【連載】『大舞台での逆襲』 第3回 中村奨吾

野球

 日米大学選手権(日米選手権)にワセダから唯一選出され、5番打者として優勝に貢献する働きを見せた中村奨吾(スポ3=奈良・天理)。その活躍を象徴するように今シーズン前半は本塁打を増産したが、明大1回戦から12打席連続で無安打が続いた。 自身の不振を振り返ってもらうとともに、早慶戦への意気込みを語ってもらった。

※この取材は10月26日に行われたものです。

自分が打てなかったことが原因

今季の苦しさを語った中村

――今季のチーム全体を振り返ってみて

勝負どころで一本が出ていないというのが、今季負けている大きな要因だと思います。

――春に続いてチーム全体として得点圏で打てないことが続きましたが

そうですね。自分が打てないのがチームに流れを持ってこれていない一因だと思います。

――ご自身の希望されていた3番という打順でシーズンを過ごされて

シーズン始まって当初はいい感じかなと思ったのですが、やっぱり自分の思うようなプレーができなくなって、3番という打順に難しさを感じましたね。

――その中で3本塁打を放ちましたが

それがあったからこそ、逆に調子が悪くなったという原因でもあるのかなと思います。

――何か本塁打への意識とかありましたか

特にはないのですが、飛距離が伸びたことによって遠くに飛ばせるという気持ちがあったのではないのかなと考えています。

――大振りするシーンも目立ちましたが

いい当たりが出ないので、やっぱり力んでしまったりということがそのようなことにつながったと思います。

――その後12打席連続で安打がでませんでしたが

苦しみながらいろいろ試行錯誤したのですが、なかなかうまくいくことができずチームに迷惑をかけてしまったなと思います。

――どのように不調から立ち直ろうと考えましたか

いつも通りの練習の中で意識を変えてどのようにすべきか考えていました。

一からやり直す

打線の復調のカギを握る

――法大戦では6安打と復調の兆しも見えましたが

そうですね。開き直ったという部分もあります。また今まで教えてきてもらったことを振り返りながら、原点に戻るということまでではないですが、一からしっかりやり直そうということで気持ちが切り替わって打てたのではないかなと思います。

――しかし、なかなかいい当たりの安打は見られませんが

なんとかして塁に出ようという気持ちが安打につながったと思うので、今後もそのようなことが大事なことだと気づかされました。

――また法大戦では優勝の可能性が消えてしまいましたが

早慶戦がまだ残っているので、しっかり勝って4年生をいいかたちで送り出せればいいと思います。

――優勝に向けて足りなかったものは

自分の打てなかった成績だと思います。

――多くの1年生が神宮の舞台にデビューしていますが

1年生は失敗を恐れずできることが良い結果につながっているのではないかなと思います。

――4番に座る小野田俊介選手(社3=東京・早実)はどのような存在ですか

小野田も今シーズンはそれほど調子が良くないですが、自分の悪い流れが小野田にも移っていると思うので本当に申し訳ないなと思います。

――クリーンアップ3人とも3年生ということについてはいかがですか

そのことはとてもうれしいことですが、今季、最初武藤(風行、スポ3=石川・金沢泉丘)は頑張っていましたが、3年生でチームに迷惑をかけていることが多いので、そこは本当に悔しい思いをしています。

――同期のみなさんを見てみていかがですか

3年生でチームを固められてきていることは来季に向けても本当にいいことだと思うので、みんなで高め合っていければいいなと思います。

4年生を最高のかたちで

――早慶戦は調子がいい印象ですが

お客さんもたくさん入りますし、そういう面で楽しくできているからこそ結果も出ているのではないのかなと思います。

――100安打に向けても勝負どころだと思いますが

今シーズンは諦めかけていたときもあったのですが、またちょっと上がってきているので、今シーズンもう少し近づいていければなと思います。

――ここ2シーズン15安打が多いですが今シーズンも現在12安打ということで

15安打だとまた100安打に向けてギリギリのペースだと思うので、早慶戦ではしっかりと増やしていきたいと思います。

――慶大の注目選手は

日米選手権の選考会でも一緒でしたが、谷田選手(成吾、2年)ですね。彼は今シーズン打率とかも上げてきていて、横尾(俊建、2年)にしても振りがコンパクトになってきていると思うので、打撃陣は結構、強力かなという印象です。

――投手陣に関してはいかがですか

投手陣も新しく投げている加藤選手(拓也、1年)をはじめ、白村選手(明弘、4年)もいるので簡単には打てないなと思います。

――ワセダのキーマンは

ピッチャーに関しては有原(航平、スポ3=広島・広陵)がしっかり投げてくれているので、打者、特に自分がしっかりと打って返さないとチーム自体もいい流れになっていかないと思います。

――4年生にかけたい言葉等はありますか

4年生も最後なので頑張っていただけると思うのですが、3年生以下の下級生がこれから頑張っていく姿をプレーでアピールしたいと思います。

――早慶戦では東條航主将(文構4=神奈川・桐光学園)と最後の二遊間を組むことになると思いますが

東條主将には本当に助けてもらっているので、早慶戦では自分もプレーでアピールできればなと思います。

――最後に抱負をお願いします。

優勝はなくなってしまいましたが、早慶戦という大きな舞台が最後に残っているので、4年生をいい形で送り出せればいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 浦井拓也)

中村

◆中村奨吾(なかむら・しょうご)

992(平4)年5月28日生まれ。180センチ80キロ。奈良・天理高出身。スポーツ科学部3年。先日行われたプロ野球ドラフト会議にて、多くの日米大学選手権の代表選手が指名されていたことを聞くと「ドキドキしながら見ていたが、来年はその選手たちとやりたい気持ちが強くなった」と将来に向けて強い視線が感じられた。