寒空の下、今年最後の公式戦となる全日本運転競技選手権が行われた。早大は夏に行われた全日本学生ダートトライアル選手権との二冠を懸け試合に臨んだが、結果は団体5位に沈む。しかし個人としては小型貨物Bで小林幹和(基理4=埼玉・早大本庄)が3位、小型貨物Aで高橋拓海(法3=東京・早大学院)が4位、小型乗用Bで平川慶一(創理3=神奈川・光陵)が5位につけるなど活躍を見せた。女子の部でも城越明日香(2=福井・藤島)が小型貨物で3位に輝き、見事表彰台への切符を手にした。
ミスなく走りきった小林
今大会は1回のみの乗車となるため、ペナルティの有無が勝負を大きく左右した。最初の出場となった高橋は、公式戦初出場ながら落ち着いた運転を見せ見事ノーミスで走りきる。タイムでの減点こそあったが、大きなペナルティもなく見事4位につけた。次に試合に臨んだのは今年度すべての公式戦に出場を果たしている次期エース・平川。序盤は好調なスタートを見せたが、中盤の2輪確で苦戦。、ミスはなかったものの確認でのタイムロスが響き結果は5位に。堂々の成績ではあるが平川の実力を考慮すると少し物足りない結果ともなった。3番目での出場となった小林は、同じくノーミスで走りきり、タイムも3分25秒と、首位と13点差の3位につけ見事表彰台へ上がった。
次々と早大選手の競技が終わり、残すはエース・森田真(政経4=米国・レイブンウッド)の結果を待つだけとなる。森田はこれまで全日本学生ダートトライアル選手権で優勝、全日本学生ジムカーナ選手権で準優勝と華々しい結果を残してきており、個人としても全日本2冠を奪取したいところであったが、スタート前から不穏な空気が漂った。勘づけタイムが90秒を超えてしまい、30点のペナルティが科せられてしまう。それでも気を取り直しスタートしたが、流れを取り戻すことはできず接2、缶2とミスが連発。ペナルティが重なり、総減点が100点を超えてしまった。タイムは悪く無かっただけに悔しさの残る結果となった。しかし、女子の部では紅一点の城越が奮闘。「全体的にえぐりが甘かった」と振り返ったが、ミスなく走りきり個人3位に。今年初入賞を果たし、来年へ向けて弾みをつける結果となった。
無念の11位となった森田
個人ではまずまずの成績を残したものの、全体としては団体5位と悔しい結果となった今大会。念願としていた全日本総合杯も宿敵・慶大に奪われてしまった。そして、今大会で公式戦は最後となり、4年生にとっては公式戦ラストランになった。「4年生は運営においても結果においても部を引っ張ってきて下さりました。来年は4年生が作ったワセダの勢いをさらに増せるように部員一同精進していきます」(城越)とその勇姿は後輩たちの目にしっかりと刻み込まれている。これからも早大自動車部のさらなる加速から目が離せない。
(記事 松本一葉、写真 村上萌々子)
▽男子団体の部
5位 早大
▽男子個人成績
小型貨物A 4位 高橋
小型貨物B 3位 小林
小型乗用A 11位 森田
小型乗用B 5位 平川
▽女子個人成績
小型貨物 3位 城越
コメント
城越明日香(商2=福井・藤島)
――初のフィギュア出場となりましたがどのような意気込みで臨まれましたか
フィギュアを始めてからこれまでの2ヶ月間ほぼ毎週末練習に励んできました。上位を狙えるようなタイムも出ていたので、練習通りの走りをするぞ!とチャレンジャーとして試合に臨みました。
――レースを振り返っていかがですか
全体的に緊張しすぎてえぐりが甘かったように思います。勝ちを狙いすぎて、BOXのえぐりを修正して綺麗に決めようとしたのに失敗し、タイムロスしてしまったのが心残りです。その後の枝またぎも缶が自分の思っていたところと違うところにあり、危うく缶を踏むところだったので、ペナルティなしで帰ってこられたのは運が良かったと思います。
――結果を振り返っていかがですか
4分45秒というタイムは目標より20秒ほど遅かったですが、3位に初入賞できると思わなかったので嬉しいです。
――4年生引退についてどう思われますか
4年生はみな強く、整備力もあり、運営においても大会の結果においても部を引っ張ってきてくださりました。これからは2・3年主体で試合に臨んでいくので、4年生が作ったワセダ
の勢いを来年はさらに増せるよう部員一同邁進していきます
――来年への意気込みをお願いします
今回で上級生とも互角に戦えることがわかったので、来年のフィギュアは細かいところを詰めて優勝できるよう頑張りたいです。また、スピード競技においては経験が浅いので、練習を重ねて男子に引けを取らない走りができるよう精進します。
森田真副将(政経4=米国・レイブンウッド)
――きょうのレースへの意気込み
今回の全日フィギュア(学生選手権)の結果で、団体と個人の年間総合杯優勝が決まるということで、絶対に勝ちにいかなければならない大会でした。そのため個人でも、団体でも優勝するという意気込みで、練習にも、大会にも臨みました。
――レースを振り返って
車を位置合わせする前に、スタートペナルティをしてしまい、すごく焦りました。スタートペナルティは減点30点と大きく、総減点が限りなく0に近い他大の選手がいるなか、優勝を狙うことは不可能だからです。そのあと、少しでも早稲田の他の選手の足を引っ張らないように、タイムとペナルティを意識して走ったつもりです。しかし缶2のペナルティをしてしまい、結果11位という不甲斐ない順位で終わってしまいました。
――ご自身の結果をどのように受け止めていますか
完全に自分の実力不足だと真摯(しんし)に反省しています。直前にあった非公式戦の五大学対抗フィギュアで個人優勝し、慢心していたのかもしれません。今思い返すと、練習の段階でもっと工夫すべき箇所がありました。また自分の結果が、団体の順位、そして年間総合杯の順位を落としてしまったと考えると、大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。
――ワセダでの4年間を振り返って
部活動に全てを捧げ、部の目標である全日総合杯獲得に向け、全力を注いだ4年間でした。けれどもなかなか自分の思い通りの結果が出せないところに、自動車部の三競技の奥深さがあるのだと思います。今まで支えてきてくださった、スタッフ並びにOB・OGの皆様、そして現役各位には言葉では言い表せないほど感謝しています。不本意ながら、留年してしまったので、来年は学生OBとして、自動車部を陰ながらサポートしていきたいです。そして後輩諸君には、ことしの鈴鹿、大阪での雪辱を晴らし、自分の代では成し遂げることのできなかった全日総合杯獲得に向け頑張ってほしいです
小林幹和(基理4=埼玉・早大本庄)
――きょうのレースを振り返って
練習以上の実力を発揮できたと思います。ペナルティ無しで帰ってこれて安心しました。1位、2位とはタイムで20秒ほど離されてしまい、コースの慣熟が甘く、もう少し考えるべきでした。
――個人・団体での結果を受けていかがですか
ことしの9月から本格的に練習を始めて短期間で全日本に戦えるレベルまで持ってこれて良かったです。ただ、他大学の実力も昔より相当上がってきているのでさらに頑張らないと優勝するのは難しいなとわかりました。
――ワセダでの4年間を振り返って
あっという間でした。1,2年は怒られ続けて何度も部活を辞めようか考えました。だけど途中で辞めることが嫌いなので最後までやり通してここまで来て、今年度は何度も団体優勝の場面に立ち会えて良かったです。
――後輩たちに何かあれば
来年は他大学も強いので厳しい戦いになると思いますが、練習会ごとの効率を高めて優勝を目指して頑張ってください。
高橋拓海(法3=東京・早大学院)
――きょうのレースを振り返って
練習通りに走ることができ、実力を100%出すことが出来たので大変満足しております。
――個人4位について
一位の慶大と走行内容を比べてこのままでは天と地がひっくり返っても一生慶大に勝てないということがわかりました。というのも練習通りの実力100%を発揮しても慶大に約50秒水を開けられているからです。50秒というと日常生活では一瞬のように感じられますが、競技で言うと、約5回分のミスに相当します。つまり、現状の練習内容を一新し、50秒の差を埋めるためのより密度の高い練習をしなければなりません。そういう意味では、今回の結果は練習内容を変える良いきっかけになりました。
――4年生は今回で引退となりますが
4年生は私の一つ上の学年であり、どの学年よりも密接に関わってきた方々でした。そのような方々が卒部されるというので大変心許ないですが先輩方が安心して卒部できるようにいつまでもくよくよせずに一秒でも早く先輩方に追いつけるよう、精進していきたいと思います。
――来年への意気込み
自動車部という存在をワセダでいちばん有名な体育会にしたいです。
平川慶一(創理3=神奈川・光陵)
――きょうのレースへの意気込み
フィギュアは練習で他の大学の練習を見る機会が少ないので自分がどのレベルにいるのか未知数でした。もちろん上位を目指していましたが、来年度に向けて自分の立ち位置を確認するという目的もありました。
――レースを振り返って
練習では4分30秒前後がベストタイムでした。しかし、ペナルティを一つでもしてしまうと大きく順位を落としてしまうので練習でペナルティをしないで走れたペースで本番も走行し、結果的にペナルティなしで帰ってこられたので個人的には満足です。
――ペナルティ取り消しについて
はじめに掲示された暫定結果では「脱」が1つカウントされていました。しかし、オフィシャルに確認すると他の選手とは違う通り方をしたことによる審判の勘違いだったということがわかり、このペナルティが取り消されました。
――4年生引退は引退となりますが
今年の4年生は選手層が非常に厚い学年でした。また、その一つ上の代の人数が少なかったこともあり、下級生のうちから経験を積むことができた先輩もいました。しかし、来年は公式戦に出場したことのある部員が非常に少なくなってしまうので、下級生も含めた技術力の底上げが急務です。
――来年どのようなチームを作っていかれますか
来年度は主将としてチームをまとめていく立場となります。また、練習係として技術面のサポートをする立場でもあるのでできる限り下級生の練習機会を多くとり、今の1、2年生のレベルを上げて団体での優勝を目指したいと思います。
――来年への意気込みをお願いします
今年度、特にジムカーナとフィギュアで他の大学の同期に負けてしまったのでこの悔しさをばねに来年は追い付き、追い越したいです。