奮闘するも、優勝つかめず

航空

 全日本学生選手権(全国大会)の予選として昨年行われた関東学生競技会から2か月、全国への切符を手にしたのは早稲田23一機のみだった早大。出場出来なかったLSの思いものせて空へと飛び立ち、大会序盤から団体首位を獲得。その後も周回を続々と成功させ加点を続けるが、大会中盤の折り返し地点で2位に転落。田中努(先理4=広島・修道)が個人の部で優勝するも、後半の悪天候の影響もあり思うように点が伸ばせず大会は団体2位で幕を閉じた。

 初日こそ強風の影響によりノーコンテストとなったが、大会前半は全体を通して天候に恵まれた。条件が出て多数の周回者が出た2日目、早大も流れに乗り田中、小長谷礼美(基理4=東京・渋谷教育渋谷)、山田ゆり(文構3=千葉・日出学園)の出場選手全員が周回成功・得点し、団体1位に躍り出る。大会3日目には他校に迫られながらも、田中が周回・減点なしの1000点を記録しトップの座は譲らない。このままの順位をキープしていくかと思われた大会4日目、僅差で慶應に首位を奪われてしまう。

大空へ飛び立つ早稲田23

 悪天候が続き、得点を伸ばすことが難しくなった大会後半。5日目、6日目は早大だけでなく各校気象状況に悩まされ思うように加点が出来ず、得点者が出ない日も見られた。さらに、追い込みをかけたい大会終了目前の7日目も、雨のためノーコンテストとなってしまう。そして迎えた最終日、なんとか巻き返したい早大だったが、周回を成功するも得点者なしで大会は終了。6日目までの得点から上げることは出来ず、慶應から首位を奪還し2年ぶりの優勝をつかむことは出来なかった。

着陸する田中選手

 決して悪い成績ではないのだが、チームの目標であった団体優勝を果たすことは出来なかったためだろう選手の顔には悔しさがにじんでいた。しかし、慶應には自分たちより秀でた点がいくつもある、と前置きしたうえで「食らいついていく」と言った田中の言葉や、や「早慶戦(早慶対抗競技会)で決着をつける気持ちで頑張ります。絶対に団体優勝しかないんで」という小長谷の言葉から、早慶戦を前にした対決を機に、改めて強く意思を固めた選手たちの様子がうかがえた。全国でのリベンジを果たした選手の笑顔を見ることは出来るのだろうか。早慶の誇りをかけた戦いは10日から開幕する。

(記事 冨田千瑛、写真 石川諒)

結果

▽団体

早稲田23(田中、小長谷、山田) 4841点 2位

▽個人

田中努 2531点 優勝 ※上位入賞者のみ掲載

コメント

小長谷礼美(基理4=東京・渋谷教育渋谷)

――今大会の目標をお聞かせください

< p>自分はとにかく団体優勝を狙っていて、個人とか個人優勝はねらっていませんでした。団体優勝だけ狙っていました。団体優勝と、あと自分自身のフライトで原点をしないということ。団体優勝のために自分がどう貢献できるのかということをずっと考えてたんで、目標はその二つです。

――大会全体を振り返っていかかでしたか

自分は去年全国大会に選手として出ていなかったんですけど、大会の雰囲気は去年と比べるとよかったと感じていて。今年はおそらくそんなに減点を激しく取り合うような大会ではなかったので。去年はフライト終わった後に言い合っている選手とかいるのも見て、競技の雰囲気とか悪くなったりしたんですけど。あと、今回は雨で潰れた日が一日、強風で飛べなかった日が一日あっただけで、それ以外の日は得点が出る日も多かったので、それで雰囲気が良かったのかなと思います。

――結果を受けてのお気持ちを

率直に団体優勝とれなかったことが、とても残念です。結局、早稲田と慶應がお互いに目指しているのはお互いに勝つってことで。結果私たちが僅差ではあるけど、準優勝だったというのは早稲田として慶応に負けたということになるので、それはとても悔しいです。ただ関東大会で早稲田の両チームとも結果出せなくて、そこまであまり競ってこなかったチームに負けていたのに比べると、今大会は早慶両方でトップをとれたのですごく嬉しいです。あとは、個人では田中が優勝をとれたことはすごく嬉しいです。

――ご自身のフライトは

自分が飛んだのは大会中に結局二回しかなくて、一回は周回が出来て得点したフライトなんですけど、自分の中でそこそこなフライトが出来て減点もしなかったのでよかったです。得点できなかったもう一方のフライトは、機体がたくさん周りにいる中で他機と少し近かったんじゃないかなと。特に練習日にそう判定されてしまって、その時は結構へこみました。自分のレベルが低いんじゃないかって不安でした。大会がやり通せるのかなと。でもそこで結構練習が出来て、それ以降は減点しないよう自分からアピールとか、飛び方とががそこで覚えられたので、あんまり減点するかもしれないとか、不安はなく飛べました。

――大会前半と後半のコンディションは

みんな精神状態はわりとずっと良くて。これは私たちのチームが六大戦(東京六大学対抗競技会)の時から抱えていたテーマだったんですけど。大会をいいモチベーションを保ちながら過ごすっていう。それを六大より関東、関東より全国のほうがそれが出来てたように思います。自分も他の二人もそうなんですけど、後半は結構疲れが出て来て。朝起きるのが辛いとか。競技中もそうですし、競技以外でも他の二人にストレスがかからないように率先してやったりとか、自分含め三人でやっていたのでそれがチームの雰囲気を良くすることにも繋がったと思いますし。あと、下級生も全日ついてきてくれたり、それによっていいコンディションは保てたと思います。あと、去年はインフルエンザが大会中に流行ったのですが、今年はそういうのもなくて、けっこう体調管理にも気を使いながら出来たのでそれはよかったかなと思っています。

――最後に早慶戦へのいきごみを

団体は今回慶應がとって、個人はうちがとって、だから早慶戦で決着をつける気持ちで頑張ります。早慶戦は絶対団体優勝しかないんで。

田中努(先理4=広島・修道)

――今大会全体を振り返っていかがですか

今大会はスタンダード機よりも性能の低いクラブ機での出場ということで、結構戦略立ててやることを決めて臨みました。クラブ機の戦い方としては、毎日必ず周回数で負けないで、最終的に団体(優勝)を取ることを目標にしていました。周回数に関してはおとといを除いて他の大学に負けていません。早稲田23らしい戦いができたのではないかと思います。

――実力は発揮できた大会だったということでしょうか

振り返ると「ここでああすれば良かった、こうすれば良かった」というのはたくさん出てきてしまうのですが、僕を含め3人とも良いフライトができたのではないかと思います。僕に関しては課題は残りましたけど、今現在できる限りの力で戦えたと思います。

――大会前半は首位を守りましたが心境はいかがでしたか

正直(競技)初日から1位をとれるとは思っていなかったので、プレッシャーにならないように、まだ初日で大会は長いからということで、無視をして思い込んでやっていました。

――後半は得点が伸び悩みました

後半は雨などもあって前半と比べると気象条件が落ち目になることは目に見えていたので、それはどの大学も同じで苦戦していました。自分はここで周りの大学を気にしないようにして、とにかく一日一日でベストを尽くそうということだけを考えました。その結果として得点は出せなかったですが、特に気にしてはいなかったです。

――個人優勝という結果についてはいかがですか

個人優勝は正直取れると思っていなかったですし、目標が団体優勝だったので今は団体優勝を逃してしまったことが悔しいです。しかし個人優勝を取れたというのは嬉しいです。

――団体優勝は慶大。早慶対抗競技会(早慶戦)を前にして改めて印象いかがですか

< p>やはり今回の大会を振り返ってみても彼らのチームの1番手・青池(秀人)、2番手・三輪(岳誠)という4年生の強さを身をもって実感しました。今大会も周回の時間では勝てていないんですよ。ただ僕の方が合計点で上にいっているというのは、ハンディキャップというのがあります。僕が乗っている機体は彼らの機体と性能差があって、周回タイムが×0.9されます。結果としてそこに助けられましたが、勝負としては彼らの方が一枚上手だったと思います。

――早慶戦勝利には何が必要でしょう

正直慶大には自分よりも秀でたところがいくつもあるので、まずは食らいついていくこと。早慶戦は全国と違って、失敗しても何度も飛べます。なので大会の形式も違いますしタスクの違いもありますし、その性質の違いを生かして食らいついていく、そしてどこかで勝負に出る。とにかく慶大だけに集中していきたいと思います。

――改めて早慶戦に向けて意気込みをお願いします

今回は団体を取られましたが、早慶戦の優勝は必ずもらいたいと思います。

山田ゆり(文構3=千葉・日出学園)

――今大会を振り返っていかがですか

非常に全国大会はレベルが高いなと思いました。最近の大会を見ていて、関東地区の大学が強いなという印象だったのですが、京大だったり東北大だったり全国は非常に上手い選手が多くて技量のレベルの高さに驚きました。

――団体2位という結果に対する率直な感想はいかがですか

悔しいですね。(競技)初日から3日目まで1位で僅差だったのですが、2位に転落した後から競技ではあまり天候に恵まれなくて、逆転できるような気象条件になりませんでした。巻き返せなかったというのはすごく悔しいです。

――個人としてのフライトはいかがでしたか

私は3番手として条件がしぼみかけのときに飛ぶことが多くて、他の大学がすでに2周している中で私が追いかけるということが多かったです。条件のしぼみかけなのでタイムは気にしないで、周回数だけは他の大学に負けないようにして、2回飛行して2回とも食らいつくことができたので、それは良かったと思います。

――大会後半は得点が伸び悩みましたが心境はいかがでしたか

気象条件を1週間見ていても、前半勝負になるということはわかっていて、結局おとといときょうも気象条件がもっと上がると思っていましたが、あまり上がらなかったのでもどかしい気持ちでした。気象条件が悪い場合は1番手勝負になってしまうので、1番手がいかにリラックスして飛んでくれるかということを考えて過ごしました。

――初めての全国大会でしたが雰囲気はいかがでしたか

雰囲気は良かったと思っています。食事とかもうまく工夫して、外に出て食べた方が良いときと中で体を休めながら食べるときで使い分けていたので、体に負担がなくて良かったです。

――早慶戦への意気込みをお願いします

団体優勝は慶大に取られてしまったので、早慶戦では優勝できるように頑張りたいと思います。