大会4日目は、小野寺雅之(スポ3=埼玉栄)・岡村洋輝(日本ユニシス)組、緑川大輝(スポ1=埼玉栄)・齋藤夏(ACTSAIKYO)組が準々決勝に登場。どちらも大学生との対戦となり、圧勝かと思われたが、思うようなプレーが出せず、両者フルセットの末に準決勝へと駒を進めた。
準決勝進出を決めたが、今回足りなかったのは『勝ちたいという気持ち』だという。ナショナルB代表という肩書きは、強さの証とともに、掛かるプレッシャーの大きさを意味する。ゲームを先取したものの、自分たちのリズムをつくり、攻撃を仕掛けてきた三上颯・霜上雄一組(日体大)に押される展開となる。低空戦で相手にスマッシュを打たせないようにしたが、それがあだとなり、小さな展開にミスが重なってしまう。17-21で第2ゲームを献上し、迎えたファイナルゲーム。ポイントを先取し、小野寺の声が響き渡る。リードしてインターバルを迎え、さらに2連続ポイント。相手の強烈なスマッシュに対応できない場面もあったが、「岡村に助けてもらった」(小野寺)と語ったように、昨日とは反対に、岡村が小野寺の分までカバーし、ファイナルゲームをものにした。
あすは昨年、大敗を喫した遠藤大由・渡辺勇大組(日本ユニシス)。オリンピックレースで実力を上げているペアだが、成長したのは小野寺・岡村組も同じだ。ここでひるむわけにはいかない。強敵ではあるが、挑戦者として全力をぶつけたい。
実力の半分も出せなかったという小野寺(右)・岡村)組
昨日と対照的だった。同じB代表ペアに逆転勝ちした昨日の2回戦とは異なり、きょうの準々決勝は出だしが好調だったものの、後半に苦戦し大学生ペア相手になんとか準決勝へ駒を進めた。
第1セットは相手のミスも相まって完全に主導権を握り、齋藤の前衛がうまく機能。コンビネーションという二人の長所が前面に出た。しかし、そこから「集中力が切れてしまった」と緑川。意識していると毎回口にするサーブ周りも相手に主導権を握らせてしまい、このゲームを落としファイナルに突入した。第3ゲームも相手の高い打点からの攻撃に苦戦しミスを連続。なんとか競り勝てたものの、試合内容には課題が残った。
それでも、予選から始まり初のベスト4に進出したことは大きい。あすは世界トップレベルの渡辺勇大・東野有紗組(日本ユニシス)との対戦になる。「自分たちの力を出しきりたい」(緑川)と気合は十分だ。気持ちを切り替え大一番に臨む。
緑川・齋藤組はサーブ周りで優位に立つことはできなかった
きょうの試合は二組とも勝利こそしたものの、試合内容としては厳しいものになってしまった。小野寺も緑川も異なる所属の選手とペアを組み、練習時間が他のペアに比べて少ないことは言うまでもない。しかし、それでも限られた時間の練習で課題を克服し、準決勝進出を果たした。あすの相手は、国際大会でもタイトルを獲得し、経験豊富な世界ランカーだが、ベスト4に終わらず、大金星に期待したい。
(記事、写真 山本小晴、石名遥)
結果
▽男子ダブルス
小野寺雅之・岡村洋輝(日本UNYSIS)〇2-1(21-19、17-21、21-17)三上・霜上(日体大)
▽ミックスダブルス
緑川大輝・齋藤夏〇2-0(21-11、17-21、21-17)仁平・上杉(明大)
コメント
小野寺雅之(スポ3=埼玉栄)・岡村洋輝(日本ユニシス)※囲み取材より抜粋
――きょうの試合を振り返って
岡村 緊張もあったと思うんですけど、久しぶりにひどい内容だったという感じです。サーブ周りだったり、ラリー中のイージーなミスとか結構多かったです。最後戻れたのは良かったんですけど、ミスが多かったです。
小野寺 本当に自分が昨日とかおとといとかより緊張してしまって。ちょっと気持ちの部分で甘いところが出たのかなと思います。やっぱり前衛の自分が前で仕掛けていないと、後衛の球で攻撃スタイルができないので、もっと自分が前にいけたら良かったです。メンタル面が今回はだめでした。
――2ゲーム目を取られたのはそのあたりが原因でしょうか
小野寺 そうですね。引いてしまったのはあります。相手はパワーのある選手で。そこでもう上げてばっかりで、相手に気持ちよく打たせてしまったのがだめだったという感じです。
――そこからの切り替えはどのように
小野寺 そこはもう早川コーチ(賢一、日本ユニシス)とかに気持ちがって言われました。一からリセットして二人で声を出していったら、前半に11-6で離せたので余裕が出て、そこは良かったと思います。
――1年間レシーブを強化してきたとおっしゃっていたと思うのですが、きょうの試合ではいかがでしたか
岡村 きょうは全然だめでしたね。力も入っていたので、気持ちが引いてしまっていて。いつもみたいなレシーブをしても準備ができていなかったです。本当に半分くらいしかできなかったです。
小野寺 きょうは自分が本当にだめだめすぎて。途中で岡村に「自分の方に上げて勝負していいから」と言われました。どっちかがレシーブできないときは、こっちに上げていいよと話していたので、最後は岡村の方に上げていました。岡村がすごくレシーブ良かったので。そこから攻撃にうつることができたので、本当に良かったと思います。きょうは自分がだめだめすぎて。岡村に助けてもらったという感じです。
――その中で勝てたのは大きいですよね
岡村 大きいですね。
――きょうは低空戦が多かったですが、どういうふうに決めたいという戦略はありましたか
小野寺 パワーがある選手だったので、普通に大きく打っていたら打たれると思って、ノーロブ、低い展開にしました。でもそれがあだとなってさらに縮こまってしまいました。また大きい展開にしたらスマッシュが強い選手だったので…。自分のプレーを信じきれていない部分がありました。
――信じきれていない、というのはどういった部分でしょうか
小野寺 気持ちの甘い面ですかね。何だかんだ言って勝てるだろうとお互いに思っていたと思います。昨日とかおとといの試合は、後輩だったり、力のある選手だったりしたので、お互い気持ちも良かったんですけど、大学生相手ということで気持ちの面で足りなかったのかなと思いますね。
――保木卓朗・小林優吾組(トナミ運輸)と対戦したかったという思いもあると思います。まずは、前回と同じくベスト4に入っていかがでしょうか
岡村 うれしいはうれしいんですけど、保木・小林組が棄権して、ラッキーと言ってはあれですが、ラッキーな方だったと思います。次の試合が勝負だと思います。
小野寺 ベスト4に入れたのはうれしいんですけど、次は本当に世界のトッププレーヤーとやるので、去年初めて準決勝に挑んで、同じ相手にこてんぱんにやられてしまいました。明日は去年のリベンジとして自分たちの持てる力を全部出して、そこで勝った、負けたは出てくると思います。自分たちのプレーをする。きょうは半分にいかないくらいしか出さなかったので、明日はもう1回二人で話し合って、挑みたいですね。
――あすはどのように試合展開をしていきたいですか
小野寺 明日はレシーブより攻撃ですね。向こうはレシーブが強くて、多分打っても打っても決まらないので、そこは本当に気持ちが折れないで自分たちがどれだけ良いパフォーマンスをするかに懸かっていると思います。去年よりは点数取りたいですね(笑)。
――高校卒業の時に、ペアを解消するという考えはなかったのですか
岡村 高3の時にナショナルB代表に入れてもらったので、進路は別々だったんですけど、組むつもりでした。
小野寺 同じですね。
緑川大輝(スポ1=埼玉栄)・齋藤夏(ACTSAIKYO)※囲み取材より抜粋
――試合を振り返って
緑川 出来は悪かったなと思います。勝たなきゃいけない相手だったというか。昨日同じナショナルBであるペアに勝ってのきょうで、今回の相手はナショナルではなかったので、そういうプレッシャーもありました。なんか色々気にし過ぎてしまって、自分たちのプレーができていなかったと思います。
齋藤 自分たちのプレーもできなかったし、本当に出来の悪い試合でした。よくはなかったなと思います。サーブ周りでも崩される場面が多かったので、自分たちのいいところが出せずに終わってしまったかなと思います。
――2ゲーム目からは固さが気になりました
緑川 集中力が切れたというか。1セット取って勝ちが半分見えてきたので、そこで変に意識してしまった部分があったと思います。
――あすは日本トップとの対戦となります
緑川 もう向かって行くだけなので、自分たちの力が通用するかというより、自分たちの力を全部出し切りたいなと思います。
齋藤 みどり(緑川)と同じなのですが、向かっていって、自分たちのプレーを全部出し切ればいいと思います。