悔しい結果となった全関東学生ジムカーナ選手権から1ヶ月、今度は栃木の地で全関東学生ダートトライアル選手権が行われた。昨年に引き続いての優勝を目指し臨んだ早大だったが、男子団体としては惜しくも2位とあと一歩届かず。さらに男子個人の部でも優勝を飾ることはできなかった。だが、女子個人の部では城越明日香(商3=福井・藤島)が優勝。女王復活の兆しを見せた。
個人3位につけた平川
早大の第1走者、川上優(商3=徳島市立)は1本目から順調な走りを見せる。砂利の乗った滑りやすい路面に臆することなく加速、1分57秒台を叩き出し、その時点での暫定1位に躍り出た。川上は2本目でもさらにタイムアップに成功。総合では7位と、入賞にこそ及ばなかったが、着実に練習の成果を挙げている。第2走者は公式戦初出場となる鷹尾一成(先理2=神奈川・桐蔭学園)。1本目から豪快な走りを見せるが、「調子が良すぎて、自分の技量以上のスピードが出て、それを制御しきれなかった」と途中で車体がスピンしてしまう。その後はミスなく走りきったがタイムは伸びず2分8秒台に。だが2本目は修正し堅実な走りを見せ、1分53秒台にまで大幅にタイムを伸ばした。
早大の第3走者は平川慶一(創理4=神奈川・光陵)。1本目から「逆に上手く行きすぎなくらい走れた」と、堂々たる走りでサーキットを駆け抜ける。タイムは午前の部唯一の1分50秒台で見事1位に。だが、午後の部では他校も次々にタイムを伸ばし、ベストタイムを更新されてしまう。全校が固唾をのんで見守る中、最後の出走となった平川が走り出した。いつも通りの安定した走りのように見えた。だが、結果は1分51秒台と1本目のタイムには及ばず。「序盤でミスをしてしまって力が入りすぎてしまった」と冷静にレースを振り返った。総合では個人3位とまずまずの順位につけたが、優勝を狙える実力を持っていただけに、悔しい結果となった。
一方、女子個人の部では城越が無双。1本目は、島周りのミスこそあったものの暫定1位に輝く。さらに2本目ではしっかりと修正し、「イメージ通り走れて悔いはない」と、完璧な走りを見せた。結果は慶大を僅差で振り切り優勝。初のダートトライアルを笑顔で締めくくった。
見事優勝に輝いた城越
「本当に悔しさばかりが残ります」(平川)。男子団体・個人の部は、昨年度の優勝校として負けられない一戦だった。トップとの差も1.63秒と僅差だっただけに、悔しさが募る。男女で明暗分かれた今大会、それでも得られたものはあったはずだ。8月には広島の地で全日本学生ダートトライアル選手権が行われる。今回で得た自信と反省を足掛かりに、次こそは男女でアベック優勝を狙いたいところだ。王座奪還へ、早大自動車部の暑い夏が幕を開ける。
(記事 松本一葉、写真 岡田静穂)
▽男子団体の部
2位 早大
▽男子個人成績
3位 平川 1分50秒74(1本目)
7位 川上 1分53秒98(2本目)
9位 鷹尾 1分53秒78(2本目)
▽女子個人成績
優勝 城越 2分0秒99(2本目)
コメント
平川慶一主将(創理4=神奈川・光陵)
――きょうに向けてやってきたことなどは
頼りになる先輩に囲まれて、その先輩に見てもらいながら。やはり4年生になると教えてもらえる人がいなくなるので、OBの人に教えてもらいながら練習してきました。
――なにかアドバイスなどは
基本的には練習より早くなれるってことはないと思うので、こうミスらないようにとかそういう風な指導をしてもらいました。
――1本目を振り返って
1本目は個人的に言うと、ミスしたところがないくらいすごい上手く走れて、逆に上手く行きすぎなくらい走れてっていう感じでした。
――では2本目は
2本目は、ちょっと序盤でミスをしてしまって、そこで多分力が入りすぎて、そこから先はミスをしたわけではないんですけど、やっぱり力を入れすぎてしまうと体感的には早いように感じてしまうんですけど、そんなに(いい)タイムは出ない走りだったのかなと思います。
――ミスとは具体的に
富士山周りと言われるところがあるんですけど、そこでミスをしてしまって。シフトを操作ミスでシフトが抜けてしまって一瞬加速ができないというか止まってしまう場面がありました。
――主将としてアドバイスなどは
去年出てたのは僕一人で、今年の枠は3年生と2年生で2人とも後輩ということで、去年いろいろ上手く行ったので去年と同じようなことを再現できるように指導しました。
――車体の調子は
去年、結構いい感じの車で、今年も全く同じような走りやすさで、車としては仕上がってたかなと思います。
――結果を振り返って
午後もっとタイムを更新できるかと思ったんですけど、できなくてそれで個人(優勝)ものがしてしまって、団体も僅差で逃してしまって、本当に悔しさばかりが残ります。ので、広島でリベンジしたいです。
――新入生は
1年生は僕が1年生のときよりも部活を楽しんでくれてて、今後今の1年生が2年生3年生になっていくときにも期待できるのかなっていう風に思ってます。
――では最後に全日本学生ダートトライアル選手権への意気込みをお願いします
僅差で中央の主将と慶大の団体に負けたんですけど、次は優勝できるように頑張っていきたいです。
川上優(商3=徳島市立)
――今大会を振り返っていかがですか
1本目は砂利の乗った状態で滑りやすく路面を伝える仕事ということでやっていたんですけど、思った以上に一走目をまとめることができて、二走目、三走目と伝えることができたと思います。2本目は思った以上にタイムアップができて、うまくいったと思います。
――具体的に1本目のレースを振り返っていかがですか
滑るなという印象でした。怖かったです。
――2本目はいかがでしたか
2本目はタイヤがくう状態で、思い切ってアクセルを踏んでいけたのが良かったと思います。
――きょうの車体の調子はいかがでしたか
先週ミッションというところが壊れてしまって、全交換するという作業があったんですけど、その割にはうまくいったと思います。車両には感謝ですね。
――1年生が入ってきたことについてはいかがですか
1年生も大会を経験していると思うんですけど、自動車部の部員としてしっかり動いてくれて素晴らしいなと思います。これからも頑張ってほしいです。1年生は楽しんでなんぼなので。大会大会を楽しんでほしいです。
――次の大会も今回のメンバーと同じでしょうか
そうですね。
――具体的に準備していきたいことはありますか
そうですね、広島まで行くわけにはいかないので、そこのダートと似たような路面で練習していきたいと思います。
城越明日香(商3=福井・藤島)
――先月の全関東ジムカーナから練習してきたことを教えてください
5月下旬からほぼ初めてといっても過言ではないダート練習が始まったんですけど初めのほうはダメで同期の男子や下級生にも負けるくらいぼろぼろだったので、OB、スタッフ、先輩方に指導をあおぎながら練習をしてきました。
――1本目のレースを振り返っていかがですか
イメージ通りの走りはできたと思います。島周りでちょっと突っ込んでしまったのがだいぶロスだったんですけど、慶大とコンマ数秒でも差をつけられて良かったと思います。
――2本目はいかがでしたか
1本目を反省して詰められるところは詰めて、イメージ通り走れて悔いはないです。
――きょうの車体の調子はいかがでしたか
きょうは特に不具合もなく、1週間前に足回りがとれてしまうトラブルがあって、2台同時に壊れてスケジュール的にも厳しかったんですけど、何とか間に合って当日は健康な状態で走ってくれて良かったです。
――昼休みにアドバイスはもらいましたか
コースを見直した時に最後のセクションで離れていたところがあったので、そこをつけるようなラインを探ったり島周りでミスをしてしまったので、そこのギアやライン、ハンドルの入れる角度を確認しました。
――1位という結果に関していかがですか
他の女子が4年生の中で勝てたというのはうれしいです。
――1年生で女子部員も入ってきました
団体を組んで来年丸和で優勝できたらなと思います。
――全日本ダートに向けて意気込みをお願いします
車をもっと仕上げて、速くして今度こそ男女アベック優勝を飾ります。
鷹尾一成(先理2=神奈川・桐蔭学園)
――初めての公式戦となりましたが
自分は2年生で選手に選ばれたので、(走行した)3人の中でも学年は下ですし、出場した中でも2人とか、人数少ない大学入れても4人とかなので、自分は追われる立場というよりは追う立場だったので、正直タイム云々っていうよりは競技自体を楽しむっていう方向で行きました。
――緊張などはありましたか
楽しむっていう気持ちの方が強かったのであんまり緊張とかいう気持ちは1本目とかはなかったですね。で、すごい前日とか前から調子が良くて、自分的にも。車も調子良かったんで、まあその緊張するよりは楽しいっていうのが前々からあって。もしかした勝てるんじゃないかっていう気持ちもあって。でも1本目走ってる間に調子が良くて、途中の区間タイムとかも自分の暫定で2番手から1.5秒くらい早かったらしくて、みんなも早いなとか言ってる間にスピンしちゃって。調子が良すぎて、自分の技量以上のスピードが出て、それを制御しきれなかったってのがあって。でまあ2本目とかは、団体戦なんで自分個人のことじゃなくて団体の結果を出さなきゃいけなかったんで、そこは楽しむというのはあれだったんですけど、団体としては残念ながら優勝はできなかったんですけど、2位っていう結果で終われたのは、初めてていうのもあって2年生でってのも考えると、自分的には悔しいけど到達点は越えたかなって感じでした。
――部内でも早いと噂でしたが、練習などでの走りはいかがでしたか
ダート始めたのも選手選考が先月にあって、先月の頭から半ばくらいからダートを初めて、選手選考が初めてダート走って2回目くらいだったんですけど、それから自分の中でも断然技術が上がっていって、なんかよくわからないんですけど、深く考えないで走ってるんですけど、タイムが良かったらしくて。なんか平川さん(慶一主将、創理3=神奈川・光陵)と川上さん(優、商3=徳島市立)の間くらいのタイムが出てて、ああいい感じだなって感覚としてもあって、いい感じでこのダートまでのシーズンを迎えられてたんで。自分的には練習の面では満足してました。
――車体としては
自分は部の役職として車両と言って、車両の整備とかガレージの管理を主に行ってたんですけど、車両は去年のチャンピオンマシンなので、実際に早いんですけど、去年ノートラブルでできたんで、今年その分のガタが来たというか、今年に回ってきちゃって、先週の練習会では土日両方使って練習したんですけど、土曜にも壊れて日曜にも壊れてだったんで。結構危なかったですね、これが前日練とか昨日とかだったら、なんなら本番だったら止まってたんで。だから先週壊れてくれて逆に良かったかなと。ただ、今年平川さんだけが経験者で、僕と川上さんが初めてだったので、それにしては練習する本数が稼げなかったのかなと。特殊なコースなので本数を稼いだもん勝ちみたいなところが昔からあったんで。だから本数は少し足りなかったかな、と思います。ただ練習の質でカバーはできたのかなと。車体もトラブルはあったんですけど、係としては十分でした。
――1年生はいかがですか
車がダートじゃなくてジムカーナの車両としてももう1台あるんですけど、それが動かなくて調子が悪くて、今本当にまともに試合に使えるのが今使ってる1台しかなくて、切羽詰まってる状況で。その中で1年生の指導もしなくてはいけないのに苦労してて、自分は今回選手として走るって事で、自分の事も考えなきゃいけないし、チームの事も考えなきゃいけないので、まあいろいろ考えるところはあったかなと。ただ後輩たちはすごくいい子なので自分たちが世話になったOBの先輩から教えてもらった事をそのまま後輩にも教えていけたらなって思います。
――改めて成績を振り返って
1本目スピンしちゃって、2本目もっと本当はいけるんですけど、押さえるところは抑えなきゃいけなくて、OBの方からも1本目普通に走ってたら2本目ぐらいのタイムが出ただろうって言われて、そしたら2本目ももっと良かったかもしれないけどこれも1つの教訓として、まだ2年生なんで、来年再来年に向けていい経験になったかと。来年再来年には自分も後輩に教えるかもしれないし、そういう事とか、自分が悔しい思いをした事とか、後輩に伝えられたらいいなと思います。個人は、9位はあれですけど、団体も優勝はできなくて悔しいですけど、一応2位には入れたんで一時はどうなるかと思ったんですけど、安心しました
――最後に全日本学生ダートトライアル選手権への意気込みを
全日本は広島なので、、確実に関西勢が強くなるんですけど、それまでこちらでできることをなって、向こうでは関西勢、関東勢にも負けないように頑張っていきたいなと思います。