伝統の一戦 団体優勝逃すも個人順位で表彰台独占

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 厚い雲に覆われた慶大の日吉キャンパス練習場で、今年も伝統の一戦が行われた。今大会は、午前の部と午後の部に分けられ、同じコースを各選手が2回走行する形式が取られる。早大からは16名、慶大からは25名が出場。個人順位と各学年のトップタイムの合算で決まる団体順位が競われた。惜しくも早大は団体優勝とはならず、慶大に負けを喫する。しかし、個人では見事表彰台を独占した。

 レースは、4年生から順に出場。ウェットな路面の中、早大のトップバッターは綠川壹丸(基理4=東京・早実)が務めた。コンパクトな動きでターンを決めると、続く鷹尾一成主将(先理4=神奈川・桐蔭学園中教校)も36秒716の好タイムを記録。しかし、3年生ではパイロンタッチのミスが続いてしまう。そんな中、流れを変えたのは2年生の最上佳樹(社2=東京・攻玉社)。37秒110の好記録でこの学年のトップに躍り出た。続く1年生は、上級生と異なるコースでレースを展開。早大の新入生はデビュー戦となったが、栁内滉洋(基1=東京・早大学院)はスピード感のある走りで、32秒672を記録した。団体では、慶大が約2秒リードする形で折り返しを迎える。

午前の部でトップタイムを叩き出した鷹尾

 

 迎えた午後の部では、同じく4年生から競技が進められた。華麗なハンドルさばきを見せた鷹尾は、惜しくもタイムの更新とはならなかったが、好タイムを記録。午前の部を受け、上手く修正を入れられるかが勝負となる中、中山将志(人3=東京・早実)は初戦よりタイムアップ。続く藤岡慶(人3=東京・早実)もターンを綺麗に決め、男子個人3位となる、37秒131を記録した。しかし、藤岡は「今年こそ総合1位になりたかった」と悔しさを滲ませた。続く3年女子の大沼すず音(国教3=東京・日比谷)は、午前の部より3秒程タイムを上げ、見事女子個人で優勝を果たした。2年生の競技が始まると、1本目でミスしたターンをうまく修正した最上が36秒435でゴール。全体のトップに躍り出ると、この記録で男子個人優勝を飾ることに。しかし1年の部において慶大男子が29秒176の好タイムを叩き出し、団体優勝は奪われてしまうことになった。

団体では惜しくも準優勝であったが個人上位を占めた早大

 

 団体では、慶大が合計で141秒08、早大が142秒954となり、惜しくも慶大に優勝の座を奪われた。しかし、最上が36秒435で男子個人優勝と男子新人2年優勝を獲得。エース鷹尾は個人2位、藤岡が3位と早大が男子個人の表彰台を独占。さらに女子個人では大沼が優勝に輝き、伝統の一戦は幕を閉じた。今大会は、両大学ともに全学年が出場し、試合の数が減ってしまった中で、実力を図る充実した試合となった。4年生は12月19日に行われる関東学生ジムカーナ記念大会をもって引退。代替わりに向け、この早慶戦が後輩のステップアップの鍵となるだろう。

(記事 足立涼子 写真 風間元樹)

※掲載が遅くなり、申し訳ございません

 

今大会は万全な感染防止対策のもと開催された

結果

▽団体の部

2位 早大 142秒954

▽男子個人の部

優勝 最上 36秒435(2回目)

準優勝 鷹尾 36秒716(1回目)

3位 藤岡 37秒131(2回目)

▽男子新人2年の部

優勝 最上 36秒435(2回目)

▽女子個人の部

優勝 大沼 39秒597(2回目)

コメント※このインタビューは後日リモートで行われたものです

鷹尾一成(先理4=神奈川・桐蔭学園中教校)

――1本目を振り返っていかがでしたか

 当日私は朝から運営業務に追われており、コース慣熟を行う時間が十分に確保できないまま自分の走行を迎えました。その中、とりあえず走りきってみれば午前トップタイムだったので正直上出来だったかなと思います。

――2本目には何を意識して臨みましたか< /strong>

 午前中よりは余裕があったのでもう少しタイムアップを狙いましたが、ミスをしてしまい惜しくもタイムダウンとなってしまいました。後輩に午後で抜かれてしまい、若手のパワーに負けてしまいましたね

――また今回選手としてだけではなく大会の運営にも力を注げていたと思います。どのような意気込みで運営をされていましたか

 コロナの影響で開閉会式を省略するなど、例年とは異なるスケジュールになっていたため、予定通りに運営が進むかどうかが一番の心配でした。コロナ対策を一番に、事故のない安全な競技会を行えるよう心がけました。

――早大全体としての結果をどう評価しますか

 団体では惜しくも準優勝になってしまいましたが、男子個人では表彰台を全て早稲田が獲得したので非常に内容としてはよかったと思います。また最上は2年生なので来年以降も期待できるかと思います。

――次の「関東学生ジムカーナ記念大会」が現役最後の試合となります。エース、そして主将としての思いや意気込みをお願いします

 全日本フィギュアと早慶戦のいずれも満足のいく結果を残せていないので、「有終の美」を飾れるように入部時の初心を思い出しながら完全燃焼したいと思います。

藤岡慶(人3=東京・早実)

――今大会振り返っていかがでしたか

 3年の中では1位になれましたが、後輩に負けたのでとても悔しい大会になりました。

――個人3位という結果になりました。自身の結果をどう感じていますか

 毎年、学年では1位を獲得していましたが、今年こそ総合1位になりたかったのでとても悔しいです。

――今回の結果や学べたことをどう生かしていきたいですか

 サイドターンセクションへのアプローチがDC2の用に直線的に入り、デフで回すような感じが抜けていなかったので、ターンでパイロンタッチしてしまいました。今回の経験を生かし、様々な車のセッティングに合わせられるように、慣熟歩行時は、ラインやターンの荷重以外にもデフの効きでどう曲がるかをイメージして歩こうと思います。

――今後への意気込みをお願いします

 誰にも負けない選手になります!

最上佳樹(社2=東京・攻玉社)

――1本目を振り返っていかがでしたか

 一番最初のターンでサイドブレーキを使ったらミスをしてしまい、その後も全部ダメでした。

――2本目を振り返っていかがでしたか

 一本目でミスしたターンがうまく決まりました。その後もうまく繋げられました。

――個人優勝を果たしました。どのようなお気持ちですか

 一本目でミスした最初のヘアピン、全員からグリップで曲がった方が速いと言われ、誰もサイドを使う人がいなかった中で2本目にうまく決められたのが嬉しかったです。部車で主将より速いタイムを出せたのは今回が初めてです。

――この結果やもし学べたことなどがあれば、今後にどう活かしていきたいですか

 車に乗れていない1年生が差をつけられたので慶應に負けたという事にはなっているが、2年生、3年生、4年生は圧勝だったので団体も実質的には勝ちと言える内容だったと思います。ただ外から見ていると明らかに慶應のヴィッツの方がいい動きをしていたので、ドライバーの腕だけでなく車のセッティング能力も向上させていきたいと思います。

――今後の目標をお願いします

 12月19日のジムカーナ記念大会に、自分もオープン枠で出場予定です。記録は賞典外になってしまいますがコースは同じなのでトップタイムを出したいです。