全日本総合選手権(全日本)2日目、早大からは本戦への出場を勝ち取った二人が熱い戦いを見せた。全日本学生選手権(インカレ)をベスト4で終えた丸尾亮太郎主将(スポ4=群馬・伊勢崎清明)は本戦からの出場。一方、前日の予選を戦い抜き本戦への切符を手にした古賀輝(スポ2=埼玉栄)。早大の主将とエースが激突するという、1回戦から残酷ながらも注目すべき試合となった。試合は両者の意地が激しくぶつかり合う展開に。ファイナルセットまでもつれる死闘を制した古賀が自身初となる2回戦進出を決めた。
ミスの少なさが際立った古賀
ラリーで相手を崩しスマッシュで決める『頭脳タイプ』の丸尾、ショットで崩しネット前のプッシュで決める『技術タイプ』の古賀と、プレースタイルも正反対の二人。勝負の行方は全く予想がつかなかった。しかし「自分の力を出そうと思っていた」(丸尾)、「試合は試合。とにかく勝とうという気持ちで挑んだ」(古賀)と互いに集中を高めた。立ち上がりはゆっくりとしたラリーで始まり、両者互角の展開となる。しかし5点目以降、丸尾は「追い風で難しかった」と奥へのアウトミスが増え、ミスの少ない古賀が徐々に点差をつけていく。その後も得意とするネット前の攻撃で古賀が19-11と突き放すが、「上から打っていこうとプレーを変えていった」とスマッシュを中心に丸尾が怒涛(どとう)の追い上げ。最後は古賀が落ち着いてプッシュを決めこのセットを先取するも、21-18というスコアはさらなる混戦を予感させた。
ネット前での攻防に応じる丸尾
第2セットの立ち上がりは11-6と古賀が一歩リードする。しかしイレブンのインターバル後丸尾が6連続得点し、12-11と一気に逆転に成功。ここから互いに一歩も譲らぬシーソーゲームとなる。2点ずつ得点を重ねた丸尾がこのセットを奪い返し、勝負の行方は最終セットへ。迎えたファイナルセットは、「気持ち切り替えてできた」と得意のコートに立った古賀が10連続ポイントを上げ、優位に出だしを進める。『ラリーで崩しスマッシュで刺す』得意のプレースタイルを出し始めるなど丸尾が意地を見せるも、「あそこ(第3セットの出だし)が全てだった」と語る通り、差を縮めることはできなかった。最後は丸尾のレシーブがサイドのアウトとなり、冷静にジャッジした古賀に軍配があがる。
この日の丸尾の試合をもち、早大4年生全員の勇退が決まった。丸尾らは実業団や国体の招待選手として活躍の舞台を社会人に移す。チームをけん引してきた丸尾主将を始め、4年生が早大バドミントン部に残した遺産は計り知れない。残された後輩たちもしっかりと受け継ぎ、今後に生かしていくことだろう。そして、来季の全日本では、実業団の選手として頭角を現す丸尾と、一回り成長した古賀の再戦が見られるかもしれない。シーズンを終え、早大バドミントン部の新たな1ページがめくられた――。
(記事 芦川葉子、写真 八木瑛莉佳、三上雄大)
★実業団相手に堂々の初戦勝利!
インカレ2連覇という輝かしい成績を収めた古賀・齋藤太一(スポ2=福島・富岡)組は本戦からの出場となった。初戦からいきなり実業団の選手と対戦するも、「集中して試合を進められた」(齋藤)と落ち着いた立ち上がり。古賀の前衛への入りの速さ、より高さを増したスマッシュの齋藤の後衛と、インカレからさらにレベルアップしたプレーで着実に得点を積み重ねていく。圧倒的な試合運びでストレート勝利し、自身初となる本戦での勝利を収めた。あすの2回戦では日本ランク2位で今大会第2シードの平田典靖・橋本博且組(トナミ運輸)と対戦する。
高さを生かした齋藤のスマッシュ
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結果
▽男子ダブルス1回戦
古賀輝・齋藤太一○2-0小澤薫・具志堅興平(トヨタ自動車九州)
(21-10,21-16)
▽男子シングルス1回戦
古賀輝○2-1●丸尾亮太郎
(21-18、17-21、21-7)
コメント
丸尾亮太郎主将(スポ4=群馬・伊勢崎清明)
――全日本学生選手権(インカレ)から1カ月半、どのような練習をしてきましたか
インカレが終わったら切り替えて全日本総合選手権(全日本)に向けて練習しようと思っていたんですけど、2週間くらいは気が抜けてしまったというか。練習に集中してはいましたが、インカレに懸けていた分、気持ちがあまり入ってこなくて。良い練習は正直できていなかったと思います。でも最近は就職先の実業団の練習に参加させてもらったりしていました。ワセダにはあまり練習に行かずに、実業団でやってきた感じです。
――本戦1回戦からいきなりワセダ対決となりました。どのように試合に臨まれましたか
せっかくの全日本だったのでワセダ同士で当たることだけは避けたかったんですけど、まあそれはしょうがないと思って、自分の力を出そうと思っていました。
――タイプが正反対の古賀輝(スポ2=埼玉栄)選手について
やっぱり練習で何度も戦っているので、特徴とかも十分お互いに知っているし、やりにくさはありました。
――試合について。立ち上がりはゆっくりとしたラリーで始まりました
最初のコートが追い風ですごく飛ぶコートだったのでロブを思い切り打てなくて。ネット勝負でいったんですが、古賀はネット前がうまいので、相手の思うようにやられてしまったという感じでした。
――イレブンを挟んで奥へのアウトなど失点が重なってしまいました
風があって、こちら側は追い風だったので難しかったです。
――古賀選手の19点目以降から丸尾選手の追い上げが始まりました
ロブが上げられなかったのでできるだけネットを切って上から打っていこうとプレーを変えていったのが良かったです。どうにかして自分がこの体育館に合わせていかなければならないので、追い風の中でどうやって点を取っていくかを考えて戦っていきました。
――第2セットでは丸尾選手の方から6連続得点取りました
コートが変わって、今度はある程度ロブを打ってもアウトにならないコートだったので後ろが使えるようになりました。第1セットの中盤までは怖くてロブが打てなかったのですが、第2セットからはロブを打ってみようと思って、使えるようになったのが大きかったですね。
――立ち上がりに失点が続いてしまったのはコートの関係がありましたか
ファイナルの出だしでリードできればまあ良かったんですが。イメージ的には7-11くらい(のビハインド)で前半を折り返せれば、後半からコートが変わってチャンスがあるかなと思っていました。でも想像以上に出だしを失敗してしまったので、あそこが全てだったかなと思います。
――相手コートの奥に球を集めている印象がありました
印象的に、第3セットの前半はすぐに終わってしまったのですが、コートチェンジしてからは第2セットのようなイメージで相手コートの後ろを使っていこうと思ってやりました。
――きょうのシングルスを全体的に振り返って
相手の方がうまくこの体育館に適応していたかなと。練習では勝ったり負けたり、負けることの方が多いんですが、だいたいいつも競るので。その中できょうは古賀の方が決めるべきところを決めて、ネット前の勝負に強かったです。そこの差だったと思います。
――これで大学での試合を終え、率直にいまのお気持ちは
自分の中ではインカレで終わった感覚ですね。あの時ほど悔しさは無いんですけど、また次に向かって頑張ります。
――実業団の舞台に進まれます。意気込みを
1回戦で負けているようでは実業団に行く意味は無いと思うので。来年また勝てる選手になれるように頑張りたいです。
古賀輝(スポ2=埼玉栄)
――ダブルスについて伺います。きょうの試合に向けての意気込みは
全日本総合選手権(全日本)では、今までダブルス本戦で勝ったことがなかったので、 とりあえずは『初勝利する』という気持ちでした。
――前衛でのプッシュが印象的でしたが、インカレ後から取り組んできたことは
前衛で強くなるため、攻める形にするために重要だと思っていたので、取り組んでいました。
――きょうの出来は個人的にはどうでしたか
まあ7、80点くらいでしたね。
――残りの20点は何が挙げられますか
ミスの部分ですね。後半でミスが目立ってしまったので。第1セットは本当に良かったんですが、第2セットではやはりミスが増えてしまったので気を付けたいです。
――次戦への抱負は
世界ランキングがとても高い相手なのでとにかく向かっていって、力を出し切るだけだと思います。
――次にシングルスについて伺います。丸尾亮太郎主将(スポ4=群馬・伊勢崎清明)との同校対決はいかがでしたか
学校の先輩ということもあったんですけど、やっぱり試合は試合なので勝ちたい気持ちを前面に出して臨みました。全く意識していないと言ったらウソになりますが、できるだけ意識しないようにとにかく勝とうという気持ちでした。
――きょうの試合を振り返って
できれば2-0で勝ちたかったんですけど、やっぱり(丸尾は)強くてストレートでは勝たせてくれませんでした。ファイナルセットで気持ち切り替えてできたのが良かったです。
――第1セットと第2セットでは何が違いましたか
第2セットは(体育館の構造的に、シャトルが)飛ぶ方になって、そこに気が行き過ぎてミスが増えてしまって、そこが大きな違いでしたね。
――ファイナルセットに向けどのように気持ちを入れましたか
ファイナルはロブをしっかりしたり相手のミスを待ったりと、とにかく勝とうという気持ちでコートに立ちました。
――次戦への抱負は
次は高校生との試合なので、とにかく向かってくると思うので、受けに流されず、とにかく気持ちをしっかりと持って落ち着いて試合に挑みたいです。
――最後に今大会の目標を教えてください
シングルス、ダブルスともにベスト8に入りたいです。
齊藤太一(スポ2=福島・富岡)
――きょうの試合を振り返って
全日本総合選手権(全日本)にはことしで4年連続出場していますが、今までの3年間は初戦敗退していて、一度は勝ちたいという思いがありました。集中して試合を進められました。
――第1セットの入りから自らアウトジャッジを行うなど冷静さが表れていましたが
冷静に試合に臨むことを意識しました。ミスも少なく落ち着いてプレーすることができました。
――全日本学生選手権(インカレ)から改善したことはありますか
インカレから改善したことはあまり無いですね。とにかくミスをしないようにすることを意識しました。また落ち着いて試合をできたので、そこがミスの少なさにつながったのだと思います。
――今回は社会人相手に圧倒した試合運びでしたが、学生との違いはありましたか
相手の方をあまり詳しく知らなかったのですが、若干緊張していました。強い選手の名前はあまり聞いたことがなく、自分たちのプレーをしっかりすれば大丈夫かなということを考えていました。
――あすへの意気込み、今大会の目標は
あすは優勝候補の第2シードと当たるので、1点でも多く得点できるようにしたいです。またしっかり勉強して自分の勉強になるような試合ができればと思います。