今年も伝統の早慶戦が開催された。男子は10単5複、女子は3単2複の団体戦のかたちで行われ、リーグ1部に属する意地を見せた早大が男女ともに勝利をおさめ、連覇を飾る。多くの4年生が引退となる本大会。男子では普段は組むことないペアでのダブルスが組まれた。女子では1年間ペアを組み、春秋のリーグ戦、全日本学生選手権を戦い抜いた2つのペアが登場。4年生と出る最後の試合、どの選手も終始笑顔で、楽しみながらプレーしていた姿が印象深かった。
(記事 山田彩愛)
サーブレシーブに構える牧野・池端組
男子ダブルスでは早慶戦ならではの珍しいペア組が見られた。その一つが牧野倫太郎主将(スポ4=愛知・豊橋東)・池端元哉(スポ2=熊本学園大付)組である。試合開始から牧野、池端がジャンピングスマッシュで攻める。積極的に仕掛けたが、序盤はミスが重なり、イレブン取得時には11ー10と接戦に。しかしここから牧野、池端の連続攻撃が噛み合い、攻勢を続ける。連続スマッシュで相手を苦しめ、21ー12でこのゲームを奪った。2ゲーム目は、開始から両ペア共にミスを重ねた。4ー5となり、ここから試合が大きく動く。早大ペアがスマッシュやネット前のプッシュを決め、一気に7連続ポイント。相手も果敢に攻め、得点のチャンスをうかがうが、早大ペアがネットに並行なレシーブとロブをうまく使い分け、しっかりとした返球から自分たちの攻撃につなげられた。このゲームも21ー12とし、積極的に攻めた牧野・池端組が白星を挙げた。
(記事 山田彩愛 写真 是津直子)
ジャンピングスマッシュを打つ友金
男子ダブルスに出場した友金利玖斗(スポ4=兵庫・神戸村野工)・佐々木建人(スポ2=東京・海城)組。試合序盤は友金の強打から得点を重ねていく。しかし、イレブンを先取されてから相手のペースにのまれると、このゲームを落とした。負けられない第2ゲームは、先にリードに成功すると低い展開からショットを決めていく。最後は友金が手前に決め、21-15。ファイナルゲームへ持ち込んだ。試合は互いに譲らない展開となり、コートを広く守ったレシーブで相手の得点を阻止。しかし、先にマッチポイントを握られてしまう。友金から佐々木へ声をかけながら粘りを見せたものの、17-21でゲームセット。惜しくも勝利を飾ることはできなかった。
(記事 渡邊彩織 写真 渡邊彩織)
相手のスマッシュをレシーブする鈴木・吉田組
女子ダブルス1戦目には、全日本学生選手権(インカレ)で3位入賞を果たした鈴木ゆうき(社4=宮城・聖ウルスラ学院英智)・吉田瑠実(スポ3=埼玉栄)組が登場。序盤から貫禄の試合運びを見せた。鈴木の強力なスマッシュを起点に、試合開始から6連続ポイント。一気に主導権を握ると、吉田のクロスドロップも冴え、攻勢を続ける。そのまま流れを渡すことなく、21-7で1ゲーム目を奪った。2ゲーム目では、「来年もしペアを組むとしたら、自分が後ろに行かなくてはいけない」と語った吉田が後衛を務める場面が多く見られた。1ゲーム目と比べるとミスが散見され失点を許すが、粘りを見せた早大ペア。最後は相手ペアの連続スマッシュを防ぎ切り、ミスを誘発させた。最終スコアは、21-19。ストレートで早大に3勝目を持ち帰った。
(記事 横澤輝 写真 横澤輝)
相手のショットに備える平野・佐原組
今日でペアを組んでの試合が最後となる、平野紗妃(スポ4=福岡・九州国際大付)・佐原穂香(人3=近畿大付和歌山)組。試合の出だしは両ペア共にミスが重なり、競り合う。しかしここから前に落とすドロップショットと、コート奥深くまで伸びるクリアをうまく使い、相手を前後に揺さぶることに成功した早大ペア。平野の相手コートの空いたスペース突いたスマッシュやドロップ、ネット前でのプッシュが光り、大量得点。第1ゲームを21ー10で先取する。第2ゲームでは佐原のショットで得点を生む。序盤で一気に5連続ポイントし、9ー2と大幅にリードを広げた。終盤に入ってからも相手がミスを連発。終始、試合の主導権を相手に渡すことなく、21ー10とし、ストレートで勝利した。
(記事 山田彩愛 写真 藤田珠江)
ネット前のショットに反応する大林
男子シングルス1戦目には大林拓真(スポ4=埼玉栄)が登場した。1ゲーム目は、安定感のあるショットで長いラリーに持ち込み、相手のフィジカルを削った。ネット前の攻防では、ヘアピンとロブをフェイントを入れながら効果的に使い分け、相手を揺さぶる。甘く返ってきたシャトルを持ち前の力強いスマッシュで仕留め切り、21ー9とした。第2ゲームに入っても、動きのキレが衰えることのない大林。シャトルがどこに返ってこようとも、フィジカルと持ち前のフットワークでレシーブ。終始相手を圧倒し、21ー11でこのゲームを奪い、勝ち星を掴(つか)んだ。
(記事 山田彩愛 写真 横澤輝)
シングルスでの緑川大輝(スポ3=埼玉栄)のプレーはやはり圧巻だった。第1ゲームの前半はラリーを続けた緑川。自分から積極的に攻撃することなく、正確な配球で相手を動かし、ミスを誘った。インターバル後は軽めのスマッシュで相手を崩し、体力面と精神面で追い込む。途中でドリブンクリアを打つなど、低い弾道での攻めを多用し、第1ゲームで与えたのは7点のみ。第2ゲームに入ると、相手の集中力の切れもあり、正確なラインジャッチで得点を稼ぐ。攻め込まれる場面もあったが、落ち着いてネットギリギリのレシーブで返球をした。終始余裕を見せた緑川は、第2ゲームを21-3とし、大差をつけて勝利した。
(記事 湯口賢人)
男子の第5シングルスに登場したのは清水皓基(社2=滋賀・比叡山)。第1ゲーム序盤から長いラリーを制し、5―2から6連続得点で流れをつかむ。その後も相手を四隅に動かし、主導権を握ったまま試合を進め、21―10で第1ゲームを奪った。第2ゲームでは、疲れの見えた相手を圧倒。相手の足が止まったところへの多彩なショットで得点を重ねていく。最後はコースを突いたスマッシュが決まり、21―8で勝利を収めた。
(記事 是津直子)
男子第6シングルスには荒島一太郎(人2=愛知・豊橋東)が出場した。低い展開でのラリーが続くが、序盤は相手のネット前を効果的に使ったプレーに対応できず、大きなリードを許してしまう。しかし、インターバル後は荒島の動きにキレが増し、連続得点を奪う。勢いのままデュースに持ち込んだが、最後はスマッシュを押し込まれ第1ゲームを落とした。第2ゲームはラインギリギリを狙ったショットを打つもアウトになる場面が多く、再び序盤にリードを許す。中盤から追い上げを見せたが、相手のネットギリギリのヘアピンショットをうまく返しきれずに、敗戦となった。
(記事 森山裕介)
結果
▽男子団体
早大〇11-4慶大
▽女子団体
早大〇5-0慶大
コメント
牧野倫太郎主将(スポ4=愛知・豊橋東)
――最優秀選手にも選出されていましたが、試合を振り返っていかがですか
ダブルスはいつもペアが強い子だったので例年勝たせていただいていたのですが、シングルは今年勝ったのが初めてで。僕が出たのは2年生が最初でその時には負けて、3年生も負けていてずっと負け続けで来ていました。正直不安な気持ちはあってずっと緊張していたのですが、最後勝つことができて良かったと思います。
――主務、主将など大変な業務を経験をされた1年間ですが、振り返っていかがですか
主務の仕事はやってみないとわからないことが多くてすごく大変で、そういう手続きなどをやってという経験は社会人になってからも生きるものなのかなと思います。主将になってからは1個下の佐原(穂香、人3=近大和歌山)に主務は引き継いでもらって主務の仕事は任せることが多くなって、自分は主将としてやっていくことになったのですが、やっぱり周りのレベルが高いのであまり自分からバドミントンのことを言うことはなくて。ただ、練習メニューを決めるのとかは僕だったので、それぞれが気持ちよくプレーできるように、練習できるようにということを考えながら練習などを組んでいました。
――コロナもあり大変な4年間だったと思いますが、4年間全体としてはいかがですか
僕が1番部活に入って良かったと思うのは、いろんないい人に出会えたということがあります。バドミントンも楽しくできたのですが、その上達以上にいい先輩ですとか同期、後輩に出会えたのが4年間やっていて1番の大きな収穫だった思います。
――仲間、部員の存在は大きかったですか
そうですね。僕が個人的に大学の友達が少ないというのもあるのですが、本当にオフの日も一緒に過ごすことが多くて、いい学生生活も部活から始まったのかなと思います。
――今後バドミントンでの経験をどのように生かしていきたいですか
僕は結構仕事柄チームワークが大事になるので、部活を通してそういうチームワークとかチームメートと一緒にやってきた経験というのは役に立つのかなと思います。
大林拓真(スポ4=埼玉栄)
――今日の試合の感想を教えてください
みんなと違うところでずっと練習していたのに呼んでいただけて、ありがたい気持ちでいっぱいでした。いつもだったら主力メンバーで戦うことが多いのですが、いつも応援してくれるみんなも試合に出て、それを自分も応援できたのがすごく楽しかったです。
――普段組まない後輩選手とのダブルスはいかがでしたか
厳しく教えてた後輩でしたが、試合で組むことあんまりはないですし、一緒に組んでどういう選手かっていうのが今までわかってなかったので、こういう機会で組めて、良かったところとかもちゃんと言ってあげられました。悪かったところも。 大事な試合ですが、殺気がない試合というか、楽しくできる試合だったので楽しく厳しく教えることができたので、また頑張ってくれると思います。
――早大での4年間を振り返っていかがですか
今回の早慶戦が早稲田としては引退試合で、最後にふさわしい大会になりました。結果で言えば(4年間は)最初が良くてどんどんダメになっていったかたちだったので、後悔はたくさんあります。どの代の団体戦も優勝でも、3位でも大会がなくても、先輩や後輩も応援してくれました。感謝がわかるというか、今振り返ってみれば、早稲田のいろんな人に助けられてやってきたバドミントンだったと思います。
――全日本総合選手権に向けての目標を教えてください
本当はインカレでベスト4以上で勝って、本戦の権利を取って、本戦から頑張るぞって言いたいところでした。ランキングサーキットで予選の権利を取れましたし、インカレでああいう結果残しても出させてもらってることに感謝したいです。予選とか関係なく、今回はA代表も出ないので、A代表がいなくても総合優勝は優勝なので、そこはちゃんと狙って頑張っていきたいと思います。
――これからのバドミントン人生での目標はなんでしょうか
今回全日本総合を優勝したら、この先のバドミントン人生も変わってくると思います。バドミントンをこれだけやっていたら、全日本総合優勝するっていうのはもちろんなのですが、その先の目標となるとオリンピックに出場することです。全日本総合優勝しないことには、オリンピック優勝も見えてこないので、まずは今回の総合優勝することです。
友金利玖斗(スポ4=兵庫・村野工)
――今日の試合の感想をお願いします
チームとして一区切りなので、楽しくできたと思っています。
――4年間を振り返って
いろいろありました。いろいろあったなと思いながら今日はプレーしていました。
――怪我で出られない時期もありましたが
怪我をした事によって意識が変わって、頑張ろうと思えました。自分にとってはコロナと被っていたこともあり、どっちにしてもプレーできなかったのですが、自分を切り替えられる良い期間になったと感じています。
――これからの目標をお願いします
次もSJ1でやらせてもらえるので、まずは日本代表を目指して全日本総合選手権で上位に入れるようにパートナーと頑張っていきたいです。
平野紗妃(スポ4=福岡・九州国際大付)
――今日の試合の感想をお願いします
ダブルスで出ましたが、1年間組んできた子との最後の試合ということで、楽しくやれたので良かったかなと思います。
――今日で引退ですが、どんな4年間でしたか
コロナが2年間あって、気持ちが結構きついと思うこともありましたが、このみんなでやれた時間とか、合宿や試合を経験できて「楽しかった」に尽きますかね。達成感というか、今日後悔なく終われたという感じがすごくある4年間でした。悔いはもうないですね。(早大に)来て良かったなと思うし、ここまでやってきて良かったなと思います。
――1年間女子主将として女子チームを引っ張って来られましたが、振り返っていかがですか
本当に、「私なんか」という感じでここまでやってきました。人数が少ないからこそみんなが助けてくれて、支えてくれました。自分も試合には出ていましたが、そんなに実力があるわけでもなく、強いわけでもなかったので、同期や下の代関わらず、自分をすごくサポートしてくれました。なので「ありがとう」しかないですね。主将として何かできたかと言われると分からないのですが、そういう部分はすごく助かりました。
――4年間の経験をこれからどう生かしていきたいですか
次社会人になりますが、大変なこととかが絶対にあると思います。そこで逃げずに乗り越えていけたらいいなと思います。
緑川大輝(スポ3=埼玉栄)
――今日の試合の振り返りをお願いします
早慶戦ということで一般生と組んで試合に出る中で、カバーをしたりと色々難しい点がありました。ですが、何とか勝てたので、そこは良かったのかなと思います。シングルに関しても、自分の力を出して、勝てたので良かったです
――来年、主将としての目標を教えてください
1つ上がチームとしての雰囲気が全然ダメでした。良かった点、悪かった点があります。監督に『来年は任せたりぞ』と言われているので、良いところは引き継いで、年が新しくなるように部も新しくアップデートしていきたいです。
――全日本総合で三種目に出場される予定ですが、それに向けて意気込みをお願いします
正直に言うと、かなり厳しいと思います。ですが、今年はチャンスで、世界選手権出ている日本のトップレベルの選手が出ないということなので、自分の本職であるミックスは優勝したいなと思っています。シングルとダブルスはおまけです。
吉田瑠実(スポ3=埼玉栄)
――今日の試合の感想をお願いします
そこまで調子は良くなかったのですが、4年生とできる最後の試合だったので、頑張りました。
――来年はチームを引っ張っていく立場となりますが、意識することはありますか
いない時もあると思うのですが、緑川と一緒に、下級生の手も借りながら頑張っていきたいと考えています。
――どのようなチームを作っていきたいですか
上下関係がないということが、今の早稲田の良いところでもあり悪いところだと考えています。なので、そこをどう生かすかというところで、全員でチームを作っていくという意識づけができればと考えています。
――全日本総合での目標を教えて下さい
シングルスは、頑張ります(笑)。ダブルスは、一勝したいと考えています。1年半くらい組んでもらって、自分に合わせてもらうこともあったゆうきちゃん(鈴木ゆうき、社4=宮城・聖ウルスラ学院英智)と組む最後の試合なので、恩返しのようなことができればと思っています。