真夏のサバイバル!軽井沢合宿に密着

野球

 秋季リーグ戦(リーグ戦)で春の雪辱を晴らしたいワセダが、昨年に引き続きことしも軽井沢合宿を行った。避暑地として名をはせる軽井沢だが、気温は連日の30度越え。照り付ける太陽に負けない熱い練習をワセダが繰り広げた。合宿を張るのは7日(水)から16日(金)までの9日間。合宿明けから始まる夏季オープン戦(オープン戦)に向け基礎練習から実戦形式のメニューまでみっちりと練習をこなした。

※この取材は8月13日に行ったものです。

坂道ダッシュで汗を流す投手陣

 チーム力の強化へ大事な期間となる今回の夏合宿。この日の午前中、野手陣と投手陣ともにシート打撃に臨んだ。守備に就く選手から「1点も許さないぞ」という声が聞こえるなど、試合さながらの雰囲気の中で行われた練習。昨年の春季リーグ戦以降登板機会から遠ざかっており首脳陣にアピールしたい安達公亮(スポ3=埼玉・早大本庄)は、低めの直球の制球がさえ渡り手応えを感じていた様子。練習後には小宮山悟特別コーチ(平2教卒)から握手を求められる場面も。一方、シート打撃に登板しない投手陣は走り込みに徹した。グラウンド周辺の坂道や隣接する陸上競技場で、ダッシュや長距離走に汗を流す。「坂道を走ることでだいぶ鍛えられます」と高梨雄平(スポ3=埼玉・川越東)も歯を食い縛りながら坂道ダッシュをこなしていた。

 暑さのピークとなった午後、野手陣はフリー打撃やトス打撃でとことん振り込んだ。打線強化へ向け、徳武定祐特別コーチ(昭36商卒)も選手の一振り一振りに目を光らせる。フリー打撃の脇で行われたトス打撃では、ペアになった選手同士が互いに鼓舞し合う。合宿の目的の一つでもある『チームの一丸力』が成果となって表れている証拠だ。最後の練習メニューである全体での素振りは計500スイング。滴る汗を拭いながらの素振りに選手たちも苦しい表情をのぞかせる。秋季リーグ戦では再起に期待がかかる投手陣も走り込みの他にサブグラウンドで連続ノックを行い、徹底的に自分たちを追い込んだ。

徳武コーチの指導を受ける東條

 「本当に充実したいい練習ができている」と語る東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)のこんがりと日に焼けた顔が、合宿の充実度を物語っている。夕食後には連日ミーティングを開き、上級生と下級生関係なく積極的に意見を交わすことで戦術の理解を図る。まさに文字通り野球漬けの毎日。覇権奪回に向けワセダが虎視眈々(たんたん)とその準備を進めている。

(記事 小川朝煕、写真 小川朝煕、井上雄太)

コメント

岡村猛監督(昭53二文卒=佐賀西)

――合宿も終盤になりましたが、軽井沢での練習はいかがでしょうか

順調に消化できているので、秋が非常に楽しみですね。

――高麗大との定期戦が終わって帰国後すぐに軽井沢に向かわれたということでしたが

高麗大との交流戦に行ったメンバーは移動日がオフ代わりということだったので、ちょっとつらい日程になりましたね。まあ、タフになってほしいというこっちの期待もあったので、あえてそういう過密なスケジュールを組みました。

――昨年の合宿ではコミュニケーションを大事にするということでしたが、それは継続されていますか

そうですね。ミーティングも毎日やっていますし、社会人でやっているOBが来てくれましたので、そういうOBたちからも話をしてもらうというミーティングの形態をとっています。

――昨年から復活した軽井沢での合宿ですが、何か新たな取り組みなどはありますか

いえ、特には目新しいものはありません。しかし、より実戦的な練習を多くやっています。

――それは春の結果を考慮しての判断でしょうか

日程的なものもありますし、春上手くいかなかったいろんなケースでの守備であったり打撃であったり、そういったものを実戦形式で練習しないとなかなか試合で役に立たないので。きょねん初めて(軽井沢に)来たときは、多少手さぐりで鍛えるっていう部分があったんですけど、当然鍛えながらも実戦重視というような形でやらせています。

――オープン戦も始まってきますが、何かこの合宿で見えた課題などはありますか

この合宿というよりは春が終わった段階で課題っていうものは見えていますのでね。得点圏にランナーを置いて、どうやって点数を取っていくか。それとピッチャーの制球、いかに低めに投げていくのか。大きな課題はある程度見えていますので、それは秋に向けてなんとか解消していきたいなと思っています。

――得点圏の走者をいかに帰すかということですが、シート打撃の際に内野ゴロで走者が帰ってきたら選手たちが打った打者に声をかけていた部分にも表れていました

なんとかランナーを三塁にもってきてね、ヒットでなくても点数を取ると。そのための打撃であったり走塁であったり、いろいろ練習していますのでね。そういったものをぜひ精度を高めたいなと思います。

東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)

――キャンプをここまで振り替えってみていかがですか

本当に充実したいい練習ができてるなと思います。

――練習はきついですか

きついですけど、チームがまとまっていく気がしてうれしいというか充実感に満ち溢れている感じです。

――ミーティングもたくさん行われているのですか

そうですね、ミーティングは多いと思います。軽井沢キャンプの目的として、チーム一丸力というのと、心身のスタミナ強化と、コミュニケーションという三つを挙げて、協力していろいろ強化するということで取り組んでいるんですけど、コミュニケーションに関しては本当に十分すぎるくらいできていると思います。

――手応えを感じた部分というのはありますか

ミーティングを、軽井沢の前から下級生がとにかく発言しやすいように上級生を中心にそういう環境を作ろうという話をしていて、それで下級生の発言が増えてきたというか下級生が発言するのに慣れてきたというのがすごくうれしいなと思います。

――東條選手自身がこのキャンプで向上したいと思っている点は

もうすべてにおいて監督さんから20%アップというのは言われているので、守備も打撃力も走力も全部20%アップ目指しています。

――キャンプの後はオープン戦が始まりますが、実戦のなかでできたらいいなと思っていることはありますか

軽井沢でチーム一丸力という目的のなかにチーム戦術の徹底というのもあるので、戦術面での練習もかなり積んでいるので、それをオープン戦で確認できたらなと思います。

冨永圭太新人監督(スポ4=宮崎・都城商)

――ことしの軽井沢キャンプにはどのような目標を持って臨まれていますか

春に負けて、秋は優勝するというのが一番の目標ですけど、それ以上にチームとして一つになるということを目的としてこのキャンプに臨もうというふうに決めてきました。

――具体的にはどのような練習に力を入れて取り組んでいますか

いままでリーグ戦が終わってから6月、7月は基本練習が多かったんですけど、こうやって全体で集まる時にはチーム戦術の確認であったり、その徹底というのを一番頭に置いてやっています。

――現時点で選手たちに練習の成果は見られますか

もともと小粒なチームなので、小粒なりの打線というかチームをいままで作ってきたつもりだったんですけど、できていなかったというのがあったので、それが一番一つになってきているというか、チームの打線が線になってきています。それが成果です。

――4年生にとっては最後のキャンプですが、指導をされるにあたって特別な思いはありますか

同期であって、選手とコーチという一線を引いた立場でやっているので、頑張って欲しいという気持ちもありますし、引っ張って欲しいという気持ちもあるので、やはり特別な思いがありますね。

――キャンプを通して、今後の活躍に期待を持った選手はいますか

正直個人的な選手はいないんですけど、各選手が本当に力を付けていますし、全員がよくやっているなと感じるので、一人一人に役割があると思うんですけど、それをリーグ戦でしっかりと果たせるようになってもらえればと思っています。

――もうすぐオープン戦が始まり、秋季リーグへと続いていきますが、目標と意気込みを教えてください

オープン戦で勝つというのはもちろん大事だと思うんですけど、それ以上に自分たちの一番の大きな目標はリーグ戦優勝なので、それにつながるような戦い方ができれば良いかなと思います。

江塚諭(スポ4=静岡・掛川西)

――チーム内で寝食を共にしながらのキャンプになっていると思います。キャンプを通してのチーム内の雰囲気はいかがですか

東伏見と軽井沢と、メンバーが分かれてしまったんですけども軽井沢で野球漬けの合宿を過ごせるという事で、心身ともにチームは強くなっているんじゃないかなと思います。

――きょうの練習を見ていても朝からこの時間帯までの長い練習の中で様々なメニューをこなされているように感じたのですが、どういった練習に一番重点を置いていらっしゃいますか

自分としてはバッティングを長い練習の中で一番大事にしていて、打てなきゃやっぱり勝てないので。そういう意味でバッティングに一番重点を置いています。

――江塚選手も4年生として最後のキャンプになると思いますが、キャンプとはどのようなものですか

キツイものです(笑)。オフがなくキツイものです。

――昼食前や先ほども徳武定祐特別コーチ(昭36商卒=東京・早実)から直接的な指導を受けていらっしゃいましたが、具体的にはどのような指導を受けたのでしょうか

力で飛ばすんじゃない。っていう事を一番言われていて。とても熱心に教えて下さっているので、自分も本当に徳武さんの教えを実行して、結果を残したいなと非常に思います。

――キャンプを通しての今後に向けての課題などはありますか

春のリーグ戦で出た課題の中で一番大きかったのが、監督さん(岡村猛監督、昭53二文卒=佐賀西)も仰っているんですけれど、『チーム一丸力』という言葉を使っているのですけれど、チームとしての力をもっとつけなければいけないなと思います。

――外野のレギュラー争いも活発で、この先もオープン戦が多くあると思います。アピールの場としてどういったプレーをしていきたいですか

守備で使われる機会が多かったので、守備のミスをなくすことはもちろんなのですけれど、先ほども言った通りバッティングで何とかチームに貢献できればと。頑張っていきたいなと思います。

――月末の六大学オールスターにも出場されるという事ですが、江塚選手にとっては地元になると思います。どのようなプレーを見せたいですか

あれは静岡枠で選ばれました。実力じゃないです。地元の友人であったり、恩師であったりいろんな方々が時間を合わせて来てくださるので。掛川西高校出身でワセダに行ったという事でその両方の校名に恥じないように頑張りたいと思います。

――秋のリーグ戦での優勝に向け、チームとしての決意も固まってきていると思いますが、秋のリーグ戦でチームとしてどんな野球をしていきたいか、そして江塚選手個人としての目標を最後に聞かせてください。

チームとしては本当に、個人的な感情もあるのですけれどメイジには負けたくないです。メイジに勝たないと優勝できないと思いますし、メイジに負けてしまったシーズンで優勝した覚えがあんまりないので。メイジに勝って、そうすればチームとしても勢いづくと思うので、メイジに勝つことをチームとしてやっていきたいなと。自分の目標としてはもう4年生の秋なので個人うんぬんというよりは本当に優勝できるために貢献していきたいと思います。

安達公亮(スポ3=埼玉・早大本庄)

――合宿のチームの雰囲気はいかがですか

朝から晩まで一緒にいるのでみんな一致団結して良い雰囲気になっていると思います。

――この合宿での安達さんの個人的な課題は何ですか

実戦でどれだけ投げれるかどうかを確かめることです。打者を想定して低めのストレートで勝負するという自分の持ち味を投げるよう意識しています。

――シート打撃の登板後に小宮山コーチからの指導はありましたか

小宮山さんが見てくれたのは久しぶりだったのですが、「まっすぐの威力が増していた。今日はナイスピッチング」と握手を求められたので嬉しかったです。

――重点的に行われている走り込みのメニューは誰が考案なさっているのでしょうか

基本的には学生コーチの方々が考えてくださっています。

――きょうも気温が30度を越えていますがどのような暑さ対策をなさっていますか

こまめに水分補給をするということと、一本一本をちゃんと走るために間隔を空けています。

――ちなみに一番辛いメニューは何ですか

100メートル、200メートル、300メートルと3人1組でやるスウェーデンリレーというやつです。

――合宿後に始まるオープン戦にむけて

2年の春季リーグ戦以降投げれていないので、秋季リーグ戦でチームに貢献できるように夏のオープン戦でしっかりアピールしたいと思います。

小野田俊介(社3=東 京・早実)

――軽井沢キャンプにはどのようなテーマを 持って取り組んでいますか

スイングを固めるということが軽井沢キャンプで の個人的な目標です。

――意識としては調子の良かった春のかたちを 取り戻すということなのでしょうか

春の後半のイメージをずっと持って練習をしてき ています。

――春の後半はご自身の中で理想のかたちだっ たということでしょうか

そうですね。右方向にも本塁打が出ましたし、自 分の打撃がすごくいい状態だったのは間違いない です。このスイングで振り込む中で、また力がつ いてくれば打球に勢いもついてくると思うので、 そういったかたちで秋に臨みたいと思っていま す。

――いまの調子はどのように感じていますか

実戦をそんなに多くやっていないのではっきりと はわからないんですけど、悪い状態ではないで す。春はだいぶ焦ってリーグ戦に入ってしまった ので、今シーズンはそういうことがないように気 をつけています。

――きょうの練習では相当振り込まれていたように感じました

きつかったですね(笑)。でもいまの時期に振り込 むということはスイングを固める上で大切なこと で、そこで適当にやっていたらフォームを崩して しまうので、一本一本自分のかたちを崩さないと いうことを意識してやっています。

――一日にどれくらい振り込んでいるのですか

きょうは千本くらい振っています。毎日ではない んですが、守備に特化した日と打撃の日があっ て、きょうはスイングを多くする日でした。

――少し前になりますが大学日本代表選考合宿 がありました。そこで感じたことは

自分よりうまい選手がたくさんいたということを 感じましたが、レベルの高い選手の中でやれたと いうのは自信が持てました。そこまで力が劣って いるというわけでもなかったので、来年はぜひ選 ばれたいなと思います。

高梨雄平(スポ3=埼玉・川越東)

――キャンプここまでを振り返ってどうですか

きついです(笑)。でも集中してできていますし、有意義になっていると思います。

――主なメニューは

走り込みと投げ込みです。最初の4日間は投げ込み中心で、後半は走り込みを多くやっています。

――重点を置いて鍛えている点は

ピッチングにつながる下半身の強化です。坂道を走ることで大分鍛えられます。

――手応えを感じる点は

体が疲れているのでボール自体はあまりよくないんですが、フォームを少し変えたりしています。疲れが抜けてきた時にどうなるのかなっていう感じです。

――オープン戦に向けて

春季リーグ戦は4位に終わってしまったので、とにかく優勝を狙いたいです。チーム内の争いは激しいですが、勝利に貢献できるような投球をしていきたいです。

吉永健太朗(スポ2=東京・日大三)

――今日の練習のメニューはどんなものでしたか

午前中ははフィールディングのあとで101球の投げ込みをしました。その後はトラックの走り込みをしました。午後は球場の周りの坂道を制限時間を決めてダッシュして、最後はノックを受けて終わりました。

――投球練習の中で何か意識したものはありましたか

調子がだいぶ上がってきたので、清水大輔さん(平16人卒=現JR東日本マネージャー)からミーティングで聞いた真っ直ぐのあとのカーブ、カーブのあとのスライダーといったような球種を切り替えたあとの反応を覚えるということを意識して投げました。

――今までの練習の中で中心になっていたのはどのようなメニューですか

軽井沢に来る前は走り込みで自分を追い込むということを考えました。投球に関しては、春以前は練習の間隔が長かったので、なかなかフォームが固まらなかったことを反省点にして、短い間隔で、自分のフォームを固めることを考えて練習しました。

――夏の間、課題にしていることはなんですか

個人的には、外されてしまった先発に戻るための練習をするということを意識しています。

――実戦からはしばらく遠ざかっていると思いますが、オープン戦の中で試したいことはありますか

シートバッティングや紅白戦では投げているので、実戦感覚は鈍っていないと思います。その中で走者を置いた時にどうするかということや、直球をしっかり低めに投げるということを考えているので、このままいければ、オープン戦でも結果を出せると思っています。

――今後に向けて一言お願いします

やっぱり先発で投げられるような選手になりたいので、それまでしっかり努力をして、チームの優勝に貢献したいです。