第9回は、女子をけん引する中村幸女子主将(スポ4=富山国際大付)。関東大学春季リーグ戦(春リーグ)は4位、東日本学生選手権では団体3位、関東大学秋季リーグ戦(秋リーグ)では1部6位に終わり、4大会アベック優勝は達成できなかった。だからこそ、インカレへの思いは強い。最後となるインカレへの意気込みを伺った。
※この取材は8月4日に行われたものです。
去年のインカレが印象に残っている
独特なヘアピンが特徴だ
――バドミントンとの出会いは
もともと両親がやっていて、幼稚園の頃から自分も遊びでやっていました。小学校に入ってすぐに本格的に始めたという感じです。両親がジュニアを教えていたので、そこに入りました。
――高校時代はどのような選手でしたか
今までのバドミントン人生で、一番辛いこともありましたし、でもそのぶん団体や個人で勝った時とかの喜びは大きくて。試合に勝った時の達成感とか喜びとかっていうのを一番感じることのできた3年間だったと思います。今ももちろん打ち込んではいるのですが、高校時代が一番バドミントン一筋みたいな部分はありましたね。高校時代は一日4時間くらい練習していましたし、休日は一日練習とか、休みはほとんどなかったです。テスト期間でも部活があるくらい、部活漬けの日々でした。
――高校時代で一番印象に残っている試合はなんですか
インターハイ(全国高校総体)や選抜は、出させてもらってもちろんそれぞれ思い出はあるんですけど、高校2年生の時の国体が自分の中ではすごく思い出深くて。団体戦の初戦で、自分が負けたら負けという状況まで陥って、自分も負けかけたけどそこから逆転して、そこから勢いに乗って3位までいけたっていうのがあって。危うく1回戦負けだったのに、そこで踏ん張ることができて。一緒だった先輩も今までたくさんお世話になった人で、そこで恩返ししたいなという思いもあったので、そこに貢献できたのがよかったかなと思います。
――高校卒業後、早大に進学した理由は
早稲田は他の大学と違って、普段の練習も自分たちで全部やるので自主性とかがすごく求められるのですが、そのぶん自分でやりたいこととかもできるなと思いました。あとは、就職や社会人として働くことについてなど、卒業後のこととかも考えて。早稲田はみなさんが知っているような大学ですし、部活も勉強もできるというのも含めて総合的に選びました。スポーツ科学部の中のビジネスコースで、ビジネスのこととか文化、歴史とかを中心に勉強しています。
――文武両道は大変でしたか
テスト期間は部活が自主練になるので、そういう時間をうまく使ってやっていました。高校の時とかはテスト期間でも普通に部活があったので、部活から帰ってきてそこから勉強しなくてはいけなくて。深夜とかまでずっとやっていたんですけど、自主練なので早く帰ってきてやるとか、時間の余裕は高校の時よりはできました。大学は自分でテストがある教科とかが選べるので、うまくやっていました(笑)。
――自主性が重んじられるということで、大変なことはありましたか
高校までは監督さんがいてくださって、自分では気づかない部分も監督さんが気づいて言ってくれて直す、っていうのがあったのですが、今は言ってくれる人がいないので、それが自主性の大変な部分かなと思います。去年とかは中西さん(貴映、平29スポ卒=現日本ユニシス)や先輩方が言ってくれることが多かったんですけど、今はもう自分から聞かないと言ってれる人がなかなかいないので、そこが大変な部分ですね。
――大学で一番印象に残っている試合は
やっぱり去年のインカレですかね。2年間インカレの個人戦に出られなくて、ダブルスだけなんですけど初めて出られたし。団体戦も優勝を目指していった中で3位で、しかも自分も出させてもらえたけど全然貢献できなくて、その悔しさとか、やっと個人で出られたという意味でも印象深かったかなと思います。
中西さんが抜けた穴
――今のチームの雰囲気はどうですか
割と仲がいいと思います。
――今年は特に人数が少ない印象です
そうですね。特に女子は9人しかいないので、他の大学に比べて少ないですし、団体戦とかは特に怪我とかをすると苦しい状況になってしまうというのがあります。でも逆に少ないので、そのぶん目標に向かって団結はしやすいのかなと。
――今年は主将として引っ張る立場になりました
自分は性格的にガツガツ言えないんですよ。なので、みんながどう思っているのかはなるべく聞いて、じゃあこうしていかなきゃいけないね、とか。一人一人やっぱり性格やプレースタイル、課題、立場は違うので、それを一つの目標に向かっていくというのはやっぱり難しいですが、なるべく思っていることとかは汲み取ってあげたいなと。それが自分のやり方かなと思っています。
――去年は絶対的エースの中西さんがいらっしゃいましたが、それについてはいかがですか
やっぱり貴映さんが抜けた穴っていうのはかなり大きくて。貴映さんに限らず去年の4年生の存在は大きかったなと思います。でも春リーグで思ったことは、うちも去年に比べて戦力が落ちていると言われてもしょうがない状況ではあったんですけど、他の大学も、去年の4年生が主力だった大学が多かったので、正直どこが勝ってもおかしくない状況だなと。思ったより他の大学とも互角だし、場合によってはこちらが勝つこともあり得るので、おもったより可能性は感じました。
――今年ポイントにしていることは
自分は結構試合中に焦ってミスしてしまうことがよくあるので、精神面からいつでも落ち着いてやらなきゃいけないなっていうのは思っています。
――ご自身のプレースタイルは
左利きで、それが関係しているかはわからないんですけど、初めてする人には結構やりづらいと言われます。自分で言うのはなんなのですが、球が結構独特みたいで。そこにやりづらさを感じる人も多いみたいです。自分は別にパワーとかがあるわけではないので、結構粘るタイプなのかなと思います。
――逆に、相手の苦手なプレーはありますか
すごく攻撃的なプレーをする相手があまり得意ではなくて。ラリー型の選手もラリーが続いてきついんですけど、どこからでも攻めてくるようなタイプの相手が苦手で、動くスピードがそんなに速いわけでもないのでどうしても遅れてしまい、相手のやりたいようにやられてしまうことが多いです。
「いつまででも寝ていられる」
――寮生活はどうですか
中学、高校と寮生活なので、そんなに変わりはないです(笑)。でも、授業がない日とか、授業が早く終わって練習まで時間がある日とかもあるので、高校の時と比べて自由な時間は増えたかもしれないです。そういう時は結構部屋でゴロゴロすることが多いです(笑)。他の部活の1年生の子と同じ部屋です。1人部屋と2人部屋っていうのは選べるんですけど、誰と同じ部屋になるかとかどこになるかとかは全く分からずランダムで。ちょっと怖いですね(笑)。
――自分のリラックス方法はありますか
部屋で寝転がりながら動画見たりとかですかね(笑)。お笑いとかドラマを見たりしています。
――オフの日の過ごし方は
私はいつまでも寝られる人なので(笑)。結構昼過ぎまで寝ていたりします。あとはバド部の人とどこか行ったりとかですかね。こないだは15時間くらい寝ました(笑)。起きたら「えっ、こんな時間?!」ってなってびっくりました。でも寝すぎると頭が痛くなるので最近は気をつけています(笑)。
――趣味はありますか
就活があったので最近はできていないんですけど、結構読書とかはします。東野圭吾さんが好きです。ガリレオシリーズとかは面白いなと思います。
最後のインカレに向けて
最後のインカレは、女子主将として臨む
――春シーズンを振り返っていかがですか
チーム的には、中西さんという存在が大きかったぶんうちも去年に比べたら物足りないなという部分があるのかもしれませんが、他の大学も割と条件的には一緒で。去年の4年生が主力というチームが多かったので、大して変わらないなというのが率直な感想です。個人的には、就活の時期だったので、正直バドミントンにあまり集中できていない時期でした。後半とかは出させてもらったんですけど、去年の自分にはまだ戻れていないなと思いますし、やっとこれで落ち着いたので、今から戻していかなければいけないなと思います。
――インカレでの目標は
団体優勝です。
――それに向けて意気込みをお願いします
就職先でもバドミントン部はあるのですが、仕事が優先なので今みたいに週六日もガツガツ打ち込むわけではないですし、となると、小学校の頃から初めてもう15年以上になるバドミントンに打ち込むのもインカレで最後なので、集大成だと思って1日1日を大切にしながら自分のやれることをやりきって引退したいなと思います。
――最後に、中村選手にとってバドミントンはどのような存在ですか
バドミントンがなかったら、実はわたし中学から親元を離れているんですけど、こうやって親元を離れることもなかったなと思いますし、ましてや早稲田大学に入ることもなかったなと思います。たくさんの人に出会って、もちろん選手としても成長できましたし、バドミントンがあったから、人間的にも成長できたと思っています。
――ありがとうございました!
(取材・編集 石名遥)
迷いながらも、この3文字を書いてくれました!
◆中村幸(なかむら・ゆき)
1996(平8)年6月28日生まれ。160センチ。富山国際大学付属高校出身。色紙には「集大成」の3文字。先日行われた関東学生秋季リーグ入れ替え戦では、1部残留を決めました。インカレでは有終の美を飾ってくれることでしょう!キティちゃんが好きだそうで、対談の日の靴下にもキティちゃんがいました。