日本最高峰の大会。緑川が予選を勝ち抜き、ミックスダブルスで本選出場!

バドミントン

 全日本総合選手権(全日本総合)。国内最大の大会であり、中学生から実業団の社会人選手まで、各年代の第一線の選手がしのぎを削る。きょう、その予選が始まった。早稲田からは緑川大輝(スポ1=埼玉栄)、吾妻咲弥(スポ3=福島・富岡)が出場。吾妻も善戦したが、予選を突破したのは緑川と齋藤夏(ACTSAIKYO)のミックスダブルスのみとなった。

 「どの大会よりも重要」と緑川が言うように、今大会は日本代表選出に大きくかかわり、そのステージに立つためには予選突破は必須。ミックスダブルスでは、初戦からB代表としての実力を遺憾なく発揮する。相手のミスも加わって、常に余裕がうかがえ、ストレートで勝利。続く2回戦も圧巻だった。「自分たちのプレーができたのが一番」(齋藤)と振り返った通り、序盤から、この1年磨きをかけたコンビネーションで攻撃を仕掛ける。早い展開を制し、11-2でインターバルを迎え、そのままゲームを先取。第2ゲームも緑川のスマッシュ、齋藤の前衛での球さばきが光り、点差を広げていく。相手を6本に抑え、見事本選出場を決めた。シングルスは予選1回戦で敗退し、ミックスダブルスの活躍に期待がかかる。

二人の連携が光る試合となった

 吾妻は今回初めて、全日本総合のシングルスに出場。フルセットに及んだ予選1回戦を勝ち抜き、実業団の格上選手との対戦を迎えた。「大学の試合よりは考えました」と語ったように、ラリー間やインターバルにも考え込む姿が見られる。第1ゲームは16-21で落としたものの、第2ゲームは吾妻が主導権を握る展開が続く。正確な配球で相手を追い込み、アウトを誘う。イレブンを先取し、ファイナルゲームへの道筋が見えたが、終盤、上からのショットをネットにかけるミスを連発。8連続ポイントを献上し、巻き返しを図ることはできなかった。シングルスは予選で敗退したが、あすから始まるダブルス、ミックスダブルスに臨む。

考えながらプレーしたと言う吾妻

 緑川に加え、小野寺雅之(スポ3=埼玉栄)、大林拓真(スポ2=埼玉栄)、吾妻、吉田があすからの本戦に挑む。本戦には桃田賢斗選手(NTT東日本)を始めとした世界で活躍した選手も多く出場し、大会の雰囲気もより一層緊張したものになる。その中で、どれだけ自分のプレーを出せるか。それが勝敗を分ける鍵になるだろう。自分の力を全て出し切り、勝利をつかみ取りたい。早稲田の挑戦が今、始まる――。

(記事、写真 山本小晴)

結果

▽男子シングルス

▼予選1回戦

緑川大輝●0-2(11-21、15-21)山田(日体大)



▽女子シングルス

▼予選1回戦

吾妻咲弥〇2-1(21-23、22-20、21-16)内山(北翔大)

▼予選2回戦

吾妻咲弥●0-2(16-21、16-21)大家(NTT東日本)



▽男子ダブルス

▼予選1回戦

緑川大輝・中山裕貴(緑川・中山組の棄権)武井・遠藤(明大)



▽ミックスダブルス

▼予選1回戦

緑川大輝・齋藤夏〇2-0(21-7、21-11)西(NAGAI)・清水(日立化成)▼予選2回戦

緑川・齋藤〇2-0(21-6、21-6)林田(三菱自動車)・桶田(Cheerful鳥取)


コメント

緑川大輝(スポ1=埼玉栄)・齋藤夏(ACTSAIKYO)※囲み取材より抜粋

――本選出場を決めましたがどんな思いですか

緑川本選にいけて良かったかなと思います。本選はもっと強い選手がたくさんいるので、チャレンジできたらと思います。

齋藤予選も抜けられて、点数も抑えられたので、自分たちのプレーができたのが一番だと思います。

――今大会の目標は

齋藤当たった相手には負けない、1戦1戦戦うことが目標です。

緑川いろんな人に目標は高くと言われるので、優勝ですね。優勝っていう思いでやっていけば結果は付いてくるんじゃないかと思います。優勝目指して頑張りたいと思います。

――今シーズンはB代表として臨み、国際大会での優勝も経験されましたが昨年よりも良くなった点はどこでしょうか

緑川ジュニアの時よりも相手が強くなっているので、もっともっとレシーブ力だったり、自分たちのコンビネーションを磨いたりしないといけないと思います。でもその中で、チームが違うので、あまり練習はできないんですけど、ナショナル合宿とかではレシーブとかコンビネーションを意識して、それができた試合もあれば、出せないで終わったときもあります。そういった部分ではもっと安定性が求められると思います。どんな相手でも勝ちたいので、いい1年、実りのある1年だったと思います。

緑川B代表にも入れて、たくさんいい経験をさせてもらいました。去年と比べると、コンビネーションの部分も上がりましたし、レシーブ力も付いたと思います。

――全日本総合選手権という大会に対しての思い入れやB代表としてのプレッシャーはどうですか

緑川もう1年、それ以上にまだまだナショナルでやっていきたいという思いがあります。ナショナルの選考基準として全日本総合で勝たなきゃいけないというのはあるので、そういった部分ではどの大会よりも重要かなと自分らは思っています。B代表というのは気負わずに、1戦1戦やっていくことが必要なのかなと思います。

齋藤B代表で、そのプレッシャーに負けないように自分たちもプレーを出していて、自分たちのプレーを出せば結果は付いてくると思います。

吾妻咲弥(スポ3=福島・富岡)

――惜しかったですね

自分のシングルスに自信がなくて。もうちょっとなんか自分のことを自分で信じろって感じですね(笑)。

――惜しくも本選出場を逃してしまいましたが、そのことに関しては

やっぱり、自分自身を信じ切れていないなと思いました。その結果、逃げてしまって、精神的な部分でそういうことを感じたり、点数が迫ったりしたときに、抜けられなかったなと思います。

――きょうの試合ではすごく考えながらプレーしている様子がうかがえました

そうなんですよ。やっぱり、実業団の選手は大学生よりはるかに練習しているので、体力とかでは絶対に勝てないと思っていて。じゃあ自分はどうしたらいいか。結構ノータッチで決められる場面があったじゃないですか。どうしたらそれを減らせるかなって、反対側に打ってみようかなとか、自分がなるべく優位にラリーができるような展開にしたので、大学の試合よりは考えました。難しいし、体力では勝てないのは分かっているので。その中での戦い方は試行錯誤しました(笑)。

――実際にやってみていかがでしたか

サーブからの次、大学生はあんまりサーブプッシュしないので、そこを考えていなかったんですよ。返球も速くないんです。でも2回目の相手は結構速くて。2ゲーム目はサーブの方向を変えてみたら相手が打ちづらかったのか、先手を打てて、それは良かったと思います。日頃からきついってなったときに諦めちゃうんですよ。それが最後に出ていたから、それを普段から一歩を出す練習をしていたら、諦めないでラリーができたかなと思います。日々の反省が出ました(笑)。

――1回戦はフルセットに及ぶなど、長いラリーが多かったですね

東(東日本学生選手権)で負けているんですよ。団体戦のシングルス。まぁチャレンジかなと思っていました。

――それではきょうの勝利はうれしかったですか

東の時は自分のシングルスのリズムが全然分からなくて。春リーグ(関東大学春季リーグ戦)も出ていないじゃないですか。それで、全然リズムがつかめない中だったので、自分のテンポがつかめなかったというのが大きいです。その分東、インカレ(全日本学生選手権)で積み重なっての総合だったので、自分のペースみたいなものが分かったので優位に立てたのかなと思います。

――2回戦で惜しくも敗退となりましたが、何が足りなかったと思いますか

練習量ですかね(笑)。間違いなく練習量というのは1つ。でも高校の時と違って、大学生になったからこそ見えるものがあるのかなと思いました。高校の時も勝ちたい勝ちたいっていう気持ちがあって、冷静に考えられていない自分がいました。大学生になってから、いろんな考えの人がいて、その人の刺激を受けながら考えることができたので、一歩引いて考えることができました。だからあんなにラリーができたんじゃないかと思います。でも練習量にはかなわないですね(笑)。チームとかコーチとか、練習情報とか常に新しい情報が入ってくる環境っていうのはいいのかもしれないですね。

――あすからはダブルスも始まりますが、意気込みは

1年間の集大成なので、きょうと一緒で自分がどこまでできるのかっていうのを試したいです。自分ができる中でどう戦うかを、パートナーと一緒に考えたいです。『収穫』がある試合にしたいですね。緊張して終わっちゃった、何もできなかったというのはいやなので、この選手でもこうやれば戦えるんだという何か収穫を得て帰りたいなとは思います。

――ここまで勝ちたいという具体的な目標はありますか

「勝ちたい!」と思うと勝ちたい一心になってしまうので、だから何も考えず。結果は後から付いてくるので、それよりかは1本1本今のことを考えて、どうしたらいいのかを考えます。やっぱり勝ちたいって思うと、点数で焦ったり、負けたらどうしようってなったりするので、そんなことを考えるならプレーのことを考えた方がいいと思うので。勝敗は考えないでいこうと思います。