盛夏を過ぎ秋の気配が顔を出し始めた9月2日〜8日の7日間にかけて、第21回東京六大学対抗競技会が埼玉・妻沼滑空場で行われた。今年は法大が主宰となって開かれた今大会。昨年は出場を見合わせた早大にとって2年ぶりの出場となった。新体制となってから初めての大会であり、また10月に行われる関東学生競技会(関東大会)、その先の全日本学生競技大会(全国大会)へと力量を試す場でもあり結果を残したい早大。台風の影響など天候に左右される場面も多かったが、大会4日目に村松卓(政経4=千葉・渋谷幕張)が2ポイント、老田圭佑副将(国教4=米国・ストラットフォード)が1ポイントを獲得し、団体3位、個人では村松が6位に入賞した。
今大会は、決められた周回コースを飛行し、飛行距離とタイムを得点化することで競い合う。高度が十分ではなくなると、飛行を途中でやめなければならず飛行距離は伸びない。周回コースには4つのポイントが定められており、周回できたポイントの数が多いほど得点を重ねることができる。また、減点となる条件も様々に存在し、最終的な得点へと影響する。さらに機体の種類によって得点も操作され、高精度の機体は他に比べて1割ほど得点が低くなる仕組みとなっている。早大からは今回2機体、6人の選手が出場した。台風のため大会1日目と2日目はノーコンテストとなり、競技開始は3日目からとなった大会前半。台風の直後は台風一過で快晴となり、条件の良い天候が予想されていたものの、「上昇気流が思っていたほどいい条件ではなかった」(老田)ことによりまたしても全大学ポイントすることができず。5日目以降も天気が崩れることが予想されていたため、4日目に望みが託されることとなった。
安全にも気を配り大空に飛び立つ
迎えた大会4日目。午前中からだんだんと飛行のための条件が良くなり、慶大が2人続けて1周回を達成する中で、早大も両機体のエース村松が2ポイント、老田が1ポイントと、確実にポイントを獲得する。周回のタイムのみではなく、そこから高度が足りないことなどによる減点がされ最終的な得点が出されるグライダー競技。上昇気流を探す中で高度が下がってしまったことによる減点はあったものの、4日目を終えた時点で村松が個人6位、老田が7位と安定した戦い方を見せる。その後の5日目、6日目ともに予想通り全大学が得点のできる条件とはならず、4日目の結果がそのまま大会全体の結果となり、早大は団体3位で大会を終えた。
早大からは6人が出場
天候に左右されるも、「僕らの今の技量にあった順位」(老田)と納得のいく結果を出すことができた今大会。しかし一方で、宿敵慶大との差は1000点以上あり、「もうひとつくらいは順位を上げられた」(村松)と悔しさをにじませる場面もあった。10月には、全国大会への出場権を懸けた関東大会が行われる。今大会で明らかになった課題を修正し、空を制するべくチーム一丸となって新たな戦いに挑んでいく。
(記事、写真 村上萌々子)
コメント
老田圭佑副将(国教4=米国・ストラットフォード)
――この大会に臨むにあたっての意気込みは
まずは僕たちの代になり初めての大会ということで安全に、無事に終わるようにやろうということでした。オペレーションの部分だったりフライトの部分だったり全体として余裕を持てるように行いました。
結果はいつも通りのフライトをすればついてくるだろうということで、本番は関東大会や早慶戦に標準を合わせるということで臨んでいました。
――天候面はいかがでしたか
大会に入る前から台風が来ることはわかっていたので、そこの日程が潰れたあとがどうなるかが勝負だと思っていて、台風の直後は台風一過で晴れると思っていたのですが、思っていたよりも実際コンディションが良くなくて上昇気流が思っていたほど良い条件ではなくて、その日は絶対周回できると思っていたのが結局なかったです。4日目に僕が1ポイントして彼が2ポイントした時は、午前中はだんだん条件が出てきて機体が上がり始めてきてみんなポイントを出し始めた中で、正直慶大が周回したのについていけなかったですね。その後は条件もなくなってきて周回できるコンディションではなくなっていたので、いかに早く次のポイントを獲得していくのが課題かなと思います。
――団体3位という結果についてはどうですか
正直僕らの今の技量にあった順位かなとは思います。僕は早慶戦に勝ちたいという一心なので、2月後半までに慶大に追いつけ追い越せできるようにしていきたいです。
――ご自身のフライトで減点されたポイントを教えてください
僕の場合は、定められた高度、具体的にいうと3キロ445メートル、5キロ624メートルをわった状態で、それよりも低い高度で飛行していたということです。もう少し詳しくいうと、これから高度を上げていくぞという中で3キロを少し超えていたり、5キロの中で次の上昇気流を探す中で無駄に探しすぎたりして、帰ってきた時には3キロ445を少しわっているというその2点で減点がありました。
――ご自身のフライトで何か感じたことはありますか
主に3つあります。1つ目はメンタルで、他の2人が回っている中で、自分のペースとは違うと焦りが出てしまった。それから高度が低くなってしまった。ワセダが慶大より負けているというプレッシャーから早く行かなくてはという焦りもありました。2つ目は技量です。それぞれの上昇気流にあった速度、バンク、コントロール、どれを選ぶかまだまだ課題があるなと思いました。もう1つはある機材、GPSなどの機材の活用がもっともっとうまくできるのではないかということです。
――今大会の収穫は
上昇気流があればちゃんと上がれるなというのは自信になったので、探し方だったり見つけた後だったりをもっとはっきりさせていきたいと感じました。
――関東大会への意気込みをお願いします
僕は出ないのですが、上昇気流の探し方や、探して見つけて上がった後どうするのかとか色々発見もあったので、そういうところで選手をサポートしていければと思います。
村松卓(政経4=千葉・渋谷幕張)
――この大会に臨むにあたっての意気込みは
最終的に全国大会で優勝を狙いたいと思っていて、この大会はそこに向かって、お互いに力量差を見極めたり経験を積んだりする目的の大会だと思って臨みました
――天候面はいかがでしたか
予報でいい天気だと言われていた日が悪かったり、逆にそんなに良くないかなという日が良かったりして、スカイスポーツの醍醐味を味わいました
――団体3位という結果についてはどうですか
自分は老田とは少し違っていて、大会始まるまでは3位くらいが技量的にも妥当かなと思っていたのですが、やっている中で意外と戦えるなということがわかったので、その分もうひとつくらいは順位上げられたのかなと思うとそこは悔しいです。一方で、優勝した慶大はやはりうまいなと思ったので刺激をもらいました
――ご自身のフライトで減点されたポイントを教えてください
高度が足りないことによる減点です。なぜ減点したのかというと、途中まで行けた時に最後まで回りたいという欲が出てしまって、結果的に高度が低くなってしまったということでした
――ご自身のフライトで何か感じたことはありますか
精神的に平常心で飛ぶのが大事だなと思いました。平常心で飛ぶといい結果となり、緊張するといい結果は出ないなと感じました。1番はそれです
――今大会の収穫は
思ったよりも他大と戦える技量があるのだと感じました。気持ち的な面で今後の大会に向けて自信になったのかなと思いました
――関東大会への意気込みをお願いします
関東大会は出場する機体が多くなって、飛べるチャンスが限られて来るので、今大会以上に回ってきたチャンスをものにできるように、平常心を大事にして臨みたいと思います