成長見られるも厳しい結果に終わる

自動車

 先月の全関東学生ジムカーナ選手権(全関ジムカーナ)の雪辱を果たすべく、全関東学生ダートトライアル選手権(全関ダート)に臨んだ早大。しかし午前の1走目で暫定1位の慶大に7秒の差をつけられると、午後の2走目でも車両整備のトラブルもあり差を縮められない。最終的に男子団体5位入賞という、優勝を狙った早大にとっては厳しい結果となった。

前大会から成長を見せた白井

 3位に終わった全関ジムカーナからの1カ月の練習の成果を見せたい早大であったが、男子団体の部の第1走者・井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)が車両の不調などもあり、いいタイムを残せずに終わる。流れを引き寄せたい第2走者は白井智也(基理3=東京・早稲田)。「悔いが残る」と語った全関ジムカーナからの成長を感じさせる走りで2分に迫る好タイムでまとめ、リズムをつくる。そしてその流れを受けた第3走者の五月女敦(基理4=東京・早大学院)も、全関ジムカーナで個人入賞を果たした実力を発揮する。2分を大きく下回る1分56秒75というタイムで走り抜けこの時点で個人4位につけ、暫定3位という団体順位で午前を終えた。

 巻き返しが求められた午後、早大を悪夢が襲う。第1、第2走者の井田と白井が、共に車両の不具合でまさかの走行不可能となってしまう。午前の記録からのタイムの伸び代の大きかった2人のリタイアは大きな痛手となった。そんな中一人気を吐いたのが第3走者・五月女。スピードを失わない強気の走りとコーナリングで、午前のタイムをさらに更新。1分53秒334という好タイムで個人2位入賞という躍進を見せた。しかし五月女の好走行でタイムは多少立て直されたものの、他大を振り払えず最終結果は5位に終わった。

男子個人の部で2位に輝いた五月女

 一方昨年のこの大会で飛躍を果たした女子個人の部の岩脇彩香(先理3=東京・創価)は、今大会でも圧倒的な走りを見せた。午前の1走目で2位に5秒以上の大差をつけると、午後の2走目でもそのタイムをさらに縮め、2分8秒493。貫録の走りで2連覇を成し遂げた。それでも自らの走りに納得のいかない岩脇。全国の舞台でさらなる高みを目指す。

 試合後、各選手は神妙な面持ちでそれぞれの悔しさを口にした。特に井田主将が口にした「最後の最後の詰め」の甘さが今回の結果につながってしまったのだろう。次の舞台はこの日と同じ丸和オートランド那須で行われる全日本ダートトライアル選手権。今回の失敗を胸に、また今回の経験を生かし、磨きのかかった走りで日本一の座をつかみ取る。

(記事 伊藤広真 写真 扇山友彰)

結果

※早大のみ

▽男子団体の部

5位 早大 6分01秒468

▽男子個人の部

2位 五月女敦(基理4=東京・早大学院)1分53秒334

19位 白井智也(基理3=東京・早稲田)2分01秒441

30位 井田翔太(政経4=埼玉・開智)2分6秒693

▽女子個人の部

1位 岩脇彩香(先理3=東京・創価)2分8秒493

コメント

岡島昭英監督(昭61理工卒=東京・早大学院)

――今大会を振り返って

ちょっと車のトラブルがそれぞれのところで出てしまったのが残念なところでしたね。それは準備不足ということになってしまうんですけど、きのうの練習会で本来使うはずだった車を壊してしまって急きょ代わりの車にサスペンションとかを付け替えたんで、その点でね。予備の車の準備不足ということなのですが、部全体としての準備不足なのでその点は残念だったかなと。

――今のチームには何が足りないと思いますか

全体のバランスだと思うんですよね。五月女(敦、基理4=東京・早大学院)が男子個人2位になりましたよね。団体ということは3人で走るわけですからあとの2人のタイムが早まっていけば、特にきょう、井田(翔太主将、政経4=埼玉・開智)は1本目2本目と車両の関係で十分に走ることができなかったのでそこの車両のレベルアップもあるんですが、ドライバーの目線で見れば3人のバランスをより高めていくことが今のワセダの課題だなと。結局勝った中大はそこができているんですよね。

――次も丸和(オートランド那須)での試合ですが今大会をどう生かしていきたいですか

やっぱり不足していた車の準備ですね。そこをよりレベル高く煮詰めるということと選手4人、特に五月女もまだ1位じゃなかったわけだから技術を高める余地がだいぶありますし、ほかの2人及び女子の岩脇(彩香、先理3=東京・創価)も、もう全日本は夏ということでこれからの練習の中でそこのレベルを上げていくつもりで取り組んでいきたいですね。

――全日ダート(全日本ダートトライアル選手権)に向けての意気込みをお願いします

全日本が結局最終目的ですから、そこに勝つつもりで頑張っていきたいです。

井田翔太主将(政経4=埼玉・開智)

――今大会にはどのような意気込みで臨みましたか

勝つということですね。全然勝てていなかったので。前日に車が壊れてしまい代わりの車で何とか走れたのですが、事前の下見が未熟でブレーキを踏むのが遅れて曲がり切れませんでした。

――最終的に厳しい結果に終わりましたが

悔しいですね。車を万全にしたかったというのがあって。まず自分が1本しか走ることができなくて、2本目を走れてもっと団体がいい結果になったかもということを考えると、やっぱり悔しいです。

――今のチームに足りないものはないだと思いますか

最後の最後の詰めが甘いということです。ただピットの部員には車両整備もサポートもしっかりしてもらっていてすごくやりやすいです。今回の車両作りについてはチーム全体として詰めが甘かったということだと思います。

――全日ダートへの意気込みをお願いします

勝つということだけです!

白井智也(基理3=東京・早稲田)

――2分1秒441というタイムについては

1本目、いろいろと監督とかスタッフにアドバイスをいただいて走った結果としては、「一皮むけた」と言われたのでそういう意味では収穫はあったんですけど、やっぱりまだまだ伸ばせると思うのでそこをしっかり伸ばしていって次は全日ダートで優勝できるようにまた力をつけていきたいと思います。

――チームとして今大会を振り返って

前日に車が故障して車両が変わったというのが1つ、駄目だったというか井田さんが出走できなかった原因になってしまったと思うので、ちゃんと車両整備をするっていうのができなかったと思います。そういうところもしっかり詰めて、今度は修正していけたらと。結果としては満足のいくものはもちろんないので、そこを詰めることで走りに集中できるようにしていきたいです。

――リタイアの原因は

もともと前日練習で使っていた本番で使う予定だった車の不調の部分を入れ替えしたんですよ。それで結局そこが悪くて駄目だった。そこのところをもう一度入れ替えればよかったものを時間の関係でやれなかったというところが、そこを妥協してしまったのがという感じですね。

――次の全日ダートはまたここで行われますが

この路面というか、丸和っていうところの走り方というのはいろいろOBの方からもアドバイスいただいてますし、車も出来上がりとしては悪くないので、見えないところもしっかり車両制作にあたって、そのうえで走れればと思います。

――これからどのように練習していきたいですか

とりあえず内に抜けることはできるようになったのですが、アウト・イン・アウトではなくアウト・アウト・アウトになってしまっているのでそこをもっとちゃんとできればタイムアップできると思うのでそういうところで恐怖心を捨ててできるようにしたいです。

五月女敦(基理4=東京・早大学院)

――今大会を振り返っての感想をお願いします

まず車両については、きのう横転してしまったことは仕方がありません。しかしそれに対応し切れなかったことが凄く悔いになり、団体にも響いてしまいました。全日本までには二台ともいつでも万全に走れる体制を作って臨み、団体優勝を目指したいと思います。走りについては、個人で二位でしたが、全力を出せたつもりではありましたが上がいるということはまだ詰めることが出来るということなので、それを全日本までに完成させて日本一狙いたいと思います。

――午後のレースでは大幅にタイムが伸びましたが、何を改良しましたか

1本目は基本的に、確実なタイムを残さなければいけないので怖いところはアクセルを抜いていました。しかし2本目は行くしか無かったのでアクセルを踏み続けたまでです。

――きょう走った丸和オートランドは全日ダートでも使用されますが

関西勢よりもこっちで練習できるアドバンテージがありますのでしっかりと毎週練習を重ねて日本一を狙います。

岩脇彩香(先理3=東京・創価)

――本大会を振り返っての感想をお願いします

きのう自分が車を壊してしまって、即興で仕上げた車があまり調子が良くなくて、男子の部に迷惑をかけてしまったことがとても辛かったです。自分の走った感想としては、昨日の失敗したこともあり怖くて、二本目は怖さを払拭して走ったつもりだったんですけど、それでもタイムはあまり変わっていなくって、何が悪かったのかもまだ分かっていないのでしっかり振り返って全日ダートに向けてしっかり練習をしたいです。

――きょう走った丸和オートランドは全日ダートでも使用されますが

今回の全日は関東で行われるので走り慣れているコースですけれど、コースは毎回違います。上手い人は毎回のパターンを覚えてコース取りができていますが自分はまだ出来ていないので、そこを改良して行きたいと思います。