11回の死闘を制し、勝ち点奪取!/立大3回戦

野球
TEAM 10 11
早大
立大 1×
有原、○横山―土屋

 回を重ねるごとに大きさを増す歓声。延長11回、1死3塁の場面で球場の雰囲気が最高潮に達する。11イニング目に入っても力強さを失わない澤田圭佑の120球目、土屋遼太(教3=東京・早実)の打球は前進していた遊撃手の前へ。本塁を目指す三塁走者・重信慎之介(教2=東京・早実)の足が勝るか、送球がそれを阻むか――。次の瞬間広がったのはワセダの歓喜の輪。送球は高くそれ、悲鳴と喝采の中、重信はサヨナラのホームを踏んだ。

ピンチをしのいだ横山

 両校にとって負ければ優勝戦線から大きく後退することとなる大一番。必勝を期してマウンドに送られた有原航平(スポ3=広島・広陵)は毎回のように走者を背負う苦しい場面が続く。だが点を先にやるわけにはいかない。走者を許しても「点をやらなければいい」(有原)と強気の投球で2つの併殺を奪うなど打たせて取る投球で本塁は踏ませない。8回まで無失点を守ったエースの好投を受け、9回、先頭に安打を浴びたところで守護神・横山貴明(スポ4=福島・聖光学院)がマウンドへ。併殺でピンチの芽を摘み取ると、その後も3イニングを無安打に抑える好救援で打線にサヨナラへの勢いを与えた。

 一方の打線は立大先発の澤田圭をなかなか打ち崩せない。3連投ながらもテンポ良く投げ込んでくる澤田圭の前に三者凡退のイニングは6にも及んだ。わずか4安打に終わった打線の中で一人気を吐いたのが重信。前日からのスタメン起用に3安打で応える。11回には先頭打者として中前打で出塁すると、盗塁で悪送球を誘い三進し、最後には歓喜の生還を果たした。巧打と俊足で勝利を呼び込んだ重信に岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)も「非常にいい働きをしてくれた」と9番打者らしいいぶし銀の活躍をたたえた。

猛打賞と活躍した重信

 11回の死闘の末にようやく2つ目の勝ち点をつかみ取ったワセダ。今季勢いに乗る難敵・立大に対し勝ち点を挙げ、優勝への希望がつながった。だが、この先も落とせない試合は続く。次週には春季リーグ戦で連敗を喫している法大戦が控えている。法大は好投手をそろえているだけに上位打線の復調がない限り、勝機を見出すことは難しくなるだろう。打線の立て直しが急務とされるいま、頂点を目指す中で勝利の余韻に浸る時間はない。

(記事 盛岡信太郎、写真 荒巻美奈)

コメント

岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)

――勝利して一言お願いします

これでまだ優勝への望みがつながったということで、また練習して次に臨みたいと思います。

――最終回は先頭の重信選手(慎之介、教2=東京・早実)が一人当たっていて、安打で出塁しました

きょうはヒット4本のうち3本は重信ですから、彼が9番にいて先頭に回ったときは1番と同じなのでね。非常にいい働きをしてくれたと思います。

――9回表は先頭を安打で出塁させたところで横山選手(貴明、スポ4=福島・聖光学院)を投入されました

7回以降は代えるタイミングがくるのではないかと考えていたのでね。前の回に有原(航平、スポ3=広島・広陵)が出塁して得点できずに、先頭にヒット打たれたということで気持ち的にも体力的にもいっぱいかなということで代えました。

――打線としては先ほど言われた通り4本しか安打が出ませんでした

相手の澤田圭佑くんも非常にタフな投手なのでね。いいピッチャーですから、なかなか打てませんでした。澤田圭くんはよく頑張ったと思います。

――最初も言われましたが、優勝への望みがつながりました

そうですね。今週末はまた法大戦がありますので、全力で戦いたいと思います。

東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)

――まず勝ち点を取った感想をお願いします

うれしいの一言です。

――きのうは敗戦しましたがきょう試合に入る前にチームで話し合ったことはありますか

きょうは立大もワセダも勝ち点落としたら優勝が遠のく試合だったので、とにかく気持ちが強い方が勝つと言っていました。メンバーでもメンバー外でも関係なく、勝つという気持ちをそろえてチーム一丸となって戦っていこうという話をしました。

――延長に入る時にチームに何か声をかけましたか

ここまできたら野球の神様がどうにかしてくれるから、いままでやってきたことを信じてなるようになるっていう気持ちで、とにかく気持ちで負けないようにと話しました。

――ベンチの雰囲気はいかがでしたか

いままでで一番良かったんじゃないかなと思います。本当に声を出していたので、気持ちのこもったいいベンチでした。

――サヨナラの場面を振り返っていかがてすか

この夏は一死三塁とか、一死一、三塁などの場面をひたすら練習してきたので、きのうから何度もそういうチャンスはあったんですけど、最後にいままでやってきた練習の成果が出て良かったなと思いました。

――澤田圭選手をなかなか打ち崩すことができませんでしたが、打線に焦りなどはありましたか

焦りというか…焦り自体はなかったんですけどほんとにいい投球をしてきました。今後もああいう気持ちの入った投手が出てくると思うので、それに負けないようにこれからもしっかりやっていきたいと思います。

――横山選手の好投が大きかったと思われますが、後ろから見ていていかがでしたか

本当に有原が気持ちをこめて横山にボールを渡していたので、横山もそういった気持ちを感じたんだと思いますし、四年生としての意地もあると思うので、見ていて言葉にならないような、鳥肌が立つような投球でした。

――東條主将はきょうは八番での出場となりましたが

もう打順は気にしてても仕方ないので、どこで打とうが自分のやることは変わらないです。まあ、きょうは全然だめだったんですけど来週がんばります。

――来週の法大戦に向けての意気込みをお願いします

本当に早慶戦へ優勝の望みをつなぐために、絶対に2連勝で締めたいと思います。

横山貴明(スポ4=福島・聖光学院)

――3回投げてひとりも塁に出さない見事な投球でした

前回よりも調子が良くてがんがん攻めていけたので、本当に良かったです。

――制球もすばらしかったです

前回はなかなかうまくいきませんでしたが、今回はブルペンでしっかり調整する時間があったので。

――9回に有原投手が打たれてすぐの登板でした

監督にはピンチになったら代えると言われていたので、気持ちの準備はできていました。

――岡部選手の打席をふりかえると

1点もやれない状況でした。バントも可能性としてはあったんですが、ヒッティングだったので、内野ゴロ打たせようと、変化球をしっかり低めに投げれました。

――外角狙いが多かった印象ですが

そうですね。結果的にそうなった感じです。

――前回に続き好救援で、ドラフトに向けてさらなるアピールになったのでは

それはおまけでついてきたらいいなという感じですね。あとはチームのために良い結果が出て、それで評価してもらえるのが良いですね。

――有原投手と横山投手の必勝リレーが見えてきましたが、今後に向けて意気込みをお願いします

先発がピンチを作ったところで自分がしっかり抑えるというのが役目だと思っているので、そのような場面は今後もあると思いますが、しっかり結果が出せるように準備していきたいと思います。

有原航平(スポ3=広島・広陵)

――負けられない一戦、どのような気持ちでマウンドへ向かいましたか

今までも3戦目を投げさせてもらって、でも1回も勝ったことがなくて、調子も良くないのでとにかく粘っていこうと思って投げました。最後は横山さん(貴明、スポ4=福島・聖光学院)に助けてもらって、とりあえず抑えることができて良かったと思います。

――2回以降は毎回走者を背負う苦しい展開でした

立大は打撃も良いので、ランナーを出してからが始まりだ、というくらいの強い気持ちを持って投げました。

――走者を出してからの切り替えがうまくいったのですね

そうですね。ランナーを出しても点を取られなければ良いのでそう思って投げました。

――重信慎之介(社2=東京・早実)選手の好返球など守備にも助けられました

きょうはもうバックの人たちに感謝しています。

――三振は2個と打たせて取る投球が見られました

その方がリズムも良いと思うので、三振の数はこだわっていないので大丈夫です。

――相手も好投手で緊迫した投げ合いでしたが戦っていていかがでしたか

0(点)に抑えれば絶対点を取ってくれると思っていたので、本当に勝てて良かったです。

――横山選手に交代する時何か声はかけられましたか

声はかけなかったんですけど、横山さんは抑えてくれると思ってたので、やはり抑えてくれて助かりました。

――次週の法大戦へ向けて

法大戦ではもっと被安打少なく、テンポの良いピッチングをしたいと思います。

重信慎之介(教2=東京・早実)

――壮絶な一戦を振り返っていかがですか

とにかく試合前から絶対勝ちにいくという話をチームでしていたので、かたちは気にせず、自分の中でもとにかく相手に向かっていこうという思いでした。

――澤田圭投手から3安打を放ちましたが、対策などは何かあったのですか

いや、もう気持ちで打ちました。

――遊撃ゴロでサヨナラのホームインとなりましたが、あの場面では転がったら行こうと思っていたのですか

はい、そう決めていました。

――生還した瞬間のお気持ちは

三塁にいる間は、心臓が口から飛び出るというのはこういうことか、というくらいしびれる場面でした。でもランナーコーチの冨永さん(圭太、スポ4=宮崎・都城商)をはじめ、ベンチとかスタンドを見ると、やってきたことを信じてやるしかないという気持ちで突っ込みました。(ホームに)入ったときはスタンド一体の歓声が聞こえて…言葉にできないです。最高でした。

――これで勝ち点獲得です。次の法大戦への意気込みをお願いします

優勝に向けて、絶対勝ちます。