捕手の座が空いたことで大きなチャンスとなる、今季への思いを聞いた。

※この取材は2月25日に取材したものです。

「次は自分が試合に出て日本一になりたい」

冷静な顔つきで熱い思いを語る土屋

――大学に入ってからのこの2年間を振り返っていかがですか

一番思うことはあっという間だったなということです。もう3年生かという感じです。

――2年間で一番印象に残っていることは何ですか

やっぱり日本一になったときのメンバーの一員になれたことが本当にうれしく思っています。

――日本一になった瞬間のことをいま振り返ってみてどうですか

うれしかった反面、もちろんレギュラーで出ていたわけでもないし、頻繁に出ていたわけでもないので、次は自分が試合に出て日本一になりたいなと思いはあります。

――昨秋は地引雄貴選手(平25スポ卒=現東京ガス)のケガの影響もありスタメンマ
スクをかぶりました。初スタメンの試合を振り返ってみてどうですか

めっちゃ緊張しました。でもそういうときのために練習をしてきたので、緊張はしていましたけど不安っていうのはなくて、すごく楽しかったです。

――同期の有原航平投手(スポ3=広島・広陵)をリードしましたが

有原は誰が見てもいいピッチャーなので、そんなに苦労することもなく、逆に助かりました。

――安打もありましたが、打撃面を振り返っていかがですか

あれはもう、たまたま出たものだと思っているので、何も感じていないです。バッティング面はどうでもいいかなというぐらいです。

――リード面を重視していたということですか

そうですね。

――昨季は比較的若い投手陣でしたが、同期や後輩をリードするのと、先輩をリードす
るのとでは違いはありますか

後輩といっても吉永(健太郎、スポ2=東京・日大三)にしても内田(聖人、教2=東京・早実)にしても大舞台を経験しているピッチャーなので、余計な気を使うこともなく、堂々と投げてくれるのでそんなに特別に行ったことも言ったこともないですね。

――ことしの卒業生の方々から何か学んだことはありましたか

去年の4年生は「自分たちが一番苦しむ」というテーマでやっていたので、本当に4年生が引っ張るのはこういうものなんだなというのを学んだので、上級生になったので3年生としてもそういう人物になりたいなと思います。

――いまのお話にもありましたが、2年前のルーキーの取材の際に、「自分は引っ張っていくタイプ」とおっしゃっていました。そういう気持ちはいまもありますか

できることならそうしていきたいので。それには色んなことをちゃんとやらないと何にも言えないですから。そういう気持ちはあります。

――どういう風に引っ張っていきたいですか。言葉とかでしょうか

いや、プレーで。そんなに自分はしゃべる方じゃないと思うので、どちらかというとプレーですね。

ライバルは「キャッチャー全員」

開幕スタメンの座を狙う

――おととしの市丸大介(平24教卒=現東芝)選手、さくねんの地引選手、それぞれ
の正捕手はどのようなキャッチャーだと思いますか

市丸さんは守備のイメージがあって、配球でも何を考えているかわからないことがあったり、すごいその場で機転が利くようなキャッチャーでした。地引さんはちょっと変わっていて、三拍子そろっていて、キャッチャーでは珍しいかなと、すごいなと思っていました。

――2年間でお二人から学んだことはありますか

技術面は特になんですけど、他にも配球であったり、試合中の考え方であったり、ピッチャーとのコミュニケーションのとり方だったり、技術面よりも目に見えないことの方が多かったですね。

――自分のキャッチャーとしての持ち味は何だと思いますか

送球の安定感と球を捕ってから投げるまでのスピードっていうのはずっと自信にしているんですけど、もっと強みにしたいのは配球、試合中に使える考え方をもっと武器にしたいなと思っています。

――配球はやはり試合中に身に付けていくものなのでしょうか

どんどん経験して失敗しないと、「あ、いまの間違えた」って思わないと間違ったものがずっと正解だと思っていたり、することの繰り返しだと思うので、経験することが一番の近道だと思います。

――理想のキャッチャー像はありますか

谷繁選手(元信、プロ野球・中日)ですね。あの人は1試合ずっと後ろで見ている審判ですら、何を投げてくるか分からないという感じらしいんですけど。後ろで見ている審判ですら分からないのに、相手からしたら本当に分からないだろうなと思います。そういう「お前何考えているか分かんねぇよ」っていうようなのが結構好きなので谷繁選手はいつも見ています。

――チーム内でのライバルはいますか

キャッチャー全員です。本当にそうです。

――特にこの人っていうのはいますか

いや、みんな負けずとやってくると思うので、それを見て自分に負けないように、自分に妥協してしまうことに負けないようにっていうのは常に意識しています。

――キャッチャー以外でも同期でライバル意識がある人はいますか

キャッチャーじゃないとあまりそういう意識はないんですけど…。野手じゃないんですけど、投手で鈴木(健介、教3=東京・早実)っていう自分と同じ高校の人がいるんですけど、あいつもがんばっているので。ピッチャーとキャッチャーで違うんですけど、自分も負けないようにメンバーに入って、最終的にバッテリー組めたらなって思っています。

「1点へのこだわり」

――ことしの春の全国選抜高校野球に母校の早稲田実業の出場が決まりました

うれしいです。素直にうれしいですね。がんばってもらいたいです。

――冬の間は何を強化されていましたか

細かいことを全部。例えばキャッチャーは下半身をどのポジションよりも使うと思ったので、それを毎日みんなでトレーニングしたりとか。それだけじゃなくて、さっき自信を持っていますと言った、捕ってから投げるまでのスピードもそうですし、全てを毎日毎日反復することを意識して、とにかく繰り返す。技術面のほうですね。

――沖縄キャンプも控えていて、オープン戦も始まりますが、特に強化したいことはあ
りますか

ことしのチームは個人的なことより、去年からずっと出ている選手が少ないので、そういった新しい選手が入った中での、勝ち方、どうやったらこのチームが勝てるのかっていうのをみんなで、分かればいいかなと思います。

――新しく主将に就任した東條航主将(文構4=神奈川・桐蔭学園)はどのような主将
ですか

とにかく責任感が強くて、意識を高くやってくれていて、後輩の面倒も見てくれるし、自分もしっかりしなきゃと思っているみたいですし、すごい東條さんでよかったなと思います。責任感があるっていうのが一番ですね。

――去年のチームとことしのチームでは何が一番違いますか

1点へのこだわりがことしは特に強いと思います。去年は外から見ていてもすごい打つチームだったんですね。でもことしは、まだわからないですけど、顔ぶれを見たら3、4、5(番)が抜けていたりするので、そういう意味ではより1点を大切に1点をしっかり取ろうという、1点へのこだわりがすごい強いと思います。

――地引選手が卒業されて、正捕手の座が空きましたが、正捕手への思いはどのぐらい
強いですか

それはもう強いっていうレベルじゃないです。絶対とりたいですね。

――最後に今春の目標をお願いします

まずはリーグ戦優勝が先で、その後が日本一。その中で自分が試合に出て、日本一を取れればいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 高橋千秋)

土屋

◆土屋遼太(つちや・りょうた)

1992年(平4)7月20日生まれ。173センチ75キロ。東京・早実高出身。教育学部3年。捕手。右投げ右打ち。同期の有原投手とよくボーリングに行くという土屋選手。「(有原は)強いですよ。器用なので」と負けてしまうことが多いそう。土屋選手は、バッテリーを組む有原投手の女房役でもあり、ライバルでもあるようです!(笑)