悔しさ残る結果に… 課題見つかる最終日

バドミントン

 関東大学秋季リーグが閉幕した。最終日は、男子は日体大の棄権により勝ち越し3−2で勝利し、女子は攻めあぐね2−3で法大に屈した。リーグを通しての最終結果は、男子が3位、女子が2位。メンバーの海外遠征や疲労、怪我などが重なり、不完全燃焼に終わってしまった印象だ。

  男子部第1シングルスに出場したのは、台湾で行われたアジア大学選手権で優勝を果たし、帰国したばかりの大林拓真(スポ2=埼玉栄)。序盤得点を連取されるが、その後立て直し第1ゲームを勝ち取る。「2ゲーム目は思いっきりできた」という言葉通り、勢いはそのまま衰えずストレート勝ちで1勝を挙げた。続いて出場した渡辺俊和主将(スポ4=埼玉栄)は流れを引き継ぎたいところであったが、相手の強烈なスマッシュに何度も体勢を崩され、敗北を喫し、悔しさをにじませる。第1ダブルスでは小野寺雅之(スポ3=埼玉栄)・大林組が1ゲーム目を21-23で惜しくも取られるが、2ゲーム目を勝ち取ると、相手の途中棄権により勝利となる。第2ダブルスはストレート負けとなるが、第3シングルスは日体大が棄権。シングルスの大林の活躍などから3-2で早稲田は勝利し、3位という結果を収めた。

大林のシングルスの1勝は大きかった

 女子部は苦しいチーム状況だった。4日目からすべて3年生以下でオーダーを組んでいるが、疲労が蓄積していた。初日からシングルス、ダブルスともに出続けている吉田瑠実(スポ1=埼玉栄)、鈴木ゆうき(社2=宮城・聖ウルスラ学院英智)への負担が大きく、鈴木はけがの心配もあった。初戦の吾妻咲弥(スポ3=福島・富岡)がストレート勝ちを収めるも、第2シングルスの吉田が完敗。細かいミスを多発してしまい、自滅してしまった。続く第1ダブルスでは、昨年度からペアを組む吾妻と鈴木が自分たちのペースで勝利するが、次の平野紗妃(スポ2=福岡・九州国際大付)・吉田ペアが逆転負け。「3シンの鈴木には回したくないという思いがありました」(吾妻)と語るように、コンディションに不安がある鈴木が第3シングルスに登場したが、途中棄権し今大会を終えた。

吾妻(右)は後輩をまとめながら試合でも活躍した

  全日本学生選手権(インカレ)に向けて最後の試合となる今大会は、それぞれに思う部分があるだろう。リーグ戦を取材していて思うことは、早稲田大学は他大学と比べ圧倒的に部員数が少ないということだ。少ない人数の中で、大会運営にも人員を割かなければならない。応援席に誰もいないことはよくある光景だ。試合も運営も少ない人数で回すからこそ、個人の負担というのも大きくなる。また、もう一つの特徴として、試合練習など全てが個々人に委ねられる点がある。練習への拘束力はあまりなく、日本代表で海外に行くメンバーもおり、全員が揃って練習をすることが難しい。それはプラスな面もあるが、一方で「自己責任」という言葉が4年間つきまとう。だからこそ、自分たちで目標を定め、そこへ向けて努力した先の結果はきっと想像しがたいくらいかけがえのないものになるはずだ。インカレでは全員の笑顔が見たい。

(記事 石名遥、渡邉彩織 写真 石名遥)

集合写真

結果

▽男子団体○3-2日体大

シングルス1 大林拓真○2-0(21-17、21-14)

シングルス2 渡辺俊和●0-2(21-23、12-21)

ダブルス1 小野寺雅之・大林拓真○1-1(21-23、21-18、相手棄権により打ち切り)

ダブルス2 鈴木朋弥(商4=宮城・聖ウルスラ学院英智)・友金利玖斗(スポ2=兵庫・神戸村野工)●0-2(7-21、16-21)

シングルス3 緑川大輝○(相手棄権)


▽女子団体●2-3法大

シングルス1 吾妻咲弥○2-0(21-13、21-19)

シングルス2 吉田瑠実●0-2(11-21、6-21)

ダブルス1 吾妻咲弥・鈴木ゆうき○2-0(21-19、21-14)

ダブルス2 平野紗妃・吉田瑠実●1-2(21-18、15-21、16-21)

シングルス3 鈴木ゆうき●0-1(10-21、鈴木の棄権により打ち切り)


コメント

大林拓真(スポ2=埼玉栄)

――東日本学生選手権から海外の試合などタイトなスケジュールでしたが

帰国して次の日だったり、その日に試合があって、あんまり経験することのない貴重な体験のリーグでした。もうきついのは分かっていたので、逆にプラスに考えて、海外の試合でも勝ち上れば次の日試合ですし、そういうきつい環境でも頑張るという面ではいい経験になったと思います。

――やはり体力的にはきついものがありましたか

アジア学生で優勝して昨日帰ってきて、きょうのシングルス初戦すごくきつかったです。でも、これからナショナルに入っていたり、A代表に上がるってなると、これよりもっときつい練習や試合もしなければならないので、気持ちの面でしっかり頑張って、前へ足動かそうだったり、もっと攻めていこうだったり、そういったことを考えてプレーしました。

――東日本学生選手権ではシングルス優勝、国際大会ではあまり結果が出せず、アジア学生では優勝という結果でしたが

国際大会でも結果は残せないっていうか、自分としては結構レベルの高い試合なので。1回戦で強い相手に当たって、1回負けたことのある相手とかに当たって勝って、2回戦敗退っていう結果なので、結構成長していると思っています。その成長しているっていうのを結構プラスになって自分の調子も上がると思うので、そういうことを考えながら台湾のアジア学生に挑みました。学生同士ですし年齢差もそんなにないので、ナショナルにも入っていますし、負けたくないっていう気持ちを強く持って優勝できたのかなって思います。

――シングルス2ゲーム目では最後連続得点で勝利しましたが、勝てるという自信はありましたか

1回戦から結構強い選手と当たっていたので、最終日も連戦が続いていてきつかったですが、1、2回戦の相手よりは少しレベルの低い相手だったので。最初出だし緊張して結構点数はなれていましたが、逆に開き直って追いついて1ゲーム目取れて、2ゲーム目は思いっきりできたから連続得点できたのかなと思います。

――全日本学生選手権(インカレ)までに試合はありますか

あすからインドネシアで合宿で、そこで1週間練習してからインドネシアの結構レベルの高い試合に出させてもらうので、そこでまず結果を残して自信を持ってインカレに行ければ良いかなと思います。

――その試合までにどのような部分を成長させたいですか

アジア学生の前にベトナムの試合があって、1回戦は気持ち入れて戦えたのですが、2回戦から相手も強くなって結構攻撃的なプレーをされて自信がなくなってしまう場面も多かったです。でも、今回アジア学生も優勝できて、リーグも2回しか出ていないですが良いプレーができたと思うので、そういうのをもう1回思い直してインドネシアでいい結果を残せたらと思います。

吾妻咲弥(スポ3=福島・富岡)

――5日間を振り返って

正直、悔しいというのが80パーセントかなと思っています。前半戦の戦い方的に、自分がポイントを取れなかったことが本当に悔しくて。切り替えとかも難しかったです。後半戦はもうやるしかないなと思って戦えました。前半戦があったから後半戦の流れができたのかなとも自分の中で思っています。成果というよりは課題の方が見つかったのではないかなと思います。

――前半戦で勝ち切れなかった要因は

ダブルスに不安要素を持って試合に臨んでしまったり、今年の途中から組み始めたパートナーとうまく形が作り切れていなかったりとか、自分がリードできていなかったり、自分の情けなさというのを考え込んじゃっていて。一人で考え込んじゃっていたなというのがあります。もうちょっと悩みを打ち明けたりとか、団体戦だからこそできることがあったのではないかなと思います。

――ダブルスは3人と組みましたね

鈴木(ゆうき、社2=宮城・聖ウルスラ学院英知)とは去年から組んでいますし、法大に関しては、「この流れだったら自分たちは勝てたよね」というのを持っていました。きょうは自分たちがポイントを取らなくてはいけないと感じていましたし、3シンの鈴木には回したくないという思いがありました。自分もシングルを落としてはいけないと思っていましたし、2本取らなくてはいけないという立場だったので、ゆうきちゃんのは技術がどうこうというよりかは、二人の空気感というものを作って、二人の流れで相手をスピードで圧倒できたらなと思っていました。全体的に、誰と組んだからどうというよりかは、わたしは誰と組んでも勝てますという状態になりたいと思っています。勝てなかった2戦というのは、課題が多かったかなと思っています。

――ダブルスのペアを頻繁に変えていますがその意図は

わたしの正規ペアが吉田(瑠実、スポ1=埼玉栄)なのですが、そこがまだ形が作り切れていなくて。そこで1本取れないとなったときに、そこで戦うというよりかは、いま調子いいペアリングと、対戦相手との相性とかもあるので、そこに合わせながら作りました。やっぱり不安なまま戦って負けてもチームに迷惑がかかるので、どういくべきかを4人で結構話し合って決めました。お互いに言うことを言って、勝ちに行こうと向かっていけたので、そこのペアリングに関しては今回はプラスになりました。パートナーと離れたことでわかったことがありました。個々の課題というのも見つかったので、いい経験にはなったかなと思います。

――正規ペアと離れてみて感じたことは

自分の課題がすごく明らかになりました。クロス球を真ん中に寄せてしまう癖があって、それがパートナーにとっては動きづらかったりもして。逆に攻撃力は通用するなとわかりました。その使い方をパートナーによって変えなくてはいけないなと思いました。ゆうきちゃんとはこれでいいのですが、瑠実ちゃんと組むとなったときに、張れる場所やプレースタイルも違うので、そこはコースの選択とかを微調整したりするなど、もっと考えてやらなくてはいけない部分がたくさんあるなと思いました。

――ダブルスを見ていると、吾妻さんからリードして雰囲気を作っている印象です

特に後半戦は3年生以下しか出ていなかったので、自分が雰囲気を作ろうと。団体戦なので流れ一つで勝敗が変わってくると思っています。誰かが負けてもそれは団体戦だしという思いがありました。アップの時から少しずつ盛り上げながらやっていました。ペアリングも色々悩んだ結果なのですが、思ったことをしっかり話せばわかってくれると思うので。そういったコミュニケーションをしたほうがいいんだなっていうのを今回すごく中日で感じましたね。自分が思っていることを話せなくて、前半戦はすごく悩んでいました。それを打ち明けてもよかったのではないかなというふうにも思って。そこは今回学んだことでもありますし、来年自分が一人で最上級生になるので、そこはあえて引っ張るというより、一歩前に出てみんなを一つにまとめればいいのかなと。そういった形でチームを作っていけたらみんなが一つのところに向かえるような形になるのではないかなと今回学びました。

――今回の秋リーグでは試合もそうですがマインドがかなり変わったのですね

そうですね、試合の技術、個人の問題というよりかは団体としての雰囲気づくりだったりとか、団体戦のやり方とか、そういうことを考えされられましたし、悩んでよかったかなと思いました。

――インカレへの抱負をお願いします!

今まで男子が3連覇していて、団体戦は毎回悔しくて。1年生の頃からずっと先輩に「団体戦勝ちたい!」って言っていました。自分は(同期が)一人だったので、ずっとお世話になっていた4年生と一緒に団体優勝して、個人戦でもしっかり挽回できるようにあとちょっと頑張ります。楽しんで1戦1戦終われるように頑張りたいです。