全日本学生ジムカーナ選手権がことしも三重県の鈴鹿サーキットで開催された。じりじりとした真夏の日差しが照り付ける空に各大学の車がエンジン音を轟かせる。この種目は整地されたコースを各大学三人が二回ずつ走り、良かった方のタイムで競い合うものだ。コースは一部パイロンで定められているため確実に覚えておかないとミスコースとなる。また、パイロンに触れると5秒のペナルティが課されるため、スピードだけでなく正確性も問われる。ワセダからは、1走目から順に山本太郎(政経3=埼玉・浦和)、小林幹和(基理3=埼玉・早大本庄)、森田真(政経3=レイブンウッド)が出走。マシンの調子が優れず、個人順位はそれぞれ59位、42位、43位と伸び悩み、総合順位12位とあまり奮わない結果に終わった。
山本は1走目快調な走りを見せるが、パイロンタッチによる5秒のペナルティにより大幅にタイムが伸びてしまう。続く小林はパイロンタッチには注意していたものの、それ故にやや受け身の姿勢になり、「自分らしい攻めきれた走行ができなかった」とスピードと正確さの兼ね合いの難しさを語った。ここで良い走りをして流れを引き寄せたい。3番手森田に期待が高まるところだったが、道が分からなくなってしまい、数秒の停車によるタイムロス。2走目は全員に攻めの走りが見られたが、逆にその影響で山本がパイロンに衝突したり、小林がタイヤロックのミスをしたりと選手の思うようにならない。
攻めの走行を貫いた山本
試合後森田は、モータースポーツの奥深さを示唆する思いを語ってくれた。「優勝した大学のクルマに乗れれば勝てたのではないかと思います」(森田)。自動車競技ではどうしても走りだけに目が行きがちだが、実は日々の活動はマシンの整備に多くの時間と費用を投入している。それだけ当日のマシンの調子も重要なのだ。今大会でもかなりの金額を使ったという。ドライバー3人も長い夏休みのほとんどが練習。それ故に走りに対する森田の発言は自信にあふれていた。しかし、本番の前日に整備しようがない部分のトラブルでこのような結果になってしまった。
パイロンを通過する小林
スピード競技はこの大会が今シーズン最後となるが、走者は全員3年生。もうすでに来年のことを意識している。来年は経験値の面でも相当に有利だろう。また、森田は11月に控える全日本学生運転競技選手権(フィギュア)の抱負についても語った。「フィギュアは強いので、ワセダの強さを知らしめたいです」(森田)。強気の姿勢で頼もしい。彼らはまだエンジを背負った選手としてのコース上にいるのだ。ぶつかることもあるだろうが、走り続けてほしい。
(記事 矢野聖太郎 、写真 杉野利恵、石田耕大)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
結果
▽男子団体の部
12位 早大
▽男子個人の部
42位 小林
43位 森田
59位 山本
コメント
森田真(政経3=レイブンウッド)
――きょうの試合の意気込みをお願いします。
当然入賞を狙ったんですけど、このような結果になってしまいました。
――きょうの試合はどのような位置づけでしたか。
チームの目標としては、ジムカーナとダートとフィギュアで総合杯を取るということだったので、入賞しないといけないなという気持ちはありました。クルマもきょうのために30万くらいのお金使ったし、選手もずっと練習していました。きょうのためにたくさん時間とお金を使いました。
――きょうを振り返っていかがでしたか。
マシントラブルがきのうの予選から起こって、クルマが遅くなったのに対応できなかったことが悔やまれます。ドライバーに関しては自分と他の2人もずっと練習してきたので、優勝した大学のクルマに乗れれば勝てたのではないかと思います。
――整備の調子はいかがでしたか。
メカニック的には非常に良い人材がことしは揃っているので、時間とお金さえかければ勝てる車をつくれるのではないかと思っています。
――1走目で途中立ち止まったのはなぜですか。
テンパって道が分からなくなりました。よくあるので、それも直さないといけないと思っています。
――チーム全体で共有していることは何ですか。
入賞するということです。――次回への意気込みをお願いします。
次回のフィギュアは強いので、ワセダの強さを知らしめたいです。
山本太郎(政経3=埼玉・浦和)
――きょうの試合にはどのような意気込みで臨みましたか
きのう予選をギリギリで突破できたので1本目でちゃんとタイムを残して、2本目で思いっきり攻めて、入賞とは車の状態的にいかなくても団体順位でそこそこ良い合計タイムが出るようにしようと思っていました。
――1本目を振り返っていかがですか
1本目は最初にしては良い方かなと思いましたが、パイロンタッチがあって1個触ってしまったのでプラス5秒されて全然戦えないタイムでした。そこは来年に向けて反省しないといけないところだと思います。
――2本目はパイロンに激突する場面もありましたが、どうでしたか
スラロームの入口でブレーキをかけるのを遅らせ過ぎて、完全にギアをロックしてほとんどスピンみたいな状態になってしまいました。2本目も思いっきり攻めようと思っていましたが、無理をするのと無茶をするのは違うので来年に向けての反省点になりますね。冷静にならなければいけないところと、熱くならなければいけないところを分けてできるようになればいいなと思います。
――きょうの試合での収穫点はありますか
2本目であれだけ攻めに攻めて、けっこうタイヤもくってくれるし、調子も悪いなりに車も前に進んでくれるということが分かったので、それは来年鈴鹿を走るときもそうですし、他のコースで練習したり全関東(全関東ジムカーナ選手権)富士をやるときでも、自分の全体的な車速を上げることができたかなと思います。
小林幹和(基理3=埼玉・早大本庄)
――きょうの大会への意気込み
前日の予選でなんとかA決勝に進むことができ、午前、午後2本走ることになったので、上位10校には入りたいと思っていた。また、自分は1走目、3走目の選手と比べると、タイム的には遅いので、1走目、3走目の二人に追いつける勢いで走ろうと思いました。
――1走目を振り返って
自分の前に走った山本にパイロンタッチがあったので、パイロンタッチに注意して、1走目に臨みました。自分らしい攻めきれた走行が出来なかったので、2走目は頑張って走ろうと思いました。
――2走目を振り返って
2走目は逆に頑張りすぎてしまい、タイヤロックなどのミスが出てしまって、あまりタイムが伸びなかったので、悔しかったです。
――きょうのタイムについて
満足していないです。上位のチームと比べると4秒ほど差があるので、練習不足を感じました。
――今シーズン最後の大会となる全日本学生運転競技選手権について
関東の大会では個人3位になったので、表彰台を狙いに行きたいと思います。