鈴鹿の地で女子団体が躍動

自動車

 不安定な天候の中、全日本学生ジムカーナ選手権(全日ジムカーナ)が開催された。集中豪雨の影響で前日の予選がなくなり、全校が参加しての大会となった。ミスコースが他大で相次ぐ中、早大は今シーズン悩まされている車体トラブルがまたしても発生。男子団体は記録を残せなかったが、女子は全日本ダートトライアル選手権(全日ダート)に引き続き、団体優勝をものにした。

 今シーズン、スピード競技で良い結果を残せていない早大男子陣。そのひとつの要因である、車体アクシデントがまたしても早大を襲う。午前の1走目を走り終えた時点で、白井智也副将(基理4=東京・早稲田)のみが記録を残している状態。1秒ほどタイムを縮めた白井に続き、青山広明(先理3=神奈川・聖光学院)がタイムを残し、団体入賞に望みを残したかに見えたが、第3走者山本翔平(国教4=千葉・東邦大付)が記録を残せず。団体記録が残らないという結果になった。タイヤとエンジンをつなぐドライブシャフトがこの日3回も折れてしまい、コース上で何度も停車。「せめて団体で結果が残るようにしたかったです」(白井)。特に最後のジムカーナとなった白井と山本は悔しさを滲ませる。男子陣はふがいない結果となってしまった。

暫定1位の自己記録を更新しての個人優勝をした岩脇

 一方で圧巻の走りを見せた早大女子。全関東ジムカーナ選手権(全関ジムカーナ)の悔しさを抱き今大会に臨んだ岩脇彩香(先理4=東京・創価)。1本目のタイムで暫定首位に立つと2本目ではさらにタイムを約3秒縮めて、男子顔負けの1分14秒96で個人優勝を掴み取った。また個人4位という好成績を残した橋本美咲(人3=山梨・甲府南)の貢献も忘れてはいけない。「岩脇さんと同じ表彰台に乗れるチャンスを逃してしまい悔しいです」とそれでも高みを見る橋本。全関ジムカーナで手にすることができなかった団体優勝のトロフィー。その悔しさをバネに団体優勝を手にしたものの、謙虚さが垣間見えた。全日ダートに引き続いての団体優勝。エース・岩脇の活躍だけでなく、後輩の成長が見られた夏となった。

個人4位と団体優勝に貢献した橋本の走り

 残す全国大会は地方戦で男子、女子共に団体優勝を果たしているフィギュア。「全国大会で団体優勝が続いているので、フィギュアでも優勝したいと思います」(岩脇)。岩脇だけでなく、全選手が足並みをそろえて優勝という同じ方向を向いている。調子の良い女子陣の全国大会制覇と男子陣の巻き返しに大いに期待がかかる。

(記事 豊田光司、写真 戸田郁美)

結果

※早大のみ

▽男子団体の部

早大 記録なし

▽男子個人の部

26位 白井智也 1分15秒688

58位 青山広明 1分20秒11

山本翔平 記録なし

▽女子団体の部

優勝 早大 2分33秒513

▽女子個人の部

優勝 岩脇彩香 1分14秒96

4位 橋本美咲 1分18秒553

コメント

白井智也(基理4=東京・早稲田)

――きょうの走りを振り返って

一年間を通して第一走者で走ってここまで第一走者を後悔したことはないです。自分が走ったことをフィードバックすることがかなり重要なのですが、タイヤが温まっていない状態なので走りにくかったです。

――2本目記録を伸ばせましたが

車体トラブルが続いて、なるべく車体に負担をかけないようにと心がけました。タイムは伸びましたが、車の管理をもっと徹底してからの方が良かったと思います。車両の後悔が大きいです。

――男子団体の記録が残らなかったことについて

団体記録が残らなかったこともそうですが、山本が2本とも走りきれなかったのは最後の大会ということもあって、申し訳ないなと思います。

――最後のジムカーナをどのような心境で迎えましたか

こんなに速い車で、速く走れるのも最後なので後悔がないようにという思いで結構気合いを入れて走りました。楽しもうということを考えて走っていました。

――結果的には悔しい結果になりましたか

悔しいですね。せめて団体で結果が残るようにしたかったです。これが実力なので全日本運転競技選手権(全日フィギュア)に向けて全員が勝てるように練習していきます。

――関東戦で男子、女子共に団体優勝しているフィギュアは期待が大きいと思います。意気込みをお願いします

死ぬ気でやります。もう後悔しません。

p class=”mt15″>山本翔平(国教4=千葉・東邦大付)

――きょうは車体トラブルが続いてしまいましたが、そのことについてはいかがでしたか

技術的な問題と車両的な問題が足し合わさって、このような結果になってしまったと思います。

――全関東学生ジムカーナ選手権大会(全関ジムカーナ)からはどのような調整をされてきましたか

全関ジムカーナはそんなに調子が悪くなかったので、大幅に変えたということはないです。何でかなということは来年に向けて調べなくてはいけないと思います。

――きょうのコースについてはどのように感じましたか

楽しいコースだと思います。走りたかったです。練習中はすごく楽しく走れました。

――これが最後の大会となりましたが

これからは個人的に車で遊びたいと思います。

青山広明(先理3=神奈川・聖光学院)

――きょうの走りをどう思いますか

全然駄目でした。1本目タイムが残せず、2本目も攻めの走りができずにタイムを伸ばせませんでした。

――1本目で記録を残せなかった緊張や焦りからですか

緊張もありますが、車体を壊してはいけないという思いがあって、どうしても守りに入ってしまいました。

――出した記録には満足していないですか

全然していないです。本当に悔しいです。

――男子団体として記録を残せないと言う結果になってしまいましたが

同じところが何回も壊れてしまうというのは別の原因も考えられるので、そういったことを視野に入れつつ、来年度に向けて車を作って練習をしていきたいと思います。

――全日フィギュアに向けて

フィギュアは勝ちます。関東戦では勝っていますが、やはり全国大会なので出場校も増えて難しくなると思いますが、勝ちます。

岩脇彩香(先理4=東京・創価)

――きょうの走りを振り返って

前日の練習の調子が悪かったので、ここまで良い走りができるとは思わずびっくりしました。自分の中で一番会心の出来でした。

――車両トラブルの影響はありましたか

1本目は前を走っていた青山の時にアクシデントが起きて、間に合うか不安でしたが、ピットが頑張ってくれて、間に合わせてもらったのでそれには感謝ですね。

――地方戦の時にアクセルが踏めないとおっしゃっていましたが今回はどうでしたか

今回はアクセルを踏めないというよりはブレーキがうまくできなかったのが前日の練習の感覚でありました。アクセルは解決しました。

――暫定1位だった自分の記録を更新しての個人優勝ですが

1本目がうまく走れたので2本目でタイムアップはあまり期待していませんでしたが、タイムアップ出来てよかったです。

――橋本選手の好走もあり、女子団体優勝ですが

超嬉しいです。全関の時は超悔しかったです。優勝できなかったこともそうですが、自分の思うような記録も出せなくて不満で、ジムカーナに自信がなかったのですが、今回良い結果が残せて自信がつきました。

――全日フィギュアに向けて

全国大会で団体優勝が続いているので、フィギュアでも優勝したいと思います。地方戦では優勝していますが、練習量が少ないという不安があるので秋からしっかりと練習していきます。

橋本美咲(人3=山梨・甲府南)

――個人の4位という結果についてはいかがですか

やはり悔しいですね。だんだん個人の順位が上がってきているのはとても嬉しいですが、今回の大会は岩脇さんと表彰台に乗れる最後のチャンスだったので、表彰台を逃してしまったというのは悔しいことだということが第一にあります。

――きょうのコースについて難しい点などはありましたか

きょうはパイロンセクションのところがそんなにこまごましていなかったので、私にとってはやりやすかったです。

――全関ジムカーナよりはスピードが出しやすかったのですか

全関ジムカーナは全部パイロンでできているコースでしたが、今回の鈴鹿はコースの中にパイロンが置いてあるというかたちだったのでぜんぜん違いました。私はこっちのほうが走りやすかったです。

――2本目にタイムを上げましたが、何か変えたことはありますか

1本目にタイムが落ちてしまった原因としては、ターンができなくてバックギアを使わなくてはいけなかったことです。2本目はそれがなくきれいにターンができたことと、団体優勝をしたかったので多少乱れてもアクセルを踏むということを意識したからだと思います。

――団体優勝についてはいかがですか

全関ジムカーナでは岩脇さんが個人優勝したのに私の個人順位があまり良くなくて団体優勝を逃してしまっていたので、今回優勝できて本当に良かったです。

――最後に来年に向けてお願いします

らいねんは女子部員に下級生がいないので団体は出られるか分からないですが、ぜひ団体でも出たいと思います。個人では岩脇さんの後を継いで優勝できるようにがんばりたいと思います。

韮沢純一(国教4=東京・海城)

――きょうを振り返って

車体トラブルが多く、慌ただしかったです。

――ドライブシャフトの故障をどう思いますか

ドライブシャフトだけでなく、内部自体が駄目になっていて、ドライブシャフトに全て負担がいってしまったのかなと思います。

――女子優勝、男子は記録を残せず、と明暗が分かれましたが

紙一重だと思います。