課題残るも、今後につながる結果に

航空

 10月9~15日、第17回全日本学生新人競技会が岐阜県の木曽川滑空場で行われた。普段の試合とは異なり、今大会は安定した離着陸、課目の正確さが審査され点数を競い合う。ワセダからは明妻祐也(教2=市千葉)と山田ゆり(文構2=千葉・日出学園)の2名が出場。台風の影響で1ラウンドのみの試合となったが個人では明妻が5位、団体4位入賞と自信につながる結果となった。

ジョイフライトから戻る明妻

 初めての滑空場に加え、天候が不安定な日が続き、条件の整う日が少なかった。初日は飛び慣れていない選手が慣熟フライトを行う予定だったが、台風接近のために今後の競技の成立が心配され、急きょ競技フライトが実行されるというまさかの事態に。2日目以降も試合が予定通りに進まない中で明妻、山田の両選手はフライトに臨んだ。「機体が違って安定したフライトができなかった」という山田の言葉通り、さらなる悪条件が選手を苦しめる。強風の影響でショートする機体が多い中で「順位を気にせず、楽しくフライトをする」ことを意識していた明妻は落ち着いたフライトで個人合計157.4点と総合5位に入賞。「楽しくやっていこうと思ってついてきた結果」(明妻)と技術面だけでなく、精神的な面での強みが生んだ結果であった。

大会を終えた明妻と山田

 天候が読めず、発数も分からない中でどれだけ集中力を切らさないかが勝負のカギとなった今大会。「課目の正確性や計画性、判断力がまだ未熟」(山田)と課題も残ったが「自分たちの位置を知ることができた」(明妻)と視野が広がった。また、「他大のうまい人のフライトを見て勉強になった」(山田)と他大学との交流も深め、今後の取り組みも明確になるなど収穫は多い。このことをいかに自分たちのものにし、レベルを上げられるかに期待がかかる。

(記事 黒田菜々子、写真 須藤絵莉)

結果

▽団体

早大(明妻、山田) 304.1点 4位

▽個人

明妻 157.4点 5位

山田 146.7点 11位

コメント

明妻祐也(教2=市千葉)

――今大会を振り返って

今大会の目標はグライダーを楽しく飛ばして、仲間たちと楽しく交流できたらなと思っていて。順位とかこだわっていたわけではなくて。振り返ってみると、安全に飛ばせたし楽しくできたので良かったなと思います。

――この大会に向けてどのような練習をしましたか

教官に大会と同じ採点表を使って採点してもらっていました。色々なアドバイスをもらいました。技術だけではなくて、喋りも必要なんですけどそこも講評を貰ったりしました。

――普段と異なる場所でしたが、その点に関していかがですか

飛びづらい訳ではないです。慣れないですけど。その分ちゃんと準備段階でも指導を受けていたので大丈夫でした。

――ご自身の結果についていかがですか

楽しくやっていこうと思ってやってついてきた結果だと思います。点数見てもらえば分かるのですが個人で言うと1つ下と0.4点差とか、近いんだなと思っていて。結果的には良かったとは思います。基礎的なことがきちんとできていたのが良かった点だと思います。それよりも今後の方が大事だなと思っています。

――この大会を通して見つかった課題はありますか

技術面でいうと旋回がうまくいっていないとかあるんですけど、意識していくのは目標である早慶戦とか六大学戦だったりするので、それに向けての練習は見つかりました。

――今後どのように取り組むかはお考えですか

技術面ではあるのですが、もっとワセダの練習で意識していって他大の人はこうなんだとか自分の位置を知れたので普段から意識して部員にも共有したいです。

――今後に向けて

楽しまないとやっていけないので、安全にチーム内も仲良くして信頼関係を大切にやっていきたいです。

山田ゆり(文構2=千葉・日出学園)

――今回の新人戦を振り返ってみていかがですか

私は成績がそんなに良くなかったんですけど、他大の上手い人のフライトを見て勉強になったこともありました。あと東海、関西とか九州の人たちとフライトの話をしたりとか、いつもとは違う環境でやっている人たちの話が聞けてとても楽しかったです。

――天候の影響でフライトできない日もあったと思いますが、そのような日はどう過ごされていましたか

雨が降った日が1日あって、2日目は台風が去った後に強風で飛べなかったのですが、雨の日は宿舎の中でずっと寝ていて体力を回復していました。強風で飛べなかった日は選手のみんなで温泉に行ったりとか、男子たちは体育館でバスケットボールをしたりとか、女子はパフェを食べに行ったりしてとても楽しかったです。

――他大の選手との交流を通して何か得られたものはありますか

いままでワセダはほとんど単独で合同訓練ばっかりだったので、他大がどのようなフライトをしているのかだとか、その大学の航空部の理念や考え方を知ることができたのは大きかったです。東海、関西とかはほとんど合同合宿だったみたいで、とても仲が良かったので面白い話も聞けて良かったです。

――今大会に向けて具体的にどう取り組んでこられたのですか

まず選手選考が2回あって、1回目は同期が9人いる中で4人に絞られました。そこからその4人で新人戦の課目を練習して、最後に監督とフライトに乗って最終的に2人に絞られて選手になったのですが、それまでずっとどうすれば点数が上がるか明妻と研究したりしていました。あと2個上の先輩が優勝していたのでその先輩にいろいろ教えてもらいました。

――今大会を通して見つかった課題などはありますか

まず木曽川滑空場で飛ぶのが関東勢は初めてで、地形やルールも違ったし、さらに機体もワセダにはない機体で性能も全然違ったので関東勢は結構苦労をしてました。あんまり乗り慣れていない慣熟フライトでもぶっつけ本番だったのですが、機体が違っても安定したフライトができなくて、あと普段乗り慣れているグライダーにも乗ったのですがそっちもあまりうまくいかなかったので課題が多く残りました。

――そういった課題を今後どう練習で生かしていきたいと考えていますか

まず課目の正確性や計画性、判断力がまだ未熟な部分があって、着陸とかもあまりうまくはいきませんでした。次は自家用のライセンスを取ろうと考えているのですが、それを取るのも課目の正確性とか安全なパイロットかというのを1番よく見られているので、課目の正確性を上げていきたいと思います。

――団体戦では4位、個人戦では11位という結果でしたが率直なお気持ちは

正直個人が11位というのは微妙でやっぱり6位以内には入りたかったです。慣熟フライトのない一発目では、離着陸は良かったんですが、上空にいる時に課目の正確性が甘くてそんなにうまくいかなかったです。団体では4位で、1位とは15点くらいの差だったのですが、2位との差が1.5点だったので私がもう少し頑張っていれば2位までにはいけたかなと思うと明妻選手に申し訳ないですね。

――最後に今後の目標をお願いします

3年生までに自家用のライセンスを取りたいです。また六大戦や関東全国などに出た時は、新人戦であまり良くなかった分、良い結果になるように頑張りたいと思います。