早慶戦展望

野球

 ことしもこの時がやってきた。東京六大学春季リーグ戦(春季リーグ戦)の第8週。残るは早慶戦のみだ。今季は大混戦となったが、第7週に立大が勝ち点をあげ、早大の優勝はなくなってしまった。しかし早慶戦は別物。互いの順位に関わらず、白か黒かだけにこだわる特別な戦いだ。今季はどちらが制するのか。

 まずは投手陣。1回戦はエース小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)、2回戦は柳澤一輝(スポ4=広島・広陵)の先発が濃厚だ。小島はケガの影響で今季序盤こそ本来の投球ができなかったが、復帰後の立大1回戦で2安打完封勝利。強打の慶大打線に対しては、持ち味であるキレのあるボールを低めに集めたい。昨秋は負け投手となっているだけに、今回リベンジを果たせるか。今季から先発に転向した柳澤はここまですべてのカードでその務めを果たしている。試合中に力の入れ具合をうまく調整するなど、巧みな投球術が光る。早慶戦では初の先発となるが、「本来の投球ができれば負ける相手ではない」と自信ものぞかせており、期待は高まる。ルーキー早川隆久(スポ1=千葉・木更津総合)も控える。抜群の制球力を誇り、ここまで17回1/3を投げ奪三振27、与四死球は0。今季は先発、救援共に経験しており、どの場面でも登板は可能だ。

小島はエースの責任を全うできるか

 今季の打線を「どこからでも点が取れる打線」と髙橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)は評価する。だが、不動の1番・八木健太郎(スポ4=東京・早実)の状態が心配だ。直近3試合で1安打と不振にあえいでいる。勝負強い中軸が後ろに控えているだけに、八木の出塁が得点力向上のカギとなりそうだ。その中軸は3番・佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)、4番・加藤雅樹(社2=東京・早実)らが慶大投手陣を迎え撃つ。特に加藤は第7週終了時点でリーグトップの打率4割4分8厘を誇り、好調をキープしている。2年生4番の首位打者獲得となるか、注目だ。また、その他では打撃を買われ今季スタメンマスクを被る岸本朋也(スポ3=大阪・関大北陽)、守備が売りの檜村篤史(スポ2=千葉・木更津総合)が共に得点圏打率4割超え。ここぞの場面での一打に期待したい。一方で機動力が使えていない。特に犠打の失敗が目立ち、明大2回戦では大事な場面で決められずに勝ちを落とした。チーム盗塁数も六大学最少の6。1点に泣いた試合が多かった今季、これ以上のミスは許されない。

慶大のリードオフマン・天野

 対する慶大だが、今季は『打』のチーム。ここまでのチーム打率2割8分9厘、本塁打数10はリーグトップだ。まずは9試合連続安打中の1番・天野康大(4年)が出塁し、柳町達(2年)、岩見雅紀(4年)、郡司裕也(2年)の重量クリーンナップで返すという攻撃のパターンができ上がっている。さらに続く清水翔太(4年)も打率は3割を超えており、打線に抜け目がない。彼らの前にいかに走者をためないかが勝負の分かれ目となる。一方の投手陣は下級生を中心に継投で戦ってきた。髙橋佑樹(2年)、関根智輝(1年)ら先発投手を早い回から捉えていかなければ、慶大の術中にはまってしまうだろう

 早大が連敗すれば、慶大の6季ぶりの優勝が決まる。早大に優勝の可能性はないが、ライバルの胴上げを目の前で許すわけにはいかない。今季の締めくくりとして、そして互いの意地とプライドを懸け、歴史ある『華の早慶戦』にふさわしい戦いを見せてほしい。

(記事 田原遼、写真 皆川真仁、大浦帆乃佳)

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東京六大学春季リーグ戦星取表
順位 立 大 慶 大 法 大 早 大 明 大 東 大 勝ち点 勝率
立 大 △2-2
○4-2
●1-6
●2-10
△6-6
○4-2
○2-0
●0-1
○5-4
○6-4
●0-3
○9-2
○3-2
〇18-4
〇11-2
.692
慶 大 △2-2
●2-4
○6-1
○10-2
△5-5
●4-5
●4-8
5/27
5/28
○5-3
○3-0
○9-5
○11-2
.667
法 大 △6-6
●2-4
●0-2
△5-5
○5-4
○8-4
●3-7
●3-5
○2-1
○5-0
○3-2
○4-0
.600
早 大 ○1-0
●4-5
●4-6
5/27
5/28
○7-3
○5-3
●5-6
●2-3
○7-4
○12-0
.556
明 大 ○3-0
●2-9
●2-3
●3-5
●0-3
●1-2
●0-5
○6-5
○3-2
○6-2
○13-0
.455
東 大 ●4-18
●2-11
●2-6
●0-13
●4-7
●0-12
●5-9
●2-11
●2-3
●0-4
10 .000