春の早慶戦でつかんだ４番の座を不動のものとした小野田俊介（社３＝東京・早実）。得点がなかなか入らないチーム状況の中で、４番としての苦悩したシーズンを振り返るとともに、大一番へ向けての思いを聞いた。
※この取材は１０月２５日に行われたものです。
「４番としてもっと打たなければチームは勝てない」
取材中笑顔をこぼす小野田
――今季の戦いを振り返って
ピッチャーの有原（航平、スポ３＝広島・広陵）とかが頑張ってくれている中で、野手陣がもっと点を取って楽に試合を進められたらもっと結果も変わっていたのかなと感じます。
――中盤まで優勝戦線に残っていました。分かれ目となったのはどこだったと思いますか
やっぱり法大１回戦で攻めながらも引き分けてしまったことです。そこが流れに乗っていけなかった試合だったと思います。
――現在のチーム状況は
僕たち下級生は、４年生をいいかたちで送り出すためにも早慶戦勝たないといけないと感じていますし、また来季に向けた戦いでもあるのでいいかたちで戦っていきたいです。
――ご自身の成績についてはどう思われますか
打率もそんな高くないんですけど、それ以上に得点圏での打率がよくないです。もちろんマークが厳しくなっているというのはあるんですけど、４番としてもっと打たなければチームは勝てないということは自覚しています。
――やはり一番意識するのは得点圏打率でしょうか
もちろんランナー無しの場面では積極的に長打を狙っているんですけど、それでも直接得点につながるのは走者二塁、三塁での打席なので、得点圏打率への意識は強いです。
――３年生でクリーンアップを形成されました。ご自身でどのように評価されていますか
武藤（風行、スポ３＝石川・金沢泉丘）が新しくスタメンに入ってすごく活躍して、すごく助けてもらったという印象はあります。ただ中村（奨吾、スポ３＝奈良・天理）と自分がもう少しランナーを返せていれば、それが本来期待されることだと思うのでもっとよくなったと思います。
――立大２回戦で本塁打が出ました。春抑えられた立大の齋藤俊介選手からでしたが
もちろん相手投手の研究もしていますし、あの試合に限っては成果が出たと思います。 ただ澤田（圭佑）には抑え込まれましたし、コントロールのいい投手はどちらかというと苦手としているので、まだまだです。
――その本塁打で現役選手最多となりました。本塁打を多く打ちたいという意識はあるのでしょうか
本塁打を打てるということは、それだけ相手投手も警戒すると思うので、そういった意味で相手に恐怖感を与えられたらいいと思っています。
――法大１回戦は悔しい一日となってしまいました
船本（一樹）さんに崩されてしまったというのが自分の中で強いです。ああなってはいけないと自分の中で予測していたんですけど、やられたという思いでいっぱいですね。
――しかし次の試合では初回に適時打が出ました。どのような気持ちで打ちました
１回戦は有原が頑張ってくれたおかげで負けなかったので、次は点を取ってあげなければという気持ちで打ちました。
――うまく気持ちの切り替えができていたということでしょうか
負けなくてよかったと思う反面、勝てたという感覚が自分たちの中であったので切り替えができていたかと言われると疑問ですね。春も明大に引き分けてしまってから連敗が続いてしまったので、勝ち切れなかったという思いも残っていました。
「堂々とした存在に」
４番としての責任が問われるシーズンだった
――今季うまくいかなかった要因はどこにあったと思いますか
けがの影響が多少なりあって、準備の面で万全にして神宮に行けてなかったのかなという気持ちもあります。
――先ほど「マークが厳しくなった」とのお話がありました。変化球で攻められることが多かったですね
まっすぐ系のボールでカウントを取ることが少なくなってきたということはもちろん感じています。でもそれは予想できたことなので、弾き返していけないというのは自分の技術不足ではあります。マークが厳しいからといって歩かされているわけではないので、自分でクリアしていかなければいけないことだと思います。
――調子がなかなか上がらない中で試行錯誤したことは
前回悪かった点を１週間かけて調整するということに追われていました。シーズン中に、特に大きく変えたことはないです。あと自分は結果次第で浮き沈みしてしまうので、いいことも悪いことも忘れるということは気を付けていました。
――初球から振っていくという意識は変わっていませんか
初球から振っていくという姿勢に変わりはありません。ただ春よりも若干合わせて振っていて、スイングしてもいいスイングだとはっきり言えない部分があるので、そこが違いではないかと思います。
――岡村猛監督（昭５３二文卒＝佐賀西）には４番に座るにあたりアドバイスはありましたか
きょねん杉山さん（杉山翔大、平２５スポ卒＝現プロ野球・中日）が４番でどっしり構えていたように堂々とした存在でなければいけないし、岡村監督からも「４打席４三振でもいいから自分のスイングをしろ」というアドバイスはいただきました。
――ある程度の三振は割り切っていますか
いえ。三振が増えていて内容もよくないので、それは修正しなければいけないと感じています。
――シーズン前にある程度４番に座ることは決まっていたと思いますが、練習で意識したことは何かありますか
４番としてみんなに認めてもらうにはやっぱり結果しかない、と自分の中で思っているので、オープン戦の結果や堂々とした立ち振る舞いを含めて意識していました。
――そんな中けがをされました。開幕までに不安はありましたか。
準備期間が全然なかったので不安は大きかったです。それでもやらなければいけないので、若干の開き直りがありながらもシーズンに臨みました。
――理想の４番像を聞かせてください
４番がしっかりしていて初めて他の打順の人が機能すると考えていて。現に去年自分は７番を打たせてもらっていたんですけど、軸になるクリーンアップがしっかりしていた分、自分たちものびのびできていました。だから他の人にいい影響を与えられる打者が理想です。
――アンケートに「打席でも、凡退しても堂々とするようにしている」とありました。どういった経緯で始めたのですか
打撃コーチで徳武さん（徳武定祐コーチ、昭３６商卒）に来ていただいているんですけど、その徳武さんからの教えにもありまして。三振してしょんぼり（ベンチに）帰ってきたら周りに悪影響になるので、その打席はしょうがないと思うようにしています。（凡退して）バットを投げてしまうこともあったんですけど、「次こそは」という気持ちを常に持ち続けています。
――これまで４番に座ってきて、４番という打順についてどのように考えていますか
やっぱりプレッシャーがいままでと違うというのが大きくて。でも誰かが打たなければいけない打順であって、４番に指名してもらったのは僕だったので、プレッシャーを乗り越えなければいけないなと思っています。
――春の５番とは全く違いますか
そうですね。ただ中村や武藤がいて、４番一人だけという感覚ではないです。
「ワセダの強さ、力を見せたい」
――春の早慶戦では大活躍でした。いいイメージを持って臨めそうですか
早慶戦は観に来てくれる人が多いのでモチベーションにもなりますし、 緊張する不安もないですね。
――４年生との最後の試合となりますが、どのような思いがありますか
主力として出ているのは下級生が多いんですけど、４年生に支えられているという意識をみんな持っています。練習の手伝いも積極的にやってくださっていて、勝つことが恩返しだと思っているので、勝ちにこだわりたいです。
――特にお世話になった先輩は
やっぱり大野さん（大野大樹副将、社４＝東京・早実）ですかね。早実からというのもありますし、学部も今一緒なので。野球から学校のことまで面倒見ていただきました。でもけがした時も大野さんとぶつかってだったので、あんまり息が合っていないのかなとも思うんですけど（笑）。でも本当に５年間一緒にやってきた先輩なので、そういう思いは強いですね。
――大野大副将は外野のまとめ役でもありますが
一生懸命まとめようと頑張るけどおっちょこちょいと言いますか、そういう方です。でも面白いですし、後輩思いの優しい先輩なので自分もやりやすかったです。
――試合前のキャッチボールも大野大副将とが多いですね
自然にですね。きっかけも特になくて、なんとなくだったと思います（笑）。
――今季の慶大のイメージはいかがですか
やっぱりバットが振れていて積極性があるということは感じています。打線は調子よさそうですし、春や佐賀での全早慶戦よりは力をつけている印象です。
――第１戦を投げている加藤拓也選手の印象は
力強いボールを投げているので、まずはストレートに負けないように、ということを考えています
――どちらかといえば得意なタイプの投手ですか
コーナーにビシビシくる印象はないので、しっかりたたけていけたら攻略できるのではないかと思います。
――個人的な目標は何ですか
先制点だったり勝ち越しの点だったりを意識したいです。僕が打って突破口開けたらと思っています。
――最後に早慶戦へ向けて意気込みをお願いします
今回優勝がなくなってしまって、最後は４年生にいいかたちでという思いが強いので、早慶戦何とか勝って送り出したいです。そして来季に向けてワセダの強さ、力を見せたいという思いが強いです。
――ありがとうございました！
（取材・編集 塩澤毅志）
小野田
◆小野田俊介（おのだ・しゅんすけ）
１９９２（平４）年１０月１５日生まれのＡ型。１８２センチ８０キロ。東京・早実高出身。社会科学部３年。外野手。右投右打。春の取材では、早慶戦の目標として１試合３安打を挙げた小野田選手。第１戦で見事目標を達成し、３安打５打点と大暴れでした。今季の目標は『先制打もしくは勝ち越し打』。有言実行なるでしょうか。