慶大に及ばず悔しい結果に

航空

 9月7日~14日、第17回東京六大学対抗競技会が熊谷の妻沼滑空場で行われた。早大は大会2日目まで無得点と出遅れたが、3日目に出場した選手全員が周回に成功。序盤の出遅れが響き慶大には及ばなかったものの、団体2位で今大会を終えた。また太田篤(基理4=東京・本郷)は個人6位に入り、チームでただ一人入賞を果たした。

周回を成功させる早大のエース機WP機

 大会を制したのは、序盤に大きくリードを奪いそのまま逃げ切った慶大。早大は初日から2000点以上の点差を離され、厳しいスタートとなる。しかし晴天となった3日目には怒涛の周回ラッシュ。この日2位に浮上する。その後の日程でも確実にポイントを挙げ追い上げたが、安達拓人主将(先理4=神奈川・湘南)が「ファーストインパクトでやられた」と語るように、初日の得点差が最後まで影響し、慶大から首位を奪うことはできなかった。

 悪天候の影響もあった今大会。前年の大会で空中接触による事故もあった早大だが、今大会では危険なフライトによる減点をなくすことで、着実に得点を重ねることを目指す。「チームワセダで戦う」(安達)と語るように、出場選手全員が条件のそろわない中、粘りのフライトを続けた。そのことが個人入賞はわずか1人ながらにして、団体2位となる原動力となったのだろう。

着陸態勢に入るWW機

 「団体で勝たなきゃ意味がない」(太田)の言葉通り、悔しさの残る結果となった早大航空部。12月には関東大会、そしてらいねんは全国大会が控えている。今大会で見つかった多くの課題を修正し、どこまで慶大の背中に近づくことができるか。リベンジを目指すチームの今後に期待したい。

(記事 石川諒、写真 高橋豪)

大会終了後、笑顔の部員たち

結果

▽団体

早稲田(安達、太田、後藤、平井、森本、櫻井、田中) 9879点 2位

▽個人

太田 2524点 6位

コメント

安達拓人主将(先理4=神奈川・湘南)

――きょうまでの大会を振り返っていかがでしたか

期間中の中盤あたりは天気が悪かったりして、思うように飛べなかったりとか、天気が悪いと飛べる選手も限られてしまうので、結果的に1番手が得点できないと差を付けられてしまうというところで、慶大とワセダの1番手に力の差もあって、どんどん差が離れてしまったと思います。もし全期間すごい条件が良ければ、また結果は違ったのかなという悔しさが少し残ります。

――今大会での目標は

目標は3つあって、まず安全面のことで減点しないと。これはきょねんワセダが絡んで空中接触の事故もあったので、やはり基本的な危ないフライトをしないようにということで減点しないようにしました。あとは、例年あることなんですけど、やはり選手の人とそれ以外のクルーの人というふうにどうしても分かれてしまうんですけど、そこをチームワセダとして戦うということですね。あとは戦略的なことで、全員が得点するということですね。全員が得点するということに関しては達成しました。減点は少しあったんで、そこは達成できなかったです。チームワークに関しては、50パーセントくらいの達成ですね。まあでもとりあえずは全員が得点するということが達成できたので、良かったと思います。

――序盤、他校にリードを許す展開となりましたが、他校の印象はいかがでしたか

初日にうちが0点で、慶大が2周していてというところで、やはりそこがファーストインパクトというか、そこで大分ぐっとやられてしまったので、そこの時点で慶大と我々の一番レベルの高い選手に差があるなと。トップの層のレベルが大分慶大の方が高くて、うちのトップレベルの人たちがちょっと歯が立たないというのも変ですけど、ちょっと実力に差があるなと感じました。

――今大会で見つかった課題はありますか

いま言いましたけど、やはり慶大とワセダの実力差。私たちが実力出せなかったとか、向こうの運が良かったとか、そういうことではなくて純粋にレベルが違うということが知らされたので、それを全国大会につながる関東大会の前にこうやって六大戦で知れて、この時期に気付けたのは収穫かなと思います。

――今後の大会への目標は

大会の目標というよりは、いま結構課題が出たと思うので、まずはそれを整理して、普段の訓練からそこを一つ一つつぶしていくというところですね。そこを終えてから目標とか決まってくると思うので、ちょっと現段階では、目標どうするかというよりかは、これからの訓練をどうするかという感じですね。

――次の大会のご予定は

12月の関東大会ですね。

――そこに向けて目標をお願いします

12月であと3ヶ月しかないので、どこまで慶大に詰められるかってところが課題になると思います。

太田篤(基理4=東京・本郷)

――この大会を振り返って感想をお願いします

昨年は我が大学が事故を起こしてしまったということもありまして、今年は安全第一でやろうといろいろな学校でなっていて、それを実行に移しました。今回の大会を終わってみて、まずは安全に終われたというのが一番かなと思います。やっぱり負けてしまったのは悔しいですが、今後の糧として関東大会ではリベンジしたいと思います。

――安全第一で臨んだ大会ということですか

各校で安全対策というところに重きを置いて、開催をした大会であることは事実です。そもそも僕らが出場をしても良いのかというのが他の大学からすれば少なからずあったかもしれません。いわゆる、事故を起こした大学がまた競技会なんてやってよいのかと。そういう目がある中で、やっぱりいろんな人にご理解いただけるように安全対策をしっかりやってきたというのは良かったのかなと思います。

――それはチーム全体で準備の段階から気を付けていくということでしょうか

そうですね。早大のみならず、今回は六大学対抗グライダー競技会ということですので、六大学間の考えや意見、意図をすり合わせて、どうあるべきなのかということを事前にすり合わせて安全対策を行ってきました。

――太田選手は個人としても全体で6位入賞を果たしましたね

まず、そもそも僕は個人順位はどうでも良くて、団体で勝たなきゃ意味がないです。個人の振り返りをあえてするとすれば、僕はきょねんは比較的良い条件、良い時間帯飛ばしてもらって点取りだったのですが、ことしは初めの難しい条件で飛ぶことがありました。そこで回ってこれたというのがある一方で、僕の個人の目標がミスをしないこと。やはり安全対策という観点からも、こんなのいらないのではないかと思うような細かい減点とかもあって、いろんな選手がそういう減点に引っかかっている中で、私は絶対に引っかからないぞと。そういうところでそれがマイナスに働いた部分も少しはあるのですが、一応大会を通して減点をもらわなかったというのが誇れるべきところかなと思っています。

――自分の目標は達成できたということですか

私の目標はミスをせず確実に周回することでした。目標は達成できなかったと思っています。まずミスをしないということはできたと思うのですが、周回をするというところで他大学が周回している中でできなかったという場面があったので、私としては目標は達成できなかったと思っています。

――具体的な課題としてはどんなことが挙げられますか

やはり今回は乗る機体が限られていなくて、きょねんは1機しか乗れなかったので1機だけでしたが、ことしは2機を乗りこなすかたちでした。性能が全然違ったりして、その飛び方とかで自分の中でうまい具合にシフトできていなくて。そういったところで機種に合った飛び方というのがまだまだできていなかったかなと思います。

――天候などはフライトに影響した時はありましたか

やはり、条件のいいと我々は言うのですが、高気圧が張り出して晴れている、そしていろいろな雲ができている、そのような日がだいたい大会を通して3日間くらいあったと思います。そういう日もある一方で、曇天でなかなか上昇気流がないという日もあって、なかなかストレスフルな大会だったなと思います。昨年の大会は雨でやらない日もあったのですが、得点している人がいるかどうかは別として、ことしは全日で競技としては一応成立している。やっぱり肉体的にも精神的にも疲弊していたかなというのはありますね。

――その中で2位という結果になりました。チームとして振り返っていかがですか

やっぱりまずはお礼を言いたいのが、僕ら選手は飛行するのですが、飛行せずに一生懸命に地上の作業を手伝いに来てくれる下級生です。自分が飛ばないのに来てくれる、応援してくれている。また、OB、OGの皆さんも学生のためにと来てくれているので、そういった方々にお礼を申し上げたいです。チームとしては良い雰囲気で大会を終えられたのですごく良かったと思います。ただ、点取りゲームであり戦いなので、その部分で僕らは少しシビアになれていなかったかなというのはあるので、そこを改善して関東大会ではリベンジを果たしたいと思います。

――最後に関東大会に向けて意気込みをお願いします!

やっぱり、頼れる人間になりたいなと思います。こいつだったら絶対に回ってこれると、そう言ってもらえる人間になりたいなと思います。

後藤峻(政経4=三重・津)

――今大会を振り返っていかがですか

きょねん事故があって、今大会は安全にやろうといった意味ではその目的は達成されたかなとは思うんですが、やるからには優勝を目指していたので悔しいです。

――今大会にどのような調整をして臨みましたか

8月に今大会に向けた合宿を2回行ったのですが、8月は若干天気が悪くタイミングに恵まれず練習不足というところはあったかなと思います。その中でも合宿中に六大戦で回わらなければいけないタスクを練習したりということをできるなりにやりました。

――見つかった課題はありますか

やはり結果を見てみれば慶大が個人でも上位で団体でも優勝というのを見て相手の1番手と自分との差を実感した大会でした。なのでそこをいかに詰めていくのかが今後の課題です。

――次の大会の意気込みをお願いします

次の関東大会は全国に向けた大会という面はあるのですがきょねん優勝しているので関東大会優勝できるように頑張ります。

森本晃弘(創理4=山梨・甲府南)

――1週間を終えての感想をお願いします

初めての大会でした。自分は4年生で技量の上達とかが他の4年生に比べて少し遅かったというのもあったんですよね。いまの他の4年生は3年生の時点で早慶戦とか関東大会、全国大会に出ていたりしていたので、若干自分より他の人の方が先を行っているというふうに思っていました。ですが今回の大会で自分も選手として出場してみて、飛ぶ順番は遅かったのですが、その自分の順番の時にしっかり得点することができたので、他の選手にやっと追いつけたかなと感じました。今回の大会では大会の中で成長できたことがたくさんあったかなと思いました。

――初めての出場ということで緊張はありましたか

やっぱり緊張は少ししましたね。普段から結構緊張しちゃうので、普段と同じような感じでした(笑)。

――この大会に臨むにあたって、具体的な目標はありましたか

選手としてだけではなくて、グライダーを飛ばすためにやらなければならないことがいろいろあるのですが、そういう面でもサポートをしていってチーム全体の勝利につなげようと思っていました。ですが、他のずっと来てくれているクルーがいたので、その人とかに結構頼ってしまって結局あんまりできなかったですね。競技の面ではまずは得点ですね。やはり自分が他の4年生と比べてビハインドと言いますか、上達があまり早くなかったので、それでもちゃんと得点しようというふうには考えていました。

――得点ということでは森本選手はチームの中でも多くの得点を稼いでいましたね

そうですね。ですが、まだまだ悔しい部分があって、次の大会では絶対に1番手になっていきたいなと思います。私は今回の大会で競技のフライトを5発くらい飛んで3回くらい得点しているので、得点率は高かったと自分でも思います。

――そこは自分でも評価できるポイントだと思うということですね

そうですね。他の選手に比べて自分も十分戦えるのだなということを感じて、順番が後ろの方が上昇気流がすごく発生するということももちろんあるのですが、ちゃんと得点できて自分でもすごく良かったと思っています。

――1週間を通して天候の部分で苦戦したこともありましたか

基本的には天気が良くなければ他の大学も回ってこないので、逆に天気が悪ければ苦戦というよりは練習のようになってしまったりするのですが、やはり一番難しい条件としたら天気は良いのですがまだ上昇気流ができていないですとかそういう条件がありました。自分はそういう条件では飛ばなかったのですが、他の選手が周回できるかできないかというところで、自分たちが周回できる技量があるということが一番勝つためには重要だと思います。

――その中で2位という結果でした。チームとして振り返っていかがですか

もう少し準備すれば良かったかなと(笑)。すごい大会中の雰囲気は本当に良くて選手みんなでご飯を食べに行ったりだとか。やっぱり長くやらないといけないスポーツなので、精神状態が大きく左右してくると思うので、そこはすごく楽しくできて良かったと思います。

――次の目標は関東大会になると思いますが、そこに向けてどのようなところを向上させていきたいですか

まずは出れる選手数も限られてくると思いますので、実力をつけて自分がしっかり得点できる人間なんだということを練習のフライトで示すということです。あとは、たとえ周回ができずに得点ができなかったとしても次の選手につなげられるようなフライトをして、それで次の選手にアドバイス等ができるようにできたらいいなと思います。

――最後に今後の意気込みをお願いします!

個人としてはちょっといままで遅れをとっていたのですが、他の4年生と同レベル、またそれ以上を目指して、ワセダの中で一番強い選手になれたらいいなと思います。

田中努(先理3=広島・修道)

――初めての大会を振り返っていかがでしたか

初めての大会だったのですが、チームの雰囲気が太田(篤、基理4=東京・本郷)先輩や後藤(峻、政経4=三重・津)先輩を始めとする4年生たちのおかげですごく良い雰囲気で一週間を終えられたと思います。大会自体はすごく楽しかったです。ただ結果が準優勝っていうのと、初めての大会ですが、他大の3年生のフライトを見ていて、かなり自分との差を感じました。なのでそこはすごく悔しいです。

――今大会での目標は

目標はまず長丁場になってしまうので、とりあえず途中で気持ちが腐ってしまわないように大会を楽しんでいこうと思いました。あとは得点を挙げることを目標にしていました。

――大会期間中、天候の乱れなども見られましたが、集中力はどのようにして保たれていましたか

天候が乱れても、前の人が何回飛んだら次回ってくるというような形で、私は番手が遅かったんですけど、常に先輩が回れなくても自分が回ってやるんだって思っていました。チャンスは絶対どこかで出てくるので、それを見逃さないように観察をしていました。なので集中力はずっと途切れなかったです。

――今大会で見つかった課題はありますか

課題は、私は周回したのも今大会が初めてだったので、周回の時に上昇気流を掴むパターンというものを自分の中で持っていなくて、そこは他の3年生に比べて劣っていると感じました。やはりそこで迷ったりしちゃうとタイムも遅くなったりして。そこは自分の反省だなと思いました。次の大会までには、季節にもよりますけど、自分のパターンというものを作り上げて臨みたいなと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

不完全燃焼な結果に終わりましたので、次は絶対に優勝して、全国が本番になりますけど、関東大会優勝して、全国でもチームに貢献できたらいいなと思います。