太陽が照りつける中、富士スピードウェイで全関東学生ジムカーナ選手権が行われた。ジムカーナ競技は各選手が2本ずつ走行し、良い方のタイムを個人の記録とする。しかし、競技はタイムだけではなく、コースを記憶したうえでスピードを出す力、正確な運転技術を発揮する力も要求されるものだ。早大からは昨年3位入賞を果たした男子団体の部に3人と、女子個人の部に橋本美咲(人4=山梨・甲府南)が出場。昨年を上回る好成績を目標に臨んだが、車両トラブルの発生で2本目を走り切ることができず、男子団体が10位、橋本が6位という結果で幕を閉じた。
女子個人の部に出場した橋本は昨年同大会の女子団体の部で準優勝を果たしており、ことしは個人の部での優勝に人一倍燃えていた。1本目、「思ったよりも早く順番が回ってきてしまって、心の準備ができていないまま出発してしまった」と語ったように、満足のいく走りができない。起死回生をかけた2本目、思わぬ悲劇が橋本を襲う。車両エンジンにトラブルが発生し、走行不能という状態に。運転席から審判にリタイアを告げ、審判車両にけん引されていった。2本目の記録が残らなかった橋本は、1本目のタイムが個人タイムとなり、結果6位。試合後、橋本は目に涙を浮かべながら「悔しいです」と一言述べた。
車両から煙が上がり走行不能を告げる橋本
一方の男子団体戦には、昨年、団体戦3位入賞に貢献した青山広明(先理4=神奈川・聖光学院)が出場。1本目、「ミスコースをしないことを念頭に置きながら走ったのでそれに関してはミスコースをしなかったのでよかった」と語ったように、コースのミスはなく技術的にも安定した走りを披露したものの、同時に「自分なりにはもう少し早く走れた」と、悔しさもあらわにした。好タイムを臨んだ2本目も、エンジン故障の影響が出始めていたのかタイムを伸ばすことができず、個人成績27位。全日本へ向けてエースの復調が絶対条件であると痛感する結果となった。また、1台の車両で、団体戦出場の3人と個人戦出場の橋本の計4人が戦った今大会。2本目、2番目に走行した橋本の時点で車両が故障したため、以降の森田真(政経2=レイブンウッド)と杉崎裕一(社4=東京・早実)は2本目を走ることができず1本目のタイムが公式記録となり、団体戦は10位という結果で終わった。
ミスコースすることなく走り切った青山
大会後、岡島昭英監督(昭61理工卒=東京・早大学院)が「整備も自分たちでやっているので、そこも含めて実力」と話したように、車両整備面での課題が露呈した今大会。新入生が入部して最初の大会ということもあり、十分に統率が取れていなかった。「しっかりと監視体制をつくるというのと、もう少し下(の学年)に対してきちんと指示を出さなくてはいけない」と青山が語ったように、今後に向けて部全体の結束を高める必要がある。走るときは1人という点で個人戦の要素が強いものの、全員の協力がなければ勝利をつかみ取れない最大の団体戦ともいえる自動車競技。課題が明らかとなったいま、次の大会に向けて走り出すのみである。
(記事、写真 深瀬真由)
結果
※早大のみ
▽男子団体の部
3位 早大
▽男子個人成績
27位 青山広明
35位 森田真
38位 杉崎裕一
▽女子個人の部
6位 橋本美咲
コメント
岡島昭英監督(昭61理工卒=東京・早大学院)
――本日は残念な結果になってしまいましたが
残念ですね。特に、完走せずに車両トラブルで走れなかったということが非常に残念です。走って遅かったということではなくちゃんと走れなかったということですね。とはいえ整備も自分たちでやっているので、そこも含めて実力ということで、残念だけど仕方がないという感じです。
――車のコンディションがよくなかったということでしょうか
ちょっとエンジンから変な音がしていたんです。それで最後に、油を吹くという。我々はエンジンブローという言い方をするのですが、エンジンが息の根を止めてしまって。その前から変なガラガラする音は出ていたので、調子が悪いなとは思っていたのですが、きのうの午前中に違う場所で練習をしたときは調子良かったんですよ。だから、本番でこうなってしまったのが本当に悔しいですが、これも事実なので仕方ないです。結果を受け入れるしかないです。
――本日に向けてどのような練習をしていたのでしょうか
ここ(富士スピードウェイ)やいろいろなジムカーナ場で、特にターンの曲がり方を重点的に練習してきました。けっこう若手のOBにも来てもらって集中指導して、かなり上達しましたね。その意味では期待していたのですが、車両トラブルということで。
――実際に選手たちのターンはいかがでしたか
それでもやはりミスが出ます。そういう意味では、技術的にもまだまだ高いものを目指して練習しなくてはいけないです。また、きょうの大会は全関東でしたから、8月にある全日本に向けて改めてジムカーナの練習もしたいですね。6月にはダート(トライアル)があります。どちらも競技の特性は似たようなものなので、両方セットで練習頑張ります。
杉崎裕一(社4=東京・早実)
――きょうの走りを振り返って
だいたいよかったのですが、最後でパイロンに触ってしまったのでそれが一番の悔いですかね。それがなければ、そこそこいいところにいけたのかなと思います。/p>
――プレッシャーなどは
不思議と感じなくて、意外と平常心で。緊張しいなんですけど、走る前は意外と冷静でした。
――ターンの練習を重点的に行ってきたそうですが
とても有効になって、本番でも結構生きたのかなと思います。個人的に、走行ラインの勉強をいろいろな先輩方に見てもらってやっていたので、それが本番では多少生きたかなと。
――4年生として、チーム全体でどのような改善が必要だとお考えですか
全員でもう少し一緒になってやろうと。人任せなところがあるので、サポートメンバーにはもう少し気合いをいれてほしいというのと、選手はもっと技術を向上させないとですね。車のせいではあるのかもしれないですけど、車のせいにする前にまずは腕でもう少しいい結果を出せるように、自分も含めて頑張ろうと思います。
青山広明(先理4=神奈川・聖光学院)
――1本目の走りはいかがでしたか
ミスコースをしないことを念頭に置きながら走ったのでそれに関してはミスコースをしなかったのでよかったのですが、もう少しいけたかなと。それから、1本目から多少(エンジンを)吹きにくいことがあったり、車のセッティングが決まってなくて何とも言えなかったりということがあって、そこからまたセッティングを詰めてやろうとしていた矢先にエンジンが壊れてしまいましたね。とりあえず1本目としては悪くなかったかなと。一応1走としてはある程度伝えられたという感じはしていますが、自分なりにはもう少し早く走れたかなと思います。
――攻められなかった
そうですね。もう少し攻めたかったです。
――改善点などは
とにかく僕たちのなかでしっかりと監視体制をつくるというのと、もう少し下(の学年)に対してきちんと指示を出さなくてはいけないということをすごく痛感しました。
――全日本ジムカーナ選手権に向けて
とにかく車自体を直すことが最優先なのと、まだ車もいじれるところが十分にあるということで、整備の面では僕も車両の一番上の人間なので、何も後悔しないように準備していきたいです。また、走りに関しても、練習会で車が壊れて直してというのでは時間がもったいないので、そういったことも気をつけて練習していきたいと思います。
橋本美咲(人4=山梨・甲府南)
――本日の1本目の走りは
1本目は、思ったよりも早く順番が回ってきてしまって、心の準備ができていないまま出発してしまったなというのがあります。
――2本目は途中で走行ストップになってしまいましたが
もう悔しいです。
――悔しいの一言ですかね
はい、悔しいです。
――ご自身の走りの技術面に関しては
1本目で心の準備ができていないままに走り始めてしまったこともあるのですが、やはりまだまだ練習が足りないなと。
――トラブルに関してはどのようにお考えですか
私自身が車両整備の責任者なので、こういう事態を招いてしまったこと自体、みんなにすごく申し訳ないと思っています。
――次の大会に向けて
本当に今回は初歩的なミスで、こういった走行不能という事態を招いてしまったので、もう一度車両整備に関しては抜本的な見直しをする必要があるなと感じています。次の大会では、絶対にこうしたことがないようにきちんと結果を残したいと思います。
森田真(政経2=レイブンウッド)
――きょうの走りを振り返って
初めてだったので、あまりできなかったです。
――技術面に関してあまりうまくできなかった
そうですね。きのうの練習ではちゃんと360度回れたのですが、きょうはあまりきれいに回れなかったので、よくないです。
――2本目を走ることはできませんでしたが
それはもう仕方ないと思っています。ちゃんとエンジンオイルをチェックしていなかったので仕方ないです。
――今後の試合に向けての意気込みと改善すべき点を教えてください
次のジムカーナまではけっこう日があいてしまうので、それまでにたくさん練習しておきたいなと思います。やはりサイドターンとかは苦手なので、それを改善していきたいです。