前日から激しい雨が降り続いた影響で、ウェットな路面となりコンディションが悪くなる中、静岡・富士スピードウェイで全関東学生ジムカーナ選手権(全関東ジムカーナ)が開催された。今年は3年ぶりに入場規制が解除され、早大応援部も富士スピードウェイに駆けつけ、自動車部に熱い声援を届けた。早大自動車部からは最上佳樹(社4=東京・攻玉社)、近藤怜(先理3=岐阜)、石山萌乃(文構3=神奈川・日女大付)、小林眞緒(創理3=福岡雙葉)、大矢根洋(文2=東京・和光)の5名が出場。走行開始時に雨は止んだが、コースが短くタイム差が出にくい状況の中、男子は団体5位、女子は団体優勝を果たした。
※この取材は5月16日に行われたものです。
コースを走行する男子車両
路面がウェットな状態で難しい走行となった1本目。他大がエースを第3走者に配置する中、早大のエース・最上は第1走者で走り出した。昨年の全関東ジムカーナも雨だったことや、雨の中での走行練習を重ねていたことから、ウェットな路面には多少「慣れていた」という。他大が苦戦する中1本目で唯一の30秒台となる39秒970をマークし、トップで前半の走行を終えた。第2走者は大会初出場の近藤。難しい状況の中でも冷静に他の選手の走りを分析し、40秒852をマークし、「無難に走ることができた」と全体6位のタイムを出した。第3走者は、学連戦初出場の大矢根。経験のない路面での走行となり、「前半の部分では思うように車が動かない」場面もあったが、41秒455で走り切った。女子の部・第1走者は昨年の早慶ジムカーナで個人優勝を果たした小林。「大きな失敗をしないように、安定して帰ってくることを意識した」という言葉通りの走りを見せ、前半2位の46秒461をマーク。第2走者は学連戦のスピード競技は初出場となった石山。走行前は「とにかく緊張していた」というが、綺麗にまとめ上げ46秒776をマークした。前半終了時点で男子は団体首位、女子は団体2位で折り返した。
コースを走り抜ける女子車両
2本目、路面は1本目より良い状態となったが、濃い霧が立ちこめる中、第1走者の最上がスタートした。39秒781とタイムを更新するも、「上げようと意識をしすぎた結果、1カ所致命的なミスをしてしまい」トップには届かなかった。第2走者の近藤は「僕が少しでも稼がなければならない」と意気込み、走り始めた。40秒022をマークし、1本目からタイム更新となったが、「ブレーキングで少し失敗」し、「悔やまれる」と振り返った。第3走者は大矢根。1本目の走行からの改善点を意識しながら走り出した。路面状態を考慮し、走りに大幅の変更はしなかったが、パイロンに接触するアクシデントがあり、記録は52秒478となった。3選手の走行を終え、男子団体は5位で大会を終えた。女子の部・第1走者の小林は「タイムアップするために意識する部分を1カ所だけに絞った」と振り返る。アクセルやブレーキを大胆に踏み、メリハリのある走行で1本目からタイムを大幅に更新し、43秒台に乗せた。石山も1本目からタイムを更新。走行前にコースを歩いて確認し、着実なタイムアップを狙った。最後のサイドターンで「計画していたものとは違う走りになってしまったのは残念でした」と振り返るが、44秒588をマークし、見事女子の部団体優勝を決めた。
大会を戦い抜いた部員たち
悪天候に悩まされた今大会。そのような状況でも好タイムを叩き出す技術は十分に感じられた。優勝を目標としていただけに、男子団体は悔しい結果となったが、それぞれが今回の反省を活かし、次戦で勝利することを口にした。選手、車両整備をする部員、それぞれが努力を重ねながら早大自動車部は進んで行く。
優勝を果たした女子団体
(記事 堀内まさみ、 写真 自動車部提供)
結果
▽男子団体の部
5位 早大
▽男子個人の部
8位 最上 39秒781(2本目)
11位 近藤 40秒022(2本目)
21位 大矢根 41秒455(1本目)
▽女子団体の部
優勝 早大
▽女子個人の部
2位 小林 43秒727(2本目)
4位 石山 44秒588(2本目)
コメント
最上佳樹(社4=東京・攻玉社)
――1本目を振り返っていかがでしたか
男子だと3人で団体を争って、他の学校だと3番目にエースドライバーを選ぶのですが、最初に走った方が本来だと涼しい、昼に暑くなる前に新品タイヤで走ることができるということがあり、タイムを出したいことから、自分はエースですが最初に走るという計画でした。結果として雨で路面が濡れている、いちばんタイムが出しづらいところで走らなければならないという状況で、裏目に出てしまってまずいなというところでした。最近は部活だったり自分の練習だったり、雨の中走る機会が多くてその分ちょっと慣れていたということと、1年前の大会も雨だったということもあり、走りとしてはかなりうまくできました。第1走者の条件は悪かったですが、路面が乾いてきた後の人たちよりもいいタイムを残すことができ、午前はトップで走ることができました。1本目としてはかなりうまくいったかなと思います。
――2本目は霧の状態はいかがでしたか
霧自体は外から眺めている人は見づらかったかもしれないですが、乗っている人はそんなに遠くを見るわけではないので、1つ先、2つ先のパイロンが見えていて、そこはあまり関係ないかなという感じでした。
――ご自身の2本目の走りを振り返っていかがでしたか
(路面が)乾きはじめていく中で、まだ完全に乾いてはないけど1本目よりは路面が良くなっていたということもあって、普通に走れば絶対タイムが上がるだろう、上げなければいけないという状況だったのですが、ミスをしてしまいました。もともと雨ということで、雨用に短いコースになってしまったこともあり、1カ所ミスをしてしまうと取り返せない、1つミスをするとそのままゴールになりタイムが伸びないという状況でした。その中で(タイムを)上げようと意識をしすぎた結果、1カ所致命的なミスをしてしまいました。ちょっとタイムが上がりましたが、もっと上げないといけないところを上げられなかったというので、その後さらにどんどん路面が乾いていって、他の人に抜かれてしまい、個人も団体も順位が伸びなくなってしまった2本目でした。
――今後に活かしていきたい課題はありますか
午前中は自分もトップで、団体も2位に1秒以上離してトップをとれていました。タイム差が出にくいコースでちゃんとタイムを出せていたということから、技術面では自分も団体でもうまくいけているんじゃないかなというのは、負けてしまったうえでも考えているところです。天候の悪さやコースの状態もありますが、その中で勝つという意味ではメンタルや、大会の緊張感の中でもミスをしないで帰ってくるというということが、技術的なことも含め絶対に勝つうえで必要なのかなと思っています。自分以外は大会にはじめて出場する選手でしたし、夏には全日本学生ジムカーナ選手権(全日本ジムカーナ)、この後全関東学生ダートトライアル選手権(全関東ダート)など他の大会もあります。こういう結果にはなりましたが、技術面では勝つことができているというのはポジティブに捉えたうえで、技術を発揮するというところをちゃんとできるように、これから何が必要かを考えてやっていければいいかなと思います。
――次の大会の目標をお願いします
次の大会は全関東ダートになります。昨年は勝つことができたので今年も勝ちたいという気持ちがありますが、自分が今、就活で結構忙しくて昨年よりは練習できていない状況の中で、まず部の中で勝つことです。ジムカーナは天候の運がありましたが、ダートトライアルは少し特殊な競技で、土の上を走るのですが、天候は関係なく(走行が)後になればなるほど砂や土がはけていって、いわゆる普通の路面に近づいてタイムが出やすくなります。ジムカーナと一緒で3人ずつ走りますが順番があるので、まず個人で勝とうと思ったら部の中で勝って第3走をゲットするという競争に、速い後輩たちがいるので負けないことです。昨年自分も勝てましたが、1本目でパイロンを触るというミスがあり、結構危ない感じだったので、部の中で勝ったうえで今回の反省を活かしてちゃんとタイムを出すというところと、きちんと練習して技術を発揮するということを、どの大会でも言えることですが着実にやったうえで、全日本(全日本学生ダートトライアル選手権)につなげていきたいです。後は車を壊さない、大会もその前の練習もダートトライアルは壊れることが多いので、クラッシュや整備のミスというところはなくやっていければいいかなと思います。
近藤怜(先理3=岐阜)
――1本目を振り返っていかがですか
今回の大会は前日からすごく雨が降っていました。当日走行するとき雨は降っていませんでしたが、前日からの雨がすごく残っている状態で、ウェットな路面でした。僕は今回初めて選手に選ばれ、ウェットな路面で大会に出るということも初めてでしたし、大会で使うタイヤ・Sタイヤを使って走ることも初めてだったので、結構不安なところはありました。どれくらいグリップするのか、どれくらいまでなら曲がれるのか、どれくらいまでスピードを出していいのか、どれくらいでブレーキを踏んだらギリギリで止まれるのか。そういうところが正直なところあまり分かっていない状態だったので、かなり不安でしたが、1走の最上さんがかなりいいタイムで帰ってきたことや、他大の1走の人たちの走行を見ることができたのでだいたいこのくらいなんじゃないかなということを予想しながら走るというかたちになりました。走行自体を振り返ると、すごい完璧というわけではなかったですが、前の人の走行を見たということもあったおかげで無難に走ることはできたかなと思います。もうちょっとこうした方が良かったと思うところはありましたが、1本目終了時点では全体6位ということで、団体順位にその時点では貢献することができたかなと思います。団体で勝つためにはこれくらい走らなければならないというのは、その時点では達成できたかなと思っていて、それは良かったかなと思います。
――2本目はどういう気持ちで臨まれましたか
2本目はかなり路面が良くなってくることが予想されていましたし、他大の1走目の人たちが速いタイムを出してきている状況で、最上さんはうまくタイムが伸ばせなかったところがあったので、僕が少しでも稼がなければいけないという気持ちはありました。実際僕がスタンバイしているときに他大の2走目のタイムが聞こえてきて、割といいタイムを出していたのでそれについていく、もしくは抜かしていく必要があるなと思って走りました。結構いけるはずだと思っていましたが、最初のいちばんスピードが乗るところから外周に回っていくところのブレーキングで少し失敗してしまい、思ったようなラインに入れませんでした。その影響で、次のスピードが乗るところでうまくスピードに乗ることができなかったので、そこが悔やまれます。細かいターンなどはうまく決まりましたが、いちばんタイムの変動が出るであろうところで若干失敗してしまったというのがやっぱり、タイムアップはしましたが、他の選手たちと比べて劣ってしまったのかなと思っています。
――2本目は結構霧が濃い状態でしたか
僕のときはまだましな方だったのですが、かなり霧が濃い状態が続いていて、視界が悪いなというのはありました。霧だとフロントのガラスがちょっと濡れるのですが、ただ雨が降っているわけではないのでワイパーを動かすと、ワイパーが邪魔になって、でもワイパーを動かさないと水滴がついて見づらいことになって、少しやりづらいなとは思いました。
――今後の目標をお願いします。
今大会は悔しい結果になってしまいましたが、全日本ジムカーナに進むということはひとまず達成することができたので、部の目標のひとつである全日本総合杯の獲得ということを考えれば、まだその達成のチャンスは残っていると思います。全日本ジムカーナに向けて、今大会で何がだめだったのか、それを解消するには何が必要なのかということをきちんと自分もそうですし、部の中で共有して適切な練習をして本番を迎えて、団体として優勝できるように頑張っていきたいなと思います。
小林眞緒(創理3=福岡雙葉)
――1本目は何を意識して臨まれましたか
私は1走者目でしたが、雨が降っていて天候が結構悪く、路面状況がかなり悪い方だったので、大きな失敗をしないように安定して帰ってくることを意識しました。
――2本目に大幅にタイムを更新できた要因は、何であったとご自身で考えますか
いちばん大きかったのはやっぱり、天候が雨じゃなくなったので路面が乾いてきて精神的に、アクセルを踏んだり、ブレーキを踏んだりすることが割と大胆に、慎重にしすぎないでできたことです。メリハリをよりつけられたからじゃないかなと思います。あとはタイムアップするために意識する部分を1カ所だけに絞ったことが、自分の能力値的には合っていたのかなと思います。
――団体優勝できた要因は何だったと思われますか
天候が変わっていい状況で走ることができたということと、私と石山が頑張ってくれたというのが大きいんじゃないかなと思います。
――次の大会の目標をお願いします。
次の大会、全関東ダートは優勝します。
石山萌乃(文構3=神奈川・日女大付)
――1本目を振り返っていかがでしたか
私はスピード競技の学連戦に出るのが今回初めてだったので自分でもびっくりするくらい、とにかく緊張していました。ただ雨が降っていたこともあってコースが割と要素が少ないというか短めのコースだったので、すごく気張ることはなく、自分が走る前に何回も何回もイメージしたり、こうやって走ればいいんじゃないかと考えたりということはできていました。すごく緊張して走ってみて最初にアクセルを踏んだら、あ、意外と今までやってきたことをやるだけなんだ、という気持ちになって、思っていたよりは綺麗にまとめて走ることができたと感じました。
――2本目にタイムを更新できた要因は何ですか
1本目がきちんと走ることができた、タイムを残すことができたというのがまず1つの安心材料で、午後はどうやってタイムをあげるかということが大事でした。お昼に1回コースを歩いたときに、ここはもうちょっとタイムアップできる場所だ、というのはOBの方々や先輩方と話し合いながらやっていて、私はいろいろ考えすぎるとできなくなってしまうので、午後に、午前にはできなかったけどやりたい点を3点くらいに絞ってそれをやるという感じでした。だいたいうまくいったのですが最後の最後にサイドターンするところだけ路面が変わっていることをしっかり考えられていなくて、計画していたものとは違う走りになってしまったのは残念でしたが、その他のところは着実に計画通りできたので、タイムアップにつながったのかなと思います。
――団体優勝が分かったのは石山選手が2本目を走り終えた後ですか
優勝が確定したのは全選手が2本走り終えた後でした。1本目の時点で正直いけたかなと思っていましたが、芝浦工大にコンマ数秒差で負けていて、これはよくないぞ、と思っていたら私より先に走った小林が(2本目で)とても速いタイムで帰ってきてくれ、私がちょっとでもタイムを上げられれば確実に獲れるぞという安心感はあったので、そんなにプレッシャーにはならなかったですね。最後結果が分かったときは、良かった、良かったみたいな感じでした。1本目が終わった時点では総合2位だったので、そこでお互い1秒ずつくらいタイムアップできたら、たぶん大丈夫だよね、みたいな話はありました。そしたら小林が2秒くらい早く帰ってきてくれたので、良かったと感じました。
――今後の目標をお願いします。
ジムカーナに関しては今回はやれるだけのことをやろう、という気持ちだったのですが、次回はまだ3カ月もありますし、しっかり優勝を個人でも確実にできるように努力したいです。
大矢根洋(文2=東京・和光)
――大会は初出場ですか
そうですね、学連戦は初出場です。
――1本目は振り返っていかがでしたか
1本目は雨で経験のない路面で走るという状況で、感覚を掴むのが難しくて、最初の前半の部分では思うように車が動かないということもありました。その後は修正をしながら、何とかタイムを出さなければならなかったので、何とか走りきるということを考えていました。
――2本目に意識された点はありますか
2本目は、1本目で車が滑ってしまったところがあり、雨で滑ったということもありますが自分のミスで滑ったところもあって、そこはもっと抑えてということを意識しました。そんなに走り方を変えなくても雨が上がっているのでペースは上がるだろうというので、意識しました。
――今回の大会で今後に活かしていきたいところはありますか
ミスをしてしまったのがいちばん結果に響いていて、そのミスというのは走る前に周りの人の走りを見たり、コースを見たりした時にここは危ないとか、ここはミスをしそうだというところを見つけるということをやらなければならなくて、徹底しなければならないところでした。その上で今回こういうところでミスをしてしまったというのは経験として覚えておくと今後のためになると感じました。
――次の大会の目標を教えてください
チームとしてはもちろん団体優勝するというのはできるチームなので、それはやるだけです。自分は個人でいちばん速いタイムを出したいです。