チーム力磨く宮崎キャンプ

野球

※この取材は3月10、11日に行われたものです。

 春季リーグ戦の開幕まで1カ月を切った。緊張感の増す中、実戦を意識した練習が行われている宮崎キャンプ。この冬個々の能力を伸ばしてきた選手たちが、チーム力の向上に励んでいる。この日からはロサンゼルスキャンプ参加メンバーも全体練習に合流。野球の本場で得た経験を持ち帰り、チームに新しい風をもたらした。国内に残り練習してきた選手たちの活気とも相まって、練習の雰囲気はより良いものとなっている。

 投手陣は午後から室内、ブルペン、そしてグラウンド周辺へとそれぞれ分かれて練習を行った。吉永健太朗(スポ3=東京・日大三)や内田聖人(教3=東京・早実)が取り組んでいたのは、坂道でのダッシュ。メニューを考案した学生トレーナーの安達玄(スポ4=宮城・白石)は今回のキャンプの目標として、「試合に向けてのコンディション作り」を挙げた。長いリーグ戦を戦い抜くためには、体力の増強が不可欠だ。一方ブルペンでは、吉野和也(社2=新潟・日本文理)、竹内諒(スポ2=三重・松阪)などの下級生が好調ぶりをアピール。熱を帯びてきた先発争いからも目が離せない。

坂道をダッシュで駆け上がる吉永と内田

 野手陣も着々と調整を進めている。中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)、茂木栄五郎(文構3=神奈川・桐蔭学園)の2人は昼休憩を返上し、約30分もの間熱心にフリー打撃を行った。中村は徳武定祐特別コーチ(昭36商卒=東京・早実)からも「ナイスバッティング」と声をかけられるほどの大きな打球を連発。その隣では茂木も負けじと快音を響かせる。昨季は故障のため長期離脱を余儀なくされたが、このまま終わることはできない。「なんとしてもチームに貢献したい」――打ち損じると悔しそうに天を仰ぐ仕草から、今季に懸ける思いを感じさせた。午後は全体での打撃練習と走塁練習、そして自主練習。お互いにアドバイスを送り合う様子が何度も見られ、「いい雰囲気」と選手たちも口々に評した。

投手のモーションに合わせて盗塁練習が行われた

 自主練習の際にも、打撃、守備、スローイングなど、自らの課題を克服すべくしっかりと工夫していた選手たち。「一人一人がチームのために何ができるかということを考えて技術でも思考でもレベルアップしていければ」(中村)。選手、スタッフ、コーチ陣。野球部に所属する全ての人が、ひとつの目標のために、学年や立場を超えて一丸となる。それぞれの役割を果たし、念願の日本一へ――。ワセダの戦いはもう、始まっている。

(記事 芦沢仁美、写真 田島光一郎、三井田雄一)

※記事中の学年は新年度のものです。

コメント

中村奨吾主将(スポ4=奈良・天理)

――ロサンゼルスから直行で来られたと思いますが、疲れはありませんでしたか

自分は時差ぼけとかはなかったので練習にも普通にそのまま入れました。疲れはそんなにたまっていないのですが、おとといときのうはロサンゼルスメンバーは調整であまり動けていなかったので、あまりいい動きは出せなかったです。みんな声も出ていたと思うのですが、まだ連携など実戦の中での声というのは出ていないと岡村監督(猛、昭53二文卒=佐賀西)から言われたので、もっとそちらに切り替えていければいいかなと思います。

――きょうも連係プレーの練習がありましたが、チーム力をつくっていこうという狙いなのでしょうか

そうですね。

――キャンプとしては数をこなす目的があるのでしょうか

今回のキャンプに関しては数をこなすというより実戦の練習が多くなってくるので、実戦の中での経験や声掛け、連携のレベルを高めて試合に生かしていきたいです。

――強化期間ということで普段との違いはありますか

環境も違いますし、メンバーをしぼったキャンプなのでみんながチームに貢献するという気持ちを持って高い意識でやっていければと思います。

――宮崎から新たに合流してきたメンバーの様子はいかがですか

東伏見でしっかり練習して選抜されたメンバーで来ているので、きのうもしっかり練習できていましたし、元気も出して体も動かしてくれていると思います。

――新しい流れをもたらしているといった様子でしょうか

東伏見からいい雰囲気で来てくれて、自分たちがロサンゼルスで試合も勝ち越せていい流れで来ているのでプラスとプラスでもっと雰囲気を良くしていければと思います。

――昼にはコーチから呼ばれて打撃を行っていました

この冬ずっと取り組んでいることが今いい感じでできているのでしっかり崩さずこのままやっていこうということを言われました

――取り組んでいるのはどのようなことでしょうか

悪い癖がたまに出るので矯正しながら練習している感じです。

――柵越えする打球も多くありました。狙っていたのでしょうか

最後らへんは狙っていたものもありましたが、狙わなくてもしっかり振り切れば打球も飛んでいくようになってきていますし、しっかりとした意識を持っていればスタンドに入らなくても打球は伸びていくんじゃないかと思います。

――実戦も徐々に始まっていく中でこの合宿を通じてチームをどういう風に成長させたいですか

一人一人がチームのために何ができるかということを考えてもっと全員が技術でも思考でもレベルアップしていければ、このキャンプもいいものになるんじゃないかと思います。

安達玄トレーナー(スポ4=宮城・白石)

――宮崎でのキャンプは4日目になりますが、雰囲気はいかがですか

ロサンゼルス組が昨日から合流したんですが、アメリカの選手や環境に触れてきて、非常にモチベーションの高い状態を国内組にも持ち込んでくれて、すごくいい雰囲気で練習できています。

――今回のキャンプのねらいは

実戦を意識した練習で、ゲーム形式であったりとか、サインプレーであったりとか、そういったリーグ戦に直結するような練習をテーマにしてやっています。

――監督やコーチとはどのような打ち合わせをなさいましたか

僕はトレーナーとして選手のコンディショニングを担当しているんですけども、いま必要な体力づくりであったりとか、試合に向けてのコンディション作りをしています。具体的には肩甲骨のトレーニングや、体幹のトレーニングや、実戦を意識したダッシュのランニングメニューなどを僕からは提案しました。

――練習のメニューを決めるのもトレーナーの方がされいるのですか

練習の中にトレーニングの部分があるので、そちらの方は僕が作っています。監督からの要望もありますし、僕から「この時期はこういうことをしたいから、こういう風なことをさせてくれ」と提案することもあります。

――投手陣のランニングのタイムキーパーをなさっていましたが、この選手が特に頑張っていた、というのはありますか

みんな頑張っているんですけども、特に新4年生の髙梨雄平(スポ4=埼玉・川越東)、安達公亮(スポ4=埼玉・早大本庄)、新2年生では吉野和也(社2=新潟・日本文理)、僕が見る限りではこの3人は特に頑張っていましたね。

――同じ学生という立場だからこそ、普段選手と接する時に気にかけていることはありますか

学生であるメリットもありますし、デメリットもあります。一番のメリットは距離が近いということで、たわいもない話から相談に乗れたり、選手の声を実際に聞いてかたちにしやすい、メニュー化しやすいということだと思います。デメリットとしては近すぎるがゆえに雰囲気が緩くなってしまったりだとか、締まりがなくなってしまったりしてしまうところ。それがとても難しいところであり、同時に面白いところかなと思います。

――トレーナーとしてのやりがいを感じる瞬間はどんなときですか

個人的に見ている選手もいますし、チーム全体としてもトレーニングの効果が見えた瞬間ですね。。今までやってきたトレーニングの効果が出てきて、選手から「これがよかった」、「こういうことができるようになった」と言われたり、実際にプレーに現れて目に見えるようになるっていうのが一番面白いですし、やりがいを感じます。

――今季の目標を教えてください

チームとしてもそうですが、日本一を取る、ということ。また僕としては、学生野球界のリーディングチームということで、トレーニングやコンディショニングにおいても全員が意識を高くもったチームづくりを目標にしてやっていきたいと思います。

有原航平(スポ4=広島・広陵)

――ロサンゼルスから移動して、疲れはありますか

体は疲れていると思いますが、キャンプは体を厳しくいじめて鍛えるという目的もあると思うので、しょうがないかなと思います。

――宮崎の気候はいかがですか

朝晩は意外と寒いですが、日中は暖かいですね。いい練習ができていると思います。

――ロサンゼルスと比べると寒さはありますか

ロサンゼルスは暖かったので、それに比べると寒いですが大丈夫な範囲です。

――ロサンゼルスキャンプの手ごたえは

抑えることができたので、自信になりました。

――現在はどういったことを練習されていますか

シーズン近づいてくるので実戦を意識して、投げ込みを多くしています。

――球数などで目標にしている数字はありますか

球数はあまりありませんが、3日4日と連続してブルペンに入ろうと思っています。

――仕上がりはどれくらいでしょうか

5割6割くらいですかね。

――きょうの試合は振り返ってみていかがですか

球が高めにいっていたので、詰まらせても安打になってしまいました。きょうの結果はちゃんと受け止めて、低めに投げて次からしっかり抑えられるようにしたいです。

土屋遼太(教4=東京・早実)

――ロサンゼルスキャンプが行われていた時期は、日本でどのような調整をされていたのですか

けがで少し出遅れていたのでまだ実戦には早いかなという判断で日本に残っていたので、調整ではなく、しっかりとした強化を意識してやっていました。

――宮崎キャンプも4日目となりましたが、環境はいかがですか

グラウンドは最高です。野球をやるにはうってつけで、常に野球のことを考えられる環境だなと思います。

――土屋選手自身、またチーム全体の状態はいかがですか

自分はまだ出遅れているという感覚がありますが、チーム全体はバットも振れていますし、投手もなかなかいい球を放っていると思うので、いい方向に向いているかなと思います。

――キャンプ中はどのような練習を中心に行っていますか

キャンプ中は主に実戦練習です。東伏見は寒くてあまり実戦練習ができなかったので、暖かいところできょうのようなオープン戦であったり、実戦を意識した練習をやっています。

――トスバッティングではさまざまな方向から球を出す工夫をされていました。どのようなことを意識されていたのですか

どうしても早く体が投手の方向を向いてしまうと思うようにバットを使うことができないので、そのために後ろから球を投げてもらって、なるべく我慢してから手だけを出すように体の開きを抑える練習をしていました。

――フリーバッティングでは他の選手たちよりもバントの練習を多く取り入れられていました。バントに対する意識が強いのですか

バントへの意識は強いですね。おそらく周りの選手よりもする機会が多いですし、他の選手ならば打てという場面でも、自分ならバントかなというタイプなので、特に多く練習していました。

――これからもオープン戦が続いていきます。リーグ戦に向けてどのように仕上げていきたいですか

自分は周りよりも遅れている分、もっともっと実戦を意識して練習することがより大事だと思うので、人一倍そういった意識を強く持って、リーグ戦までに状態を良くしていきたいと思います。

河原右京(スポ3=大阪桐蔭)

――ロサンゼルス遠征に参加せず、どのような練習をなさっていましたか

東伏見で調整していました。けがをして出遅れていたので、体作りから始めて調整していました。

――現在の調子は

完璧ではないですが、順調に仕上がっている感じです。

――今キャンプ、チームとして取り組んでいることは

ミーティングなどでも監督さんが、「ワセダらしい野球をやろう」と言っているので、一つのボールにがむしゃらに食いついていく野球を目指し、練習でもそれを目指しています。

――個人として取り組んでいることは

いま守備の面でもなんですが、打撃を特に磨いています。チャンスで打てるような打者になりたいので、バットを振り込んでいます。

――きょうの練習内容は

午前中は実戦が主で、午後からは打撃が主な練習でした。

――きょうの練習などへの手応えは

ぼちぼちです。

――コーチからアドバイスなどは

特にないですが、まあ思いっきり振れといった感じです。

――ポジション争いが激しいですが、アピールしたい点はどこですか

守備でもみんなから信頼されるようになりたいですし、その中でも常に打てるような選手というのを目指しています。

重信慎之介(教3=東京・早実)

――ロサンゼルスキャンプを終えられての手応えはいかがですか

自分の勝手なイメージで外国の選手はバットを大きく振ってくるというイメージがあったのですが、3番や4番でも積極的にセーフティバントをしたり、思ったよりも小技も使ってきました。それは天然芝で打球が死んでセーフティバントが成功しやすいというのもあるのですが。低い打球で相手の嫌がるようなことをしてくるようなチームばかりだったので、やっぱりそこは見習わないないといけないですし、自分も2番打者として打球を転がして相手の嫌がるようなことをするのが仕事なので、大いに勉強になりました。

――キャンプから宮崎に入られたわけですが現在の体調や調子はいかがですか

疲れてないと言えばうそになりますけど、それは仕方のないことなので疲れているとは言いません。調子自体はいいですね、

――宮崎ではどのような点を確認、調整したいと考えていますか

先ほども言ったんですけどセーフティバントであったり、自分の中のかたちというものがあって、日頃チェックしているポイントを意識しながら自分のかたちを確立していきたいと思います。

――今日は全体練習のあと残って打撃練習をされていましたが

ロサンゼルスで感じは良かったのですが、実際に試合でのヒットは2本だったので、自分の中で納得はしていなかったので、ロサンゼルスでのずれのようなものを修正していきたいなと思ってやりました。

――そのずれの修正に関して監督やコーチから何かアドバイスはありましたか

具体的にずれというのは、自分の感覚の中でなのでそういうアドバイスはもらってないですけど、自分に求められるものである相手の嫌がること、ゴロを転がして足を使うことにつながるようなアドバイスはいただきました。

――あすもオープン戦があり、オープン戦でシーズンに向け実戦機会も増えていきますが、どのようなプレーをしていきたいですか

相手に嫌がられるようなプレーであったり、相手に嫌がられるような選手を目指してやっていきたいなと思います。

茂木栄五郎(文構3=神奈川・桐蔭学園)

――キャンプ3日目を終えました。調子はいかがですか

まずまずです。これから試合に向けて、調整できればいいかなと思っています。

――スローイングの練習を多くされてました

そうですね。自分は1年のときから守備が課題でした。特にスローイングが課題だったので、今年は3年という立場でなんとしてもチームに貢献したいと思うので、そこは改善していきたいなと思います。

――監督からも指導されていました

監督から特にスローイングについての指導は多いです。監督もスローイングに関しては面倒を見てくださっています。

――ロサンゼルス遠征は参加しなかったということですが、その期間はどう過ごしていましたか

東伏見で練習していました。ロサンゼルスに行けなかったメンバーで、ロサンゼルスに行った人と同じ気持ちで、リーグ戦に向けて自分たちで調整していました。

――個人としては宮崎キャンプはどのようなテーマがありますか

リーグ戦に向けて自分なりの良い状態を作っていきたいです。打撃のかたち、守備のかたちをリーグ戦までに確立させたいなという課題を持って取り組んでいます。

――きょねんの秋には故障されていましたが、いまはその影響はありませんか

はい。試合には出られると思うので、頑張っていきたいと思います。

――離脱の要因はどのようなものでしたか

故障というか、病気というか。一応入院していて、リーグ戦の時は治っていたのですが、ずっと入院していたので、調整が遅れてリーグ戦は出られなかったという感じです。

――ことし1年間はポジション争いもあると思いますが、どういった意気込みで臨んでいますか

まずは試合に出ることを目標にやって、試合に出られたとしたら、チームの勝利に貢献できるような働きをしたいです。それとともに上級生になったということで、ある程度チームを引っ張る立場になり、チームを引っ張っていかなければいけないなという自覚が生まれたので、後輩に見られても恥ずかしくないようなプレーをしていきたいなと思います。

――今後はオープン戦も続々と始まってきますが、どういうアピールをしたいですか

リーグ戦で出てくるようなレベルの投手が多く投げてくると思うので、その投手に対してどれだけ自分の打撃をしてアピールできるかというのを目標にやっていきたいと思います。

吉永健太朗(スポ3=東京・日大三)

――きょうの練習メニューは

きょうはシートバッティングに投げさせてもらって、宮崎に来てから初めてマウンドに上がりました。内容は四球を出してしまってあまり良くはなかったのですが。暖かくなってきたので、体が動いてボール自体は良かったんじゃないかなと思います。

――きょうはブルペンでは投げたのでしょうか

シートバッティングで投げて、少しピッチングしました。

――きょうのピッチングの状態は

制球はあまり良くなかったのですが、ボール自体は良かったです。

――ロサンゼルスには行かず宮崎からの合流でしたが、その間はどのような過ごし方を

けがをしていた訳ではないので、ピッチングをしたり走り込みをしたりという感じです。

――2軍のオープン戦で投げたりはしましたか

はい、投げました。調子はまあまあでした。

――チームは強化期間ですが、このキャンプをどのように過ごしたいですか

やはり暖かいところでやらせてもらっているので、どんどん投げ込んで連投できるような体をつくっていきたいです。

――中村主将がチーム力の向上をテーマにしていますが、チームの雰囲気は

そういうテーマでやっているので、声もよく出ていて良い雰囲気だと思います。

――オープン戦を前に投手陣の調子も上がってきています。吉永選手はどのようなアピールを

スピードはそんなにないのですが、真っすぐのキレでどんどん押していって、持ち味の変化球を投げられたらいいなと思います。

――先発は譲れないという気持ちでしょうか

はい、それは譲れないです。先発じゃないと楽しくないので。先発に懸ける思いは強いです。