全日本学生選手権(インカレ)での栄光から早1年――。先輩の背中を追って頭角を現した亀田楓女子主将(社4=宮城・聖ウルスラ学院英智)と関川容子(社4=新潟・青陵)。今季は女子主将としてチームを引っ張ってきた亀田選手とそれを支える関川選手に、これまでの振り返りと最後の舞台・全日本学生選手権(インカレ)への意気込みを語ってもらった。
※この取材は10月11日に行ったものです。
始まりは何となく
今季女子主将を務める亀田
――バドミントンを始めたきっかけは
亀田 両親が遊びでやっていて、それについていく形で、小学二年生のときから始めました。
関川 ママさんバレーをしている母についていって、いつの間にかその隣のコートでバドミントンをしていました。
――バドミントンをやっていてつらかった時期は
亀田 試合で勝てなかったときや、スランプに陥ったときが一番つらかったと思います。中学校と高校が一番つらかったです。やっぱりバドミントンが強い学校に入らせてもらって、もちろん自分の実力がついていくのはわかったんですけど、周りが強かったのでメンバーに入れなかったりして色々悩んだりしました。
関川 私は高校のときで、特に2年生になって部長を務めていた時期です。周りをひっぱっていく立場になることが苦手だなと感じていたので、監督から部長になるよう言われたときはどうして私が、と抵抗があって部活に行くことすら悩んでいました。
――役職としての部長と競技としてのバドミントンの両立は厳しいですか
関川 チームの中にも団体戦に出る人と出ない人がいて、みんなの気持ちをまとめようというのが自分には少し重く感じたので、そういうところで悩んでしまいました。でも副部長であるパートナーが話を聞いてくれたり支えてくれたりしたので、なんとかなりました。
――今までバドミントンを続けることになった転機は
亀田 高校3年生になって初めて団体戦のメンバーに入れて、そこで少し活躍できたかなってときです。
関川 え?少しじゃなくない?(笑)けっこう活躍してましたよ。
亀田 3年生の最後だけちょっと(笑)。
関川 団体戦でさりげなく当たったんですよ。そのときは負けました。
――その時のプレーの印象はお互いにありますか
亀田 私たちが攻撃しても、それを(亀田選手のペアに)粘って拾われてしまってなかなか決まらなかったので、そこが苦しかったなという記憶がとてもあります。
関川 私は(亀田選手の)高校が有名だったので名前にも気持ち負けして、あと攻めてくるプレーだったので自分たちはすごく引いてしまいました。
――尊敬している選手はいますか
亀田 ワセダの先輩方みんなです。
関川 あー、答え取られたー(笑)。私もです(笑)。
亀田 ワセダには決められた練習がないんです、だからみんなが自分で何をしたらいいかを考えて練習に取り組んでいて、それで結果が残せているので、そういう練習の姿勢とか考え方を尊敬しています。
関川 チームのみんなをバランスよく見てくれていたところです。あと卒業してもトップ選手として活躍されている方も多くて、バドミントンを引退しても何かしらでバドミントンに関わろうとしている方が多いので、尊敬します。
――実際自分たちが4年生になって、目標の先輩方に近づけましたか
亀田 自信を持ってできたとは言えないんですけど、後輩たちが少しでも、私たちが先輩に感じたようなことを感じてくれていればいいなって思います。
関川 後輩たちに残せたことがまだまだ足りないなって思います。自分たちは10月末に一線を引くんですけど、その後も部活に来て何かしら支えていきたいなと思います。
――もしバドミントンに出会っていなければ
亀田 スポーツはしていないと思います。
関川 私はバドミントンに出会う前はスイミングに通っていたので、スイミングか、他のスポーツをやっているかな。あと医学療法士になりたかったのでそっちの道にいってたんじゃないかなって思います。
――お二人とも社会科学部ですが、授業は一緒に受けたりしていますか
亀田・関川 はい。
亀田 3分の2くらい(笑)やっぱり単位が取りやすい授業を(笑)。
関川 単位が取りやすい授業と、あとは心理学や社会デザインに興味があったので1、2年生の頃はそっちも頑張っていました(笑)。
――お二人のゼミは
亀田 一緒のゼミなんですけど、子供たちと全力で遊ぶというゼミです(笑)。
――バドミントンをしている時とキャンパス内での雰囲気の違いは
関川 違いはあまり無いです。バドミントンのラリー中は真剣ですけど、それ以外は基本にぎやかです。
亀田 (関川さんは)ツンデレですかね(笑)。
関川 またそういうこと言うー(笑)。
亀田 例えば、ちょっとおちょくったりすると怒ってるのかなっていう感じにツンツンするんですけど、実は内心嬉しいんだろうなって(笑)。
関川 最近後輩からも言われるんですよ。
――オフの日はどうやって過ごしますか
亀田 ありきたりなのでいけば映画鑑賞とかですね。部活をしていて休日も疲れているので、いつもゆったりしちゃいます。アクティブにどこか行くというより、ゆったりできる場所を自然と選んでしまいます。
――映画のジャンルは
関川 ホラーだよね(笑)。
亀田 ホラーはみんなで見ると盛り上がるので(笑)。一人では絶対見ないです。
――最近見た映画は?
亀田 本当に最近見たのは…なんだっけ?
関川 パラノーマルアクティビティとテッド。みんなで大会期間中に見たんです(笑)。
――いかがでしたか
亀田 面白かったです。
関川 私は怖かったです。見れなかったもん。
――関川さんはオフの日は何をされていますか
関川 私は最近、読書と1000ピースのパズルをしています。パズルは自分の中でブームがきていて、一人でやっています。本は東野圭吾とか、王道なものです。
――今後の進路は
亀田 私は広島ガスという実業団にいくので、今後もバドミントンを続けます。事務的な仕事の後にバドミントンの練習をするっていう感じです。
――広島ガスを選ばれた理由は
亀田 広島ガス以外に、2つの実業団で練習させてもらったんですけど、実際に練習してみて、自分に一番合っていると思ったので選びました。
関川 私は2年後に和歌山国体があるので、その選手候補として和歌山に行きます。仕事は銀行で事務職をします。
――今後もダブルスを専門に続けるのですか
亀田 はい。成績を残せているのがダブルスなのでそうなります。これからもダブルスで、会社に貢献していこうと思います。
関川 私もダブルスだと思うんですけど、シングルスも練習しておけって言われたので、練習します。
「4年間組んでくれてありがとう」
プレーでもペアとしても亀田女子主将を支える関川
――大学に入ってからのお互いの第一印象は
関川 静かで、バドミントンに熱心だし、けっこう普段にぎやかではないのかなと思ってました。逆に友達になってからは、こんなににぎやかなんだなってびっくりしたのを覚えています。
亀田 (関川選手は)たぶん、頭がいいんだろうなって(笑)。大人っぽくて知性があるなって思いました。
関川 なんか照れるね(笑)。
――ダブルスを組んだ経緯は
亀田 最初は違う先輩と組んでいたんですけど、大会でもうまくいかなかったんです。ペアを決めるのは4年生の先輩で、監督の意向も同級生同士でなるべく組ませたいというものだったので、先輩や監督の意見で私たちが組むことになりました。
関川 新人戦もあるよね。
亀田 新人戦は1、2年生で出なきゃいけないんです。で、2年生の先輩は先輩同士で組んでいたので、私たちが組むようになったっていうのもあると思います。
――今だから言えることってありますか
関川 4年間組んでくれてありがとう。……照れるなー(笑)。
亀田 カミングアウト的なことかと思ってました。あのとき実は、みたいな(笑)。
関川 あのとき実はっていうのは……。早慶戦のときに、一回寝坊したんだ。
亀田 寝坊?
関川 間に合ったけど。
亀田 じゃあいいじゃん。
関川 でも一回練習間に合わなかったよ。うわ、言っちゃった。
亀田 それは終わったことだし、いいじゃん(笑)。まあ、そんな感じです。
関川 えーそれだけ(笑)。
――お互いに他己紹介をお願いします。
亀田 せっきー(関川選手)はとりあえずよく寝るんですよ。
関川 それ試合期間だけだよ。試合期間は10時に寝ちゃうんですよ。(亀田選手は)そっとしておいてくれます(笑)。
亀田 あとは、焼き肉が好きです。
関川 好きっていうか、バイト先なんですよ(笑)。
亀田 あとはツンデレしか思いつかないな。ツンツンしているので、誤解してしまう人もいるんですよ。ツンツン野郎かって(笑)。でも、内心は嬉しがってるのでもっといじってあげてほしいっていうのです。
関川 かめ(亀田選手)は、バドミントンの面では一試合一試合に全力投球ですね。私がアップをしようと思う10分くらい前から走っているので、そういうところをすごく尊敬します。
亀田 アップ野郎にしといてください(笑)。
関川 私が試合前にご飯を食べていると
、アップしないの?って言われることもあるんです(笑)。
亀田 試合前ってすごく緊張しているんですよ。だから、それを紛らわすためにもたくさんアップしちゃうんです。でもアップし過ぎて疲れちゃうこともあるので、調整が必要かなって思います(笑)。
――関川選手は緊張をほぐす方法ってありますか
関川 人と話しているか、食べ物を食べています。チームのメンバーやその会場でしか会えない他大学の選手と、試合のことや普通のことを話します。
――お互いの尊敬しているところは
亀田 やっぱり組んでいて頼りがいがあるところですね。私はけっこう緊張しちゃうときもあるんですけど、せっきーはちゃんと気持ちがここにあってどっしりしてるっていう感じで、そういうところは自分に無いので尊敬してます。
関川 私はさっきも言ったんですけど、何事に対しても全力でぶつかっていく姿勢がすごいなっていつも思っています。試合中も一球一球に全力で勝ちにいこうとしているような、試合に関する態度とか尊敬します。
――ワセダを選んだ理由は
亀田 私は、同じ高校の先輩が代々入っていて、先輩の話を聞いて選びました。言い方は悪いんですけど高校までは縛られていたので、大学では自由にバドミントンをしたいなって思ったので。
――ワセダに入ってよかったという点は
亀田 いまの先輩や同期や後輩に巡り合えたので、ワセダに入ってよかったと思います。
関川 私は高校でバドミントンをやめようと思っていたんですけど、部活の監督がバドミントンを続けてほしかったみたいで、医学療法士になりたいっていうこともあまり言えなかったんです。そういうときに北海道の方の大学から推薦をいただいていたんですけど北海道には行きたくなくて。そこで監督がワセダの自己推薦を紹介してくれたので、受けてみて受かったのでワセダにしました。
――ワセダに入ってよかったという点は
関川 バドミントンが強いというのはもちろんなんですけど、たくさんのOBがいて、そのつながりも広いので良かったと思います。あと、ワセダは関東一部で出場してる部活なので、そういうところで自分がさらに成長できる経験ができたので、良かったと思います。
――後輩たちのことはどのように見ていますか
亀田 後輩たちはすごく個性が強くて、1つのチームになっているのは難しいとは思うんですけど、みんなかわいいです(笑)。
関川 みんな個性が強いけど、練習メニューも4年生が決めたりしてそれを縛りつけるものも無いので、今後どんなチームになっていくのかが楽しみです。
――ずばり、ワセダのバドミントン部を一言で表すと
亀田 『自由』……いや、『自分』です。
関川 自分?
亀田 自分次第だし。
関川 あー、そういう意味か。私は……『個性』です。
必ずリベンジを果たす
昨季インカレ準優勝の好成績を収めリベンジに燃える亀田・関川ペア
――今季一番印象に残っている大会は何でしょうか
亀田 個人的には春と秋のリーグ戦が一番大事な試合だったなと思います。リーグ戦にはワセダのOB、OGも会場に足を運んでくださって応援もすごいので、そういう中で試合をするのはすごく緊張するし、チーム力がなければ絶対勝てない試合だと思うので、自分の中ではリーグ戦が一番大きな試合だったなと思います。
関川 私もやっぱりリーグ戦が一番心に残っているんですけど、特別残っているのは春のリーグ戦です。自分たちの代になって初めてのリーグ戦で、どのような形で試合の流れができるのかわからなかったので、チーム全員が最初から緊張していたんですよね。その中で自分たちも緊張しながら流れをつくれたことが4年生として一番良かったかなと思いました。
――今話に出ていた春と秋のリーグ戦、ともに団体5位という成績でしたが
亀田 いい試合はするんですよ。でも、あと少しのところで勝てなくて、それがどんどん悪循環につながってしまいました。初日からチーム全体でもっと盛り上げて、競ったところでちゃんと勝つことができていたらもっと上にいけたんじゃないかって思います。
関川 きょねんは玉木さん(玉木絵里子、平25年スポ卒)と土谷さん(土谷美帆、平25スポ卒)という先輩たちがいて、リーグ戦も安心して臨んでいた面があるんですけど、ことしから誰が勝つか予想できず苦戦しました。そういう反省点は、後輩たちも来年につなげることができると思います。
――お二人にとってインカレとは
亀田 インカレは学生の大会の中で一番大きな大会だと思います。
関川 自分たちは年々、個人戦で成績が上がってきているのでそこで上に行きたいっていうのももちろんあるんですけど、やっぱり毎年自分たちの力を出せたらいいなっていうような、大きな大会です。
――昨年の準優勝という結果については
亀田 結果に向かっていったんじゃなくて、一つ一つ集中できたから結果がついてきたっていう感じです。個人的にも、準優勝という結果は満足だし嬉しかったです。
関川 終わってみて準優勝という結果は本当に嬉しかったんで満足だったんですけど、決勝戦では全然点数がとれなかったので、そういうところには後悔があります。
――昨年のインカレで見えた課題は
亀田 心身の面で少し疲れてしまって、決勝で自分たちのいいプレーができなかったという部分があったと思うんですよ。だから、体力の点と、集中力が欠けてしまったという点です。
関川 自分たちのダブルスは苦手なタイプと得意なタイプがはっきりしているので、そういうところがはっきりしたのは良かったです。だけど、苦手なタイプが相手だとまだ不安定なので、そこを反省しながら残り少ない日数、練習してきたいなって思っています。
――最後にことしのインカレの目標は
亀田 優勝です。
関川 はい!
――ありがとうございました!
(取材・編集 吉田麻柚)
笑顔で対談に応じた亀田・関川ペア
◆亀田楓(かめだ・かえで)(※写真左)
1991(平3)年4月24日生まれ。宮城・聖ウルスラ学院英智出身。社会科学部4年。自分の試合だけでなくチームメートの試合でも大きな声で盛り上げている姿が印象的な亀田選手。関川選手いわく「何事に対しても全力でぶつかっていく」亀田選手らしく、社会人になってからの活躍も期待しています!
◆関川容子(せきかわ・ようこ)(※写真右)
1992(平3)年3月18日生まれ。新潟・青陵高出身。社会科学部4年。『コート中でも外でもしっかりしている』というイメージがありましたが、実は練習に寝坊したことがあるという秘密を教えてくれました。亀田選手いわく「一見怒っているように見えても実はツンデレ」なんだそう。今回の取材ではプレーだけでなくオフの場面でもお二人のコンビネーションの良さを感じました!