全日本学生選手権(インカレ)前対談の第二回に登場するのは、鈴木ゆうき(社4=宮城・聖ウルスラ学院英智)と吉田瑠実(スポ3=埼玉栄)ペア。共に小さい頃から活躍し、トップ選手として切磋琢磨してきた、早大女子バドミントン部の中心選手である二人。今年からペアを組み、関東学生競技会(東日本)では優勝も経験した。 インカレに向けて何を思うのか、お話を伺った。
※この取材は9月28日に行われたものです。
「絶対に勝たなきゃいけないというプレッシャー」(鈴木)
昨年度の早慶戦にて、ラケットを構える鈴木
――はじめに他己紹介をお願いします
鈴木 吉田さんは、スポーツ科学部の3年生です。
吉田 そこから(笑)。
鈴木 そういうことじゃないの(笑)。なんだろう。吉田とは小さい頃から知り合いで、小学生の頃から練習試合を一緒にやってたので、結構バドのことしか知らないんですけど(笑)。中学、高校と結構トップレベルで(バドミントンを)ずっとやってきていたので、そういうところでやってきた選手だからこそ、すごくありがたいというか、自分もプレーをちゃんとやっていけてる部分はあります。あとは、プライベートだとめっちゃ服買うのが好きで…。
吉田 そういうのなの(笑)。
鈴木 え、違うの? 吉田アウトドア派じゃない?
吉田 うん。でも(家に)こもるのも好きです。
鈴木 一人の時間も大切にしたいタイプだけど、結構遊びにいくだとかお出かけするの好きだと思います。
吉田 ゆうきちゃん(鈴木ゆうき)は、韓ドラとかアニメを見るのが好きで、よく携帯で動画見てます。
鈴木 お互い、ONE PIECE見てます!
吉田 はい! やっと ONE PIECE一緒に話せる人ができました(笑)。あとゆうきちゃんは、練習中とかもよく、空気ちょっと悪くなった時とかに和ませてくれるなって思います。
鈴木 ふざけてるだけ(笑)。
吉田 っていうのはあります。小学生からトップでやってきたもの同士、悩みとかもわかってくれたり、ここ頑張ろうって思うことも一緒だったりして、引っ張ってくれたり、逆に引っ張ったり、そういうのは合うかなって思います。
――お互いの尊敬するところを教えてください
鈴木 全体的にあるのは、ちゃんと自分の意見を持っているところ。ダブルス組んでるんですが、あんまり自分はこうしたいとか持ってる人いないと思うんですけど、吉田はそこをしっかり持ってるからこそ、作りやすいというか、しっかりお互いの意見を話し合いながらダブルスを作っていけるというのは、良いところだと思うし、尊敬してます。
吉田 ゆうきちゃんは、オンオフがはっきりしてて、練習中はしっかりやるけど、練習が終わったら即帰るみたいな。
鈴木 そうなんです。やる時にがって入れるタイプなので、終わったらフニャって感じで抜けちゃいます。
吉田 あとは前だったら、試合中に集中切れちゃったらそのままってこともあったんですけど、今は試合中に引っ張ってもらっているって感じることが多くなったのですごくそこはありがたいです。
――先輩、後輩のペアでダブルスを組んでいますが、普段からどんな話をされますか
鈴木 いや、内容の濃い話は一切しないです(笑)。早稲田自体がそうなんですけど、先輩後輩という上下関係が他の部活と違ってあまりなくて、結構みんな対等に話してるので、本当にくだらない話とかします。
吉田 敬語は使うくらいですね。
鈴木 ちょっとタメ口まじりの敬語みたいな。
吉田 そんなに後輩って感じじゃないですね。
――仲が良いんですね
吉田 はい。仲悪くはないよね(笑)。
鈴木 (笑)。そうだね(笑)。
――春季リーグの結果4位でしたが、春季リーグを振り返って、いかがですか
鈴木 もちろん、リーグ戦とか団体戦になって、自分が負けるとチームが負けてしまうというプレッシャーは当たり前としてあって、それは誰もが持たなきゃいけないものだと思います。そういう自分に回ってきた大事な場面とかで、勝ちきれない試合が何回かあったので、団体戦においてはそこが課題かなと思います。気持ちとしては、勝ちたいというのがあるんですけど、やっぱりフィジカル面が他の大学よりも試合数をやっているからこそ必要になってくるし、そこの課題がすごく見えたかなと思います。
吉田 他の大学と比べて人数が少ないので、できることもあるしできないこともあると思います。人数が多いとみんなで優勝という雰囲気で練習はできると思うんですけど、人数が少ないからこそ自分たちが一つ一つしっかり(勝ちを)取るという意識は持ちやすいかなと思います。ゆうきちゃんと同じで、自分が(試合を)落としたら負けという緊張感を持って試合に臨めるかなとは思います。
鈴木 やっぱり他の大学は人数いる分一試合が基本なんですが。
吉田 たまにいいなって思います。
鈴木 早稲田は自分と吉田は絶対2つ試合に出なければいけないので、その部分のフィジカルが課題だよね。
――何試合もこなすのは相当きついですよね
鈴木 めちゃくちゃきついですね。4年間ずっとそれだったんですが、4年目でも全然慣れないというか…。
吉田 前までは(複数試合に)出ていても、落とした時にどこかが取ってくれるっていうのがあったのですが、今は(何試合かに)出るのは当たり前、取らなきゃいけないっていう。
鈴木 絶対勝たなきゃいけないという、人数が少ないからこその弱点が出てきたので、なんかリーグが一番きついよね。
吉田 気持ちがもうね…。
「自分も最後だという気持ちでインカレに臨みたい」(吉田)
昨年度の早慶戦にて、素早いフットワークを見せる吉田
――強豪校出身のお二人ですが、大学と高校のバドミントンの違いを教えてください
吉田 高校の時は気持ちが一番大事で、気持ちで勝つっていうのが、主になってました。大学に入ってそれだけだと駄目で、普段の練習からどう意識するか、頭を使うことがメインになってきたかなと思います。
鈴木 高校生の時の方が、練習量はもちろん多いので、練習量で大会の良い成績を出してたと思います。今は、高校の時に比べて練習量がないので、その分自分がどれだけ考えて練習するかで自分の競技力が左右されるなとは思います。
――シャトルの速さとかは変わりましたか
一同 高校の方が速いですね。
鈴木 体力も高校の方があるし、球の重さや強さも高校の方がありました。大学は考えなきゃいけないプレーの方が多いですね。
吉田 速さっていうより、コースとか。
鈴木 いかに(相手を)崩していくかとか、メンタル的な部分での駆け引きってのが大学で、そこは違いかなと思います。
――ご自身のプレーの強みはなんですか
吉田 ないです。すみません。
鈴木 ないですね。
吉田 ないからこそ、自分は相手より1本でも多く繋ぐとか、1歩でも足を多くだすとかを意識してます。
鈴木 あるとすれば、前衛に触らせる球を打てるのは、ちょっとできる方なのではないかなと思います。完璧にできているとはいえないんですけど、まあできてるかな…。
――鈴木選手は、4年間のバドミントン生活を振り返っていかがですか
鈴木 苦。(笑)。振り返ると1年生の時は、高校からの貯金があったので、自分のバドミントンというか、あまり考えずにバドミントンができたんですが、2年目になって練習環境が大学に慣れてきた時に、一回止まっちゃった時期があって…。そこから3年生の時はコロナで試合がなかったので、目に見える自分のレベルアップや成長が正直あまり感じられてなくて、バドミントンについては上がってないというか、むしろ落ちてるなと感じてます。今までの大会だと苦しい大会が多かったんですけど、この前の東日本の大会で久しぶりに楽しいバドミントンができて、そのおかげで今インカレに向けてすごく前向きになれている状態です。今はまだ振り返りたくなくて、インカレ終わった後に振り返りたいなと思ってます。今振り返ると、苦しい試合が多すぎて、しゅんってなっちゃうんですけど、インカレ終わってから振り返りたいと思います。
――これからもバドミントンを続けられるのですか
鈴木 大学卒業して、一応バドミントンを続ける環境には行くんですけど、まだどのくらい続けるとかそういうのは決めていなくて。ただ楽しく、自分が満足できるまでバドミントンをできれば良いかなと思います。
――吉田選手は来年4年生になりますが、チームを引っ張る意識などはありますか
吉田 今のところは、ゆうきちゃんと同じで考えていないです。来年、女子がどうなるかもわからないし、団体戦に出られるかもわからない状況で、チームを引っ張るというのは、あんまり考えたくなくて。自分も最後だと思って、今年インカレに臨むつもりです。インカレまで走り切ってからその後に考えたいなと思います。
――オフの日はどのように過ごしますか
吉田 外出る日は朝から夜まで誰かと遊んだり、買い物したりだとかします。家から出ない日は、家に篭りっぱなしでどこにも行かなくて、一言も発さない状況にいます。
――ご自宅で何かされるのですか
吉田 ずっとアニメを見ています。アニメを見ながら、何かしてる感じです。
鈴木 自分は毎週日曜日がオフなんですけど、大体のオフは寝て起きてご飯食べて、アニメとか自分の好きな動画を見て、また夜ご飯を作ってって感じです。大会が終わった後のオフは発散したいので、お買い物に行ったりだとか、お出かけしたりだとかしてます。
――バドミントン部の女子チームの雰囲気としてはいかがですか
鈴木 ホワンホワンって感じ? 違う?
吉田 ずっと微妙な感じでやってきて、自分達2人だけ上を向いてる感じだったんですけど、この前話し合いをした後から、インカレに向けて1ヶ月全員で頑張っていこうってなったので、いい意味で今はピリピリしてるというか、緊張感を持ってできています。
――今年の女子チームの課題点はどこですか
鈴木 チームとしての課題は、全員が同じ方向に向いてなかったっていうのは、最初ありました。温度差がチームの中であったんですけど、チームのために自分が何かやらなきゃという気持ちが足りなかったことが課題としてありました。今はみんな自分は何を考えなきゃいけないのか、何を目標にしなきゃいけないのかっていうのを、一人一人やることを持って今は練習をしているので、ちょっとは改善されたのではないかなと思います。人数が少ない分、個のレベルが必要になってくるので、チームとしてみんなでっていうのが一番良いのですが、それが本当に難しくて。
吉田 人数が少ないからこそ、一人がそっぽ向いた時の影響力が強くなります。
鈴木 一人でも気持ちが沈んでいる子がいると、部の雰囲気に影響はすぐ出ちゃうなと思います。
――話し合いの影響は大きかったですか
一同 大きいですね。
インカレの舞台でもバドミントンを楽しみたい
カメラに向かって笑顔を見せる鈴木、吉田
――3年ぶりのインカレ団体戦ですが、懸ける思いを教えてください
吉田 自分は、去年吾妻さん(咲弥、令3スポ卒)と組んで優勝を狙っていた分、それがなくなってショックでした。今年ゆうきちゃんと組むようになって、最初全く噛み合わなくて、揉める時期とかもあったんですけど、この前の大会で安定してプレイできたので、このまま行ければ良いなと思います。来年のパートナーが、レベルの高い人がいるかもわからないし、団体戦に出られるかもわからないので、今年で最後と思って頑張りたいと思います。
鈴木 自分は今年のインカレが自分のバドミントン人生の中で、大きな節目だと思っているので、その分インカレに懸ける思いは結構強いです。この間の大会前の練習でお互いすごく苦しんでいて、本当に不安が大きかったんですけど、その時期に男子の選手と一緒に練習をやらせてもらっていて、苦しい時期もあったんですけど、楽しんで優勝することができたので、気持ちの面では上がっています。でも、気持ちだけで突き進まずに、もう一回自分たちを追い込む形で練習して、インカレの舞台で楽しんでバドミントンができれば良い結果に繋がるのではないかと思っています。
――東日本で優勝できた要因はなんだと思いますか
鈴木 本当に二人とも楽しむというか。女子選手と試合前に、競い合いっていうのができていなくて、男子選手と練習していました。大会でいろんな大学の選手と試合できることが、すごく楽しみでワクワクしていたので、そこが多分他の大学にはない気持ちの持ち方というか、それが安定に繋がったのかなと思います。
――気持ちの面での影響が大きかったですか
鈴木 そうですね。気持ちの面でもぶれずに、とりあえず楽しんでやってました(笑)。できないことはもう絶対あると思うくらいに、苦しめられていたので、逆に心の余裕があったのかなと思います。悪い試合の流れになっても、こういうのもあるあるっていう気持ちで次に臨めました。本当に雰囲気よかったよね。
吉田 うん。周りの学校の強い人たちが結構負けていっていて、自分もたちもずっと不安でした。何があるかわからないし、みんなその大会に対するモチベーションも環境もあって、試合に入りにくかったです。その中で、練習の時に男子選手に(練習の相手を)してもらったことで、勝つ負ける以前に楽しむだったり、どうやっていこうだったりという初心の心が持てたかなと思います。相手を見て緊張しすぎて、ダメになっちゃうとかじゃなくて、ちゃんと自分たちを持ってできたことが勝因かなとは思います。
鈴木 本当に男子選手に練習をやってもらったからこそ、優勝できた部分はあると思います。
――インカレのダブルスで重要視してる試合はありますか
一同 全部。
鈴木 インカレって1回戦目から弱い人は出てこないので、へぼしたら負けるし、気持ちの面で安定してなかったら、簡単に負けるので、1回戦目から気持ち入れなきゃと思います。この間の大会みたいに、安定した気持ちを持ち続けながらやっていけたらなと思います。ここが重要っていうのはまだなくて、とりあえず1回戦目からしっかり勝つことです。
吉田 何があるかわからないので、少しでも気を抜けば負けると思うので、最後まで気持ちを持ち続けることが目標ではあります。
鈴木 目標というか、課題かな。
――インカレまでの期間で力を入れて練習していきたい部分はありますか
鈴木 自分は、レシーブ練習と、後ろからの打ち分けをもうちょっと意識してやっていきたいと思います。
吉田 自分は体力と気持ちです。すぐ不安になっちゃうので、試合中に不安になると全然機能しなくなるので、その気持ちです。あとはもう、切れない体力です。
――インカレに向けての目標を教えてください
一同 優勝することです! 以上(笑)。
――ありがとうございました!
(取材・編集 山田彩愛、渡邊彩織)
インカレに懸ける思いを書いていただきました!
◆鈴木ゆうき(すずき・ゆうき)(※写真右)
1999(平11)年11月15日生まれ。164センチ。宮城・聖ウルスラ学院英智高出身。社会科学部4年。休みの日は、アニメや韓ドラを見て、お家で過ごすことが多いという鈴木選手。対談では、終始素敵な笑顔でお話ししてくれました。大学4年間の集大成として、インカレでの優勝を目指します!
◆吉田瑠実(よしだ・るみ)(※写真左)
2000(平12)年11月30日生まれ。155センチ。埼玉栄高出身。スポーツ科学部3年。対談の色紙には『楽しむ』を毎回書いてくださっている吉田選手。質問に対してしっかりはっきりと答えてくださる姿が印象的でした。インカレの舞台でも、楽しむ心を第一に優勝を目指して、足を動かし続けます!