目標達成も課題は山積み

航空

 全日本学生選手権(全国大会)の予選となる今大会。早大からは早稲田23と早稲田LSの2チームが出場した。選手たちは天候不良に苦しみ、得点が入ったのは大会期間中わずか3日。条件の整った3日目には得点を重ね見せ場はつくったものの、その後は伸び悩み団体の最高位は早稲田23の5位に終わった。また個人入賞は4位となった太田篤(基理4=東京・本郷)のみ。両チームとも全国大会への出場は決定したが、その戦いを前に課題の残る結果となった。

今大会で入賞を果たした早稲田23

 「悔いが残ります」(安達拓人主将、先理4=神奈川・湘南)。最低限の結果は手にしたが、主将の顔は晴れなかった。チームを苦しめたのは悪天候。大会初日、2日目はノーコンテストとなり、どの大学もポイントを挙げられない。コンディションの整った3日目は各選手が周回を成功し早稲田LSは3位、早稲田23は5位と共に首位から僅差につけた。逆転も期待されたが、その後の日程でも不安定な天候に苦戦し、思うように得点を獲得することができない。「強風のときの飛び方が甘い」(安達)と語るように、条件のそろわない中でいかに得点を挙げるかが今後の課題となるだろう。

 不利な状況の中でも健闘を見せた。性能に優れたスタンダード機と異なり、強風の環境ではハンディキャップとなるクラブ機での出場となった早稲田23。しかしエースである太田は早大でただ一人個人入賞も果たす奮闘を見せ、チームを5位に押し上げる原動力となった。予選通過という目標は達成したものの、エース頼みのチームの現状が露わになったともいえるだろう。「2番手以降の人が確実に得点できるように後輩を育てる」(太田)という言葉通り、まだ経験の浅い3年生がチームの浮沈のカギを握っている。

全国大会出場が決まった部員たち

 上位入賞とはならなかった早大だが、出場した2チームは共に全国大会への切符を手にした。関東大会連覇は叶わなかったが、全国大会連覇への道はまだ開かれている。「やりかえしてやろう」(安達)、「優勝する気でいる。」(太田)と次なる舞台で選手たちが目指すのは全国制覇のみだ。残された期間はおよそ2カ月。そのわずかな期間でチーム全体の底上げを図ることが、悲願達成の条件となる。『チームワセダ』で頂点に返り咲くことはできるか。

(記事 石川諒、写真 佐藤亜利紗、石川諒)

結果

▽団体

早稲田23(太田、大熊、坂田、竹矢、田中) 1894点 5位



▽個人

太田 1694点 4位



※入賞者のみ掲載。

コメント

安達拓人主将(先理4=神奈川・湘南)

――今大会を振り返っていかがですか

全体的に言えばもう少しできたなというところがあって、そこら辺が悔いの残るところです。

――どのような調整をして臨みましたか

六大学戦(東京六大学選手権)で結果が散々だったので、基本的なところから振り返って基礎をトレーニングして、その結果どうだったかというのが今大会に現れた感じです。

――今大会の目標は

第一としては全国大会への進出、2番目としては今のメンバーでベストを尽くすということで、1番目に関しては達成できたのですが、2番目はもう少し改善点があったので少し悔いが残ります。

――きょねんの大会と比べて足りなかったことは

きょねんとは条件の違う大会になっていたので単純な比較はできないのですが、きょねんは風間(勇輝、平26基理卒=茨城・江戸川学園取手)先輩というすごいエースの方がいて、今年のワセダにはいなくて、特に早稲田LSの3人のメンバーはそういったメンバーではなかったので、そこが欠けているところではあったと思います。

――見つかった課題はありますか

個人的なことになるのですが、強風のときの飛び方がまだまだ甘いなと。3日目は風が弱くて我々の選手は得点できていたのですが、強風になった途端得点が伸び悩んだのでそこが課題だと思います。

――全国大会への意気込みをお願いします

結構課題はあったのですが、修正できないような課題ではないですし、入賞した選手に比べて自分が負けているとは思っていないので、やり返してやろうという気持ちで臨みたいと思います。

太田篤(基理4=東京・本郷)

――今大会を振り返っていかがでしたか

まず今大会は例年に比べて条件の良い大会でした。ただ、ちょっと難しかった条件が多くて、各大学やはり上手な人しか回ってこない条件が多かったです。

――個人4位という結果についてどう思われますか

もうちょっと順位を上げられたかなというのはあります。実は、自分が乗っているグライダーがスタンダードクラスの性能の良いものではなくて、ハンディキャップのあるグライダーに乗っていて、ハンデはあったもののもうちょっと戦えたかなというのがあり、反省しています。

――クラブキックアスという賞も受賞されていましたね

スタンダード機とクラブ機というものがあります。スタンダード機というのが要はすごく性能が良く、車で言えばスポーツカーみたいなものです。一方でクラブ機は乗用車みたいな感じです。どちらの方が速いかということです。性能が全然違って、特にきょうみたいに風の強い日はスタンダード機がものすごい有利です。それでクラブ機の得点を取った中で、僕が一番得点を取れたのでもらえました。

――団体5位の結果についてはどう思われますか

一応今回の関東大会の目標が優勝ということではなくて、あくまで全国大会の予選ということでした。クラブ機の4年生が僕一人だけで、あとは大会の経験がまったくないような3年生という状況の中での戦いでした。団体5位だったということは、予選を通過しようということが目的だったので、まあ良いのですが、もう少しあわよくば順位を上げられたかなと思います。

――きょうのコンディションはいかがでしたか

きょうはものすごい風が強くて上空は多分風速20メートルくらいあったと思います。これだけ吹くと旋回していてもどんどん下がってしまいます。上がっていても同じ所戻ってくると下がってしまいます。そういうところでクラブ機の方が不利ですね。

――今大会で見つかった課題はありますか

団体の得点がほとんど自分の得点になってしまって、3年生の今後の課題があります。

――今後に向けてどのような取り組みをしていきますか

やはり全国大会はどういうメンバーになるかわからないのですが、一番手じゃなくて二番手以降の人が確実に得点できるように後輩を育てるということが、僕らに課せられたことかなと思います。

――全国大会に向けての意気込みをお願いします

チーム編成がどうなるかわからないんですけど、私は優勝する気でいるので、頑張りたいと思います。

平井紀江(法4=兵庫・星陵)

――今大会を振り返って

私のチームは4人いて、その中で3、4番目の滑走順でした。機体の数もチームの数も多いので飛べる機会はあまりないかなと思っていました。大会の3日目にチャンスが来て回ったわけではないのですが少ない得点に結びつけることができました。次につながる自信となったと思います。

――今大会の結果に関しては

私個人として優勝を狙うというより団体での成績を良くして全国大会への出場を目指すという目標が果たせればいいかなと思っていました。結果として全国大会出場を決めることができたのですが、もう少し点数を伸ばして6位入賞を果たしたかったところですね。

――どのような気持ちで臨まれましたか

夏に行われた大会が私たち4年生が下の学年を引っ張っていく初めての大会でした。その時はうまくいかないところも多く、個人的には緊張していた部分もありました。今大会は最上級生として迎える2回目の大会ということもあり、それぞれがリラックスして臨めたと思います。3月に行われる全国大会や早慶戦に向けて良い雰囲気づくりができたのではないかという感じです。

――次の大会に向けての課題は何でしょうか

私は上がれないという状況の中で飛べる実力があまりないので3月までに自分の技術を磨き、そのような渋い条件の中でも任されるようなパイロットになりたいと思います。

――次の大会での目標をお願いいたします

まずは部内での番手を上げ得点の機会を増やせるパイロットとなることです。団体で優勝するのが一番だとは思いますが、個人でも入賞できればなと思います。

竹矢昂祐(文構3=東京・本郷)

――大会を振り返っていかがですか

まず団体としては最低限の目標であった全国大会出場を果たしたので結果は悪くないと思います。個人としては前半のチャンスの日に二番手として乗せてもらったのですが、得点することができず非常に不甲斐ない結果です。

――ご自身のフライトを振り返っていかがですか

まずファーストサーマルが捉えられませんでした。大会の競技としては初めてのフライトで、基本が少し抜けてしまったと思います。最初だったので固さがあったかもしれません。

――大会デビューを飾りましたがどのような気持ちですか

選ばれた時はうれしかったですが、いまの心境としては不甲斐ないということに尽きます。

――航空部3年間での生活を振り返るといかがですか

自分の性格でもあるのですが、もっとできたなと思います。真剣みが足りなかったと思い反省しています。

――来年に向けて目標をお願いします

まずは全国と早慶戦に選手として出場できるように普段の訓練からやっていきたいです。来年は一番手として出場したいです。

大熊勇生(基理3=埼玉・早大本庄)

――5位と言った結果についての感想はいかがですか

昨年に比べてことしは競技期間が長かったのですが、全体的に風が強かったのでチームの機体としては風の影響で他大学より不利な面もありました。でも競技が長くできたという点では良かったです。私にとっては初めての大会だったのですが、あまりチームの得点に貢献することができませんでした。今大会は4年生の太田さん(篤、基理4=東京・本郷)を中心に得点して、全国大会進出を決めたというかたちになりました。

――個人としては初の大会で経験を多く積めた点で実り多い大会だったのではないでしょうか

そうですね。3月の全国大会や、自分が4年生になったときの関東大会へ向けたイメージやトレーニングはよくできたかなと思います。

――全体を通して得た収穫や反省点などはありますか

競技期間が8日間で直前から合宿もやっておりまして合計で13日間、熊谷にずっといたので、メンタル面が重要な中で精神状態を維持するのが大変だと感じました。自分としては気持ちをしっかり整えることができたと思うので、次回以降の大会に生かしたいと思います。

――今大会へ向けて、最低限決めていたことや目標などはありましたか

4年生が先に飛んで、その次に3年生が飛ぶので、同じタイミングで飛んだ他の機体より先に降りず、なるべく長く飛ぶということを意識して臨みました。

――次回の3月に行われる全国大会へ向けて、改善したい点は

3月は今大会よりさらに風が強いことが予想されるので、そういった厳しいコンディションの中でいかに無駄なくフライトするか、ということを追求してやっていきたいと思います。

――やはりこの季節、土地の特有性から風への対応が一つのカギとなるのでしょうか

冬だと北西の風があって、地上で(秒速)10メートルくらいなのですが、上空では(秒速)20メートル、時速で言うと90キロほどなので、それに応じたフライトが必要ですね。あとは離着陸が航空機にとって一番危ないので、そういったところでも安定して飛べるように練習が必要ですね。

――今後に向けての意気込みをお願いします

今大会ではあまりチームの得点に加わることができなかったので、全日本ではそこを挽回して、加点していきたいと思います。

坂田真衣子(基理3=愛知・時習館)

――今大会の結果を受けて率直な気持ちをお聞かせください

私としてはもっと上の順位を狙っていたのでちょっと悔しいなというのはあるのですが、関東大会はどちらかというとあまり条件が出なくて競技が成立する日がもともと少ない大会なので、とりあえず全国大会に出場するというのが最低限の目標だったのでそれがクリアできたのは良かったなと思います。

――全国大会進出を達成できた最大の要因は何ですか

私たちのチームはエースとして4年の太田先輩の存在が大きかったと思います。

――順位を伸ばすことができなかった最大の要因は何ですか

私たちのチームが4年生1人と3年生4人で構成されているのですがその4年生のエースが得点してくれて、3年生がそれに続いて得点することができなかったのでそれが原因だと思います。

――全国大会へ向けて意気込みや目標をお聞かせください

今大会では良いタイミングで飛べると周回できるという面もあるのですが、全国大会ではもっと環境が変わって実力が前面に出る大会だと思っているのでちゃんとそれまでに3年生全員得点できるように1回1回の練習を頑張っていこうと思います。

田中努(先理3=広島・修道)

――今大会を振り返っていかがでしたか

今大会で競技ができて得点があったのが三日間のみでした。初日と二日目はノーコンテストで、三日目にやっと競技ができるようになり、しかも条件の良い日でした。そこで一番手の太田(篤、基理4=東京・本郷)さんが周回をして、その後僕に回ってきました。そこで一応コースを回ったんですけれども、二つ目のポイントでGPSのセクターに入ってなくて、結果として半分の点数しか入らなくて、チームの足を引っ張ってしまいました。条件が良いとどの大学も二人は周回するんですね。僕が飛んだ時に時間を使ってしまって周回にならなかったので、それが今回の大きな反省点でした。とても悔しくて、今大会何があったかと聞かれたらそれを思い出すくらい、やってしまったなという感じですね。

――団体5位という結果についてはどう思われますか

すごい強風の中、ASK23という機体で飛んでいたんですけど、やはり他の機体より性能が落ちているんですね。脚がない機体で遠くに行けないような機体で。その中で太田先輩が周回をして、他のスタンダードクラスの機体と張り合って5位という結果になったのはすごいと思います。ちょっと強風が多かったので、その中であの機体で周回するのは難しかったと思います。ほとんどは太田さんの得点になってしまうんですけど。まあ結果として5位というのは僕は良い方なのかなと思います。ただ負けているのは確かなので、それは反省するべき点だと思います。

――今大会での個人的な目標は何でしたか

個人的な目標は、得点を挙げるということと周回を3周するというのとを考えていました。結果としては、周回可能な条件が合った日が三日間で、セクターに入らなかったというミスを犯した日を入れたとしても1周回。しかしあまり良くない結果になりました。

――今後に向けてはどのような練習や取り組みをしていきますか

夏の六大学戦と今回の関東大会で大会の雰囲気とかには慣れてきたので、次はもっと競技の方に集中していきたいと思います。次は3月になるのですが、毎年3月は風が強いという条件が見込まれるので、そこで自分が飛ぶ時には機体のせいにはせず、自分も上手な人の中に入り込んで、周回させることを目標にしたいです。