最終日に逆転狙うも無念のノーコンテスト

航空

 熊谷の妻沼滑空場にて全日本学生グライダー競技大会が行われた。早大からは、田中尚史(基理4=埼玉・早大本庄)、多田優希(基理4=大阪教育大付天王寺)、伊藤大貴(基理3=神奈川・浅野)が出場した。4年生にとって学生最後の大会となる今大会。団体優勝を目標に掲げていた早大は、団体5位で大会5日目を終え、最終日となる6日目に逆転を狙っていたが、大会関係者から新型コロナウイルス陽性疑いがでた影響により最終日はノーコンテストとなり、そのまま大会は終了となってしまった。その結果、早大は団体で5位入賞、個人で伊藤が4位、田中が6位入賞という結果を残し大会を終えた。

大会に出場した早大3選手(左から伊藤、田中、多田)

 新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となった今大会、初日から天候に恵まれ、各校が連日得点を重ねる展開となった。早大は初日こそ得点できなかったものの、2日目には伊藤が201点、3日目には田中が786点を獲得し、3日目終了時には累計1704点で団体5位につける。そして迎えた大会4日目、1番手の田中が901点という高得点を獲得し、良い流れを作ると、2番手の伊藤がこの日最速となる30分で周回を達成し、1000点を獲得。「自分がチームの1番手として条件が渋い中でもしっかりと周って、2番手が1番早いフライトをして帰ってくるという戦略があった」という田中の言葉通りの展開となり、早大は4日目終了時で首位と約700点差の団体3位まで順位を上げる。

 団体3位で迎えた大会4日目、逆転優勝に向けて得点を重ねておきたい早大だったが、この日は得点を獲得することができず、団体5位に順位を下げてしまう。そして前述の通り、この日が大会最終日となり、団体は慶大、個人は法大の優勝という結果で閉幕となった。早大の最終的な成績は、団体で5位入賞、個人で伊藤が4位、田中が6位入賞という結果であった。

 結果的に部として掲げてきた『団体で全国優勝』という目標を達成することはできなかったが、「団体で5位、個人で4位、6位入賞というかたちで早稲田の力がコロナでも失われていないということを見せることができた」(田中)。そして、「他校との飛行経歴の差を研究や頭を使った訓練によって埋めることができたのはすごくよかった」(伊藤)と今後への手応えを得ることができた大会にもなった。「このくやしい思いは来年につなげて、来年こそは優勝したい」(伊藤)。4年生の思いは後輩たちへたしかに受け継がれている

(記事 佐藤豪 写真 部提供)

結果

▽団体

5位 3605点 

▽個人

伊藤  4位 1918点

田中  6位 1687点

コメント

田中尚史(基理4=埼玉・早大本庄)

――今大会の目標を教えてください

団体優勝を目標に掲げて大会に臨みました。早稲田は飛行時間で他校に遅れをとっているなかで、どう勝つかというのをみんなで話し合いながら戦略を練って大会に臨みました。

――今大会を振り返ってみていかがですか

飛行時間が他校に比べて短い中で、自分たちの力を発揮できた大会ではあったのですが、やはりその中で他校との差というのが出てきていて、団体優勝には一歩届かなかったという思いがあります。

――ご自身のフライトを振り返っていかがでしたか

自分がチームの1番手として条件が渋い中でもしっかりと周って、2番手が一番速いフライトをして帰ってくるというチームとしての戦略があったのですが、それができる日、できない日があったというのが少し反省点としてあります。

――大会を通じての天候はいかがでしたか

今年の大会は本当に天候に恵まれていて、これだけ毎日得点者が出るという大会は過去にあったのかなというくらいでした。最後の大会として本当にありがたかったです。

――結果を受けてのお気持ちを聞かせてください

気持ちとしては悔しい気持ちが最初にでてきますが、最後まで自分たちの力を発揮して、団体で5位、個人で4位、6位入賞というかたちで早稲田の力がコロナでも失われていないということを見せることができたのではないかと思います。

――今大会はご自身にとってどういった大会になりましたか

4年間の集大成になりました。自分たちはコロナで半年間飛べなかった期間があったなかで、今大会は競技として成立しましたし、自分たちの苦労あった4年間を形として残してくれたと思います。

――後輩に向けて一言お願いします

自分たちの日々の訓練を信じて大会に臨んでほしいと思います。やはり飛行時間や訓練の日数という点では他校に劣ってしまう部分もあると思いますが、そこで諦めるのではなくて、日々フライトのことを考えることで近づくことはできるということを今大会で証明できたと思うので、そこを引き継いで早稲田を優勝に導いてほしいと思います。

――同期に向けて一言お願いします

ずっと楽しかったと言える4年間ではなかったかもしれないし、苦労はあったのですが、その中で本当の苦労をしている時に助け合い、ここまでやってこれたのは同期がいたから。本当に感謝しています。

――ご自身の航空部での4年間を振り返っていかがですか

22年間生きてきた中で、ここまで濃密な4年間はないなというくらい色々な経験をしたし、色々な学びがありました。今後も脳内にずっと残り続ける4年間になったと思います。

多田優希(基理4=大阪教育大付天王寺)

――今大会の目標を教えてください

私は3番手だったので、1、2番手に次いで少しでもポイントを獲得することでした。

――今大会を振り返ってみていかがですか

最終的には得点できずに終わってしまい非常に悔しい結果になりましたが、早稲田として、他校との飛行時間で倍以上差がある中でここまで順位を上げることができたのはすごく大きいことだったと思います。

――ご自身のフライトを振り返っていかがでしたか

チームメイトからのアドバイスを受けながら、日を追うごとに向上していったので、私としても成長できた毎日でした。

――大会を通じての天候はいかがでしたか

毎日晴れていて、条件がでて、毎日得点が入るおもしろい気象条件でした。

――結果を受けてのお気持ちを聞かせてください

最終日、結果として競技を行うことができず、順位を上げることはできなかったのですが、早稲田の順位をここまで上げてくれた1、2番手の選手に感謝したいと思います。

――今大会はご自身にとってどういった大会になりましたか

1年生のときから夢見ていた全国大会で、まさか4年生になって自分が出場できるとは思っていなかったので、すごくうしかったです。来年出る後輩たちにはぜひ優勝してもらいたいと思います。

――後輩に向けて一言お願いします

まだまだ早稲田は飛行時間という点で他大学から遅れをとっていますが、差がある中でここまで戦えるんだということを見せられたと思うので、来年は絶対優勝してもらいたいと思います。

――同期に向けて一言お願いします

4年間続けてくれてありがとうと言いたいです。

――ご自身の航空部での4年間を振り返っていかがですか

色々な意味で濃い4年間になりました。

伊藤大貴(基理3=神奈川・浅野)

――今大会の目標を教えてください

団体優勝です。自分は3年生ということで、先輩方とチームを組める最後の機会なので、先輩方が有終の美を飾ることができるように得点をとってサポートしたいと考えていました。

――今大会を振り返ってみていかがですか

4日目に自分がデイリーとなる1000点、田中先輩が2位の得点を獲得したことで団体3位まで順位を上げることができ、他校との飛行経歴の差を研究や頭を使った訓練によって埋めることができたのはすごくよかったです。しかし、きのう得点することができなかったのは少し悔いが残ります。また、最終日も競技を行うことができず、逆転することができなかったので、このくやしい思いは来年につなげて、来年こそは優勝したいです。

――ご自身のフライトを振り返っていかがでしたか

今回の自分のフライトの目標としては、減点をされないフライトをすることでした。一回違反をしてしまい、その目標は達成することはできなかったですが、それ以外は安全高度やガイドラインをわることはなく、競技規則を守ってフライトができたことは成長を感じましたし、誇りに思っています。

――大会を通じての天候はいかがでしたか

2週間前にあった早慶戦では冬型の気圧配置で強い北西風というコンディションだったのですが、今大会はおだやかな南風ということで早慶戦とはまた違ったコンディションでした。いかに早くサーマルをつかまえるかがカギになるような気象条件でした。

――結果を受けてのお気持ちを聞かせてください

個人4位、団体5位という結果になってしまって、個人で入賞できたことはうれしいことではあるのですが、団体5位というのは不甲斐ない結果なので、これを振り返って来年以降強いチームを作って団体5位をとりたいと思っています。

――次の大会に向けて意気込みをお願いします

今年チームの2番手としてたくさんの飛行機会をもらって得たものはとても大きかったので、それを同期や後輩たちにしっかりと還元して、選手層の厚い早稲田をつくって、来年は団体優勝を目指したいと思います。